■ サブロク板とヨンパチ板
合板のサイズについて確認しましょう。サブロク板とは、3尺×6尺(91cm×182cm)サイズの板のことです。日本の尺モジュールに合うように作られたサイズです。いっぽう、ヨンパチ板というサイズもあります。こちらは、国際規格と言って良い4フィート×8フィート(122cm×244cm)サイズの板です。
日本の2×4では、従来の尺モジュールとの絡みもあり、3×6板が使われることが多いですが、輸入住宅では4×8板が使われています。サイズを見れば分かるように、ヨンパチ板の方がサイズが大きく、強度的に優れています。また厚みもより厚いものが使われているケースが多いです。
■ 北米型2×4の公庫仕様書
縦枠の間隔も日本では45センチに比べ輸入住宅では40センチ程です。輸入住宅の方がたくさんの木材を使うことになり、強度が優れています。このような輸入住宅の仕様は別に定められています。
公庫仕様書の表紙の裏には次のような記述があります。
(参考)4’×8’サイズの面材の使用を前提とした北米の 合理的な設計・施工方法を取り入れた枠組壁工法住宅を建設 する場合、本仕様書のほかに「北米型枠組壁工法住宅工事特記 仕様書」が用意されています。
このように見てくると、日本の2×4は北米型2×4をスケールダウンしたようなものだということになります。これは驚きです。日本の2×4は、軸組みと比べると耐震性などで強度的により強い構造になっています。しかし、本場の2×4工法はさらに強度的に強い構造をしているということです。
■ 尺モジュール
それでは、尺モジュールを捨ててしまった方が良いのでしょうか? これは難しい問題です。

というのも、モジュールというからには、すべての部材のサイズに関わってくるからです。例えば、ボード系断熱材のサイズです。以前紹介したように、サイズは3×6に合わせて910mm×1820mmとなっています。これを455mm×1820mmと半分にすれば、根太の間隔にぴったりと合ってきます。断熱材は2×4だけではなく、軸組み工法など他の工法でも使われますから、このサイズが一番合理的にできているのです。
ヨンパチ板の使用で、このモジュールが合わなくなってくると、それに合わせて断熱材をカットしなくてはならず大変な手間です。歩留まりは悪くなるし、隙間も余計にあくことになってしまいます。同様にサイディングなどの外壁材の選択が制限されます。最後は部屋の大きさから家具のサイズに至るまで、あらゆるところに効いてきます。
■ 部材の選択の幅
そのため、あらゆるところで部材の選択が制限されることになります。次第に何から何まで輸入材でということになってきます。もちろんそれが輸出する方の狙いでもありましょう。こうなると今の段階では、選択の幅が随分と少なくなってしまうことになります。もっとも輸入住宅の内装も含めてすべて輸入品のデザインが気に入っているという方にはちょうど良いかもしれませんが・・・。ねこちパパが輸入住宅に今ひとつ共感できない理由にはこのあたりの事情もあります。
普通はモジュールの変更はおいそれとできるものではありません。その証拠に、次第に計量単位にメートル法を使用はじめている北米でも、住宅についてはいまもってインチ、フィートを使用しています。
■ では尺が良いのか?
