展力 -Exhibition Schedule-
2月 February
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石田尚志展                                                        
阪本 トクロウ展 - 読みかけの小説 -                                                        
羽田美奈 展                                                        
西川芳孝展                                                        
はるいろ♪展                                                        
鴻崎正武 個展                                                        
こんどうあや個展
「Marian Bootleg」
「BAROQUE PIANICA」 interview up                                                        
櫻井美幸”盲亀の浮木”                                                  
辻恵子 切り絵 小品展「シンブンシ」                                                    
ARTRONIK                                                        
野地美樹子 日本画展                                                        
第3回 無限展 -日本画-                                                        
大和由佳 展 −地表の鳥−                                                  
古賀 充 展                                                  
小柳裕 新作展                                                
グループ展 「my cup of tea-Private Luxury-」                                                
 
アマヌマ アキ ガラスの影絵展                                                        
羅針盤セレクション HOPE 2006 ー様々なニホン画ー                                                        
大竹敦人  視点と視線の海へ                                                        
 
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「Recommend & Review」では、これから始まる(始まっている)展覧会の中で、面白そうだったり興味があるもの、オススメの展覧会をピックアップしてご紹介していきます。
(随時更新[毎週月曜定期更新]、記事担当:幕内政治 Masaharu MAKUUCHI)

石田尚志展
渋谷エリア 2/11-2/18 12:00-22:00 UPLINK GALLERY Googleマップ
 
 
ギャラリー内では、シルクスクリーン作品、ドローイング、そして映像作品とその基となった絵が展示されています。ドローイングは多くが「行為」そのものが伝わってくるような勢いを感じるもの、反して細かく線を積み上げていったようなものなど。 シルクスクリーンの作品は、燃え重なる炎のような模様が細かく描き込まれたもので、危ない美しさを感じます。展示作品の中でも圧巻は映像。ショーケースの中におよそ1mくらいの縦長の作品が2点並んで壁にかけられていて、この2点にはさまざまな線のうねりが画面いっぱいに、徹底的に細かく描き込まれていて、まずその異様な力強さに感服。そしてその作品が下から上へ向かって仕上がっていく映像が手前のモニターで流れていて、 画面の中で線が猛スピードで増殖していく様子は見事でもあり、圧倒的な勢いを感じます。2点それぞれのものと、そのふたつを重ねたものとがあり、重ねられたものはさらに混沌とした感じが押し出されています。

2/11に行われた石田さんのライブペインティングにも行ってきました。 7時会場7時半開演のイベントだったのですが、盛況のために急遽入れ替え制での2ステージ開催。僕は2ステージ目を。 内容は、バッハの「フーガの技法」に映像をつけた作品、同じくフーガの技法をライブで演奏し、それに合わせた石田さんのパフォーマンス、ギャラリーにも展示されているものや「絵馬・絵巻」などの映像作品の上映、そして石田さんとヴォイスパフォーマーの足立智美氏とのコラボレーションによるライブペインティング。映像作品はどれも圧巻。「フーガの技法」ではうねる線の流れと方形の動きとが絡み合うように展開していくもので、続いて演じられたパフォーマンスと合わせて、僕がバッハから受ける映像的なイメージ(もっとスクエアなものです)と違っていてかなり興味深いものでした。 他の映像作品にしても、大きめのプロジェクターに映し出されるとその迫力が増し、ものすごい勢いで増殖する線、突如として現れるドリップ、それらが織り成す強力な時間の流れに呑み込まれるような感じ。 最後のライブペインティング、こちらは相当にエッジの効いた前衛パフォーマンス。 マイクが装着された絵筆からのノイズ、足立氏のヴォイスとシンセサイザーの音、それらが醸し出す混沌とした音世界。何かが描かれるというより、「描く」といったことさえもはや関係ない、その瞬間ごとの突発的な「行為」そのものの痕跡として生々しく、床から壁にわたって設置された黒の画面に残されていく、といったもの。強烈なインパクトでしたが、できあがったものを眺めてみて、その時間の堆積といったものをあらためて実感した次第。 1時間弱のパフォーマンス後、映像作品についてすこしだけ石田さんに伺えたのですが、展示もされている作品は、1mm幅を描いて1コマ撮り、また1mm描いては撮り、といった極めてアナログなプロセスを経て製作されていることを知って、これが一番の驚きでした。

阪本 トクロウ展 - 読みかけの小説 -
銀座Aエリア 2/13-2/18 11:30-18:30(L-15:30)
日/祝休
ギャラリーゴトウ Googleマップ
 
