快走?すずらん号の巻

平成11年7月10日(土) 晴れ

0800起床。久し振りの朝寝坊じゃ。本日は、ご褒美のSL“すずらん号”搭乗に付き、ゆっくり出来るわい。

洗顔後、予備知識の確保のため、国営放送の朝ドラを見ながら朝食を摂る。

いつもこの時間は、既に歩行中のため、見ることなどできん。ほーほー、なんか悲しい物語じゃのう。

今日の筋書きは、よりによってヒロインの旦那の戦死通告かい。悲しくて、涙がこぼれそうじゃ。

すずらん号は、1429に留萌駅出発じゃ。それまで、だいぶ時間があるのう。どないしよ。

留萌市内でも、見物するかのう。宿に荷物を預け、昨日行った観光案内所へ、再び赴く。

お〜、無料で自転車貸してくれるんじゃ。こりゃ、ええ。早速チャリンコに跨り、昨日夕日を見た黄金岬に行く。

昨日の幻想的な表情とは、打って変わった雲一つない快晴の下に、紺碧の海が広がっていた。

             

                                  <黄金岬>

爽やかな風も流れて、日差しは強いが、一向に暑さを感じん。蝦夷地の一番良い季節じゃのう。

黄金岬を後にし、留萌港に向かう。港に向かう途中で、露西亜人が多数歩いていた。

これで、根室・稚内に続いて露助殿を目撃した。

留萌港到着。釣りを楽しむ人々が、所狭しと岸壁を陣取っていた。わしも釣りしたいのう。

         <留萌港>  

釣っている魚は、チカと言う小魚で、形はワカサギに似ていた。皆さん、バケツ一杯釣っていた。

そろそろ、時間つぶしもできたし、宿に戻って荷物を取り、駅に向かうとするか。

時間よりだいぶ早いが、留萌駅にはSL目当ての人々が集まっていた。あ〜、わしも楽しみじゃのう。

このわしも、小学生の低学年までは、例に漏れず鉄道少年じゃった。

しかし、蒸気機関車(SL)だけは引退していて、わしには無縁じゃった。

深川駅を発したSLが、留萌駅に刻々と近付きつつあった。なんか、わくわくするのう。

1310過ぎに、SL“すずらん号“は、遂にその英姿を現わした。

       <すずらん号到着> 

黒煙を噴き上げ、5両の濃茶色の客車を従えながら、ゆっくりとすずらん号は留萌駅に到着した。

その重厚且つ、なだらかなシルエットは美しかった。おもわず童心に戻って、子供達と共にうろうろしてしまった。

                 

すずらん号は、面白い事に深川までは、後ろ向きで客車を引っ張って行く。奇妙な光景じゃ。

留萌駅には、機関車を回転させる装置が無いためじゃ。これもまた、面白い趣向じゃのう。

      <逆向きで、出発進行> 

出発時間が近付いて客車に乗りこむ。座席は、1号車の17番C。車内は、ほぼ満員に近い。

こんなに人気があるのを、よく席が取れたもんじゃ。

いよいよ出発〜。甲高い汽笛と同時に、すずらん号はゆっくりと動き出した。

黒煙が、窓の外をゆっくりと流れて行く。ああ、蒸気機関車に乗っているんだ。実感が湧く。

1つ目の駅、藤山で一休憩(扉は、開かない)。ここで、汽笛の合唱が、スピーカーを通して車内にこだました。

車窓の外は、緑深い林。しばし進むと、峠下駅に到着。ここでは、最大の難所“美馬牛峠”を越える準備をする。

SLは、蒸気を上げ力を蓄える。5分間、ゆっくりと蒸気を蓄えたSLは、峠に向かって出発した。

苦しみながら、懸命に峠を登っているのがわかる。その速度は、遅々としてカタツムリの歩みのようじゃった。

ようやく峠を越えると、恵比島(明日萌)駅に到着。ここは、朝ドラのロケ地。10数分間の停車時間がある。

駅に降り立つと、ものすごい人の数じゃった。さすが国営放送は、凄い動員数じゃのう。

         <明日萌駅> 

この地には、ロケで使った様々な建物が並び、それに呼応した便乗商店が所狭しと林立していた。

明日萌駅を出発後、旅程は平坦な田園地帯となった。おう、久し振りに見る水田じゃ。これぞ、日本の原風景じゃ。

すずらん号の速度は、ゆるゆるとして、とても快走とは言えなかった。

脇を走る自動車には、ビュンビュン追い抜かされてしまった。こんな光景は、中々見れませんな。

それでも、この愛すべきすずらん号には、この速度が一番似合っちょるのう。速さは無縁じゃ。

楽しかった一時も、終わりに近付いた。徐々に速度を落としながら、深川駅に到着。

荷を背負い、客車から降り、すずらん号に別れを告げる。さようなら、ありがとう。

日はまだ高い。深川駅を出て、早速歩みを開始する。ここからは、石狩川に沿って、北の大都市札幌を目指す。

国道12号線“中央国道”に達して、ビックリした。今までとは違う、ものすごい交通量じゃ。空気も悪い。

さすが、札幌と旭川を結ぶ大動脈。12号線は、広大な水田地帯を抜けて、南へ続いていた。

            

                              <田園地帯>

滝川を通過した時に、日が沈んだ。しかし、今までとは違い、道程には電灯が輝いていた。

こりゃ、涼しいし、安全に進めるわ。それに明日は、天気が悪いようじゃし、少しでも札幌に近付こう。

念のため、電話ボックスで、この先にお宿があるか確かめる。

時間的にも、砂川か奈井江か美唄辺りで、今夜は泊まろう。確認すると奈井江には宿がある。

早速電話し、宿を確保する。多少遅くなることを告げ、更に歩を進める。

奈井江の市街に入り、2110宿着。今日は、ほとんど歩いていないので、疲れも無い。

日が暮れてから歩くのも、中々快適じゃ。涼しいしのう。これで、明日には札幌に達する事が出来るじゃろう。

天気が心配じゃが、なんとかなるじゃろう。

こうして、ご褒美頂戴の狂歩録第64日目は、終了。


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