●東京地裁判決(1997.5.26)二審判決(2001.9.5)はこちら
主文
事 実 及 び 理 由
第一 請求
第二 事案の概要
第三 争点についての当事者の主張
一 本訴関係
1 原告の主張
2 被告丁の主張
3 被告丙の主張
4 被告ニフティの主張
二 反訴関係
1 被告丁の主張
2 原告の主張
第四 当裁判所の判断
一 前提事実
1 ニフティサーブの概要
2 本件各発言が行われるに至った経緯
3 被告丁による本件各発言
4 本件各発言と本件訴訟に至るまでの経緯
5 (見出しなし)
二 本訴関係の争点(右第二の二1)について
1 争点1(一)(本件各発言が原告の名誉を毀損し、不法行為となるか否か)
について
2 争点1(二)(被告丙の責任原因)について
3 争点1(三)(1)(被告ニフティの責任原因・使用者責任について)
4 争点1(四)(損害額及び謝罪広告掲載の要否)について
5 まとめ
三 反訴関係の争点(右第二の二2)について
第五 結論
本訴・平成六年(ワ)第七七八四号損害賠償請求事件、反訴・平成六年(ワ)第二四八二八 号損害賠償請求事件(平成八年六月一七日口頭弁論終結)
原告(反訴被告) 甲 (以下「原告」という。) 右訴訟代理人弁護士 同 同 右訴訟復代理人弁護士 +−−−−−−−+ |平成九年五月 | |二六日判決言渡| |同日原本領収 | |裁判所書記官 | +−−−−−−−+ 一 頁 被 告 ニ フ テ ィ 株 式 会 社 (以下「被告ニフティ」という。) 右代表者代表取締役 乙 右訴訟代理人弁護士 同 被 告 被告丙 (以下「被告丙」という。) 右訴訟代理人弁護士 同 二 頁 被告(反訴原告) 被告丁 (以下「被告丁」という。) 右訴訟代理人弁護士 同
一 被告らは、原告に対し、各自金一〇万円及びこれに対する平成九年五月二 七日から支払ずみまで年五分の割合による金員の支払をせよ。 二 被告丁は、原告に対し、金四〇万円及びこれに対する平成九年五月二七日 から支払ずみまで年五分の割合による金員の支払をせよ。 三 原告のその余の本訴請求をいずれも棄却する。 四 被告丁の反訴請求をいずれも棄却する。 三 頁 五 訴訟の総費用は、原告に生じた費用を五分し、その四を原告の負担とし、 その余を被告らの負担とし、被告らに生じた費用はそれぞれの被告らの負 担とする。 六 この判決は、原告勝訴部分に限り、仮に執行することができる。
一 本訴関係 1 被告らは、原告に対し、各自、金一〇〇〇万円及びこれに対する平成九年 五月二七日から支払ずみまで年五分の割合による金員の支払をせよ。 2 被告らは、原告に対し、商用ネットワーク・NIFTY−Serve(以 下「ニフティサーブ」という。)上に、別紙一の第一項記載の謝罪広告を、 四 頁 同別紙第二項記載の掲載条件で掲載せよ。 二 反訴関係(被告丁の請求) 1 原告は、被告丁に対し、金二〇〇万円及びこれに対する平成六年一二月二 〇日から支払ずみまで年五分の割合による金員の支払をせよ。 2 原告は、被告丁に対し、ニフティサーブ上に、別紙二の第一項記載の謝罪 広告を、同別紙第二項記載の掲載条件で掲載せよ。
一 当事者及び本訴反訴の主張の概要 1 当事者 (一) 被告ニフティは、パーソナルコンピュータ、コンピュータ等の装置間の 通信(以下「パソコン通信」という。)を主体とした一般第二種電気通信 五 頁 事業及び関連情報処理サービス業等を営む会社であり、パソコン通信ニフ ティーサーブ(ママ)の主宰者である。 (二) 原告は、平成元年四月にニフティサーブの会員(以下、単に「会員」と もいう。)となり、「Cookie」とのハンドル名(ニフティサーブに おいて、自己を表示するために用いる名称)を用いていた者である。 (三) 被告丙は、平成五年一一月ころから(丙三、被告丙本人。ただし、 契約書〔丙一〕は一〇月二五日付け。)、ニフティサーブの現代思想フォ ーラム(略称・FSHISO。以下「本件フォーラム」という。)のシス テム・オペレーター(SYSOP。フォーラムマネージャーともいう。以 下「シスオペ」という。)を担当している者である。なお、シスオペとは、 被告ニフティとの間の契約に基づき、同被告から、ニフティサーブ中の特 六 頁 定のフォーラムの運営・管理を委託されている者をいう。 (四) 被告丁は、「気が小さい李」及び「LEE THE SHOGUN」と のハンドル名を用いていたニフティサーブの会員である。 2 本訴関係の主張の骨子 (一) 被告丁は、本件フォーラムに設置されている電子会議室に、別紙発言一 覧表(一)ないし(四)の各「発言番号」 欄記載の発言番号を付された文章(これらに対応する「名誉毀損部分」欄 記載の各文章を含むもの。