■ 打ちこみ前のチェック
前にコンクリートを打ちこむ段階で施主ができることはあまりない、と書きました。しかし、その前にチェックできることは結構たくさんあります。さっそく紹介していきましょう。
■ 生コン工場の場所
現場までミキサー車で何分ぐらいかかるかがチェックポイントです。あまり遠いと調合してから90分以内に現場に到着することが難しくなります。簡単にできるチェックです。
■ 生コン工場がJIS認定であるかどうか
生コンはJIS規定のレディーミクストコンクリートであることが、公庫仕様書で規定されています。JISの規定品を作れる工場かどうかを確認しましょう。
JISは、「Japanese Industrial Standard」の略称です。公庫仕様書によれば、「鉱工業品の品質を全国的に統一単純化して、生産、消費の合理化を行うことを目的として工業標準化法(昭和24、法185号)に基づいて、各品目について経済産業、国土交通など各大臣が日本工業標準調査会(経済産業省内に設置)にはかって定めた国家規格」です。
今回の生コン工場は、和田砂利商会さんというところです。JISの規格表示の許可番号は383060です。日本工業規格表示許可書という文書に通商産業大臣の名前と印で表示許可することが記載されています。JIS規定品を作るプラントであれば必ず持っている書類です。
この文書に、表示許可品目:レディーミクストコンクリート、日本工業規格の番号:JIS A 5308 レディーミクストコンクリート・普通コンクリートと記載されていることが確認されました。
■ 生コン工場の評判
評判も聞いておくと安心です。他の大手のメーカーが使っているかどうかなど、あくまで参考情報ですが。
今回の和田砂利商会さんは、へーベル、セキスイなどの大手鉄骨系メーカーも使っているプラントとのこと。また評判も良いそうです。建設業にも競争原理は働いているでしょうから、安くて良い生コンプラントがあればメーカーはどんどん乗り換えていると思います。
■ 生コンの打ちこみ量
今回ねこちパパがまったくチェックしていなかった項目です。型枠に線がきちんと書かれていましたので、そこまで打ちこめば量はOKと思い、全体量やミキサー車の台数までは確認していませんでした。
生コンは「生」ですので、余ってしまうと捨てるしかありません。捨てるのもただのゴミではないので、産業廃棄物として捨てる必要があり、大量に余るとお金がかかります。余計に手配した分のお金と捨てる分のお金、ダブルでかかってくることになります。
このため、ぴったりで打ちこめれば、基礎屋さんにとって最もお金がかからずに済むわけですが、足りなくなると困ることになります。
今回のようにギリギリで打ちこまれると何かとトラブルの元です。多少余裕を持って手配してもらえるよう打ちこみの量を確認しておいた方が良いでしょう。良くない業者さんですと、最後の生コンに水を加えて量を合わせこんでいることも考えられます。
ほんの0.5立米の生コンをケチったがために、後で不具合を出しては、まったく意味がありません。今回の打ちこみの場合、計算で10立米と出ているのであれば、4台目を2立米積んで5台目に1立米、合計10.5立米、つまり0.5立米の余裕を持って手配してもらえれば、足りなくなる心配は防げたと思います。
生コン車の手配台数は1台増え、手配する生コンも0.5立米増えますから、基礎屋さんにとってはコストアップになりますが、現場で0.5立米足りなくて慌ててその場で手配することに比べればマシだと思います。生コンは余裕を持って手配してもらえるよう基礎屋さんに確認しておいた方が良いでしょう。
また、根切りの幅や深さによって、必要となる生コンの量も変わってきます。設計図面だけを頼りに生コンの量を計算するのではなく、きちんと現場の状況を見て寸法を取り、正確に計算して必要量を出してもらうようにすると良いでしょう。
ねこちパパの場合、ちょっと残念なことになりましたが、生きた教訓としてご参考にしていただければ幸いです。「家の価格もだいぶ値切ったので、生コンをケチられてしまったかなあ」としょんぼり。
■ コンクリートの設計強度
公庫の仕様書を見てみましょう。
3.4.6 コンクリートの調合及び強度等
基礎に用いるコンクリートの調合及び強度等は、次による。
