天 ツ バ



 このページでは、私が日頃思っていることや、学校での出来事を書こうと思います。

 ページタイトルの「天ツバ」ですが、「天につばする」を略したものです。
 天につばする。『三省堂国語辞典』によれば「〔天に向かってつばをはくと、自分の顔におちてくることから〕人を害しようとすると、かえって わざわいが自分の身にふりかかるものだ」とあります。

 私は人を害しよう、悪口を書こうとは思っていませんが、自分が書いたことについては、「じゃあ、オマエはどうなんだ」と、吐いたツバが自分に降り注いでくるということを常に自覚しておきたい。そういう意味でこのタイトルをつけました。
 「天ソバ」でも「天ツユ」でも、「タンツバ」でもありません。間違えないでネ。


 1.二題噺

 2.学校なんて

 3.横への移動

 4.横への移動 裏協定

















 二題噺(ばなし)



 先日、教務(学校の分掌のひとつ、カリキュラムや、時間割などを考えることろ)係の研修会がありました。教育委員会の指導主事(現場の先生を指導する教育委員会の役人)が新しい学習指導要領についての解説をしたのですが、話の中心は各学校が創意工夫して特色ある学校を作ろうというものでした。これからは子どもたちが自ら学び、自ら考える力をつけていかなければいけない、そういう話だったと思います。

 指導主事の話が終わって、何か質問は?ということになり、ある学校の教員が質問しました。この学校は、いわゆるエリート校です。
 「特色ある学校を作れということですが、私の学校では大学受験に力を入れています。『大学受験を目指す学校』というのは、特色ある学校にはなりませんか?」

 この質問には、会場が少しどよめきました。どよめきの中には失笑もまじっていました。そら、どよめきますよね。知識つめ込み主義の教育はダメだという話の後の質問ですから。私は「おもしろいやないか。質問は会場に来ているほとんどの教員の本音やないか」と思いながら聞いていました。
 不意をつかれた指導主事は、体制を立て直すと一言「それは、学校の特色にはなりません」

 ここで、「はい、わかりました」で終わると思ったのですが、この先生はさらに詰め寄ったのです。「私の学校の生徒はほとんどが大学を目指します。センター試験を受けないのは、クラスで2名ほどです。みんな大学に行きたいと思っているし、そういう勉強ができることを学校に望んでいます。生徒が大学へ行きたいという夢をかなえる、これが何故いけないんですか」
 この先生がまじめにそう思っていることは、横で聞いていた私にも伝わってきました。この質問は、会場に集まっていた多くの教員の本音ですが、要領のいい教員なら、こんな質問はしません。それだけでも、この先生がマジメであるということです。
 「それでも、ダメなものはダメです」。これが、指導主事の答えでした。彼も少しムキになっていました。
 これがひとつ目の話です。

 もうひとつの話は、私の学校での出来事です。
 中間テストの時のことです。私は4年生の試験監督をしていました。試験の途中で試験を作った先生がやって来ました。質問がないかどうか見回りに来たのでした。

 「何か質問はありますか?」という問いに、生徒会長のA君が手を上げました。「先生、自信のない漢字があるんやけど、読み仮名ふっておくから、読み仮名が合ってたら点くれる?」
 言われた先生は困ったなという感じで、「そうやなぁ、まあ、読み仮名ふっとき。努力点をやるかもしれん。そやけど、A君、これ、国語の試験やで」
 最後の「これ、国語の試験やで」という言葉に、クラスに笑いが起こりました。私も思わず笑ってしまいました。
 これが、二つめの話です。

 この二つの話を紹介したのは、エリート校の現状はこうで、底辺校の現状はこうだということを言いたいのではありません。私が言いたいのは、当然のことだといわれそうですが、二つとも高校だということです。
 私の学校での話を教育委員会に質問した先生にすれば、そんなの高校じゃないというかもしれません。でも、そういう子が学ぶ高校が現実にあるのです。
 ひとつ目の話のような学校も必要かもしれませんが、私の学校を必要としている子どもたちもたくさんいるということです。



