先日のGallery unsealでのグループ展から間髪入れずに開催される阪本トクロウさんの個展。続けて観ることができているから感じられる変化、今回はどういうふうになっているかがまず楽しみです。実際の風景からどんどんいろんなものを「引いて」いったユニークなスタイルは、未来的な感触とともにどこかノスタルジックなイメージも浮かんできます。そして、何もないと思った作品にも何かが隠されていることがあって、そういうユーモアにまた出会えるかも、という期待もあります。
 
あらためて振り返ってみて、今回の展示タイトルは深いなぁ、と思います。 視点が研ぎ澄まされた景色の捕らえ方。大きな画面に描かれているのはたった数羽の鳩。阪本さんが現在使用されているアクリルガッシュの岩彩にやや近い質感と、日本画出身ならではの余白を大胆に活かした構図。「読みかけ」という言葉から浮かんでくる時間の感覚が、あえて何も描かれない部分に具体的なイメージを持たせてくれるような気がします。その他、広がる枝のシルエット、足場、金網と電柱など、ちょっとアンバランスに切り取られた風景のユニークさが心に残ります。なんだかいつもよりもさらに静かな印象でした。

羽田美奈 展
銀座Bエリア 2/13-2/18 11:00-19:00 (L-17:30) シロタ画廊 Googleマップ
 
昨年のOギャラリーでのグループ展で拝見した羽田さんの作品は、和紙に木版の凹凸版で摺られた、ちょっと変なかっこうの犬の木版画でした。その姿はどこか斜に構えているようなところがコミカルな感じで、ずっと眺めていても飽きがこない独特の味わい深さがあって、なんだか妙に心に残っています。犬以外にほんの少しだけ線が挿入されていて、たった数本だけのシンプルな線で作品に奥行きをもたらしているのもユニークです。今回もおそらくそういった犬の木版画が中心の展示になると思われますが、その姿をあらためて、じっくりと堪能したいです。
 
やはり面白い、独特の風味。 土佐和紙の色の上に黒と白とで摺られた犬。前回拝見したときよりももっと人物に近い姿になっているのにまず気付きます。足や乳房などが部分的に人に近付いているものもいれば、もっと姿全体が人のようだったりするものも。顔の部分に摺られた黒いところが犬としてみると耳のようでもあり、人であれば髪の毛のようで。そのためにより奇妙な味わい深さが溢れている感じです。 新展開は、黒の紙に同様に摺られた作品が数点、額までも黒で統一されて展示されているものがあり、まさに夜のイメージ。黒地に摺られた色彩感に深みと静かな斬新さがあって、これまでの作品とはまた違う味わいでした。

西川芳孝展
京橋エリア 2/13-2/18 11:00-19:00 (L- 16:30)
日休
アートスペース羅針盤 Googleマップ
 
昨年の羅針盤での個展で拝見したときの西川さんの作品の印象は、「虚」。どれも大きな作品で、引力がねじ曲げられたような何とも奇妙な世界。力のこもったような太い線と繊細な線との流れが織り成す妖しい雰囲気、異様なまでに描き込まれた人の形をしたもの(僕には「お化け」に思えました)に気付いたときの、あの知らない世界を覗いてしまったような感触。あれから1年経って、どういうふうに広がっているか、もしくはいっそう深くなっているか。怖さよりも先に違う世界への興味が湧くような、ちょっと変わった楽しみがあります。
 
全体的に濁った色彩、徹底的に描き込まれた線。それらが織り成す混沌とした「虚」の世界。 接近して観ると、ペンと墨による細かい線の集合に圧倒され、なにか引き込まれるような面白さを感じます。その線の細かさは画面が大きくなっても変わらない密度で展開されているのもすごい。距離を置いて観てみると、今度はもっと大きな構図でまったく別の何かが見えてきて、だまし絵のような風合いも。「腹」というタイトルの大作では、遠目で見ると女性の顔のパーツや手足が見つかるし、その他比較的ちいさな画面でもタイトルのものを画面から見つける作業がとにかく面白いです。

はるいろ♪展
京橋エリア 2/13-2/18 10:30-18:30
(L-17:00)
千疋屋ギャラリー Googleマップ
 
テキスタイルと陶の作家がそれぞれ2人ずつ、あわせて4人のグループ展です。こちらに、昨年Ecru+HMで個展を行った佐々木忍さんが参加されます。佐々木さんの作品は、磁器の箱のようなものの上や中に江戸時代を思わせる飛脚や職人などのオブジェがちょこんと乗っかっているもので、粋でちょっとしたユーモアも感じられて実にかわいらしいのです。彩色されていない磁器特有の白の質感も、清い感じが伝わってくるようです。この展示での硬いものとやわらかいものの組み合わせも興味深いです。
 
