原文

 

・作者名、作品名、出版社、発行年、簡単な紹介文の順に記載。全集などに拠ったものは、各紹介文末に収録元を記した。

・紹介文を書くために参考にした本(またはHP)は、紹介文末に記載した。

・ネタバレはなるべく少なくするようにしているが、予備知識一切なしで読みたいという方は「関連書籍(事務的羅列)」へどうぞ。

・作品名でアイウエオ順。同じ作家が他にも八犬伝ものを書いている場合、各紹介文のあとに作品名を表記する。


『校訂 南総里見八犬傳』上中下(博文館、1893年)   

 旧字旧かな活字体による『八犬伝』上巻の頭に学海居士(依田学海)による「南総里見八犬傳批評」を載せる。挿絵は原作の挿絵(柳川重信ほかによる)を構図はそのままに描き改めたものだが、微妙にヘタクソなのがほほえましい。

 

浜田啓介校訂『新潮日本古典集成 別巻 南総里見八犬伝』全十二巻(@〜G2003H〜K2004) 

 長編すぎてか馬琴の代表作でありながら文学大系の類にはまず入れてもらえなかった(近年『美少年録』『侠客伝』『胡蝶物語』など他の作品が続々刊行されていただけにはがゆかった)『八犬伝』がついに!別巻ながら古典集成シリーズとして刊行された。新潮社さんありがとう。期待していた注釈がつかなかったのは残念だが、岩波版では省かれている底本の表紙、見返しなども影印の形で当時そのままに再現されており、二種類のルビがふってある漢字も多いなど、もっともオリジナルに接近した本なのは間違いないだろう。浜田氏による各巻末の馬琴やその周辺に関する解説文も見どころ。

 

『日本名著全集 第一期出版 江戸文藝之部 第十六巻 南総里見八犬伝』(非売品、日本名著全集刊行会、上中巻1927年、下巻1928年)  

 昭和初年刊行、新書版サイズ。全文変体仮名だが20行×2段組という形式からすると影印ではなく、わざわざ変体仮名で清書・印刷したもののようだ。初輯巻之一のみ1ページ9行で、隣に活字訳がついているので、変体仮名を学ぶためのテキストとしても使えるかも。また各輯の序の漢文に書き下し文が、口絵に活字訳がついているのが実に重宝。しかし一番の見所は内田魯庵氏による「梗概」。エピソードの丹念な拾い方といい、カタカナの多い躍動感ある文体といい、格調高さと軽妙さが絶妙なハーモニーをかもし出す会話文といい、立派に一個の小説たりえている。さすがに京物語と対管領戦は、エピソードの存在意義を評価しつつも〈語るに容易でないから〉とごく短くまとめているが。さらに「八犬伝談余」「八犬伝年表」「八犬伝人物一覧」など収録。クオリティーの高さに驚愕&大満足。

 

小池藤五郎校訂『南総里見八犬伝』 全十巻(岩波書店、@A1984B〜I1985(文庫版は全巻1990年)

 『八犬伝』原文としては、おそらくもっとも知名度・普及度が高い。『八犬伝』や馬琴に関する論文でも〈引用は岩波文庫版に基づく〉と書かれているものが多い。「文外の画、画中の文」の言葉どおり挿絵にも「隠微」を仕込む馬琴作品を研究する上では欠かせない序文・口絵・挿絵などすべて収録されているのがありがたい。ハードカバーと文庫版とがあり、文庫版は2001年にボックス入り十巻セットで復刻されたのでまだ比較的手に入りやすいものと思われる。

 

 

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