八犬伝の元ネタ(?)たち

 

・作家、作品、出版社、発行年、ジャンル、紹介の順に記載。短編や、全集に拠ったものは、各紹介文末に収録元を載せた。

・ネタバレはなるべく少なくするようにしているが、予備知識一切なしで読みたいという方は「関連書籍(事務的羅列)」の方をご覧いただきたい。

・作品名でアイウエオ順。


沈起鳳(しんきほう)『諧鐸』  小説

 乾隆五十六年(1791年)初版とされる諷刺色の強いオカルト短編小説集。「八雲・馬琴・『諧鐸』」は、第一編の「虎の恋」(原題「虎癡」)が伏姫物語に似たストーリーを持つことを指摘している。この論文では可能性の示唆にとどめられているが、仇を倒したのが虎と知って娘の母親が娘を差し出す約束を破ろうとするのを、娘が自ら虎を受け入れ、しかし身は許さぬ部分、虎が娘を慕う描写などたしかによく似ている。

前野直彬訳『中国古典文学大系 第42巻 閲微草堂筆記 子不語 述異記 秋燈叢話 諧鐸 耳食録』(平凡社、1971年)

 

『唐物語』  古典文学

 1165年頃成立。唐土の説話二十七話を和風味に手を入れたもの。藤原成範編とされる。中の一話「雪々(せつせつ)」は良家の娘とその乳母子の娘が結婚を嫌って深山で隠遁生活を送るうち、乳母子の方が庵に日々遊びに来る斑犬とできてしまうという内容。犬などの獣と人間の娘が契りを結ぶ説話はほかにもあるが、犬が斑をもっていること、親が娘を訪ねて山へ来るところなど、『日本幻想文学史』がいうように『八犬伝』に影響を与えた可能性がある。

須永朝彦編訳『日本古典文学幻想コレクションT 奇談』(国書刊行会、1995年)

追記−小林保治全訳注『唐物語』(講談社学術文庫、2003年)−「第二十七 深山に遁れたる都の娘、犬と契る語」(=「雪々」)の〈評説〉で「犬を夫として山中に住む女の話」の例として『八犬伝』第十回をあげている。

 

井原西鶴『好色五人女』   日本古典文学

 貞享三年春刊行。実際にあった5つの恋愛スキャンダルを中編小説に仕立てたもの。巻四の八百屋お七の物語は、火事の際身を寄せた寺で出会った若衆・吉三郎と恋に落ち、彼に会いたさで放火の罪を犯したお七という娘の事件を扱う。『幕末維新の文人と志士たち』は、お七が吉三郎のもとに忍んでゆくシーンの描き方が〈浜路くどき〉に影響していると説くが、お七の緊張と必死の決意の描写が確かに似ている。

麻生磯次他校注『日本古典文学大系 47 西鶴集 上』(岩波書店、1957年)

 

曹雪芹(そうせつきん)『紅楼夢』   中国古典文学

 〈女〓(カ)氏に見捨てられた一個の石が二人の仙師の幻術によって美しい玉に変じ、さらに人間界に生まれかわって体験したもろもろを再び天界の石に返ってから語った〉という前ふりのもと、仙童・神瑛使者の生まれ変わりである賈宝玉とその一族ゆかりの美女・美少女らが繰り広げる愛憎劇へと移ってゆく。宝玉が生まれたとき文字の刻まれた玉(通霊宝玉)を口に含んでいたこと、宝玉と想い合う薛宝釵がやはり八文字が刻まれた首環をしているあたりがちょっと『八犬伝』的。曹雪芹自身の家の没落をモデルにしているといわれる。作者の病死により第八十回で中絶。後の四十回は曹雪芹の構想に基づき高蘭墅(こうらんしょ)が書いたとされるが、前八十回と矛盾点多し。

曹雪芹作・松枝茂夫訳『紅楼夢』(岩波文庫、@1972ABC1973DE1974F1975G1977H1978I1979J1980K1985)

参考:井波律子『トリックスター群像−中国古典小説の世界』(筑摩書房、2007年)

 

