There's something about TONY(^o^)!

もとはしの独断と偏見で選んだ

Tony's Best5 Act +α

明星迷なら、誰でもお気に入りの映画やキャラクターがあるはず。
かくいうもとはしにもあります。でも、皆さんと同じところもあれば思いっきり違うところもあるかも。
てなわけでここでは、これまで偉仔が演じてきた役の中で私が「こいつは好きだ!他の迷の皆さまに
同意されなくても私が愛してるからいいんだ!」と思うキャラクターたちを紹介します。



『悲情城市』 (A City of Sadness/1989・台湾)監督・候孝賢 出演・李天禄 陳松勇 高 捷 辛淑芬

【物語】舞台は第二次世界大戦直後の台湾。敗戦により50年続いた日本軍の統治が終わり、台湾の人びとは新しい時代の到来に胸をふくらませた。しかし、新政府と民衆とのぶつかり合いは「2・28事件」という騒乱を起こし、さらには中国大陸から共産党との内戦に敗れた中国国民党が逃亡してきて、1949年に台北を臨時政府と定め、政権を執ることになる。この4年間の動乱に巻き込まれていく台湾北部の港町・基隆郊外、九イ分に住む林家の人びとがたどる運命を描いた歴史群像劇。ヴェネチア映画祭金獅子賞受賞。

【偉仔の役どころ】物語の中心となる林家の末っ子で聾唖の写真館主、林文清。まだまだ青臭い印象は否めないものの、候孝賢先生が惚れこんだというだけあって、目の動きはさすがに美しいです。私のお気に入りシーンは、『ローレライ』を聴きながらの(!!)、後の奥様になる看護婦の寛美ちゃんとの会話のシーン。きこえていないはずの曲に耳を傾け、自分の耳が聞こえなくなった出来事を淡々と笑顔で語る文清さんに寛美ちゃんじゃなくても思わず目頭が…。

【もとはし的感想】学生時代に大学のプログラムのために半年台湾に留学しました。出発の数ヶ月前に観たのがこの映画。この作品がきっかけで台湾を知り、偉仔を知りました。そして中華圏に目を向けるきっかけともなりました。候孝賢映画としては『恋恋風塵』の方が好きだとおっしゃる方も少なくないでしょう。私ももちろん好きです。でも私はこの映画が彼のベストであり、最高潮だった作品だと思っております。偉仔が出ているからという理由だけではありません。自分の知らない過去の台湾が、台湾で暮らしていた日本人から聞いた姿が画面に再現されたことに驚き、歴史の重みにつぶされながらも生きていった人々の姿が穏やかで切なくも鮮烈でした。墓場まで持っていきたい映画です。

『ハード・ボイルド 新・男たちの挽歌』 (辣手神探・Hard Boiled/1992・香港)

監督・ジョン・ウー 出演・チョウ・ユンファ テレサ・モウ アンソニー・ウォン フィリップ・チャン

【物語】黒社会の大物を追い、時に公務を逸脱する捜査を行ってしまい、警察からははみ出し者扱いされている刑事のテキーラ(ユンファ)。黒社会のボスに忠誠を誓い、淡々と仕事を実行する殺し屋トニー(偉仔)。自分の組織と対立しているジョニー(アンソニー)からの誘いに乗るトニーはあっさりとボスを裏切る。銃撃戦のさなかに対峙するテキーラとトニー。やがてテキーラはトニーの正体を知り、二人はジョニーたちと対決を迎えることになる…。

【偉仔の役どころ】香港ではこの作品でブレイクしたというトニーの役どころは、殺し屋実は潜入捜査官という善悪の域を超えた複雑な人物。警察でも重宝され、潜入先でもクワン・ホイサンやアンソニー・ウォンに義理を傾けられるくだりを見て、まるで高村薫の小説『レディ・ジョーカー』での主人公の一人・合田雄一郎ばりのモテモテさんだわとうっかり考えてしまったわ。(もちろん『ハード・ボイルド』の方を先に観ていたので正確に言えば逆なんだけど)