磁器のオブジェ、お皿、小袖と帯。行って観て、ジャパニーズオリエンタルな表現方法に今の感覚が詰め込まれた楽しい展示になってたことに気付きました。
佐々木忍さんの磁器のオブジェはやっぱりかわいいです。釉薬が塗られた磁器特有の青みがかった白色の蓋付きの箱、その上に江戸情緒溢れるちいさなちいさな、でも細部までていねいに作られた人。それぞれ何かやっているのですが、ふたを開けて中を覗くと蓋にいる人が使っている道具がちょこんと収まっていて嬉しいんです。また、蓋の中に磁器のオブジェのブローチやピアスが収まっているものも。
坂井千尋さんのお皿は土の質感がしかり伝わる表面に、牛などの絵が力強く、ちょっとコミカルな表情で描かれていて独特の味わい深さ。
これまでなかなか拝見する機会がなかったテキスタイル。 山川響子さんと池田尚子さんの小袖と帯、デザインから現代的なやわらかい感覚が伝わってきました。
 

鴻崎正武 個展
銀座Aエリア 2/13-2/18 11:00-19:00 (L-17:00) 銀座スルガ台画廊 Googleマップ
 
昨年の書肆啓祐堂での個展に続いての鴻崎さんの個展。油絵具から岩絵具へと使う画材を変えてからまだ間もないはずなのに、猛スピードでそのスキルをものにし、さらに独特のスタイルを築きあげてきている迫力を、精力的な鴻崎さんの活動を見るにつけ感じます。今回のスルガ台画廊は床が黒っぽい色なのが特徴的な空間で、そこで観る鴻崎さんの絢爛絵の濃厚な世界、また違った雰囲気が醸し出されるのでは、と興味津々です。
 
今回の鴻崎さんの個展では、近作の岩彩によるものに加えて、それ以前の油彩の大作も展示されていました。油彩のほうも岩彩のとテーマはほぼ同じであり、金箔も大胆に使用されていながらも、絵の具の質感からか、どこか西洋的な風合いが感じられたのが興味深かったです。 そして、その油彩の作品と同時に岩彩の作品が展示されることで、鴻崎さんのスタイルの変遷もよく伝わってきます。絵の具の違い以外にも、箔には立体感が与えられているところやコラージュ部分も「貼り」から和紙にダイレクトにプリントされていたりと、しっかりと発展しているのが分かって面白いです。
 
「ヒエロニムス・ボスっていう15世紀のオランダの宗教画家の『快楽の園』っていう祭壇画があるんです。天国、現世、地獄と分かれていて、その中央にある絵が人間が混沌と渦巻くような感じでいるような絵で。そのなかにいろんな掛け合わせの生き物もいるんですけど、なんかこう地獄とも天国ともつかないような、男女入り乱れた感じでなにもかも溶け合わさっているような面白い絵なんですけど、その絵をちょっと現代的に、自分なりに描けたら面白いかなと」

−その『快楽の園』の時代だと存在するものが限られていて、自然物とそれに準じるものしかなかったと思うんですけど、今だと作ったものがそれこそいろいろあって、鴻崎さんの作品の中だと宇宙船だったり...混沌とした感じは今の感覚で描くとがらっと変わって面白いアプローチになるんでしょうね

「そうですね、面白いことに、ボスの絵の中にも『生命の泉』という植物同士を掛合わせたモチーフが背景などに配置されてあるのですが、形がとても近未来的に見えて、それがあたかも現代の宇宙船に似ているんです。あと写真だったり、パソコン自体も昔はなかったものだし、パノラマ的な絵というのは日本古来も屏風絵、南蛮屏風に描かれてきたものなんで...そういうものとボスの絵って以外と同時期に描かれているんです。世界的に同時にこういう絵が描かれてた事実も面白いな、というのもあって、古今東西和洋関係なくひとつの画面に詰め込んで面白い絵が描けたらいいなと」

−今回嬉しいのが、以前のオイルの作品と今の岩彩のとが並べてあることで。思ったより差があってびっくりしました。特に箔の使い方が...

