Movie Fight! Special 2003 Autumn
『1:99 電影行動(原装導演加長版)』 (2003香港)※輸入VCD版
11篇+ディレクターズカットヴァージョン(☆印作品)5篇+メイキング収録 スタッフ&キャストは別記参照
2003年春。ユーラシア大陸の中東では戦争が始まった。そしてその大陸の東から不気味な肺炎が発症し、中華圏を始め全世界に恐怖をもたらした。活気に満ちあふれた街から人が消え、世界各地から集まる人々も姿を消した。誰が悪いわけではない、なのに人々は苦しんだ。しかし、転んでもただでは起きない香港映画人(笑)。香港と香港を勇気付けるために、映画界から錚々たる面々が集まって、彼らなりのアプローチで、こんな形のメッセージを香港から発信したのだ!では、15人の監督が放った11のメッセージフィルムを紹介しよう。
『狂想曲』☆ 監督/ジョニー・トゥ&ワイ・カーファイ
出演/アンディ・ラウ サミー・チェン ラウ・チンワン ラム・シュー チャップマン・トゥ
老舗の中華レストランを舞台に、職を求めてやってきた長髪のチンピラ(アンディ)、地味な女性(サミー)、中年男(ラム・シュー)と、レストランのマネージャー(ラウチン)が飲んで歌ってマージャンしてと大騒ぎ。『Mr.BOO!』の主題歌など懐かしのナンバーをアンディが、ラウチンが、サミーが歌うミュージカル仕立て。
☆どーしてアンディってこーゆーロン毛のチンピラ役をやりたがるんだろーか?いや、ジョニー&カーファイの意図か?そうかもしれない。サミーの地味地味メイクもそうに違いないだろーし。あ、そっか、昔の香港コメディ(それも賀歳片)のイメージね。ラムシュー扮する神様(関帝か?)と歌うラウチン(!)も楽しいぞ。
『小猪不舒服』 監督/フルーツ・チャン 出演/Shine サム・リー
香港郊外・新界の養豚場で働く二人の若者(若手男性デュオShine)が主人公。彼らのかわいがっている子豚の具合がなんだか悪い。街では不気味な病気が流行っているらしいし…。でも、子豚の病気が治ったら、この子を街に連れて行こう。いろんなものを見せてあげよう。
☆このフィルムで初めてShineを見た。香港版ケミストリー?って思っていたけど違うのかな?ところでこの二人はフルーツ監督にPVを撮ってもらってるのね!サムの登場がさり気なーくてかわいい。『メイド・イン・ホンコン』も昔になりにけりねぇ…(笑)。
『向好看』 監督/テディ・チャン 出演/薜立賢
今日のボク(薜立賢)はついていない。友達にからかわれたり、線香の灰をかぶったり、水や泡を引っかけられたり…。でも、街角のいろんなところで見かけた“Smile”がボクを元気にしてくれた。もうボクはヘコまないよ!
☆『ダウンタウン・シャドー』や『パープルストーム』等のアクション映画が得意なテディ監督が作ったのは、何気ない日常のほほえましいシーン。音楽もかわいいよ。
『信不信由[イ尓]』(アニメ)☆ 監督/ツイ・ハーク
なかよし三人組の老夫子、大蕃薯、秦先生はただいま大海原を漂流中。そんな時、どこかで美しい女性の悲鳴を聞きつけ駆けつけると、マドンナのミス陳がサメに襲われている!戦え、老夫子!行け、大蕃薯!どうする、秦先生!