【もとはし的感想】実はジョン・ウー作品に私はしばしば高村薫的なテイストを感じることがよくある。ウーさんの作品に高村さんの描くような現代社会の闇や細密な警察組織の描写はないし、高村作品には鳩は飛ばないけど(笑)、キリストや教会や祈りのモチーフは高村作品にも頻繁に登場するし、何よりも男たちの友情の熱さは両作品に共通するものである(注・もちろんヨコシマ抜きである)。そのなかでもこの作品は特に高村的テイストが高いような感じ(あとは『狼』も)。いっそのことウーさん監督、日米英港合作で『リヴィエラを撃て』を映画化してくれないだろうかと妄想にふけるもとはしであった。(高村薫作品は未読だという皆さま、わけのわからない感想をお許しください)

『恋する惑星』 (重慶森林・Chungging Express/1994・香港)

監督・ウォン・カーウァイ 出演・ブリジット・リン 金城武 フェイ・ウォン ヴァレリー・チャウ

【物語】香港・蘭桂坊にあるファーストフードショップ「ミッドナイトエクスプレス」を中継点に、失恋したての私服刑事の223号モウ(金城)と偶然出会った金髪の麻薬ディーラー(ブリジット)との触れ合い、ショップの新米売り子フェイ(フェイ)とスチュワーデス(ヴァレリー)にふられた警官633号(トニー)との恋の始まりを描いた物語。

【偉仔の役どころ】香港電影金像奨最優秀主演男優賞受賞。後半のエピソードにして映画のメインキャラとなる警官633号。警ら担当の制服警官のくせに自分の身の回りの変化には全然気がつかないというおまぬけさん。しかも愛用下着はまぶしいくらいに白いブリーフ。クラクラしてしまったのはいうまでもない。この映画を「おしゃれだから」と行って観に行った若者たちにあのブリーフがどう映ったのか一度聞いてみたい気もするんだが(笑)。素直じゃないけど一途なフェイもかわいいんだけど、彼をヒョイっと捨てて行っちゃうヴァレリーの小悪魔っぽさもまた魅力的…って全然この映画の偉仔の魅力にふれていないじゃないの。

【もとはし的感想】この映画を観た時は頭から『夢のカリフォルニア』とフェイの『夢中人』が頭から離れなくて困った。こういう思いをした人は多いだろう。「香港映画のイメージを変えた」といわれるこの映画、のれる人とのれなかった人と分かれたようだが、実は私はのれた方だった。もっとも、カネシロ&ブリジットのパートとトニー&フェイのパートをそれぞれ分けて1本ずつの作品にしてもよいんじゃないかとも思ったけどね(ちなみに私、『天使の涙』はまったくダメでした)。この映画のトニーは演技的にはフェイを受ける位置にあるのだけど、フェイのあの非常識すれすれの自由奔放さもトニーが受けるからこそほほえましく写るのではなかったかな、と思ったのだった。

『裏街の聖者』 (流氓醫生・Mack the Knife/1995・香港)

監督・リー・チーガイ 出演・ラウ・チンワン アレックス・トー アンディ・ホイ クリスティ・チョン ジジ・リョン

【物語】香港のスラム街と化した地域に住み、貧しい人々に治療を施している外科医マック・ラウ(トニー)は賭け事と女に目がないチンピラ医師。そんな彼を慕ってやって来る若手医師ソー(ホイホイ)や医師志願のメー(ジジ)、街の娼婦に惚れた刑事(ラウチン)との触れ合いや、医大時代の同期ロジャー(トーさん)との確執をめぐる日々を淡々と描く。

