■ 防腐・防蟻処理剤使用の際の注意点
薬剤はなんであれ体に良いものではありません。防腐・防蟻処理剤も使いすぎは間違いのもとです。ここでは実際にあった例として、先に紹介した「あぶない2×4ハウス」から引用しましょう。
躯体が組上がり、屋根瓦が乗りはじめた頃、建物の中に入ると、昼間 なのに大変暗く感じた。一週間ぐらい前にも建物の中に入ったが、そ の時と全くと感じが違っていた。おかしいなと思ってよく見ると、1 階の壁パネル全面に天井の高さまで黒っぽいものが塗られていた。 何を塗ったのか判らないが、どうやら防腐・防蟻の薬剤のようであり、 見ている内にその臭気で頭が痛くなり、早々に建物から外に出なければ ならなかった。 ツーバイフォー工法の場合、大壁造りとなるので壁枠組の内部は換気が できず、腐朽の恐れがあるのでシロアリの食害対策は必要である。しか し住宅金融公庫の仕様書にも示されているように、防腐・防蟻措置を 講ずる個所は、構造耐力上必要な部分のうち地面から1mの範囲内であ り、天井の高さまで壁枠組を全て措置せよとは示されていない。少し 多めに塗るように示された書物もあるが、それでも土台の上端から1m 以内の部分にしか防蟻処理をせよと言っていない。 この業者の施工法は、基礎に入れるべき鉄筋を手抜きし、合板は半端材 を使い材料をけちったように、必要な所は手を抜いたにもかかわらず、 不必要な所には薬剤をやたらと塗るのである。
これもヒドイ話です。天井まで防腐・防蟻処理剤を塗る必要はまったくありません。ここまでとはいかなくとも、高さは1mあれば十分です。余計なころに塗ればその分薬剤の害を受けることになりますからくれぐれも塗りすぎには注意したいものです。
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■ 床下地面の防蟻措置
地面に対する防蟻措置について見てみましょう。
4.5 床下地面の防蟻措置 4.5.1 適用 1. 地面に講じる防蟻措置は、次のいずれかによる。ただし、北海道 青森県、岩手県、秋田県、宮城県、山形県、福島県、新潟県、 富山県、石川県および福井県においては、地面に講じる防蟻措置 を省略することができる。 イ. べた基礎 ロ. 地面を一様に打設したコンクリート(布基礎と鉄筋により一体 となったものに限る。) ハ. 4.5.2(薬剤による土壌処理)の1に掲げる薬剤を用い、 布基礎内周部及び束石の周囲20cmの土壌処理を行う。 4.5.2 薬剤による土壌処理 1. 薬剤による土壌処理を行う場合は、次のいずれかによる。 イ. 土壌の防蟻措置に使用する薬剤の品質は、特記による。特記が ない場合は、しろあり協会又は木材保存協会認定の土壌処理剤 又はこれと同等以上の効力を有するものとする。 ロ. 土壌処理と同等以上の効力があるものとして、防蟻効果を有す るシートを床下の土壌表面に敷設する工法、樹脂皮膜を形成する 方法等を採用する場合は特記による。 2. 薬剤を使用する場合の処理方法は、しろあり協会制定の標準仕様書 に準じる。 3. 給排水用の塩化ビニル管の接する部分に防腐・防蟻措置を講ずる場 合は、薬剤によって損傷しないよう管を保護する。
■ ねこちパパの場合
ねこちパパの場合は、べた基礎としていますから、1項にもとづき薬剤による土壌処理を省略することができます。木下工務店の場合、基本的にはスラブ基礎工法を採用していますので、薬剤による土壌処理を行うということはないと考えられます。
これが、他社の場合ですと、N値によっては布基礎を採用しているところもあり、未だに薬剤による土壌処理を行っているところもあると思います。これは基礎をべた基礎にすれば簡単に解決できることです。べた基礎は防湿という点でも効果がありますから、地耐力だけをもとに基礎工法を判断するのではなく、防湿や防蟻など総合的な見地から判断してべた基礎(スラブ基礎)とするのは非常に意味のあることであると思います。
■ 公庫仕様書の注意書き
公庫仕様書には薬剤による土壌処理について注意書きがあります。引用して紹介しましょう。
土壌処理 ヤマトシロアリ、イエシロアリなどは、地中から基礎、床束及びその他の 地面と建物とを橋渡しするものを伝わって建物内に侵入する。これを防ぐ ために地面の土壌を防蟻処理剤で処理することを土壌処理という。 しかし建物の防蟻にとって有効な土壌処理も状況の判断を誤り施工すれば、 薬剤によって井戸水あるいは地下水を汚染させることも引き起こしかねない。 したがって、土壌処理を行う場合に合っては、敷地の状況、土質などを 適切に判断し処理薬剤の選択、処理方法を決定して水質汚染につながらない よう慎重な考慮が払われなければならない。
以上に書かれているように、薬剤による土壌処理は水質の汚染という根本的な問題を抱えています。ですから基本的には薬剤を使用しないことがお勧めです。特に井戸水を使用している地域では厳禁と考えておいた方が良いでしょう。ねこちパパの考えでは、今後は薬剤による土壌処理は急速に減っていくことになると思います。