平成11年8月5日(木) 曇のち晴れ
0600起床。あれ、外が薄暗いのう。お空は、雲が掛かっちょる。こりゃ、助かるのう。0700出発。
直江津市街の狭い旧道を通っている時も、久々に大汗をかいていないわ。本当に雲様の存在は、ありがたいのう。
こいつは、順調に歩を進められるわ。海も昨日までの表情とは違い、灰色に覆われちょる。
<郷津浜>
旧道から国道8号線に入り、海岸線を進む。直射日光が降り注いで来ないので、日陰を捜さずに進めるわい。
8号線を進み、谷浜海水浴場を抜け、歩道が無くなったのと同時に久比岐(くびき)自転車歩行者道が出現。
こりゃ、助かるのう。8号線は、信号も少ないし大型車も多いので、このまま進んでいたら危険じゃった。
久比岐自転車歩行者道(以下、久比岐自歩道)に入り安全に進んでいると、目前にトンネル出現。
トンネル内からは、冷風が吹き出して来ていた。ん〜まっこと、心地ええのう。
<長浜トンネル/467m>
更にトンネル内は、寒さを感じるほどの涼しさじゃ。それにしても、古いトンネルじゃのう。いったい何者じゃ。
久比岐自歩道は、こうしたトンネルが糸魚川市まで続く。以下、トンネルの数々。
青木坂トンネル/321m、乳母岳トンネル/467m、大抜トンネル/391m、百川トンネル/161m
小泊トンネル/326m、白山トンネル/336m
古いトンネルなので、いくら手入れをしているとは言え、通過するのは、けっこう不気味じゃ。
その中でも乳母岳トンネルは、特に不気味じゃった。昼なお暗い、深々と生い茂る木々の中に口を広げていた。
おまけに、トンネル内から不気味な風の音が聞こえていた。
<乳母岳トンネル> 
トンネル内は暗く、且つ水が滴り落ちる音、そして外気との温度差で霧が掛かって不気味な状態じゃ。
こいつは、歌(軍歌)でも歌って意気を高揚じゃ。(トンネル内に他人がいたら、この軍歌に驚いたじゃろう)
そんなこんなで、久比岐自歩道のトンネルを抜けながら、枯れかけた滝も発見しながら快適に歩を進める。。
天気は、相変わらずの曇りで気温も高くない。名立では、1010現在、27℃。快適じゃ。

<滝> <曇天の日本海>
30℃以下の進撃は、久し振りじゃのう。順調に歩を進め、名立の港町に入ると・・・
遠くから手招きしている老婆の姿が目に入った。なんじゃろう。わしに用かのう。
おばあちゃんは「待っていた」と言い、「とりあえず休んで行きなさい」と店内に誘った。(雑貨屋さんかのう)
訳も分からず付いて行き、話しを聞き、話しを整理してみると、おお、なるほどそう言う事か!
おばあちゃんの旦那(おじいちゃん)が老人会の草刈りに行く途中に、車からわしの姿を見たらしいんじゃ。
そこで、おばあちゃんにわしがそちらに向かっているので、休ませてあげなさいと電話をしたらしんじゃ。
なんとも親切なご仁もいるもんじゃ。おばあちゃんに注がれるまま、麦茶を1リットルほど飲み干した。
おばあちゃんは、セイさん(本名じゃ)。御歳81歳。まだまだ元気じゃのう。
おばあちゃんは、この辺りじゃ、中々有名人らしく、お釈迦様の団子のお守りを毎年1200個ほど作るらしい。
わしも、記念に2つほど頂いた。1つはザックに、もう1つはベストに装着じゃ。
<お守り>
近くのお寺でお釈迦様の亡くなった日に、米粉で作った団子を蒔くらしい。それを頂いて来て、糸で編んで作る。
近所の人は皆、おばあちゃんに作ってもらっている。山に入る人が、これを付けているとマムシ除けになるらしい。
それから、例の久比岐自歩道は、旧北陸本線の跡地を利用していると言うのも教えてもらった。
セイおばあちゃんと会話を楽しんだが、いつまでも長居は出来ん。そんじゃ、そろそろ行くべ。
出発しようとすると、おばあちゃんが昼飯にしなさいと、梅干入りのおにぎりを作ってくれた。
おばあちゃん、本当にありがとう。助かりますわ。(この辺、コンビニがまったく無い)

おにぎりをザックにしまい、店前でおばあちゃんと記念撮影。丁重に謝辞を述べ、再び歩を進める。
おばあちゃんとの別れの後、遂にお天道様が顔を出し始め、気温はいつも通りとなった。
西海に面している久比岐自歩道は、日陰も無く、午前中とは違い、苦闘の道程が始まった。
<久比岐自歩道>
それでも、なんとか日陰を見付け、セイおばあちゃん手作りのおにぎりを食し、気力充溢して糸魚川に向かう。
しばし歩み、能生町を過ぎて糸魚川市に入ると、北アルプスの山々が視界に入ってきた。
山頂付近に残雪を残し、天に突き刺さるようにそそり立つ山々の姿は感動的じゃ。
<北アルプスの山々>
北アルプスの山々を眺めながら、まもなくJR糸魚川駅に到着。観光案内所で宿を確保し、1815宿着。
風呂で汗を流し、洗濯をしていると、宿の窓から日本海に沈み行く夕日を堪能できた。美しいのう。
<夕日>
本日は、連日続いた酷暑から多少逃れる事が出来た、非常に貴重な一日じゃった。
それから、久し振りに掛け値無しの人の暖かさに触れられた一日じゃった。良い一日じゃったわい。
こうして、狂歩録第90日目は、終了す。