なお、一つの発言番号を付された文章全体を指 して、以下「発言」といい、これらの各発言を総称して、以下「本件各発 言」という。)を書き込み、原告の名誉を毀損した。 (二) 被告丙は、本件フォーラムのシスオペとして、本件各発 七 頁 言を直ちに削除する等の作為義務があったのにこれを怠り、右各発言によ って原告の名誉が毀損されるのを放置した。 (三) 被告ニフティは、ニフティサーブの主宰者として、被告丙を指導し、 本件各発言を削除させるか、自らこれらを削除すべきであったのに、これ らの措置をとらず、右各発言によって原告の名誉が毀損されるのを放置し た。また、同被告が、被告丁の本名、住所等を開示するようにとの原告の 要求に応じなかったため、原告の損害が拡大した。 (四) そして、原告は、右(一)のような主張事実を前提として、被告ら各自に対 し、(1) 慰謝料一〇〇〇万円及びこれに対する平成九年五月二七日(本判 決言渡しの日の翌日)から支払ずみまで民法所定年五分の割合による遅延 損害金の支払、並びに、(2) ニフティサーブ上への謝罪広告の掲載を求め 八 頁 ている。なお、原告の、被告丁及び同丙に対する請求は、いずれも不法 行為に基づくものであり、被告ニフティに対する請求は、右(1)については 使用者責任又は債務不履行(安全配慮義務違反)、右(2)については使用者 責任に基づくものである。 3 反訴関係の主張の骨子 被告丁は、原告が、本件フォーラムにおいて、 (一) 被告丁をいわゆる村八分にして同被告の名誉を毀損した (二) 被告丁の職場でのトラブルを暴露して、同被告のプライバシー権を侵害 した などと主張して、原告に対し、不法行為に基づき、慰謝料合計二〇〇万円及 びこれに対する反訴状送達の日の翌日である平成六年一二月二〇日から支払 九 頁 ずみまで民法所定年五分の割合による遅延損害金の支払、並びに、ニフティ サーブ上への謝罪広告の掲載を求めている。 二 争点 1 本訴関係 (一) 被告丁の本件各発言によって、原告の名誉が毀損されたか(全被告関係)。 (二) 被告丙の責任原因(被告丙及び同ニフティ関係) (三) 被告ニフティの責任原因(被告ニフティ関係) (1) 使用者責任 (2) 債務不履行責任(安全配慮義務違反) (四) 損害額及び謝罪広告掲載の要否 2 反訴関係 一 〇 頁 (一) 後記スクランブル事件(第三の一2(一)(2)<3>)によって、被告丁の名誉が 毀損されたか。 (二) 原告が、被告丁のプライバシー権を侵害する書き込みをしたか否か。 (三) 損害額及び謝罪広告掲載の要否
(一) 被告丁の責任 (1) 原告は、ニフティサーブで会員情報を公開していたほか、被告ニフテ ィが発行する雑誌「ONLINE TODAY JAPAN」の平成五 年九月号においては、「Cookie」が原告であることが明らかにさ 一 一 頁 れていた。また、原告は、ニフティサーブのオフラインパーティー(会 員を集めて開催されるパーティー)にも積極的に参加し、自己のID番 号を印刷した名刺を多数の者に配付していた。さらに、被告丁も、その 発言中で、「Cookie」が原告であることを明言していた。これら の事情に照らすと、本件フォーラムに参加したニフティの会員なら誰で も、「Cookie」が原告であることを知り得たというべきである。 したがって、本件各発言によって、原告の社会的評価が低下し、その名 誉が毀損されたことは明らかである。 (2) 被告丁の責任 被告丁は、故意又は過失によって、本件各発言を本件フォーラムの電 子会議室に書き込んだものであるから、不法行為に基づき、原告の損害 一 二 頁 を賠償する責任がある。 (二) 被告丙の責任 (1) <1> 本件フォーラムのシスオペである被告丙は、被告ニフティとの 間のフォーラム運営契約によって本件フォーラムの運営・管理を委ねら れており、他人を誹謗中傷するなど会員規約に違反する発言を削除する こともできる地位にあること、<2> これに対し、右のような発言によっ て被害を被った者には、有効な対抗手段が与えられていないこと、<3> ニフティサーブの会員規約、フォーラム運営契約書(丙一)及びフォー ラム運営マニュアル(丙二。以下「運営マニュアル」という。)の記載 内容に照らし、ニフティサーブにおいては、他人を誹謗中傷するような 違法な発言については、原則として削除することがルールとして確立さ 一 三 頁 れていたというべきこと、<4> 被告ニフティは、会員に対し、フォーラ ムに書き込まれる発言を常時監視すべき一般的注意義務を負うと解すべ きところ、被告丙は、被告ニフティに代わってフォーラムの運営・管 理を行っている者であるから、被告ニフティと同様の義務を負うものと 解すべきこと(被告丙及び同ニフティは、被告丙の注意義務の存否 について、作為義務の存否の観点からのみ論じているが、それだけでは 不十分というべきである。)