 学校なんて



 次の文は、ある方からいただいた励ましのメールへの返信です。
 私がこのホームページを作ろうと思った理由がうまく表現できていると思ったので、みなさんに読んでいただければと載せました(若干の加筆・修正をしています)。


 励ましのメール、ありがとうございました。
 そのうえ、オホメの言葉までいただき、尻がこそばゆくなってしまいます。というか、ガンバロウという気になってしまう。ほんと、ありがたいことです。

 ところで、私がホームページを作ろうと思ったのは、最初から「さまよえる子どもたちのタイマツになろう」とか、たいそうなことを考えたわけではありません。何となく、「作ってみようかなぁ」程度でした。ですから、テーマは別に何でもよかったのですが、結果として、こうなってしまいました。

 ただ、少し思うところはありました。

 ほんとうはタイトルを「学校なんて」か「高校なんて」にしたかったのですが、これでは、テーマがもうひとつよく分らない。
 学校なんて、自分の生活、自分の人生のごく一部、学校なんて、もっと軽やかなもの、のはずなんです。

 ウチの学校の生徒に「学校がなくなったら、誰が困る?」と聞けば、「教師」という答えが返ってきます。そうですよね。学校がなくなれば、教師はメシが食えない。
 学校とは、その程度のものだと思うのです。その中で、勉強もし、人間にもまれながら、自分なりにいろいろ考えたり、悩んだりして、子どもたちは成長していく。

 ところが、世の中、学校が全てだと思ってしまっているようです。学校のために学校へ行けなくなったり、病気になったり、ひどい場合は命を失ったりします。やっぱり、これ、おかしいですよね。

 高校についていえば、行きたくなければ行かなくてもいいし、勉強したくなったら、勉強する必要がでてきたら、行けばいい。第一、高校以外でも勉強することはできます。

 そんな時に、「こんな高校もありますよ」ということを紹介したかったのです。いろんな高校を紹介するといいながら、自分が定時制勤務なので、どうしても定時制の話が多くなってしまいますが。
 これが、ホームページを作ろうと思った理由らしきもののひとつです。

 もうひとつは、定時制というのは社会の矛盾を背負った子どもたちが集まってきます。そのため、彼(彼女)たちを通して世の中がわりとよく見えます。転編入学してくる生徒を通して、昼間の高校が見えてきます。

 ひとことで言えば「もうちょっと、子どもの面倒をみてちょうだい!」です。

 もちろん、昼間の学校にも子どもたちのことを真剣に考え、悩んでおられる先生がたくさんいます。だから、そういう先生たちと「高校って、なんだろう」ということをいっしょに考えていきたかったのです。

 これが理由らしいものの二つめです。

 そういうバクゼンとした思いで始めたホームページですが、なかなかうまくいかないもんですねぇ。そんな時に、このようなメールをもらうと、励まされます。これからもよろしく。

















 横への移動




 先日、こんなメールが送られてきました。

 「全日制高校(公立)から全日制高校(公立)に転校する場合どうすればいいんですか?」

 それに対して、私は次のような返事を書きました。

 情報が少なすぎるので、なんともいえない部分があります。

 @ まず、転校の理由は何ですか。「今の学校がイヤだ」というようなものでは、転入学の試験も受けさせてもらえないと思います。

 というか、今の学校が「転学紹介」(こういう理由であなたの学校へ転校したい生徒がいますが、転入学の試験を受けさせてもらえますかという照会状・転入希望の学校に出す書類)を書いてくれないでしょう。