「最近、油絵具は自分の癖を強く感じるほど、観念的な扱い方をしてしまいがちだったんですけど、岩絵の具だと新鮮に扱えているというのがありますね。岩絵の具は発色の強いところや質感が独特で砂絵に近い感覚だったり、あと僕の絵はコンピュータで出してるんで出力したときのドットが岩絵の具の粒子の荒さと近かったり。こういう調子もちょっと新鮮だったりしますね」
「(岩絵の具は)インパクトの強い絵の具でもあるし、箔との相性がいいというのもあるし、油絵科に10年ほど在籍してて、とりあえずしばらく封印してもいいかなっていうのがありまして」

−一旦リセットして、また油絵具という素材に新鮮味を感じるようになってきたらまた描く。

「使うでしょうね、また必要であれば使いたいなとは思うんですけど」

−オイルと岩彩とは画面の質感もかなり違ってくるし、同じ感じの雰囲気を描いていても油のほうがもっと西洋っぽい感じがして、岩彩の作品だと箔の盛り上げもあって。あと箔の使い方も変わってきてますよね。

「油彩の頃は、箔は割とシックな感じで使ってますよね」

−今の作品では、箔の模様の部分だけでもバリエーションが増えてたり。

「最近は工芸的な仕事と、空間をどう描いていくかという仕事と分けて考えています。ちょっと前までは工芸的になり過ぎるのは絵として危険なんじゃないかとか、絵の空間性を大事にしていかなきゃって時期があったのですが、最近は工芸的な仕事と絵な仕事を両立させたほうが、観てる人にも単純に絵の楽しさが伝わるのかな、と。自分の絵では『絵としての分かりやすさ』をいちばん打ち出していかなきゃいけないと思うので」
「工芸も奥が深いしいろんなバリエーションもあるし、そういうのも勉強していろいろ見て参考にしていこうと。工芸はいいものしか残っていないので、そういう伝統からいろいろ(アイデアを)盗むのも面白いかな、と思うんです」

(3/18、銀座スルガ台画廊にて)


こんどうあや個展 「BAROQUE PIANICA」
新宿エリア 2/16-3/14 11:00-20:00 B GALLERY Googleマップ
 
2期続けてB Galleryで開催されるこんどうあやさんの個展、今回はシンガーソングライター「生(イクル)」さんをフィーチャーした展示だそうです。こんどうさんがデザインしたCDのジャケットの原画などが出展されるそうで、今回は版画作品の展示に重きが置かれたものになりそう。音楽がテーマということも今回の展示の楽しみのひとつで、2/19(日)にはオープニングイベントとして「生」のライブも行われるそうです。いずれにしても、六九狂木版こんどうあやさんの弾けた木版画の世界、ぜひ御堪能あれ!
 
 
当初予定されていたのとは方向性が変わって、こんどうあやさんの過去の作品から新しいものまでをずらりと並べて壁中を埋め尽くしたちょっとした回顧展状態となっていて、独特の雰囲気を醸し出すこんどうさんの木版画がたっぷりと堪能できる嬉しい展示となっています!
まず、ギャラリーの正面の壁中央にどんと展示されている大作「武蔵野エレジー」がすごい迫力で視界に飛び込んできます。画面いっぱいに摺られた雨、右下に顔を覆ってうずくまるショートカットの女性。シンプルな構図がまるで映画の一場面のような衝くような悲しみの雰囲気を際立たせている、深い作品です。そこから横に広がるように、こんどうさんがこれまでさまざまな形で発表された作品がずらりと。墨の大胆な滲み、彩色のふわっとした鮮やかさ、そして何よりも取り上げるテーマのオリジナ リティ、オートバイや蚊取り線香をくわえた女の子など「これを木版画で表現しましたか!」という、気持ちを高ぶらせてくれるこんどうあやワールドがひとつひとつの画面に溢れています。
そして今回も前回に引き続きこんどうさんが実際に使用されている作業台もいっしょに置かれていて、これが空間の中で、前回とは違った意味でかなり効果的に感じられたのも興味深いです。

2/19のオープニングパーティーでは女性シンガー「生(イクル)」のライブも。
ギャラリーの真ん中に据えられたキーボード、椅子に腰かけて黒のワンピースに裸足で「武蔵野エレジー」を背に歌う生さん。ちょっとのどの調子がよくなかったそうなのですが?深い歌声でゆったりとした曲が歌われて、それが特に背にした「武蔵野エレジー」に時間という要素を与え、強く降り地面を叩く雨の音や女の子の嗚咽も聴こえてくるような感じがして...心に残る時間を過ごせました。
 
「思いがけず回顧展になってしまったんで申し訳なくて(笑)」

冒頭からいきなり「お詫び」で始まった(笑)今回のインタビュー。こんどうさんのこれまでの作品が一挙に堪能できて、刺激に富んだ展示になっているのですが、その経緯にはいろんな気持ちの流れやタイミングがあったようで。

