突出断念の巻

平成11年6月15日(火) 曇のち晴れ

0640起床。寝坊してしもうた。早う、出発準備せんと。世話になりし宿のおじさんに礼を申し、0715出発。

国道4号線を一路北上す。朝の天気は、曇で気温も高くなく、快適な歩みを進める。

4号線を進むと、農林水産省の農業関連施設の深い森林地帯を通過する。

途中の岩手牧場付近の気温計では、現在の気温21℃(0830現在)を表示していた。

歩くのに一番良い気温である。気持ち良く歩を進める。しかし、まもなくお天道様と共に気温の上昇が。

気温の上昇と共に発汗が激しくなる。今日は、いったいどれ位気温が上昇するんじゃろう。

かすかな慰めは、微妙な火山活動を行っている、雄大な岩手山を眺めながら歩めること位じゃろう。

               

                                      <岩手山>

しばし歩くと、石川啄木の故郷玉山村渋民に入る。

“働けど働けど、猶わが暮らし楽にならず・・・”と詠った啄木である。

されば、わが胸中は、“歩けども歩けども、猶わが素身楽にならず”である。

気温の上昇と共に、我が気合は最高潮に達し、猪突猛進状態に突入した。

自分でも驚くようなハイペースで歩んでいる。これこそまさに、我が望む所の狂の状態じゃ。

これでは、本日の目的地としている岩手町沼宮内には、早々に到達してしまうじゃろう。

盛岡から30数km。1500過ぎには、沼宮内に到着。

はて、日没まで4時間余。更に突出すべきか。果たしてこの先に宿は確保できるか。

公衆電話に駆け込み、タウンページで調査開始。ん〜、この先20km余は、宿は無さそうじゃのう。

20km歩むには、最低でも5時間は必要じゃ。とうに日は暮れてしまうわ。

こんな時は、現地人に聞くのが一番。さてと、最寄のJR沼宮内駅でも訪ねるかのう。

沼宮内駅の駅長さんに事情を話すと、これまた、仕事そっちのけで調べてくれた。

10km余先の奥中山駅に電話を入れてくれ、4号線沿いの周辺に宿が無いのを確認。

今日は諦めて、沼宮内に泊まりなさいと忠告してくれた。

おまけに、こことここに宿があるので訪ねなさいと、宿まで紹介してもらった。

いくら暇(大変失礼)とは言え、ここまでしてくれるとは、感謝感激である。

駅長殿に謝辞を述べ、教えられた宿に。今までで一番早く宿に到着してしもうた。

早速、風呂を頂き、夕食を頂いていると、地元の土建屋のおっちゃんと息投合。

葛巻町産のワインを飲ませて頂き、さて今夜も大変じゃのうと思いきや、おっちゃん突然の電話で帰ってしもうた。

ああ、残念やら助かったやらで、部屋に逃げ帰る。

本日は、余力を残しながらの突出断念に、無念の思い断腸であるが、致し方なく早々に寝に付く。

本日までの真夏日と打って変わって、明日からは、いよいよ本格的な梅雨空がやってきそうじゃ。

覚悟せにゃ、ならんのう。

こうして、狂歩録第39日目は、余力満々で終了した。


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