☆日本でいうところの「かりあげクン」のような、新聞の4コママンガのキャラクターが主人公のアニメ。ニコ出演の映画『老夫子2002』にて彼らは堂々と現実世界に登場している。そーいえばツイ・ハークはアニメ好きでも有名だっけねぇ。
『香港必勝』 監督/チャウ・シンチー 出演/ジェニー・イップ
新型肺炎にかかって隔離病棟に入院した母とテレビ電話で話す娘(ジェニー)。家では父も具合が悪そうだし、兄もひどく咳き込んでいる。娘は泣きながら母に訴える。「アタシ、ママがいないと何もできない!どーしたらいいの!!」―そのとき、テレビ電話の向こうでは家族マージャンが展開しており、娘はボロ負けしていた…。
☆シンチーは出ていないけど、ちゃんとシンチーテイストのフィルム。オチがサイコー。メイキングフィルムでは演出するシンチーと助監督を務めたティン・カイマン(『少林サッカー』の“鎧の肌”)も登場。
『誰是香港小姐?』 監督/ジョー・マー 出演/イーソン・チャン Mini Cookies
毎年恒例のミス香港コンテスト。今年も12名の美女が決勝に残り、残るは発表のみ。いよいよ司会者(イーソン)が今年のミス香港を発表する。「今年のミス香港は…香港!」
☆全11編の中では一番ベタかもしれない(笑)。このミスコンの結果を見てラストで突っ込みいれてるおっさんのセリフが聞き取れなかった。ここでみんな爆笑するんだろーなー、香港人は。
『我的飛行家族』☆ 監督/アレックス・ロー&メイベル・チャン 出演/アンソニー・ウォン 王樹熹
病院の前の公園で遊ぶ少年(王樹熹)は、ヘリから出てきたえらい人が「我々は新型肺炎を制圧した」と発表する場面を見る。少年は思う。いろんな人たちが空を飛ぶように活躍しているけど、ボクの家族も昔から空を飛ぶように活躍している。ボクのおじいちゃんにおばちゃん、そしてボクのパパ。パパ(アンソニー)は今、病院で新型肺炎と戦っているんだ…。
☆『無間道』のおかげで日本でも注目度上昇中のアンソニー。10年前は人肉饅頭作りまくってたのに(爆)。『玻璃の城』の脚本&監督夫婦が作ったこのフィルムでは、これまた意外な役柄で登場したアンソニー、ちゃーんとやさしいパパしてます(当たり前だって)。
『等運到』☆ 監督/ダンテ・ラム&ゴードン・チャン 出演/アーロン・クォック ジジ・リョン ウォン・ジーワー ジョシー・ホー ジジ・ライ
チムサーチョイのプロムナードで清掃員のアルバイトをしているフリーター(ジーワー)に、3人のエージェント(アーロン、ジジ・リョン、ジョシー)が近づく。エージェントは彼にクールなスーツにガールフレンド(ジジ・ライ)、車を与えて夢を見させるが、彼が「これは夢だ!」と気づいた時、一気に現実に戻ってしまう。
☆これまたベッタベタですー(笑)。もろに何のパクリかわかるってーのも楽しいぜ。アーロンやジョシーはもちろん、ジジもはまるのね、こーゆー無機質でサイバーな感じの役回り。
『麥兜1:99』(アニメ) 監督/謝立文 声の出演/ジャン・ラム the pancakes 陳浩峰
香港の人気キャラクターにして、昨年の東京国際映画祭アジアの風でも主演長編映画『マグダルの話』が上映された子豚のマグダル。彼が「星の王子さま」を演じる超短編。
☆子豚のマグダル、日本では未紹介なのでワタシもよくわからんのだが、香港を歩いていれば必ずどこかで目に付くキャラクター。ちなみに『ゴージャス』にもあるシーンでマグダルのぬいぐるみが出てきたりする。
『2003春天的回憶』☆ 監督/ピーター・チャン
出演/トニー・レオン クリストファー・ドイル アルフレッド・チョン チャップマン・トゥ サンドラ・ン ポール・ウォン ジョー・チョン2003年春、亜熱帯のはずの香港に雪が降り、見慣れた風景は色彩を失った。だれもいなくなった中環をひとりさまよう男(トニー)。男は見る。ビルに閉じ込められた人々(ドイル他)を、瀕死の急患を運ぶ医師たちを。苦しみ、憤り、涙を流す人々は悔しさで足を踏み鳴らし、地を拳で叩く。その音は一つになり、街を覆う“苦難”のバリアを打ち壊す。…やがて男は、雪がやんだこの街に色彩と人々が戻ってくるのを見る―。
☆他の作品と比べるとちょっと異色な作り。日本のPVっぽいと言うか、公○広告○構のCMっぽいと言うか…。ちなみにトニーはヒゲつき(^_^;)。ドイルにーさんはとにかく目立つ…。
『前程錦繍』 監督/アンドリュー・ラウ&アラン・マック
出演/カリーナ・ラウ ン・ジャンユー アンソニー・ウォン チャップマン・トゥ ショーン・ユー エリック・ツァン アンディ・ラウ ジャッキー・チュン エディソン・チャンこれまで幾多の災難に巻き込まれてきた香港。第2次大戦の香港陥落、コレラの集団発生、そしてSARS…。でも、何があっても香港人は負けなかった。降りかかる災難を乗り越えていった。今は苦しくとも、きっと乗り越えられる…。カリーナが、ジャンユーが、エリックが、学友が、ショーンが、そしてえぢが寄せる、香港と香港人へのメッセージ。
☆これが一番CMっぽい(当たり前だけど)。いろんな人たちが次々に出てくるので思わず何度も観てしまうわ。しかし、香港にもこんな苦難の歴史が過去にあったんだなぁ、と改めて知ったのであった。
だいたい1篇1分前後(時間計ってないのでよくわからないが)。短編より短い超短編といった感じだけど、それぞれの作品には各監督の意外な個性が見られる。そして、長期的な低迷からなんとか抜け出そうとしている香港映画人の団結力も見える。そして、エンターテインメントは人々を勇気付けるということもわかる作品集だった。(ちなみにこれ、日本でもDVDで発売されるとの情報あり。)
ああ、近いうちにまた香港へ行きたいなぁ…。