魂っぽい
師であった詩人の宗左近先生が 生前私のことをこう言われた 魂っぽい と 熊野権現の巫女だった と 私が紀州生まれだから 思いこみでそうおっしゃったのか それとも霊視でもしなさったか いまとなってはお聞きするのも叶わないが 魂っぽいと言われた時はうれしかった なんだか偉くなった気がして だが一方では煙に巻かれた気もしないではなかった 私はいまだに自分がなにものなのか分かってはいないのだ 果して 魂っぽいのか 人間ぽいのか 嘘っぽいのか 本当ぽいのか 生きているのか 死んでいるのか 現象なのか 存在なのか 彼岸花 彼岸花が 咲いている 血のように 殺め 殺められた 血みどろの手が いま静かに発光している 私は見つめる 赤い闇を 死者たちの物語を なんだか分かんねえ バスん中から外みっとよう 松ん木んてっぺんに カラスがとまってんだよ つんだまって どこ見てっか分かんねえ顔して 八咫がらすでもあるめえし めでてんか めでてくねえんか バスん中みっとよう しっかと人ん形して 木が座ってんだよ どん木にも どん木にも わるげねえような顔してよう 死がとまってるだ 生きるって めでてえんか めでてくねえんか オラなんだか分かんねえ |