■ Jグレード
さて、J−GRADEというスタンプが見えますが何でしょうか? これは今までの格付けマークとは違うようです。公庫仕様書にも載っていません。
J−GRADEは日本向けの特別なマークです。どういう仕様のものがJ−GRADE(Jグレード)と認定されるのか分かりませんでしたが、とにかく最高品質の木材であることは確かです。JはJapanのJだそうです。要は、日本(およびアジアとも説明されているホームページもある)への輸出用の特別な等級です。
Jグレードは、節が少なく反りや曲がりのない最高の品質であるとカナダのホームページに説明が見えます。それにしても何故最高のグレードがJapanのJなのか?
いくつか説明があります。まずは日本が輸出国として良いお客さんであるということ。また、日本人は木の見栄えにこだわるという説明もあります。円が強くなったこともあり、多少高くても日本人は少しでも質の良い木材を買っていく、ということだと思います。J−GRADE材の価格は10%から15%ほど高いということです。
カナダ現地では、逆に質の良い木材が手に入りにくくなった、と嘆く声も出ています。これにもいくつか理由があるようです。第2次世界大戦後、1970年代までに前例のないスピードで樹齢の古い最高品質の木を切り出してしまい、残ったのは若い木だけになってきた、というのも一つの理由だそうです。さらに最近では、質の良い木材が輸出にまわり、現地で手に入りにくくなってきたということがさらに追い討ちをかけているようです。J−GRADEのことを言っているのでしょう。
日本人として、これをどう捉えれば良いのでしょうか。良い品質の木材を使っているということで素直に喜んで良いのか? 見栄えだけを気にする過剰品質なのか? 円の力でベストの木材を買い占めている悪いやつなのか? それとも外圧でわざわざ高い木材を買わされているのか?
過剰品質なのかどうかの判断は難しいところです。現地のJ−GRADE取り扱い店は、カナダ国内の客に対しても、品質の良いJ−GRADEを使うよう宣伝しています。ただ、日本人が木の強度よりも見栄えの方にこだわるというのは確かなことであると思います。

■ 節(フシ)
というのも、軸組み工法では、構造として家を支える木材と、化粧材としての木材をあまり区別して考えてきませんでした。構造材であると同時に化粧材でもある、という木の使い方をしてきたわけです。そうやって木を見る習慣が根付いているのでしょう。木の強度や曲がり、反りを数字で把握するということはしないかわりに、節の多い少ないだけはウルサイのです。あまり合理的ではありませんね。
例えば、あるメーカー(軸組み工法です)の営業さんから、「あそこの工務店の現場を見ましたか? 節だらけの合板を使っていますよ。ツーバイフォーと言っても実際はそのような怪しいものです。あんな薄っぺらい板だけで家を支えているのに、それが節だらけなんですから恐ろしいことです。あとで見えなくなるから分からないと思ってあのような板を平気で使っているんですよ。」と言われたことがあります。
こんなノイズの注入が可能なのも日本ならでは、ではないでしょうか。こういう言葉に日本人は弱いのでしょう。実際には、合板で得られる壁倍率を計算してみれば、節があろうがなかろうが規定の合板を使っていれば軸組み工法よりも壁の強度が優れていることはすぐに分かります。
それでもやはりこういうノイズに弱い日本人はたくさんいると見えて、あるツーバイフォーメーカーでは、ついに合板の使用を止め、木のチップを再生して作った木質パネルを使っているというところもありました。こちらのメーカーの営業さん曰く、「節を気にするお客さんが多く、このパネルを使うと見栄えも良いので評判が良いです。」とのこと。さらには、「うちのパネルには節がありません!他社のは節だらけです!」と胸を張るに及んでは本当に頭の痛い話です。再生チップだから環境に良いという話なら分からないでもないんですが・・・。
構造用の木材も合板も、いずれは家の中に飲み込まれて見えなくなってしまいます。それなのに、この節に対するこだわりは凄いものがありますね。節なんてあってもなくても良いから、とにかく材料の強度を数字で出せ〜、と叫びたくなってしまいます。
日本人が無節(むじ)とか何とか言って見栄えや節にこだわっている間に、かの地では構造的に強度を計算し、地震や火事に強い工法を作りあげてきたのかと思うと、地震国日本の住民としては本当に情けなくなってしまいます。だんだん、日本人自身が節のようなものではないのか、とさえ思えてきます。
地震の少ないかの地では、ツーバイフォー工法による総二階のおうち造り。かたや地震国日本では、住宅密集地に軸組み工法の3階建て、変形のおうちも大はやり、中庭つきの素敵なおうちなんてのも人気があるようです。建築の世界で日本人が合理的にものを考えられるようになるまでには、もう少し時間が必要かもしれない、というのが、ねこちパパの感想です。少々辛口かもしれませんが・・・。
■ 再びJ−GRADE
というわけで、ねこちパパのとりあえずの結論。「J−GRADE」の木材がどういう強度や特性を持っているのか、きちんと数字で仕様に決められていないのであれば、脳天気に喜んでばかりはいられない、ということです。J−GRADEの木材の強度特性を数字できちんと押さえるまで、正式な判断はおあずけです。とはいっても現地でも手に入れたがる良質な木材であるようですから、まあ悪い気がしないのは確かですが。