真夏に怪談・・というのは60年代から70年代にかけての定番であった。
この怪奇シリーズの発祥は、同じTBS系のアクションドラマ「ザ・ガードマン」(大映)だったと思われる。
真夏に、真冬に・・と怪談ものが企画され、都会的なムードとは裏腹のドロドロした人間の心理が怪しげな
姿に形を変え、鋭く描かれたものである。
このアクションものに怪談というアンバランスな企画は当時、好評を博した。
後の「シークレット部隊」、「夜明けの刑事」でも継承されていった。
土曜夜9時の「キイハンター」も、例外ではなかった。
この頃の「ザ・ガードマン」と「キイハンター」は、似通った部分を持ちつつ、切磋琢磨して各々のファン
層を広げて行ったが、「キイハンター」はどちらかというと、企画面でも「ザ・ガードマン」を意識して制作された
ような感じだった。
そんな一連のシリーズを継承した「Gメン75」であるが、夏の怪奇編も過去の作品同様、健在だった。
怪談とか怪奇編というと、妖怪や霊魂を素材にし、視聴者を脅かすものが主流であるが、「Gメン75」は
そんな素材も受け継いだ反面、今までとは一線を画する怪奇描写が上手かった。
    
霊魂を素材にした作品であっても、実際に起こった事例を引き合いに出し、創作であっても現実との接点を
求め、その中にうごめく被害者と加害者との深層心理を描写しようとした「肉体のない女が呼んでいる」。
理不尽な欲望の犠牲にされた老夫婦の無念さと、その真相を生きている者に何とかして訴えようとした
哀しい「怪談・死霊の棲む家」。
事件の真相を胸に秘めたまま、湖に身を投げた女。死体となった彼女がドラマの進行役を務め、真相を
語るが如く暴いて行く異色の展開。そして全てが明らかになった時、流れ落ちる涙が印象的だった
「エクソシスト殺人事件」。
非科学的な描写だけを強調するのではなく、人間の心理の奥深くにあるものを描ききろうとした手法は
見応えがあった。
後半の<81真夏の怪奇シリーズ>になると、若干のお遊び企画が加味され、怪奇シリーズと言っても
何が怪奇なのか?と面食らったものだったが、それは素材に怪奇さを求めた私が甘かったのであった。
本当の怖さは人間自信の深層心理にある・・とわかったのは「深夜放送に届いたバラバラ死体」を見て
からだった。人間の愛情は一つ間違えば、憎しみへと変わるという怖さだった。
どんな人間にも起こり得る怖さをも描写した一連のシリーズ。異色の怪奇シリーズとして記憶に残っている。
怪奇シリーズとは銘打たれていなくても、現実に起こり得る恐怖を描いた作品群は「嫁・姑・孫の戦い」など
数多く制作され、これらはGメンならではの面白さの一要因として今も記憶に留めている。
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