『今昔物語集』   日本古典文学

 平安時代に成立。先行するさまざまな説話集を下敷きにした仏教説話集で、「天竺」(インド)、「震旦」(中国)、「本朝」(日本)の三部から構成。怪異譚を中心とする短い物語によって、因果応報などの仏教の教理を説く。芥川龍之介の初期作品など後世の文藝作品の元ネタにも多く利用されている。「巻第二十九」に偽一角が雛衣の心臓の血と胎児を薬に求める話の元ネタと明言されている平貞盛の物語が載っている。また「巻第二十六」には鷲に攫われた幼女のエピソードあり。

『日本古典文学大系22 今昔物語集 一』(岩波書店、1959年)

『日本古典文学大系23 今昔物語集 二』(岩波書店、1960年)

『日本古典文学大系24 今昔物語集 三』(岩波書店、1961年)

『日本古典文学大系24 今昔物語集 四』(岩波書店、1962年)

『日本古典文学大系25 今昔物語集 五』(岩波書店、1963年)

 

呉承恩(ごしょうおん)『西遊記』  中国古典文学

 中国四大奇書の一つ。唐の高僧・玄奘(三蔵法師)の取経の旅という史実を大胆脚色。三蔵法師とその弟子となった猿の妖怪・孫悟空、豚の猪八戒、河童の沙悟浄の計四名が、三蔵の清浄な気に引かれて寄ってくる妖怪たちを蹴散らしながら天竺を目指す冒険活劇。おバカな師匠にひたすら尽くす悟空の純情にもらい泣き必至?この作品が『八犬伝』に与えた影響については『里見八犬伝の世界』に詳しい。ちなみに毛野や親兵衛のモデルになったといわれる『封神演義』メインキャラ・〓〓(なた)太子は『西遊記』にも登場しているが、ここではその重要なモデル要素(異常生誕)は描かれていない。

『西遊記』全十巻(岩波文庫、@1977A1978B1980C1986D1988E1990F1993G1995H1997I1998、@〜B小野忍訳、C〜I中野美代子訳)

 

四世鶴屋南北(つるやなんぼく)『桜姫東文章』(さくらひめあずまぶんしょう)  戯曲

 文化十四年河原崎座にて初演。「清玄桜姫」ものの中でも最も著名な作品の一つ。長谷寺の僧・清玄と相承院の稚児・白菊丸が、男色の恋のため心中をはかるも、清玄のみ臆病心から死に損ない、十七年ののち白菊丸の生まれ変わり・桜姫とめぐりあう。清玄は桜姫に懸想し彼女を追いまわすが、姫は一夜の恋によって子まで成し、後に思いがけず再会したならず者・釣鐘の権助を一途に慕っていた・・・。桜姫が生まれつき左手をにぎったままで、ために不具よばわりされたこと、清玄の祈祷によって初めて左手を開き、そこから白菊丸が心中の折握っていた香箱の蓋が表れるあたりが、古那屋の場で親兵衛がはじめて左手を開くくだりにそっくりである。手になにかしら握って生まれてくる話は、聖徳太子の伝承をはじめあちこちで聞かれるが、手を開くにあたって僧が立ち会うところまで共通するのは珍しい。『八犬伝』の執筆開始は文化十一年だが、古那屋の場を含む第四輯は文政三年の出板なので、ディテール面で馬琴が『東文章』をモデルにした可能性はあると思うのだが、どうだろうか。 

戸板康二他監修『名作歌舞伎全集 第9巻 鶴屋南北集一』(東京創元社、1969年)←1967年に国立劇場で上演された際の台本を収録。しかし内容はほぼ原作どおりとのこと。

 

山東京伝(さんとうきょうでん)『桜姫全伝曙草紙(さくらひめぜんでんあけぼのさうし)』(文化二年十二月発行、画工 一陽斎豊国(初代歌川豊国)) 読本

 大江文坡の仏教説話『勧善桜姫伝』を粉本とする桜姫・清玄もの(歌舞伎の『桜姫東文章』などで有名)の読本。個人的に『八犬伝』に大きな影響を与えたのではないか、と考えている(「『八犬伝』と畜生道」参照。ここにあらすじも載せている)。京伝読本のヒット作であり、なかなか面白い。ちなみにこの読本を小説化したものに、谷恒生『神変桜姫』上中下巻(角川書店、1988年)がある。いろんな意味で『新・里見八犬伝』を彷彿とさせる。同じ角川だし。

