おしゃべりボックス
視覚障害者と音楽 その6   ミケ


 皆さん、こんにちは。
もう、そろそろ夏も終わりと言うのでしょうが、蒸し暑い日が続いて我慢の限界だと言う人も多いのではないのでしょうか。早く涼しくて、爽やかな秋が待たれる頃ですね!
 秋と言えば芸術の秋、スポーツの秋、読書の秋、食欲の秋等々いろいろと言われますが皆様はどの秋でしょうか。
 私は何といっても芸術の秋です。
それも音楽を何よりも好む方です。
視覚障害者の皆様も音楽の愛好家が多いのではないのでしょうか。
私の場合はもっとジャンルをしぼりますと何と言ってもジャズピアノが大好きです。
 さて、この連載の「視覚障害者と音楽」も6回目となりましたが、読み返して見るとダジャレと音楽理論がウエイトを占めてしまって視覚障害者から少し離れてきつつあることに気が付きました。
ここで少し軌道修正したいと思います。
 その前に前回の回答を書いておきます。
 「グリーン・スリーヴス」のモードでしたね!
 答は「E ドリア・モードです。ちょっと専門すぎたかなと反省しています。
 さて、今回は爽やかな秋に向けて視覚障害者のジャズピアニストをご紹介しましょう。
同時に秋の夜長に最適な彼の名曲も同時に聞いていただければと思います。
 彼の名前は「ジョージ・シアリング(George Shearing)」です。
読者の皆さんの中にもご存知の方もおられるでしょうね。
彼は世界的に有名な「クウル・ジャズ」と呼ばれるジャンルのピアニストの第一人者です。
 まず、簡単にその生い立ちからたどっていきましょう。
 ジョージ・シアリングは1919年8月13日ロンドンに生まれました。
彼は先天盲の視覚障害者で、盲学校でクラシックピアノを習いました。
 しかし、それらの音楽に飽き足らず、「ファッツ・ワーラー」や「テディ・ウィルソン」等のレコードを聴くようになり、それらをコピーし、勉強してジャズピアニストに転向しました。
 それからの彼は持ち前のセンスと才能でぐんぐん上達して、クラブで演奏できるほどの腕前となり、周囲の者も舌を巻くほどになりました。
その結果、1946年ごろにはイギリスでナンバーワンのジャズピアニストとして折り紙をつけられるほどに人気が高まったのです。
 彼はそれに自信を得てジャズのメッカであるアメリカのニューヨークに渡る決心をしました。
それは、1940年代の後半でありましたが、ロンドンからニューヨークに移り住むと同時に、ジョージ・シアリングはひとつの大きな壁にぶちあたらざるを得なかったのです。
 なぜなら、ニューヨークは世界中から超一流の芸術家のるつぼであり、視覚障害者が少しくらいピアノが上手だからと言って認めてくれるような世界ではなかったのです。
 では、どうすればこのニューヨークで世界の超一流のジャズミュージシャンに認めさせればよいのだろうかと、かれは悩みに悩みました。
 それは「あまたのジャズ・ピアニストたちの中でいかに自分を主張するか」ということでありますが、その方法が見つからなかったのです。
 つまり、ジョージ・シアリングのサウンドはこれだという、人まねではない独創的なサウンドの発明が求められるのでありました。
 その結果、ついにそのサウンドの完成を見たのであります。
それは、ビブラフォンとギター、ピアノという個性的な編成により今までなかったような音色をかもしだすことに成功しえたのです。
 そこで、ジョージ・シアリング クインテットの結成に発展していきました。
そのサウンドは世界中に波紋を呼び、人々はその彼のサウンドをクールジャズとして絶賛するようになりました。
 さらに、人々は彼のピアノを「彼の叙情的なピアノはバップやラテンの要素を取り入れクラシカルなタッチのスウィングと組み合わされていた」と表現しています。
 さて、1950年代の初め頃のニューヨークにはたくさんのジャズハウスがありました。
そこではジャズの生演奏を聞きながらお客は飲食も楽しめるといったジャズスポットでした。
 その側面には、ジャズミュージシャンの腕試しの場でもあり、新しいジャズ音楽の実験場でもありました。
そこから有名なミュージシャンを多数輩出し、ジャズの理論的な研究も盛んになされていました。
 その中でもニューヨークのマンハッタンにあるジャズ・クラブ「バードランド」は特に人気を集めていました。
その名物ピアニストが「ジョージ・シアリング」でした。
そのお店の閉店の時に演奏される曲が「バードランドの子守唄(Lullaby Of Birdland)」でした。
 この曲の旋律とハーモニーは、哀愁と澄み切った透明感でまさにクールジャズとはこれかなっと筆者をうならせます。1952年にジョージ・シアリング自身の作曲によるものでこの曲が流れてくると店の客はそのムードに浸って納得して帰途につくのでしょう。
 それから、彼の演奏が終わると彼の足元に控えていた、盲導犬が納得したように立ち上がって彼を手引きして舞台のそでに去って行くのです。
ひょっとすると、彼の演奏の最大の理解者は、彼の盲導犬だったかも知れませんね!
 皆さんも秋の夜長に、彼の盲導犬になったつもりで、この「バードランドの子守唄」を聞いて見るのも一興ではないでしょうか。
 レコードか彼の公式ホームページを覗いてみてください。
ちなみに、少し音質は落ちますが手軽に聞けるMIDIデータのURLを書いておきます。
 バードランドの子守唄(Lullaby Of Birdland)
 http://www.soundpie.com/annex/jazz/go-round/lullaby2.htm

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