 転学しなければならない相当の事情があるのなら、まず、担任に相談することです。

 A もし、相手の学校が転入学考査を受けさせるとなっても、合格するのは非常に難しいと思ってください。転入学試験で、高得点を取らなければ難しいです。

 B ハッキリ言って、全日制高校から全日制高校への転入学は一般的に「一家転住」による転校ぐらいで(それもかなり難しいですが)、かなりハードルを高くしています。

 期待にそった回答ではないかもしれませんが、これが現実だと思ってください。


 全日制高校から全日制高校への転入学(わたしは勝手に「横への移動」と呼んでいます)の現状は、私が返事で書いたようなものです。もちろん、「一家転住」以外で転入生を受け入れる全日制高校はあるにはあるでしょうが、ごくごく少数の学校です。
 全日制高校でつまづいた圧倒的多くの子どもたちは、校種の違う定時制高校や通信制高校へ行くしかありません。

   しかし、毎年数多くの子どもたちが高校を中退しており、定時制高校や通信制高校で受け入れるのには限界があります。
 また、中退の理由も「勉強についていけない」という理由だけでなく、「イジメにあっている」とか、「学校に入学したけれど、自分が考える進路とは違っているように思えてきた」、など、様々です。

 ですから横への移動によって環境が変われば、中退せずにすむ生徒もたくさんいるはずです。


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 私の学校のある兵庫県では、県の教育委員会が平成9年の3月に「県立高等学校における転入学等の取り扱いについて」という通知を出しました。

 「保護者の転勤などで転居する生徒や海外から帰国した生徒だけでなく、中退の防止やイジメ問題に対応するため、あるいは、子どもの適正に応じた学科への針路変更、その他特別な事情によって教育的配慮を必要とする生徒の学業継続を支援する」ために、転入学や編入学の一層の弾力化をはかりなさい、という指示です。

 具体的な内容を要約すると、次のようになります。


 《転入学について》

 1.転入学考査の受検を認める場合

   ア.保護者の転勤などによって、県立高校へ転入学しようとする場合。

   イ.次の理由で転入学を希望する生徒に対して、受け入れ先の校長が
     認めた場合。

     ・ イジメ、不登校、身体的理由などによって、現在在籍している学
        校で勉強を続けていくことが困難で、教育的な配慮が必要だと
        認められる場合。

     ・ 本人の将来の進路を見通し、自己実現をはかるために、違う課
        程や学科へ転校をすることが適当だと認められる場合。

 2.転入学試験の実施時期など

   ア.「保護者の転勤」と「イジメ、不登校、身体的理由など」による転入学
     については、各学年の学期末に実施することを原則とするが、
     能な限り多く実施
すること。

   イ.将来の進路を見通し、自己実現をはかるために、違う課程や学科へ転校
     を希望するものについては、1年の1学期末と1年の学年末に実施する
     こと。

 3.転入学生の受け入れ人数数

   生徒定員の2.5%に学年の欠員数を加えた人数。また、「保護者の転勤」に
   よる場合については、これを超えて許可することができる。


 《編入学について》

 1.編入学考査の受検を認める場合

   ア.海外から帰国し、兵庫県に住んでいるもので、編入学を希望するもの。

   イ.高校を中退した者などで、高校へ編入学を希望するもの。

   ウ.高校を卒業した者などで、卒業した学科と違う学科へ編入学を希望する
     もの。

 2.編入学試験の実施時期など

   ・ アについては、可能な限り多く実施すること。

   ・ イとウについては、年1回以上の受検機会をもうけて、可能な限り多く実
     施すること。

 3.編入学生の受け入れ人数

   生徒定員の2.5%に学年の欠員数を加えた人数。また、「海外からの帰国」に
   ついては、これを超えて許可することができる。

 この通知は、転入学については今までの全日制高校→定時制高校だけでなく、全日制高校→全日制高校を促進しようというものです。

 また、編入学についていえば、編入生を受け入れるなど想像もしていなかったことで、この通知が出たあと、教務規定に編入学の規定をあわてて付け加えた全日制高校がけっこうあったという話を聞きました。

 この通知は、それだけ画期的なことでした。

 もちろん、これは兵庫県の話ですが、他の府県でも同じようなものが出されている可能性はおおいにあります。高校中退の問題は、兵庫県だけの話ではないのですから。
 事実、この通知が出た背景には、文部省から「高等学校における転入学者等の受入れの一層の促進について」(平成9年12月25日付文部省初等中等教育局長通知)という通知が出ていることがあげられます。