参考:神保五彌、杉浦日向子『新潮古典文学アルバム24 江戸戯作』(新潮社、1981年)

 

羅貫中(らかんちゅう)編『三国志演義』    中国古典文学

 中国の四大奇書の一つ。『三国演義』とも。後漢末期の黄巾の乱から魏・蜀・呉の三国時代を経て晋による中国統一までを、蜀の視点から史実をふまえて(講談や芝居として民間に流布していた伝承を、正史によって誤りを正した)描く。現代でも本家中国のみならず日本でも根強い人気を誇る。『八犬伝』は『演義』のエピソードを多く取り入れている。『白龍亭』の「八犬伝と三国演義」に具体的かつ精細なデータあり。

羅貫中作・立間祥介訳『三国志演義』全八巻(徳間文庫、1983年)

 

聚水庵北壷游『湘中八雄伝』(明和五年発行、画工 富川房信) 読本

 『水滸伝』を下じきに、北斗七星+補星の生まれ変わりである八人の勇士が、破軍星の化身・朝比奈義秀を筆頭に集結、悪と戦う冒険活劇。『本朝水滸伝』に六年先立つ『水滸伝』モチーフの読本の嚆矢。後編は刊行されなかったようで、梶原景時親子を倒したところで未完。八人が北斗星の化身というあたり、『日本水滸伝』とともに『八犬伝』に影響を与えていると思われる。

石川秀巳「翻刻 湘中八雄伝(前編)」『和洋国文研究 第24号』(和洋女子大学国文学会、1989年)

      「翻刻 湘中八雄伝(後編)」『和洋国文研究 第25号』(和洋女子大学国文学会、1990年)

参考:徳田武『「湘中八雄伝」の文学史的意義』(『近世文藝 研究と評論 第2号』(近世文藝研究と評論の会、1972年))

 

『水滸伝』    中国古典文学

 中国の四大奇書の一つ。徽宗皇帝時代の宋で起きた宋江たち三十六人による反乱をモデルとする民間説話を取捨しまとめられた。明の初期に成立。編者は施耐庵または羅貫中(『三国志演義』の編者)といわれる。伏魔殿の封印が破られたため現世に放たれた魔星の生まれ変わりである百八人の豪傑が梁山泊に集結、悪の権力に立ち向かう。言わずと知れた『八犬伝』の元ネタだが、しばしば無辜の人をも平気で殺しまくるあたりに、「仁義八行」を前面に出す『八犬伝』にはないプリミティブなパワーが感じられる。百八人集結で終わる七十回本、田虎、王慶との戦いが描かれない百回本、完全版といえる百二十回本がある。『白龍亭』の「八犬伝と水滸伝」の項に、『水滸伝』と『八犬伝』の類似エピソードの詳細な比較がある。

駒田信二訳『水滸伝』上中下巻(平凡社、1972年)

 

山東京伝『先時怪談 花芳野犬斑(せんじくはいだんはなはみよしのいぬはぶち)』(寛政二年発行、画工 北尾政演(山東京伝))  草双紙

 『近世狂言綺語列伝』で〈知られざる『八犬伝』の元ネタ〉と指摘されていた本。狗国の男(犬)と女(人)の心中によって二つの魂が日本に飛んで行く冒頭シーンからして『八犬伝』である。他にも「牡丹のあざ」、「止水の面影」、伏姫切腹=犬士誕生などの原型がうかがえる。千住村で猛犬がはびこり、これを射殺した実際の事件がモデルらしい。

『山東京伝全集第二巻 黄表紙2』(ぺりかん社、1993年)

 

干宝(かんぽう)『捜神記』  中国古典文学

 中国・六朝時代に流行した志怪小説(オカルティックな伝承や噂話を記録したもの)のうちでも特に有名なものの一つ。全二十巻四百六十四の短編から成る。うちの350話目「馬の恋」は、娘が遠方にいる父に会いたさに飼い馬に「父を連れてくればお嫁になる」と発言、馬が本当に父を連れ帰り約束の履行をせまる、という筋で、伏姫物語のモデルの一つと言われている。他の話も『八犬伝』に直接間接に影響してるかな?と思われるエピソードがちらほら。

