ドラゴンクエストX 天空の花嫁

タイトル画面
発売日 1992/9/27
発売元 エニックス
ジャンル RPG

どこからともなく ふしぎな声が聞こえる

「見てくださいあなた 子供たちのあの幸せそうな顔を

「ああ 見ているとも 彼らは 私たちのかなえられなかった夢をかなえてくれた さあ こっちへおいで

「はい あなた……

お勧め度★★★★★
思い入れ★★★★★
不幸度★★★★★


上記の台詞は、エンディングの最後に亡き父母が主人公の家族を見守り交わす言葉である。
私は当時(PS2のリメイク版でも)このシーンで不覚にも目頭を熱くしたものだ。

「最もドラマティックなドラクエ」との呼び声も高い(当社調べ) の本作であるが、そのドラマ性の多くを担っているのが主人公の過酷で不幸な人生である。
ちなみに、それまでのドラクエとは違い主人公は勇者ですら無いことに、当時多くのプレイヤーが 戸惑いを覚えた事であろう。
以下に簡単ではあるが、主人公の経歴を作成してみよう。(表1)

ドラクエ5の主人公の経歴(表1)
0 グランバニア王パパスと正妃マーサの第一子として生まれる。
同日、魔族にマーサが誘拐される
?〜5 父パパス・従者サンチョと共に(幼い当人にも)身分を隠しマーサを探す当ても無い旅に出る。
6 滞在先の宿屋の娘ビアンカ(8歳)と共にレヌール城のお化けを退治する。
パパスに付き添いラインハット王国に渡り、ヘンリー王子の遊び相手を命ぜられる。
同日、誘拐されたヘンリーを追い潜入した敵アジトにて、魔族ゲマにより目の前でパパスを殺害される
同日、ヘンリーと共に誘拐され、邪教の神殿建築の為の奴隷として売り飛ばされる
19 ※1 奴隷として劣悪な環境で監禁、強制労働を課せられ十余年を過ごす。
20 ヘンリーと共に邪教の神殿から脱出。晴れて自由の身となる。
2022 ※2 王位に戻ったヘンリーと別れ、魔物と共に当ても無い一人旅に出る。
生前のパパスが、魔界へ連れ去られた母マーサを救うため伝説の勇者を探していた事が判明し、その意思を継ぐ。
23 勇者の装備を家宝に持つ富豪の娘フローラと結婚する為の冒険中、訪問先の村で成長したビアンカと再会。
ビアンカと結婚 ※3。富豪の好意により家宝入手。
24 妻ビアンカの妊娠が判明。
訪問先のグランバニア王国で、故パパスが国王であったことが判明。
空位にあった父王の後を継ぎ、グランバニア国王に即位。
同日、ビアンカが王子王女の双子を出産。
同日深夜、国王の出現を嫌ったグランバニア大臣の手引きによりビアンカが誘拐される
翌日、ビアンカ救出先で、ビアンカが伝説の勇者の一族である事が判明。
同時刻、父の敵である魔物の手下により、夫婦共に生きたまま石にされる
8年間 彫刻として夫婦別々に売り飛ばされ8年間が過ぎる。
24 8歳に成長した王子王女により、救い出される。
子供と共に、行方不明の妻ビアンカと母マーサを捜すため再び旅立つ。
25歳 息子である王子が、捜し求めていた勇者である事が判明。
父の敵である魔族ゲマを討つ。
竜の神マスタードラゴンの力を借り、邪教の偶像となっていた妻ビアンカと再開し助け出す。
母は魔界に通じる特殊能力のために、魔王により魔界へさらわれたことが判明。
魔界に乗り込み、母マーサと再会した矢先、魔王により目の前でマーサを殺害される
魔王を討ち滅ぼす。
※1 作品内では「十余年」としている。ここでは独断で14年と仮定した。
※2 奴隷の身から逃げ出し結婚するまでの期間。ここでは何となく2年とした。
※3 選択次第ではフローラと結婚する。ここでは思い切ってビアンカとした。

これが私の思い入れと思い込みでまとめた主人公の半生である。
黄色で強調された事項が、主人公の歩む過酷な運命と言って差し支えはあるまい。 (まあ不幸なんて人それぞれだし他人が決めることじゃないけどさ!)


主人公は母を知らずに育ち、幼年期に父を目の前で殺され、成長期と青春時代の十余年を奴隷として過ごし、 子供が生まれたその日に妻を誘拐され、子供の成長を見ることなく石化して過ごし、挙句の果てにやっと再開した 母をやはり目の前で殺されている、という凄まじい人生を送ったのだ。

こんな人生を過ごして真っ当な精神を保っているのは奇跡と言っていいのではないか。
魔王を倒すどころか、自分が魔王になってしまいそうである。
いったい堀井雄二氏はこの主人公にどんな恨みがあったというのであろうか。

主人公の人生ばかりにスポットを当ててしまったが、やはりドラクエ。
それ以外のところも魅力はたくさんある。
その一つがモンスターを仲間にするシステムである。
今ではモンスターを仲間にして育てるゲームは一般的だが、当時のRPGではとても新鮮だった。
それがドラクエの魅力的なモンスター達ならなおさらだ。


私は思う。
人ならざる者、愛を知らない存在であった「魔物」こそが、過酷で壮絶な 主人公と家族達の人生を支え奮い立たせたのではないだろうか。

主人公に魔物使いとしての手ほどきをする「モンスターじいさん」はこう言っている。

憎む心ではなく 愛をもってモンスターたちと戦うのじゃ。
そのおぬしの心が通じたとき モンスターはむこうから仲間にしてくれといってくるじゃろう。



 恋愛、家族愛、夫婦愛、人間愛、仲間を思う愛…
 ドラゴンクエストXが奏でるテーマは

 壮大な愛のテーマである。


2005/8/31 ヒョードルvsミルコ戦中



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