「人との関係を見直したいし、組み換えたかったっていうのもある展示だと思うんです。今回も新しい作品で全部行こうかと最初は思ってたんですけど、なぜか身体が動かないんですね...いつもと違っておかしいなあと思っていて。たぶん心境や考え方の変化が劇的に起こっているのにも関わらず、昔のやり方で突っ走ろうとしていることへの違和感みたいなものが発生していたんだと思うんですよ。木版画家として6、7年やってきたんですけれども、その中の過程で『何を取捨選択するか』を一回省みる時期に来ているような気がして。なので今回は墨を使っていた初期の作品も思いきって展示してます。中でも『武蔵野エレジー』っていう大きい作品があるんですけど、あれなんかもう大きさとか物理的な面もあって二度と出すまいと思っていた作品なんですね。でも、この作品を敢えて出したことは自分の気持ちの移り変わりをきちんと把握したいって気持ちを特に象徴したと思います。今回の展示を例えるなら『おもちゃ箱』だって思うんですけど、いろんな時期の作品を一堂に出すことで、私は変わらない自分の本質を見たかったんでしょうね」

−アーティストとしての芯になっている部分の再確認。

「そうですね、まさにその言葉だと思います。たとえるなら時計の文字盤の1から12までの数のうちで欠けてるのがあるんじゃないかって気がしたんですよ。これまで着色の少ない初期からカラフルな色使いの現在までいろいろやってきてるんですけど、ひょっとしたら3が抜けてるかも、とか7が抜けてるかも、ということを無意識に意識し始めちゃっているんじゃないか、って感じるんですね。だから一堂に並べた中で『あ、そういえばこの展開をやってなかったな』というのを見つけたかったという、ある意味メンテナンス作業でもあると思います。」

−観る側からしてみると、ないものを期待するというか、その続きが期待できるような感じになってるかも知れないですね。

「そうですね。あとは、私の作品を観てきてくれた人が何を感じてくれるかを率直に知りたい、というのもあったかも。回顧展にすると決めてすごく意外だったのが、みんな新作を観たがると思ってたのに、過去の作品を観たいって人が意外に多かったことなんです。過去も未来も一緒くたのごちゃごちゃな展示をするってことは実は私の中でいちばん許せないことだったんですよ。ひとつの展示に対して、タイトルを決めて、それに沿ってひとつのテーマで押していく...私は展示するにあたって、まず展示会場はインスタレーション的に1作品として捉えられるべしと考えていたし、さらにひとつひとつの作品としても記憶に残るものでありたいっていう、一つで二つを求めていたんですね。『こんどうあや次はどんな展開で行くの?』という期待に応えられるように、いつも楽しんで見せようっていうエンターテイナーっぽい自分が常にいたんですけど、そうじゃなくてもいいのかな、っていう割り切りも出来たんでしょうね。混沌としてても私は、私、みたいな」

「今回もアトリエの空気感を引き続き見せているんですけど、それは、前回の「Marian Bootleg」が自分の中の言葉とか感情面で現される私のアトリエであれば、今回の展示はひょっとしたら実際に作業している人間としてのこんどうあや、という割り切った思い...『仕事場』(を提示している)という感覚にすごく近いかも知れないですね。あと、知り合いの作家でいろんな人が自由にアトリエに出入りできるようにしてる方がいて、あ、そういう開けっ広げで、というのもいいんじゃないかな、とも思ったんです」

−前回のがイメージが具現化される感じだったのが、今回のを見るとそれがさらにはっきり分かる感じがしますね。

「両方合わさってやっと私なんでしょうね、きっと。前回はアトリエの中を満たしている私の考え方、思考回路だったりとかそういうものが出ていて、今回は、私のアトリエで作っている実際にある作品で固められていて。どっちも内面を通して出てきたものには変わりはないんですけど、そういう違いがあるかも知れないですね。で、内と外との調和を求めつつ、しかも新しい作風の世界に飛び出していくため、という意味をこめるかのように「BAROQUE PIANICA」っていうタイトルになったんだと思うんですよ。「バロック」って歪んだ真珠って意味なんですけど、そのときそのときの自分のリアリティギリギリのところで『これは絶対に今の自分だ』ということを確認しながら作ってきた作品を、時系列に並べるんじゃなくて空間を埋めるパズルのように並べていったので、それでちょっと空間に『歪み』が出ている。その歪みの感じを私も会場に何度も足を運んだり、観に来てくれる人といろいろ話したりすることで、自分の中で取捨選択すべきものは何なのかということを知っていくと思ってます」