『平凡社ライブラリー322 捜神記』(平凡社、2000年)

 

『太平記』    古典文学

 十四世紀後半に成立。作者は小島法師とも言われるが未詳。南北朝の動乱を史実に基づき描写した軍記物語。「巻二十二」中の「畑六郎左衛門事」は、武芸百般に優れた勇士・畑時能の事跡を描くが、時能の忠犬・犬獅子が主のため見せる豪勇ぶりを説明するのに、戎国の造反に手をやいた周王が飼犬に「戎王をくい殺せば後宮の女を嫁にしてやる」と戯言をもらしたら、本当に戎王の首をとってきたのでやむなく女を一人与えた、というエピソードを引き合いに出している。槃瓠説話の変形のような話だが、『八犬伝の世界』は「犬獅子」という名などを根拠に、〈馬琴は槃瓠説話のみならず、『太平記』のこの箇所も伏姫物語のモデルとして取り込んだはずであると指摘する。

後藤丹治他校注『日本古典文学大系34 太平記 一』(岩波書店、1960年)

          『日本古典文学大系35 太平記 二』(岩波書店、1961年)←「畑六郎左衛門事」を収録。

          『日本古典文学大系36 太平記 三』(岩波書店、1962年)

 

『竹取物語』       古典小説

 日本最古の小説といわれる物語。一般におとぎ話『かぐや姫』として知られる。竹から生まれた絶世の美女・かぐや姫が求愛してきた男たちに無理難題をふっかける前半部、帝の求愛をも拒絶し故郷である月に帰ってゆく後半部からなる。竹取の翁が姫を拾い大事に養育するあたりの展開や不死の霊薬の存在などが『八犬伝』に影響を与えたと指摘されている。

阪倉篤義他校注『日本古典文学大系9 竹取物語 伊勢物語 大和物語』(岩波書店、1957年)

 

高井蘭山他『唐詩選画本』(初篇 天明八年、二篇 寛政二年、三篇 寛政三年、四篇 寛政五年、五篇 天保三年、六篇 天保四年、七篇 天保七年)  ?

 『唐詩選』(明の古文辞派のリーダー・李攀龍による唐詩集『古今詩〓』から明末の書肆が440余首を抄出し、数首を加えて465首としたもの)の絵入略解書。うち六、七篇は北斎が絵を描いている。『にせ物語絵』が指摘するように、「幸蜀西至剣門(蜀に幸して西のかた剣門に至る)」の絵や「行経華陰(行いて華陰を経たり)」の絵は、それぞれ玉梓処刑、初輯口絵の鯉に乗る義実を彷彿とさせ、『八犬伝』挿絵への影響は確かだと思われる。

永田生慈(ながたせいじ)『北斎の絵本挿絵 二』(岩崎美術社、1987年)←六、七篇のみ収録。

 

『冨士山の本地』(延宝八年庚申吉日発行、 画工 菱川師宣)  ?

 『里見八犬伝の世界』が『八犬伝』の重要なモデルの一つだと指摘した作品。まず日本神話の天地開闢を述べ、富士山の誕生のさまと詳しい外観、富士を詠んだ歌の紹介などを経て、北天竺・きう中国のりんゐ王の娘金色皇女が継母のために殺されかけ、あげくに山に捨てられるが、亡き母の霊?によって自分が大日如来の化身だと知り、衆生済度のために身を殺す決心をする・・・。こう書いてみるとたしかに金色皇女の設定は伏姫を思わせる。ただこの翻刻の惜しいところは、ストーリー以上に『八犬伝』にダイレクトな影響を与えたとおぼしい挿絵が総カットされていること。挿絵もぜひ見たかった。

横山重・松本隆信編『室町時代物語大成 第十一』 (角川書店、1983年)

 

