■ 構造体への穴あけは最小限に
前回は家庭内LAN配線や情報化住宅についていろいろと否定的なことを書きました。今回はまた少し別の観点から電気配線について見ていきましょう。
別の観点とは、電気配線に伴う構造体への穴開けということです。ケーブル配線をする以上、どこかに穴を開けなくてはなりません。しかし、どこでも穴を開けられる訳ではありません。2×4の場合、結局は構造体となる2×4材への穴開けが必要ということになります。
■ ツーバイフォーでは穴開けは厳しい
木造軸組工法の場合は、柱で荷重を支えていますから、柱と柱の間の壁の中に何を通してもあまり構造への影響はありません。しかし2×4の場合は、枠組みとそれに張られる合板や石膏ボードなど全体として荷重を支えるようにできています。
ですから、2×4材への穴開けには気を遣わないといけません。無造作に2×4材に大きな穴を開けると構造体としての強度に問題が出る恐れがあります。
ツーバイフォーの場合、天井の根太は2×10などのものが使われます。こうした太い根太が何本も平行して並んでいるので、根太をクロスする方向にケーブルを引こうとすると、何本もの根太を穴開けし、またいでいかなくてはなりません。
■ 電気屋さんが気を遣ってくれるかどうか
ところがぎっちょん、電気屋さんが本当に構造のことを考えて穴開けをしてくれるでしょうか? とてもそうは思えません。これはガス屋さんや水道屋さんも同じです。
彼らは自分達の欲しいところに施工しやすいように穴を開けると考えておいた方が良いでしょう。そうなれば当然、穴あけしやすいところに大きめの穴を開けるということになってきます。放っておけば野放しです。これは気をつけなければなりません。
特に家庭内LAN配線を行うという場合、ハブで分岐したケーブルをあちこちの部屋まで引っ張るために穴開けの場所も増えます。気をつけるようにした方が良いでしょう。
■ 欠陥事例をひとつ
欠陥の事例を紹介しましょう。以前紹介したことのある「あぶない2×4ハウス」という本からです。
この本の帯によれば、「2×4ハウスの大手業者(三井ホーム)に泣かされ、嬲られ続けたあげく、欠陥マイホームをつかまされたサラリーマンの汗と涙の現場報告!!」とあり、三井ホームのような大手の業者でも決して安心できないということが伺えます。大手のハウスメーカーの施工だからといって決して任せず、自分でチェックすることをお勧めします。
■ 根太に危ない孔
「あぶない2×4ハウス」から引用して紹介しましょう。「八の一、根太に危ない孔」の項からです。
問題となった個所はダイニングキッチンの天井根太である。私が勤め帰りに 施工現場に立ち寄ると、電気配線屋が来ており、丁度配線用の孔を根太に開 けたところであった。ところがその孔は根太のスパンの中間あたりで下面に 近い所にあけられており、そのうえ何本もの根太を串刺しにした孔あけであ った。孔の大きさも配線用としては必要以上に大きなものであり、大変驚か された。ツーバイフォー工法の建物に配線をする職人なら、常識で考えても やりそうにない、いいかげんな孔のあけかたである。 (中略) 孔あけは根太の強度、剛性の低下が少ない方法をとるべきであり、そのため にはまず配線経路をよく考え、孔あけが少なくてすむようにすべきである。 即ちできるだけ根太に平行に配線するようにし、根太をクロスすることは最 小限にとどめるべきである。 又やむなく根太をクロスする場合でも、根太スパンの中間部を避け、両サイド に近い所で且つ曲げの中立軸の近くに径の小さな孔をあけるのがまともな やりかたである。(図2) ましてこの職人の如く、何本もの根太を貫通する孔を根太のスパンの中間部 にあけ、その孔位置が根太の下面に近く、その上径が大きいのはもっての外で ある。(図3) 住宅の建築にかかわる職種は30種類を超すとも言われており、前近代的職能 体系がこのような根太の強度上の問題を知らない電気配線屋に、根太の孔あけ をやらせているとも言うことができる。しかし職人の知識、技能の不足もさる ことながら、業者が放任施工をやらせていることの方がより問題である。 電気配線屋が根太の孔のあけかたを知らないなら、正しい孔位置を示した図面 を与えるとか、大工に孔あけをやらせるとか、方法はいくらでも考えられる。 それに間違った孔あけが終わり、やり直しができなくなってから注文主に問題 を指摘されるのでは、建築業者は不要である。 電気配線屋の仕事ぶりからして彼等は配線さえ通れば良いのであって、根太の 強度などは全く関知しないことであり、又床下張りからの釘の先が何本も飛び 出している近くでも平気で配線するのである。根太の下面の近くに孔をあける のは手が届きやすいからであり、大きな孔をあけるのは配線を通しやすくする ためである。施工を野放しにしておけば、自然とこのような安易な工事に流れ てしまうのは目に見えている。しかしこのような安易な施工を防ぎ、建物全体 の品質を保証するのが元請けの建築業者の責任なのである。
■ 何をかいわんや
いやこれは酷い。この業者さんの場合、前にも紹介したように他の施工もめちゃめちゃなのですが、まったくこの本の著者の言うとおりではないでしょうか。
ところがホームページで家庭内LAN配線の施工例などを見るにつけ、上記の施工とあまり変わらないのではないかと思われるような例が散見されます。
配線を行う業者にとってみれば線さえ通れば良いと考えているのでしょう。ボコボコと好きなところに大きな孔を手当たり次第に開けているように見受けられる事例もあります。気をつけるようにしたいものです。
そして、ねこちパパがあまり必要もないのに家庭内LAN配線をすることに否定的な理由がここにもあります。意味もなく根太などの構造材に孔あけをすることは決して良いことではありません。