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 私はこの画期的なできごとがマスコミに大きく取り上げられるだろうと思っていたのですが、残念ながら、人の目をひくような報道ではありませんでした。

 そのことは本当に残念なことです。これだけ高校中退が社会問題となっているのに、なぜマスコミが大きく報道しないのか、理解に苦しむところです。

 それ以上にもっと理解に苦しむことは、この通知によって、横の移動が促進されたという話がほとんどないことです。あいかわらず転入学は「一家転住」のみと言っていい状況だし、編入学にいたっては、皆無といっていいと思います。

 私が書いた通知後の兵庫県の状況について、「hanamaruよ、それは違うゾ。イジメや不登校が理由で他の学校へ転入学していった子が、こんなにいるぞ」とか、「どこそこの学校では、毎年1人は編入学の生徒を受け入れいているぞ」という方がおられたら、掲示板なりメールでご連絡ください。
 私が聞いた限りでは、そのようなウレシイ話は残念ながらありません。

 なぜ?

 なぜ全日制高校は転編入生の受け入れを拒むのか。私なりに思うことを書きます。(全日制高校の先生、これを読んで、私の考えが間違っているのなら、掲示板なりメールなりで指摘してください。ぜひ、お願いします)

  1.  拒否するというより、そもそも入試に合格した生徒以外の子どもが学校に入ってくるなんて考えてもいない。

  2.  1.とほぼ同じだが、学校の間に格差があって、自分の学校より下のレベルの学校の生徒は受け入れたくない。

     隣にいたヨメハンが、「そら、そうや。そんなことしたら、この学校の入試に落ちた子どもが怒るで」だって。

  3.  転入や編入をしてくる生徒というのは、前の学校を「しくじった」生徒で、どこかに問題があるのだろうと思っている。

  4.  いまでもシンドイのに、これ以上わざわざ生徒を受け入れる必要はないだろうと思っている。



 いま高校教育改革が叫ばれています。改革の理由の一つに「高校中退」の問題があります。
 そして、新しいタイプの学校が次々とできています。私はそういう動きを否定するつもりはありません。ただ、それよりもっと大事なこととして、「横への移動」があげられると思うのですが。

 みなさんは、どう思われますか。


















 横への移動2 裏協定




 先日、知り合いの教員と話をしている時、ここだけの話ということで教えてもらったのが、転入に関する裏協定の話です。

 兵庫県内のある学区では、最近まで転入生は一切受け入れないという裏協定が各学校の教務部長の間で結ばれていたというのです。

 一家転住の場合でも、通えると「学校が」判断した場合は受け入れないという取り決めで、実際に一家転住による京都からの転入希望者に「兵庫と京都では通えるではないか」と断ったそうです(そんなことをいえば、岡山からだって、名古屋からだって通えます)。

 ボクが、「協定を結んで転入学を受け入れないなんてフザケてる。第一、県の転編入の弾力化という通知(「横への移動」)にも違反している」と言うと、彼は「この裏協定がバレたようで、問題が大きくなる前にやめたはずだが」と言ってましたが、本当にやめたのかは、信じがたいものがあります。

 もちろん、このような協定が存在したかどうかということも、彼の話以外に何か根拠があるわけではありません。

 ただ、ボクは、彼の話を信じます。信じるに足る情報力を持った人です。

 「横への移動」で、全日制高校は転入生を受け入れたくないのでは、と書きましたが、やはり受け入れたくないのですね。

 受け入れがイヤなら、校門に「本校は転編入生は、一切受け入れません」という看板でも出せばいいんです。受け入れたくない理由が何かあるのなら、それを表明すればいい。そのうえで、みんなで議論すればいいんです。

 それを、自分のところだけが手を汚すのはイヤだと、談合でもって転入生を排除しようとする。あまりにもやり方が汚い。

 こんなヤツらは、桃太郎侍にでもブッた切られてしまえ!