Movie fight! special 2002 Autumn

★電影想歌★ なんちゃって短歌で詠む中華電影 

昨年の秋のもとはしのマイブームは「短歌を詠むこと」でした(爆)。と、いうわけで秋に観た映画の感想に、一首短歌を添えて感想を書きたいと思います。どーか笑って読んでください。

 まっすぐに前見て明日へ突き進む母よアナタは強いのだろうか

『きれいなおかあさん(漂亮[女馬][女馬])』 監督/孫 周(スン・チョウ) 出演/鞏 俐(コン・リー)

 母よ、アナタは強かった!しかしこんなに強くていーのか母よ!寒さ厳しい大都市北京を舞台に、生活力ゼロの夫に愛想を尽かし、耳の聞こえない我が子鄭大のため、せっかくの高給職をなげうってまでも東奔西走するシングルマザー麗英(コン・リー)。聴覚障害のため入学を拒否された普通の公立小学校へ鄭大を入れるために麗英は新聞配達や家政婦の仕事をして必死に暮らしていく。彼女たちの暮らしの隙間からは、急激に変化していく現在の北京の姿が垣間見える。耳の聞こえない鄭大は小学生にいじめられる。何もそこまで…と思うけど、障害者への差別は日本だけでなく、どこでも起こりうるのだ、ということも感じた。現実は厳しいが希望は失ってはいけない。そんなことを感じた。しかしコン・リーねーさん、張り切るのもいいが迫力ありすぎ(笑)。何もそんなにむきになって「この子には父親が必要なのよ!」と言って協力者になってくれた先生に迫らなくても、先生じゃなくても引いちゃうよぉ〜。以上。
 …いーのかもとはし、ホントにこんな感想で。

あの時にこうしていればと後悔しそれでも人は活きねばならぬ

『活きる(活着)』 監督/張藝謀(チャン・イーモウ) 出演/葛 優(クゥ・ヨウ) 鞏 俐(コン・リー) 

 『あの子を探して』『初恋の来た道』により中国内外で大ブレイク、ハリウッド上陸をかけた歴史アクション大作『英雄』の日本公開も楽しみな張藝謀監督だけど、この映画とコメディの『キープ・クール』(陽春日本公開決定)を作った頃(90年代中盤)、中国政府は彼の作品を認めていなかったような感じがして、まさに艱難辛苦を味わう日々を送っていた(らしい)。この作品からは中国政府や社会に対する批判など、それほど強烈に感じることはないにしろ、20世紀中盤から後半に至るまでの中華人民共和国という国に生きて、多くのものを失いつつ、さらに何のかの言いつつ運命のいたずらで生き残ってきた男と妻の姿には多くの無名の中国人民の姿が見えるような気がする。『初恋の来た道』への助走はこの作品から始まっていたのかな。