−今回の展示で、こんどうさん自身もいろいろと見つけていくという。

「そうですね。そうなっちゃうかもしれない」

B Galleryでは階段に設置されているショーケースも展示スペースとなっているのですが、今回の展示では、それぞれの棚に音楽をテーマにした版画が飾られていて、そちらも見どころのひとつになっています

「この次の展開として、コラボレーションするんだったら、CDのジャケットとか、音楽的な要素と絡んで何かできたらいいなあ、という欲がでてきたんです。それで(階段の)あの棚たちは音楽でまとめてみようか、と。『お仕事ください!』みたいな(笑)」

−ちょっとした『こんどうあやプレゼンテーション』ですね(笑)。

「そうですね(笑)」

(2/18、B Galleryにて)


辻恵子 切り絵 小品展「シンブンシ」
その他エリア 2/17-2/28 14:00-23:00
(土/日12:00-23:00)
水/木休
cafe & gallery
ひなぎく
Googleマップ
 
昨年末にギャラリーf分の1で拝見した辻恵子さんの切り絵、今回は優しさがいっぱい詰まったカフェ「ひなぎく」での個展です。カフェのなかに併設されたちいさなスペース、使い込まれた木の空間のあったかい雰囲気が心を落ち着かせてくれるギャラリーです。ここで辻さんのあのコミカルな作品が展示されると思っただけで、ワクワクしてきます。きっとお互いが心地よく響きあったステキな空間になるはず。「ひなぎく」といえば僕はここのあずき茶が好きで、オーガニックな食事やお茶もぜひ味わってほしいです。
(展示をご覧になるにはお茶代、お食事代がかかります)
 
こういうふうに、期待以上に期待通りの空間に出会えると、ホントに嬉しくなります。 落ち着いたカフェの明かり、片隅にちいさく区切られたスペース。そこに、何の気取りも衒いもなく、自然に飾られた辻さんのかわいい切り絵。新聞紙や広告紙の見出し文字から、気まぐれに動かしていったハサミが連れてきたちいさな人たち、彼らは今回もやっぱりアクロバティックな出で立ちがユーモラス。やわらかい色調の額のカラフルさも、空間にやさしいアクセントとなっていました。ホットのあずき茶をいただいて、心もからだもあったかくなって幸せな気分で。

櫻井美幸”盲亀の浮木”
銀座Aエリア 2/6-2/25 12:00-19:30 (L-17:00)
日/祝休
ギャラリー本城 Googleマップ
 
 
小さな画面におさめられたポートレート。油彩の作品で、油絵具の油の質感、光を反射しててらてらと輝く様子も味わいへと昇華されたような、押し付けがましくはないけど落ち着いた説得力がある作品です。描かれる人々の表情もいい。加えて面白いのが、髪の描かれ方。黒、白、ブラウン、グレーなどの多種類の色が使われていますがまったく不自然さは感じられず、むしろ表情の豊かさを引き立てているようにも思えます。

ARTRONIK
六本木エリア 2/25 19:00-
charge:\2500
六本木Super Delux Googleマップ
 
さまざまなジャンルのアーティストが集うイベント。僕が大好きなアーティスト、神田サオリさんがライブペインティングを行います! 2005年のB Galleryでの個展ではていねいな筆使いの妖艶な作品が展示されていて強く印象に残っていますが、ライブペイントになると一転、刷毛や筆を片手に天真爛漫に画面に立ち向かう姿は痛快!神田さんのライブペイントはイベント中ずっと行われるようなのですが、今回のイベントでは神田さんがジャケットを手掛けた林明日香さんとのコラボレーションも実現するとのこと!時間はおよそ22:00〜23:00の予定だそうです。こういう形でアートに触れるのもいい!
<出演>
林明日香 (singer)
/ Kaska (live unit) / ANXIEUX (live unit) / 神田サオリ (painter)
INCABLOCK (VJ) / Wombat & Co. Film (VJ) / コニシカツジ (photo)
 
