■ 配筋のチェック
まだ全部組み立て終わったわけではないそうですから、ちょっと早いですが、配筋の検査も始めてしまいます。配筋検査というのは、鉄筋がきちんと組み立てられているかどうかを確認する大切な検査です。
コンクリートを打ちこんでしまうともう後戻りがききませんので、打ちこむ前にきちんと確認することが大切です。まともなメーカーならば、必ずきちんと検査している項目のひとつです。またそれだけにチェックすることもたくさんあります。
■ コーナー補強部のチェック

コーナー部分は鉄筋を補強することが建築基準法で定められています。鉄筋の重ね合わせ部分が30センチ以上ないといけません。別の鉄筋を添える場合には、それぞれの重ね合わせ部分が30センチ以上ないといけません。L型、T型コーナーをひとつづつていねいにチェックすることが必要です。
今回はすべてのL型、T型コーナーにおいてきちんと補強がなされていることが確認されました。こういうところを手抜きするだけでもかなりの手間が省けます。きちんとチェックするようにしましょう。
■ 鉄筋のかぶり厚のチェック
かぶり厚とは、鉄筋が包み込まれるコンクリートの厚みのことを言います。コンクリートは、初めはアルカリ性なのですが、中性化といって、次第に中性になっていきます。それまではコンクリートの中の鉄筋は空気にも触れず錆びることはありません。しかし、中性化したコンクリートが鉄筋まで到達すると、鉄筋は錆び始めます。錆び始めた鉄筋は膨張しコンクリートを破壊してさらに強度を弱めます。
ですから、かぶり厚は基礎の耐久性に大きな影響を及ぼします。かぶり厚がまったく取れていないと、あっという間に鉄筋が錆びてしまいます。錆びの進行は早いし、鉄は錆びてしまうと一気に強度が下がります。このあたりが木と違い鉄の怖いところです。鉄骨系のおうちの方は錆びている鉄骨がないかどうか良くチェックされることをお勧めします。
ちなみに、コンクリートの中性化のスピードは、打ったコンクリートや環境にもよりますが、早い場合1年に1mm程だそうです。60mmのかぶり厚では、60年で鉄筋に到達することになります。ですから、「細かいことを言うな、たかだか2〜3センチのことでガタガタ言うものではない。」と言うのは間違いです。2センチかぶり厚が違えば、耐久性は20年以上も違ってくるということになります。1センチたりともおろそかにできない理由がここにあります。
■ サイコロ、スペーサー

さて、かぶり厚を確保するために、地面には直接鉄筋を置いてはいけません。このため、鉄筋を地面から浮かせて設置するためのサイコロとかスペーサーとか呼ばれるものを鉄筋と地面の間に入れるようにします。
ちなみに、木下工務店の手順書にはこのことがきちんと記載されていました。また、その間隔は「910mm、木片は不可」と書かれていました。木片を入れている良くない業者も巷にはいる、ということなのでしょう。
今回チェックしたところ、910mm間隔と言わず、必要と思われる場所にはしっかりとサイコロが置かれていました。