しかし、逆に尺を積極的に採用する理由があるかというと、こちらも疑問です。よく伝統的という言葉で尺の良さが説明されたりしますが、その伝統も怪しくなっています。というのも、日本人の体格は戦後飛躍的に大きくなりました。ねこちパパの身長も6尺弱あります。伝統的な高さの鴨居でおうちを建てられてはどうにも狭苦しいです。実際ねこちパパは今まであちこちで頭をぶつけてきました。自分自身の体が既に伝統に合わなくなっているのに、周りのモノのサイズだけ伝統を強調しても意味がありません。
こういう点でおうちづくりを見ると、今のおうちづくりは大きな過渡期にあると考えて良いと思います。ねこちパパの結論としては、当面は尺モジュールを工夫しながら使うのが良い、と思います。家具の大きさ、部屋を畳数で把握すること、土地を坪で把握することなど、あらゆるところにモジュールは絡んできますから、簡単に変えるわけにはいかない、と思います。
■ 合板の打ち方
さて、合板の打ち方について確認しましょう。公庫仕様書の記述を見てみます。
4.8.9 床下張り 2. 構造用合板は、表面繊維方向が床根太方向と直交するよう に張り、パーティクルボード、構造用パネル及び硬質木片 セメント板は、長手方向が床根太方向と直交するように張る。 3. 床下張りは千鳥張りとし、3本以上の床根太にかかるように する。 4. 接着剤を用いて床下張りを行う場合は、住・木センター認 定の床用現場接着剤又はこれと同等以上の性能を有するも のを床根太部分及び受け材部分又は木ざね部分のよごれ、 付着物を除去した上で塗布する。なお。この場合の床根太の 断面は、構造計算による。 5. 床下張り材の突き合わせ部分には、寸法形式204の2つ割 り(40mm×40mm)以上の受け材を入れる。ただし、 次のいずれかによる場合には省略することができる。 イ. 床根太間隔を310mm以下とし、厚さ15mm以上の構造 用合板又は構造用パネルの2級を用いる。 ロ. 床根太間隔を500mm以下とし、厚さ18mm以上の構造 用合板または構造用パネルの1級を用いる。 ハ. 床根太間隔を310mm以下とし、厚さ12mm以上の構造 用合板で、「日本合板工業組合連合会」(以下「日合連」と いう。)「カナダ林産業審議会」(以下「COFI」 (Council of Forest Industries Canada)という。)もしくは「APA−エンジニア −ド・ウッド協会」(以下「APA」という。)で定める 継ぎ手(本ざね)加工の規格に適合するもの、又はこれらと 同等以上のものとする。 ニ. 床根太間隔を310mm以下とし、構造用パネル3級(厚さ 11mm以上)で「APA」で定める継手(本ざね)加工 の規格に適合するもの、又はこれらと同等以上のものを用いる。 ホ. 床根太間隔を500mm以下とし、厚さ15mm以上の構造 用合板で、「日合連」、「COFI」もしくは「APA」で 定める継手(本ざね)加工の規格に適合するもの、又はこれ らと同等以上のものを用いる。 ヘ. 床根太間隔を500mm以下とし、構造用パネル2級(厚さ 15mm以上)で「APA」で定める継手(本ざね)加工の 規格に適合するもの、又はこれらと同等以上のものを用いる。 ト. 床根太間隔を500mm以下とし、厚さ12mm以上の構造 用合板で、「日合連」、「COFI」もしくは「APA」で 定める継手(本ざね)加工の規格に適合するもの、又はこれ らと同等以上のものを用い、前号で定める床用現場接着剤を 床根太部分及び本ざね部分に塗布する。
■ 受け材
今回は、床根太間隔が500mm以下で、構造用合板で厚さが15ミリあり、本実(ほんざね)加工していますので、上記のホのケースにあたるため、受け材が必要なくなります。
受け材とは、床下張り材がたわむことのないように、根太の間にあらかじめ入れておく、下張り材を打ちつけるための木材です。強度のない下張り材や薄い合板の場合には受け材を入れる必要がでてきます。
■ 本実
本実は「ほんざね」と読み、板の一方の断面をオス(凸)とし、反対側の断面をメス(凹)とする加工のことを言います。本実加工をした合板の凹凸部を嵌め込んでつないでいくことにより面としての高い強度が取れます。また気密も取れます。
■ ヒートブリッジ
ヒートブリッジあるいは熱橋とは、熱をせき止めておいても、一部が橋がかかったようになっている熱の逃げ道のことを言います。受け材を根太の間に入れると断熱材がそのぶん少なくなると同時に、受け材自体がヒートブリッジになって断熱効果が下がります。もともと床根太自体がヒートブリッジなのですが、さらにヒートブリッジが増えてしまうというわけです。

根太の間に受け材の入った床組みは格子状になりますので、それを見て、なんてしっかりした床組みだろうと思う人もいるようですが、何のことはない、上に張る板の強度が足りないというだけの話です。勘違いのないようにしましょう。
逆に断熱性能という面では、受け材のある方が不利となります。こういう細かい部分は断熱性能の数字を計算するときには省かれがちなものですが、意外に大切な部分です。できるだけ切れ目のない大きな断熱材を隙間なく敷き詰めることが大切です。
受け材を入れる施工は、まず受け材自体を根太の間に入れる施工の手間とともに、受け材の木口に防腐・防蟻処理剤を塗る手間、断熱材を寸法を合わせてより数多く切断する手間、断熱材を留める金具をより多く設置する手間など、手間もずいぶんと余計にかかります。合板が少々安い薄いものが使えるからという理由でこのような手間のかかる施工をするのは合理的でないように思います。