 
僕がSuper Delaxに着いたのが8時半頃、入口のちょうど向こう側の壁に大きな画面が吊るされ、そこで神田さんがライブペイントを敢行中。背中の大きく開いた黒のドレスを纏った神田さん、僕が最初に拝見した時点ではまだ下地の色が若干残っている状態、大きめの刷毛とタオルとで彩色されていて、画面から白と黒の色彩が湧くような感じ。そこからだんだんと画面が白と黒とで埋まっていきます。会場に鳴るグルーブが激しいときは白の上に黒を、黒の上に白をという具合に大胆に色が重なり、繊細な音の時は画面に緩やかな曲線が流れていきます。 刷毛をちいさなものに持ち替えてからのペインティング、そこから神田さんの真骨頂!それまでの白と黒がぶわっと煙るようだった画面に繊細な線がするすると描き加えられ、どんどん絵が「咲いて」いくのです。妖婉さが増し広がっていきます。 広い画面のそこかしこが大きく咲き乱れ神田さんの世界がほぼ創造されたところで、ステージに林明日香さん登場。神田さんと対をなすような白のセパレートを着て、鍵盤とアコギとのサポートで、小さい身体からは想像できないくらいに低く深い歌声で。 名前は知っていましたが、初めて生でこの声を耳にして、16歳とはとても信じられないくらいの力強さに驚きました。ホント、すごかった。 林さんの圧倒的な歌声が響き渡る中、突如神田さんが画面中央に光の塊を想像させる球体を描き加え始めます。何かに憑かれたように一心に...最初は白で描かれていたその球体に、はじめて白と黒以外の色、金色が投げ入れられ、妖艶な線のなかにそこだけが違う輝きを帯びていって...3曲目が終わって神田さんに声をかけられた林明日香さんはステージを降り、その絵の前で最後の1曲を熱唱。感動。
神田さんがアート、林さんが音楽、これでアートと音楽のコラボレートといってしまうのは申し訳ないな、と...音楽とかアートとかに関係なく、お互いが創るものを認めあい、ポジティブなイメージを与え合える最高の関係がそこにあって、そこから生まれた今回のコラボレーション。
描き終わったあと、神田さんがそれまでの4時間版に及ぶ相当な集中から解放されてたくさんの方と接するときの笑顔がまた、達成感に溢れていてすごくいい表情だったのも印象的で。 ホントにこの場にいたことに感謝したい一夜でした。

アマヌマ アキ ガラスの影絵展
神宮前エリア 2/6-2/11 12:00-19:00
(L-17:00)
表参道画廊 Googleマップ
 
 
薄いベージュが入った感じの白いパネルに溝が彫られていて、そこにガラスの板が並べて嵌め込まれているユニークな「半立体」の作品。アマヌマさんは平面のイメージとのことですが、展示されている作品を拝見するとそれも納得。照明を受けて、ガラスのシルエットが画面にさまざまな形を映し出していて、その未来的な感覚がすごく面白い!等間隔に並べられたガラスの板が織り成す模様も、円やスパイラルといった曲線、整列しているもの、何かのかたちを連想させるものなどがあり、さらに並びによってガラスの板の高さも変化がつけられています。また、小さい作品が壁にランダムに並んでいたのも、それぞれ画面の中のガラスの配置が違っていて、そういうところから「動き」のようなものも感じられました。作品の特性から、色がついた照明が当てられるとまた劇的に見え方が変わるでしょうし、いろんな想像が湧いてくる興味深い展示でした。

羅針盤セレクション HOPE 2006 ー様々なニホン画ー
京橋エリア vol.1 1/30-2/4
vol.2 2/6-2/11
11:00-19:00 (L- 16:30)
日休
アートスペース羅針盤 Googleマップ
 
 
 
たくさんの日本画作家の小品が集った展示です。2週続けて拝見して、特に印象に残ったものを。
井上恵理さんの作品、ポピー、アマリリスといった洋風の花が描かれていて、その描写も相当なていねいさですが、それに加えて画面に織り込まれたメッシュ地の布がアクセントになっていて面白いです。
小田恵理子さんが描いているのはなんとも奇妙な世界です。機械的でありながらもどこか有機的な感じの面であったり、模様が異様に鮮やかな蛾であったり。なぜだか心に引っ掛かります。
高宮城延枝さんは、今回出展された中でもっとも「まっとう」な日本画、と感じました。霞がかったような林、木の枝の先の新芽。渋くも実に雰囲気のある作風です。
そして、坪田純哉さん。アクリルケースがかぶせてあったふたつの作品は、対をなすような色彩。一方は深い青、もう一方は鮮やかな暖色が折り重なるように。どちらも小さな画面の抽象画で、とにかく奥行きの美しさが感動的でした。

大竹敦人  視点と視線の海へ
荻窪エリア 1/28-2/12 12:00-19:00
火休
遊工房アートスペース Googleマップ
 
 
小学校の講堂を思わせるような、ちょっと変わった独特な雰囲気があるギャラリー。正午頃にお邪魔したのですが、大きめの窓からたっぷりと注ぐ自然光、そんな明るい空間に、一部が平らに切り取られた大小の無色透明のガラスのボールが配置され、それぞれの球体の内側から手グスがちょうど切り取られた面の中心で交差するようにして、壁、あるいは天井まで伸びていました。この時間に観たせいか、かなりポジティブなイメージが喚起されるようなインスタレーション。これらは大竹さんが製作される、球体に写し出されたピンホールカメラの仕組みからインスパイアされたようで。その写真作品も会場の一角に展示されていたのですが、一見よく分からないもの、しかしちゃんと観ると景色や女性が写っていて、モノクロということもあってか、若干のアバンギャルドな風合いとともにユニークな美しさも感じられました。
 
