「障害者110番」の13年間 楠本 利夫 |
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「障害者110番」の13年間 楠本 利夫 |
障害者の相談を総合的に受けつける「障害者110番」事業が各都道府県と政令指定都市に義務づけられる「必須事業」となって今年で6年目となる。 振り返ってみれば、わが「障害者問題研究所」が、仕事の一環として「障害者110番」をはじめたのは、今から13年前の4月からである。 この13年間で、約1万4千件の障害者や、その家族からのさまざまな相談に応じてきた。 公的機関の相談活動が不十分だったので、民間の相談活動は、「研究所」が草分け的存在だった。珍しさもあって、NHKをはじめ民放各社や全国の新聞社が大きく取り上げて報道したために、電話は、早朝から夜中まで、鳴りっぱなしという状態が何年か続いた。 はじめたころの相談事例は「障害者手帳の交付手続きはどうすればいいのですか?」「障害年金を受けたいのですが…」といった福祉行政に関するものが多かった。 障害者福祉に関する広報活動が行きわたったのか、最近では、そういった相談は、ほとんど影をひそめた。同じく、以前に多かった相談は「結婚相談」であった。 当時は、障害者も経済的に自立して居られたので「同じ障害者と結婚したい」という希望が多く、私のデスクの抽出しに溢れるほどの釣書が送られてきていた。時々、私の事務所でケーキとコーヒーで何組もの「お見合い」をしたものだ。何組かのカップルも誕生した。 このように、こちらも嬉しくなるような「結婚相談」も今では全く姿を消してしまった。不況の続くなか、ハンディーを持つ人々のリストラで、生活自体が困難になっているのだ。 「リストラされて、どうして生きていけばいいのか途方にくれています」という相談が増えてきている。 また、最近多い事例は、「いのちの電話」のように切迫した内容のものである。「食費もない」「介護に疲れて死にたい」など。 この1本の電話回線(06-6387-2296)は、時代の移りかわりや人間の喜怒哀楽を聞いてきた。 さて、この13年間の相談活動から見えてきたものは、国の障害者福祉政策が理想とは程遠いものであったということである。 ノーマライゼーションや「心のバリアフリー」は、遅々として進まず、相変わらず、障害者やその家族は、必死の思いで生きていると言っても過言ではない。 その一例として、昨年の7月24・25日に開かれた厚生労働委員会理事懇談会で、全国の障害者が集めた署名132万筆余の国会請願が不採択となった。 「聖域なき構造改革」の方針に従っての審査結果だという。 全ての国民が安心して安全に暮らせるよう、今年もこの「110番」の電話を受け、声を発信していこうと心を新たにしている。 |
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