■ 換気口と必要な吸排気面積
換気口をつけるのは良いとして、それではいったいどの程度の大きさと数の換気口を付けたらよいのでしょうか。公庫仕様書の記述を見てみましょう。
4.12 小屋裏換気・軒裏換気 4.12.1 小屋裏空間が生じる場合の小屋裏換気は次の1及び2による。 ただし、天井面ではなく屋根面に断熱材を施工する場合は、小屋裏換気孔は 設置しないこととする。 1.小屋裏換気孔は、独立した小屋裏ごとに2カ所以上、換気に有効な位置に 設ける。 2.換気孔の有効換気面積等は、次による。 イ. 両妻壁にそれぞれ換気孔(吸排気両用)を設ける場合は、換気孔を できるだけ上部に設けることとし、換気孔の面積の合計は、天井面積 の1/300以上とする。 ロ. 軒裏に換気孔(吸排気両用)を設ける場合は、換気孔の面積の合計 を天井面積の1/250以上とする。 ハ. 軒裏に吸気孔を、妻壁に排気孔を垂直距離で900mm以上離して 設ける場合は、それぞれの換気孔の面積を天井面積の1/900以上 とする。 ニ. 排気筒その他の器具を用いた排気孔は、できるだけ小屋裏頂部に設 けることとし換気孔の面積は、天井面積の1/1600以上とする。 また、軒裏に設ける吸気孔の面積は、天井面積の1/900以上と する。 ホ. 軒裏に吸気孔を設け、かつ、棟部に排気孔を設ける場合は、吸気孔の 面積を天井面積の1/900以上とし、排気孔の面積を天井面積の 1/1600以上とする。 4.12.2 スクリーン 小屋裏換気孔には、雨、雪、虫等の進入を防ぐため、スクリーン等を堅固に 取り付ける。
公庫仕様書の記述には、上記のイからホまでの換気方法が図を用いて分かりやすく説明されています。この図を見ると、空気の流れからして、ホの換気方法が最も効率が良いということも自然と分かるでしょう。
■ 有効換気面積の計算
ここでは実際に有効換気面積が取れているかどうか計算してみます。
まずは軒裏換気口から行きましょう。軒裏換気口については詳しい資料をなくしてしまいました。貰っていたはずなのですが時間が経ってしまい置き場所が分からなくなってしまいました。図面にはスレンダー換気口SL−90とあります。
準防すなわち準防火仕様ということでFD付きと書かれています。このFDとはファイヤダンパー(Fire Dumper)の略で、一定以上の温度になるとヒューズが溶け、バネの力でダンパーが閉まり、換気口が閉じるような構造になっているものを言います。
吸排気孔とは簡単に言ってしまえば煙突のようなものですから、火事の際には非常に弱いのです。孔があればあっという間に燃えてしまいます。このため耐火的にしっかりとしたものにしようとすると、このようなダンパー付きの金物を選ぶ必要があります。
木下工務店のオプションカタログ「LEAVES」を貰っていますので、この中を当たってみますと、ありました!写真入りで載っています。サイズは909×60(mm)とあります。幅が6センチしかなく、軒の出があまりないような最近の建物にも美観を損ねずに設置することができます。
さて、これだけでは有効換気面積が分かりません。こういうときはネットの力も借りましょう。軒裏換気口などの検索語で検索すると出てきました。カネシンさんに同様の金物があります。データもHPにありました。これによれば、有効換気面積はひとつあたり165.44平方センチメートルとのことです。
■ 温度ヒューズ試験データ
温度ヒューズ試験データもHPに載っているのが興味深いです。グラフによれば、ヒューズ温度が約80度以上になるとヒューズが溶断すると読めます。空気温度が90度以上の状態が90分程度続くとヒューズ温度が80度以上となるようです。また不作動試験のデータもあり、空気温度が50度の状態が5時間以上続いてもヒューズが溶断しないと読めます。財団法人、日本建材センターでの試験とあり、まず信頼して良い結果と言えると思います。
■ 総吸気有効面積
まず天井面積を調べましょう。図面から47.20平方メートルと分かります。うーん狭い家ですねえ。まあ仕方ありません。都内ではこれで文句を言ったら罰が当たりますね。
図面によれば、ねこちパパのおうちには全部で8つの軒裏換気口が設置されることになっています。ということは総有効換気面積は、165.44×8=1323.52平方センチメートルとなります。
従い、割合を計算すると、1323.52/(47.20×100×100)=0.0028=約1/356と求まります。
公庫仕様書の記述によれば、吸気口の面積は天井面積の1/900以上となっていますから充分クリアしていますし、公庫基準の約2.5倍の吸気口があるということになります。
しかし、もし軒裏換気口だけで吸排気両用とすることにすると、公庫仕様書の基準では1/250以上を要求されていますから、8つでは足りないということになります。いくつ付ける必要があるでしょうか? 計算してみましょう。
47.20×100×100/250/1323.52=11.4
より最低でも12個はつけないと公庫の基準を満たさないことが分かります。今よりも4個多くつけないといけないということです。
■ 排気口の有効換気面積
次に排気口の有効換気面積もチェックしてみましょう。棟換気についてはいろいろと調べた結果、クボタのメタル換気棟にすることにしました。
屋根材をやはりクボタのカラーベスト(ニューコロニアル)にしていますので施工上しっくりくるのではないかという読みです。他にはリッジベンツという名前で宇部気密ハウジングさんからも棟換気用金物が出ているようです。
クボタのカタログによれば、今回使用するのはL型YVBというタイプ、シンプルですっきりとしたデザインのものです。有効換気面積は長さによって異なります。0.5P、1P、2Pとあり、長さがそれぞれ455mm、900mm、1820mmとなります。有効換気面積はそれぞれ、60平方センチメートル、120平方センチメートル、240平方センチメートルとなります。
今回は1Pと2Pを繋いで使い、トータルで3Pとして使用します。さっそく計算してみましょう。総有効換気面積は、120+240=360平方センチメートルとなります。天井面積が47.20平方メートルでしたから、
360/(47.20×100×100)=約1/1311
と求まります。公庫仕様書の基準では1/1600以上でしたから、クリアしているとともに、基準の1.2倍以上の換気面積が取れていることが分かりました。
もしこれが2Pのみでしたらどうなるでしょうか?
240/(47.20×100×100)=1/1966
となり公庫仕様書の基準を満たしません。これでトータル3P必要な訳が分かりました。
このように棟換気に関わらず、有効換気面積がきちんと取れているかどうか、必ず自分で計算してみることをお勧めします。有効換気面積が公庫の仕様基準に足りていないというケースも結構あるように思います。