大竹敦人さんの創作活動の中で大きなウェイト占めている『球体写真』。これは人間の眼球からインスパイアされたものとのこと。そこから派生する、大竹さんが持つイメージの提示方法のひとつとして、今回のインスタレーションが生まれた、という感じのようです。

「球体写真、これは普通に考えると原理上はできないんですよ。針穴から印画紙やフィルムまでの距離が変わると露光時間も変わってくるんですよ。近くて光が強いと露光時間は短くなって、遠ければ遠いほど長くなる。でも『球』はそれぞれの地点までの距離が違いますよね。でも、(実際に作品を)ご覧いただければ分かるのですが、均一に露出させることができて。上下左右、360°全部写し出せていて、このあたりは大変特種だと思ってます」
「展示のアイデアはその場所から出てくるんですよ。まず展覧会をやるとか、『作りたい』という欲求といった機会が自分に訪れて、そういったものが画廊の空間や通り過ぎた風景と関わって閃きが生まれるんです」
「僕は単なる『球体写真職人』ではないから(笑)、いろいろと展開していかないと、と考えています。(さまざまな制作活動の)軸には映像のこととか、『見る』ってことに対する興味があって、いろいろ試行錯誤しているわけなんですけど。今回の展示で大きなキーワードになっていたのが『投影』ということです。ある作品では、ガラスの球体の内側に『円』を作って、それを球体の内側から外へ投影させているイメージなんですよ」

−眼球の内側から外へ向かう感じ。

「この作品に関してはそういうイメージがあって、だけどそれ以外のものは、ここ(の空間)の物質的な印象から球の中へ投影されるようなイメージ。この手法自体今回はじめての試みなのでもっと展開できると思っていますが、これをやってみて感じたのは、眼球から意識が投影されていく、目の中に吸収されていくイメージが具体化することができたのかな、と」

−この(ガラスの球体の切り口にある、糸が交差している)点が大事なんですよね。

「ピンホールカメラって穴が大きくなればなるほど像がぼやけて、小さいと像がどんどんシャープになっていくんですよ。この展示をやってみて自分でもそれがよく分かって球が切り取られた部分に穴の開いた紙を当てて紐の位置を決めるんですけど、この穴が大きいと紐が交差する部分のズレがそのぶん大きくなって、それが映像自体のズレにも繋がる、小さければシャープに関係が成立していく...頭の中でのイメージが、実際にやってみるともっと伝わりやすい形になってくるじゃないですか。(張られた紐のようには)光の線なんて実際に見えるわけがないですし、こういうことをやってみて、ピンホールの大きさによる差異が出るということが改めて分かりましたね」
「この空間の景色から(紐を張る)ポイントを決めているのも多いので、その景色の形が相似形で縮小されて(ガラスの球体の内側に)再現されているわけですよ。紐が一点で交差することでもちろん逆転してますけど、このシステムで空間の新しい見方というか、『こういう造形もあったんだ』ってことに気付かされました。もっと紐の数を増やしていくことでより彫刻的なものも提示できるのかな、とも思いましたね」

−やってみて気付くことも多いと(笑)。

「いっぱいありますよ(笑)。こういうのをイメージしてドローイングはするんですよ。でもやっぱりドローイングは結局自分のイメージのみで描いてますから、実際にこうやって見ると、ぜんぜん違いますね」

ところで、3/18から4/4まで、ギャラリー同潤会で大竹さんの個展が予定されています。

「『光闇の器』っていうシリーズをやろうと思ってて。球体写真は写真として定着していますけど、もっと現象自体を見せていこうってことで、(ギャラリー内を)暗室にした状態で...ギャラリー同潤会の窓からは表参道が見えて、人通りが激しく車も通ってて活気もありますし、あそこの風景を飽きずに見ていられるようなところで、実際に風景をリアルタイムで球の中に映していくような感じで作品を作りたいな、というふうに思ってます」

−イメージとしては眼球の中に入る感じ...

「眼球の裏から見てる感じです。リアルタイムで人が動いてたり車が通ってたり、という状況が見て取れる、という感じですね」

(2/12、遊工房アートスペースにて)

 
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