同様に立ち上がり部の鉄筋もきちんとかぶり厚を確保する必要があります。こちらのスペーサーは円盤状をしており、鉄筋に通すような形になっています。直径は約12センチ。縦の鉄筋まで約6センチで来ますから、横に渡っている鉄筋の表面には最低でも約7センチ程のかぶり厚が取れることとなります。今回の基礎の幅は15センチをお願いしていますから、鉄筋の太さを考えるとほぼ中央の位置に配筋されていることが分かります。
■ 鉄筋屋さん
今回の鉄筋を組んだ職人さんですが、かなりの腕前の人と見ました。住まいの水先案内人さんのチェックでも、ピッチをていねいに出しているということで、大変素晴らしいとの評価です。
住まいの水先案内人さんのマニュアルによれば、「べた基礎の場合には本職の鉄筋屋さんが施工しますので、あまり大きな問題は出ないようです」と書かれています。
べた基礎の場合にはごらんのようなジャングルジムのような複雑な基礎を組むので、専門の職人さんを呼ぶらしいのです。一方、布基礎の場合の鉄筋の組み方は逆Tの字型でシンプルです。
これも水先案内人さんのマニュアルに書いてありますが、「「鉄筋ユニット」と呼ばれる組みたてた物が流通しているため、誰でも簡単に住宅の布基礎程度であれば組み立てができるようになっています。」とのことです。
「コストダウンを図るため、多能工と呼ばれる何でも屋さんが呼ばれることが多い」とのこと。こういうところから、正確でない施工になってしまうことが時にあるのだと思います。布基礎の場合、どのようなレベルの職人さんが施工するのか、気をつけた方が良いと思います。
■ 防湿シートのチェック
捨てコンでも防湿シートを敷きましたが、今回も防湿シートを敷きこんでからきちんとその上に鉄筋を組みたてています。シートの重ね幅も15センチどころか30センチ近くも重ねているのがチェックされました。
なお、シートが破れている部分が発見されました。しかし、住まいの水先案内人さんのチェックによれば、これは宿命だそうで、コンクリートを打つ前にテープで補修しておけば良いレベルだそうです。防湿シートの厚みは0.1ミリしか無いので、破れてしまうのはしかたないのです。かといって厚くすると、その上のコンクリートが割れやすくなってしまいます。
ねこちパパの場合、防湿シート敷きこみ+コンクリート60ミリ以上打設の2重の防湿をしていますので、あまり神経質にならなくても良いとのコメントでした。コンクリートは防湿用のコンクリートではなく、鉄筋入りのコンクリートですので、厚みは60ミリどころではなく150ミリもありますから、床下防湿に関してはまず心配無いと考えて良いレベルだと思っています。
■ 床下防湿はなぜ大切?
なお、床下防湿が何故大切か?ですが、湿気はもともといろいろな面で家に良くないものですが、基礎の上の土台の防腐という点が一番のポイントです。土台が腐ってしまうと基礎も金物も意味を持ちません。阪神・淡路大震災では、土台が腐っていたりシロアリにやられていたために倒壊した事例が多かったとのことです。
日本は高温多湿の国ですので、輸入系の住宅の施工の場合、こうしたところもきちんと施工するのかどうか、きちんとチェックすることをお勧めします。北欧やカナダなど寒冷地の住宅やその施工法をそのまま日本に持ち込んだだけでは、いろいろと問題があります。まっとうなメーカーならば、そうしたことも充分に考慮して施工しているはずです。
■ 換気口と基礎パッキン工法
木下工務店の基礎には換気口がありません。どういうことかというと、基礎パッキン工法を採用しているからです。
基礎パッキン工法とは、基礎と土台の間にパッキンを入れ、隙間を作ることによって床下の空気を換気する工法のことを言います。
そうではない普通の基礎ですと、床下換気口といって、基礎の側面に小さな窓を開け、ここから床下の換気を行なっています。
■ 床下換気
例によって、公庫仕様書の記述を確認しましょう。
3.4.9 床下換気
床下空間が生じる場合の床下換気措置は次による。ただし、3.5(基礎断熱工事)の項により基礎の施工を行なう場合は、床下換気口は設置しないこととする。
イ. 外周部の基礎には有効換気面積300平方センチメートル以上の床下換気孔を間隔4m以内ごとに設ける。
ロ. 床下換気孔にはねずみ等の侵入を防ぐため、スクリーンなどを堅固に取りつける。
ハ. 外周部以外の室内の布基礎には、適切な位置に通風と点検に支障のない寸法の床下換気孔を設ける。
床下換気口を設ける方は、この仕様が満足されているかどうかをチェックすると良いでしょう。
■ 換気口開口部の補強筋
床下換気口を設ける場合、開口部の補強筋がきちんと入っていることを確認しましょう。開口部は強度が弱くなり、補強筋をきちんと入れなかったりすると、クラックが入ってしまうことになったりします。
また、開口部の下の部分にはコンクリートがまわりにくく、隙間ができてしまうケースも多いようです。
■ 基礎パッキン工法がお勧め
基礎パッキン工法は、上に書いたような換気口の欠点を克服するために考え出されてたものです。換気口の場合、施工面でクラックやジャンカなどいろいろと不具合が出やすいのです。
また、きちんと施工した場合でも、基礎のコーナー部分は、空気が淀んでしまい、換気ができにくいという欠点があります。換気口が落ち葉やゴミなどで塞がれてしまっているケースも多いとのことです。
開口部を作れば基礎の強度も落ちますから、無理に開口部を設けず、基礎パッキンによる換気とする方が合理的であると考えられます。
ここでも換気が大切なのは、床下に湿気がこもらないようにするためです。
■ 住まいの水先案内人さんのチェック
配筋の写真を見ていただいたところ、「鉄筋工事は完璧です。教科書通り、あるいはそれ以上です。」との評価をいただきました。

「立ち上がりの鉄筋の上部が全て180°に曲がっていますが、異形鉄筋という今回使用している鉄筋では、このような曲げ加工は必要ありません。つまり、その加工をしているだけ鉄筋とコンクリートの付着力は増し、当然目に見えない強度も増加します。GOODです。」という評価もいただいています。確かに立ち上がり部の鉄筋が逆「し」の字型に曲がっています。
鉄筋の間隔については、以下のようなコメントが寄せられました。
「また、立ち上がり鉄筋の上に上下2本の鉄筋が水平に伸びていますが、これも本来は1本でいいものです。また、木下工務店の標準矩計図にも鉄筋1本しか書かれていませんが、これが2本あることによって、立ち上がり部分の鉄筋コンクリート基礎の強度が著しく増加します。本来、2.7m以上の掃き出し窓などの開口部の下の立ち上がりの基礎にしか使用しないものです。」

「べた基礎の鉄筋が、100ピッチと200ピッチ、あるいは150ピッチと200ピッチで入っています。また、間隔を非常に丁寧に施工しています。これは、木下工務店の「基礎伏図・土台・大引伏図」の中央下段にも書かれていますが、正式に構造計算をすれば、250ピッチで十分なものです。」
「以上、基礎と鉄筋に関しては必要十分な設計と施工です。3階建て住宅の基礎仕様のレベルです。」
とのことで大変安心しました。今回ねこちパパは2階建てしか建てませんが、3階建て仕様の基礎を設計士さんにお願いしています。このお願いがきちんと守られていることが分かりました。
■ 鉄筋の錆びについて
多少鉄筋が錆びているところがあり心配していました。しかし、「鉄筋の多少の錆は大丈夫です。強度・耐久性には関係ありません。だめな浮き錆は今回の鉄筋では見あたりません」というチェック結果に安心しました。
錆びは表面がボロボロになったような特にヒドイ錆びでなければ強度には関係ないそうです。また、錆びは酸化によって進行しますので、コンクリートで鉄筋が包み込まれてしまえば、酸素の供給も断たれますので、自然と錆びは止まるとのこと。要はコンクリートのかぶり厚がきちんととれるかどうか、ここのチェックがやはり大切なようです。