【偉仔の役どころ】タイトルロールの「チンピラ医師(原題)」。このタイトルは中国名「劉文(ラウ・マン)」と英語名のマック(ついでに英題も)も引っ掛けているというこりよう。さすがリー・チーガイだ。もともとの原作「Dr.クマひげ」(史村翔&ながやす巧、講談社刊)を知らなかった私は「う〜ん、ネタはブラック・ジャック?」なんて思ってしまったけど、トニー演じるこの「Dr.無精ひげ」マック先生は原作ともまた違った味わいを出している。

【もとはし的感想】実はもとはしは大の医者もの好き。『ブラック・ジャック』は心のバイブルだし、『ER』も第1シリーズから欠かさず観ている。(でも江口洋介の『救命病棟24時』は観てなかった。『ER』より前にやってくれれば大いにはまったかもしれないけど)それは生命に関わる仕事を通して人間の生死や人生を深く考えることができるからだ。愛する人を病で亡くし、エリートへの道から外れて都市の底辺で生きる人々を見守りながら、彼らの命を救い、時に救えずに涙を流すドクター・マック。しかし、そんな彼もまた裏街の面々に慕われ、彼らに励まされながら生きている。人間っていいよね、と素直に思える物語だった。リー・チーガイ独特の選曲のセンスのよさも光り、サントラも渋くて嬉しかった(もう廃盤みたい…残念)。

『ブエノスアイレス』 (春光乍洩・Happy Together/1997・香港)

監督・ウォン・カーウァイ 出演・レスリー・チャン チャン・チェン

【物語】香港からアルゼンチンへとやって来たライ・イウファイ(トニー)とホー・ポーウィン(レスリー)。お互いに愛し合っていながらも諍いが絶えない二人はイグアスの滝を見に行く旅で別れ、ブエノスアイレスで再会し、一緒に暮らし始める。しかし時に互いの心が一瞬触れ合うことはあれども、心のすれ違いによる諍いは絶えることがなかった。そんな時にファイは、新しい職場で台湾から来た少年チャン(チャン・チェン)に出会う…。カンヌ映画祭最優秀監督賞受賞作品。

【偉仔の役どころ】香港電影金像奨最優秀主演男優賞受賞。また、この作品の演技でカンヌ映画祭最優秀男優賞をショーン・ペンを争ったらしい(最終的には一票差で敗れた)。愛を求めて南米をさまよう青年ファイ(こう書くとなんかカッコいいぞ)34歳。レスリーとのベッドシーンはいつ見てもどきどきしてしまう(無理やりやっているという雰囲気はするけど)。作品自体もかなりのめりこんで観ていたのだが、このトニーはトニー本人や他の作品のトニーとは別物だろう。三島由紀夫を彷彿とさせる(この映画のおかげで私は三島を読むようになった…。う〜んとんでもない)造形もドン詰まりになりながら撮影したというエピソードを読むたびに、かなり異色のものであろうと思うので。ひどいといえばひどいけど、ある意味で一番観たかった作品。

【もとはし的感想】主人公がゲイのカップル、というあたりで観る人を選ぶであろうし、王家衛作品の好き嫌いでも意見が分かれるし、トニーファンかレスリーファンかでも賛否両論が分かれてしまいそうな映画だと思った(現に私はレスリー迷の年配の知人とこの作品の観方についてしばし対立した)。恋愛至上主義でもなく、まともな恋愛の経験もない私がこういう恋愛に憧れるわけがないが、人間の生き方っていうのはこの映画で描かれたようなものだ、といつも思っている。一つの恋に心揺り動かされ、一喜一憂し、相手に対して抱く殺したいほどの憎しみやどうしようもない欲望に悩み、その恋に決着をつけて歩いていかなくてはならない時を迎える。恋愛は人生とイコールで結び合うものなのだろう。そんなことを考えながら観ると、最後の台湾でのファイの表情にこちらもホッとしてしまうのだが、これはあまりにも一面的な観方であろうか。

ところでこの映画を最後に、私は王家衛に過剰な期待感を抱くのをやめた。だから「2046」なんて全然楽しみじゃないのだ。

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