楠本 利夫 歌集「綾取り」より

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 第一部  母よ

梅の花


重篤な病もちたる思いにて梅の花咲く病院に入る



しゃがみ込み心臓発作の鎮まるを待つわが端を子どもら走る



わが胸に心電図用配線からみ一日を管理されたりコンピューターに



歩みつつ「オリオンきれい」という吾娘の行く末よぎる夜の散歩よ



離れ住むわが老病のちちははを思いて覚めいる真夜なみだして



八年を寝たきりの父を看とり来し母はいよいよ老いづき給う



母よ


吸入す酸素も肺に届かぬか母の呼吸はしばしば停まる



死に近き母とも思う心臓の拍数示すデジタル乱る



眠る如くベットに臥さりみまかりぬその口すこし開き給いて



へだてなく子を育てきし母上の通夜にこもごも想い出語る



綾取りの技のたくみな母なりき小指の骨を息つめて拾う


 バックナンバー

 第1章 福祉は法によって守られている?  第2章 高齢者と高齢社会
 第3章 すべては高齢社会に集約される  第4章 福祉サービスの基本メニュー
 第5章 衣食住生活とホームヘルプサービス  第6章 個人と集団・その中での福祉
 「障害者110番」の13年間 楠本 利夫
 『医療福祉用語』(嵯峨野書院)より 楠本利夫  第2章 介護関係用語
 楠本 利夫歌集「綾取り」


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