馮夢竜(ふうむりゅう)『平妖伝』    中国古典小説

 早ければ宋代、遅くとも元代には講釈師によって語りつがれていた物語が明代に小説として成立。羅貫中による二十回本(『三遂平妖伝』)と、それを増訂した馮夢竜による四十回本(『北宋三遂平妖伝』)があり、四十回本の方が著名。内容は、老いた妖狐・聖姑姑は天后(武則天娘娘)から謎の十六文字を授かり、さらに蛋子和尚との出会いによって九天秘法を得る。かくて聖姑姑とその息子・胡〓児、娘の胡媚児(胡永児)らは妖力をもってさまざまの事件を巻き起こしてゆくことに・・・。媚児をはじめメインキャラがいたずら心から事件を起こしたり解決したりする過程が面白い。北宋の仁宗帝のときに貝州で王則が妖人たちとともに反乱を起こした史実に基づいている。どう『八犬伝』に影響を与えたかについては『『八犬伝』と『平妖伝』』を参照。

太田辰夫訳『中国古典文学大系 36 平妖伝』(平凡社、1967年)←巻末に馬琴の『三遂平妖伝国字評(抄)』を載せる。

追記−『新・里見八犬伝』『神変桜姫』みたいな小説版がありゃしないかと探してみたら、案の定『新・平妖伝』という小説がありました。とはいえエロ要素は少なめ。前半は蛋子和尚、後半は王則(どちらもまだ青年)を中心に、若者の熱い志と純愛、運命への挑戦を、オリジナルキャラや当時の世相・技術とからめて描いている。キャラクターの性格付けが爽やかで楽しく読める。かなりおすすめ。

 

『封神演義』   中国古典文学

 『水滸伝』『三国志演義』『西遊記』とならぶ中国の四大奇書の一つ。他の三つに比べて日本での知名度はいたって低かったが、近年安能務氏の訳本が出たのをきっかけにブームを巻き起こし、コミック化、アニメ化もされる人気作品となった。人界・仙界で仙人くずれが増加してるのを難じた天界は、折から起こった易姓革命を利用して彼らをひとたび殺害し、神界に封じることを決定。かくて封神の密命を受けた姜子牙(太公望)を軍師とする西岐(周)軍と商の軍の妖術入れ乱れる世紀の戦いが幕をあける。紂王の悪行も大勢の死者を出した戦いも、結局は天界の面々の都合なわけだから結構ヒドイ話(笑)。これも天命てか。『白龍亭』の「八犬伝と封神演義(?)」の項に『八犬伝』の類似エピソードとの比較あり。

許仲琳編『封神演義』全七巻(光栄、1998年)←1995年に同社から出版された『完訳封神演義』を再構成したもの。

安能務訳『封神演義』(講談社文庫、上中巻1988年、下巻1989年) 意訳

 

中村国香『房総志料』(宝暦十一年成立)  地誌

 『八犬伝』での里見家・安房関連の描写の参考文献として名高い房総の地誌。上総夷隅郡長者町に暮らす筆者が、上総・安房を遊歴し故郷へ帰るまでの道筋にしたがって、土地の名所旧跡や伝承などを、里見記・里見軍記・義経記その他先行資料と引きくらべながら紹介したもの。

『改訂房総叢書 第三輯 史伝(三)地誌(一)』(改訂房総叢書刊行会、1959年)

 

槙島昭武(まきしまてるたけ)(駒谷散人)編・序『和漢音釈書言字考節用集』  節用集(辞書)

 外題「増補 合類大節用集」。享保二年一月刊(序は元禄十一年)。「数量門」部の「八」に「里見八犬士」の項がある(里見の十代当主忠義に殉じた八賢士がモデルだが、「犬山道節」以下犬づくしのネーミングは槙島昭武のオリジナルであろう)。『八犬伝』肇輯の真名序(?)にも「槙氏字考」の文字があり、『八犬伝』の元ネタの一つとして有名。この「里見八犬士」の項については『真相里見八犬伝』があとがきでふれているほか、『八犬伝の世界』もコピーを収録し、説明を加えている。

『節用集大系 第82巻』(大空社、1995年)←「書言字考」の後半を収録。前半部分は81巻に収録。

 

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