1. コンクリートはJIS A 5308(レディーミクストコンクリート)に規定されたレディーミクストコンクリートとする。
2. 設計基準強度(Fc)及びスランプは、特記による。ただし、特記がない場合のFcは24N/平方ミリメートル、スランプは18センチとし、呼び強度は、下表により指定する。
コンクリートの 打ちこみから28 日後までの期間の 予想平均気温(℃) 呼び強度(N/平方ミリメートル) 10以上15未満 24 2以上10未満 27
3. 打ちこみに際しては、空げきの生じないよう十分な突き、たたきを行なう。
スランプとは、生コンの品質をはかる目安のひとつで、スランプコーンと呼ばれる半円錐型の容器(型)に生コンを入れ、型を外したときの頂上部の落ち込み量をセンチで表示したものです。スランプとは落ち込むことを意味しています。この試験方法は、JIS A 1101にて規定されています。基準からの落ち込み量ですから、値が大きいほど柔らかい生コン、小さいほど締まった生コンということになります。
公庫の仕様書の記述は平成13年に変更になり、以前は平均気温10℃以上で18N/平方ミリメートルだったのが、24N/平方ミリメートルに一気にアップしました。また、設計呼び強度の単位ですが、平成9年のJASS5から表示単位が「Kgf/平方センチメートル」から「N/平方ミリメートル」になり、数値は従来の1/10となっています。 現場で施工する職人さんは昔の単位で言うことが多いことを覚えておきましょう。職人さんの言い方では、「この生コンの強度は240キロ」(今で言う24N/平方ミリメートル)ということになります。
なお、冬など寒い時期は初期強度が充分でませんので、その分強い強度のコンクリートを打つことになっています。
設計呼び強度でいくつのコンクリートを打つのか、事前にしっかりと設計士さんに確認しておくと良いでしょう。
今回、設計基準強度は24N/平方ミリメートルを考えていますが、余裕を持たせるため、生コンの呼び強度として、27N/平方ミリメートルのものを使用することとなっています。
これは日本建築学会の規定:JASS5(建築工事標準仕様書・鉄筋コンクリート工事)の基準に従えば、コンクリートについて大規模な補修を必要としないことを予定できる期間が65年、継続使用のための大規模な補修が必要となることが予想される期間として100年という基準に該当するものです。
■ 水・セメント比
水・セメント比が小さいほど強度の高いコンクリートになります。また、中性化のスピードも遅くなります。しかし、その分粘性がアップし、餅のようになりますので、施工が難しくなります。
これの逆がいわゆるシャブコンです。水で薄めた生コンで、安くあがる上に施工は楽というわけで、ゼネコンの下請け業者などがあちこちの橋や道路で使って問題になったやつです。
日本建築学会の規定:JASS5(建築工事標準仕様書・鉄筋コンクリート工事)では、水・セメント比は65%以下と定められています。100年コンクリートなど、本当に耐久性のあるコンクリートをお望みなら、設計呼び強度30N/平方ミリメートル以上(打ちこみ後の予想平均気温による)、水・セメント比50%以下とすると良いらしいです。
ただし、高耐久というと、よく生コンの水・セメント比だけが引き合いに出されるらしく、他の部分は見過ごしがちということもあるらしいので、本当の高耐久を目指す方はいろいろと他の部分、例えば床下防湿や床下換気、防腐・防蟻処置、給排水など様々な観点からチェックされることをお勧めします。生コンの水・セメント比だけを取り上げて、そこだけ突出して小さくしてもあまり意味がないと思います。
ねこちパパの生コンクリートの水・セメント比は、50%にかなり近い値です。
■ 配合報告書
コンクリートの配合報告書を事前に提出してもらうと実に細かいことまで分かります。コンクリートについて書くとそれだけでひとつのホームページができてしまいそうです。長くなるため今回は割愛しますが、実に奥の深い世界であるようです。
なお、この他にも今回は、生コンに使用するセメントの試験成績表や骨材試験成績書、アルカリシリカ反応性試験結果など、あらゆるデータを提示していただき確認することができました。
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