みだらなる愛にカラダは震えつつ彼と彼女でココロ彷徨う

『華の愛・遊園驚夢』 監督/ヨン・ファン 出演/ジョイ・ウォン 宮沢りえ ダニエル・ウー チャオ・チーカン

 ♪たんび〜たんび〜、耽美がくるりと輪を描いた〜♪っていったいどこで見かけた替え歌だったかなぁ…。あと♪美しさは、罪〜♪っていうのは、ちょうど20年前にアニメ化されてた日本少女マンガ史上最長のギャグマンガ『パタリロ!』のテーマ曲だったなぁ、とかなんとか独り言言ってたりして。(いや、今ちょうどCSで放映されているのでたまーに観てついでに文庫でマンガを買って大笑いして読んでるんだ、パタリロ)まー、そんなことはどーでもいいわな!前振り長すぎじゃ。
 そう、耽美といえば香港を代表するお耽美派監督ヨン・ファン。『美少年の恋』で日本の一部香港電影好きの女子&ボーイズラヴ好きの女子を夢中にさせた彼が4年ぶりに放った新作は…えっ、百合の愛?美しければ薔薇でも百合でも、もとい男でも女でも構わないのか、さすがだヨンファン、と感心(おいおい)。最近ユネスコの無形世界遺産(だったと思った)に指定された昆曲(上海オペラ)をモチーフにしたというあたりでつかみはばっちり。
 ヨンファンのインスピレーションにより起用されたという宮沢りえちゃんはこの作品でモスクワ映画祭主演女優賞受賞。3年前あたりから一部日本人俳優の香港映画出演に疑問を呈していた(大げさな)ワタシだったけど、この映画でのりえちゃん起用には文句なし。だって、そこにあるだけでただただ美しいんだよ、りえちゃん!今まで彼女の演技を見ていてなんだかよくわからなくなる時があったけど、あまりに美しすぎて、思わず「時よ止まれ、オマエは美しい」なんて『ファウスト』の名台詞をはきそうになっちゃったよ(笑)。
 ストーリーとしては、りえちゃん演じる蘇州の旧家の若奥様と、旧家の因習になじめない男勝りの教師(ジョイ)との恋愛と、女教師を翻弄する教育委員(ひこそ)との性愛なんだが、ひこそはさすがひこそで、『美少年』の時以上にぶいぶい言わしている(笑)、というかヨンファンの寵愛を一身に受けている(例・ジョイが覗き見る沐浴シーン)。そのせいか、ジョイが妙に男っぽく見えたような。ホントはジョイの役柄を男にしたかったのではないだろうか、ヨンファンよ。会ったら一度聞いてみたいぞ(おいおい)。

香港の片隅に咲く北の花凍れるココロに榴[木連](ドリアン)抱きしめ

『ドリアンドリアン(榴[木連]飄飄)』 監督/フルーツ・チャン 出演/チン・ハイルー マク・ワイファン 

 現代社会に対して厳しい視線で映画を撮っているように感じるフルーツ・チャンの作品だけど、これまで観てきた作品とは似て異なる位置にあるかも。生産ライン上の流れ作業のようにセックスワークに励む(だから色気もエロもまったくない)中国東北出身のヒロインの潔さと故郷に帰ってからの心の揺れ、不法滞在する広東人少女の視点から見た香港という街と、彼女とヒロインとの心の交流。フルーツさんの視点は香港から大陸へ、男たちから女性たちへと広がっていく。毎度お馴染み結構きっつい下ネタも相変わらずだけど、この映画以降、新しい一歩を踏み出した感もあるフルーツさんの映画の世界もこれからどんどん広がっていくのだろう。

鬼が来る戦争(いくさ)にまぎれてひたひたと善も悪をもかまわず喰らう

『鬼が来た!(鬼子来了)』 監督・出演/姜 文(チアン・ウェン) 出演/香川照之 澤田謙也 デビッド・ウー

“日本鬼子(リーベンクイズ)”。大陸に渡ると誰もがどこかで必ず言われるというこの単語、始めはむかつくが、日本人が大陸で行ったことを思えばそう呼ばれるのは仕方ないのだろう。しかし、中国人に日本という国が恨まれても人と人との間では友情も生まれるのではないのか?ということは誰もが考えることであろう。その友情も、ふとしたことで壊れていくとしても…。
 この映画では人と人との関係が、彼らが身を置く状況によって変化していく経過―それも戦争という狂気がその人を「鬼」に変えていくプロセスを描いているように感じた。日本人が悪いとか、中国人が愚かだとか、そういうことを言っている映画ではないと思う。昔も、そして今も戦争は醜い行為だ。立派な反戦映画である。後味はずっしり重いけど笑えるところもあるし、エンターテインメントとしてもいい出来だ。“中国のクリント・イーストウッド”って感じの姜文先生とここ数年演技が暴走気味で面白い香川氏のガチンコ対決も見応えあり。今度は日本が舞台で姜文さんと共演っていうのもいいんじゃないかな?現代の歌舞伎町が舞台で日本ヤクザと大陸から来た殺し屋の対決とか、20世紀前半のスパイものとか。どーだろー?

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