等を総合すると、被告丙には、本件フォ ーラムの電子会議室に書き込まれた発言が他人の名誉を毀損しないかを 常時監視し、そのような発言が書き込まれた場合には、これを削除した り、右発言を書き込んだ会員を直接指導するなどして、右発言の有線送 信を未然に停止し、また、当該会員に、その後さらに他人の名誉を毀損 一 四 頁 する発言を書き込むことを止めさせ、これによる損害の発生、拡大を防 止すべき義務があったというべきである。 (2) ところが、被告丙は、原告の名誉を毀損する内容の本件各発言の存 在を、これらが書き込まれる毎に知りながら、これを削除せず放置した。 その結果、本件各発言による原告の損害が拡大したものである。 (3) したがって、被告丙には、不法行為に基づき、原告の被った損害を 賠償する責任がある。 (三) 被告ニフティの責任 (1) 使用者責任 <1> 被告ニフティは、本来自ら行うべきフォーラムの運営・管理の業務 を、シスオペに委託して行わせているものであるから、右(二)の被告丙 一 五 頁 の不法行為は、被告ニフティの事業の執行につきされたものである。 <2> そして、フォーラム運営契約(丙一)、運営マニュアル(丙二)に よれば、シスオペは、第三者に対する誹謗中傷等を内容とする文章が 書き込まれた場合の対応については、被告ニフティに対する連絡や、 右発言を削除するか否かの判断、処理について、被告ニフティから詳 細な義務を課せられており、また、シスオペをフォローするために被 告ニフティがシスオペに対して行った指示にも拘束されると解される。 さらに、フォーラム運営契約では、被告ニフティは、シスオペを解任 することができるものとされており、本件各発言がされる以前にも、 現実に被告ニフティによってシスオペが解任され、同被告の従業員が 当該フォーラムのシスオペを代行したこともあった。これらの事情に 一 六 頁 照らすと、被告ニフティとシスオペである被告丙との間には、使用 者責任の基礎となるべき実質的な指揮監督関係があるというべきであ る。 <3> したがって、被告ニフティは、使用者責任に基づき、右(二)の被告丙 の不法行為によって原告が被った損害を賠償する責任がある。 (2) 債務不履行(安全配慮義務違反) <1> 電気通信事業法一条が同法の目的として「利用者の利益」の保護を あげていること、ニフティサーブ上で被害を受けた会員を保護し得る 立場にあるのは被告ニフティ及び同被告からフォーラムの運営・管理 を委託されたシスオペのみであること、被告ニフティは、会員に対し て有償で各種サービスを提供していることに照らすと、被告ニフティ 一 七 頁 は、会員との間の会員契約に基づく付随義務として、ニフティの会員 が、ニフティサーブの利用により犯罪等の被害に遭遇しないよう配慮 して会員に損害が生じるのを未然に防止し、損害発生を防止できない ときでも損害を最小限度に止めるべき契約上の安全配慮義務を負うと 解すべきである。そして、本件において、被告ニフティが、原告に対 して負う安全配慮義務の具体的内容は次のとおりである。 i 電子会議室に会員の名誉やプライバシーを侵害するような書き込 みがないかを常時監視し、このような書き込みがされた場合はこれ を削除して当該会員の損害を最小限度に押さえるべく努力し、かつ、 かかる不法な発言をした会員を適切に指導する義務 ii ニフティサーブ上で名誉毀損等の被害にあった会員に対し、加害 一 八 頁 者である会員の氏名及び住所を開示する義務 <2> 履行補助者の故意・過失による債務不履行 被告ニフティは、フォーラムの運営・管理を第一次的にはシスオペ に委託しているから、右<1>の安全配慮義務は、シスオペが被告ニフテ ィの履行補助者として履行することになる。そして、本件フォーラム のシスオペの被告丙には、右(二)(2)のような注意義務違反があるとこ ろ、これは、被告ニフティが右<1>iの義務に違反したのと信義則上同 視すべき行為というべきであるから、被告ニフティは、原告に対し、 債務不履行責任を負う。 <3> 被告ニフティによる債務不履行 i 右<1>iの義務違反 一 九 頁 被告ニフティは、 a 別紙発言一覧表(二)の符号6ないし11の各発言については、原告 が平成六年一月六日付け電子メール(通信回線を通して、特定の 相手方に対して送る手紙のようなもの)で明確に削除を要求して から同年二月一五日までの間、これらを削除せずに放置した。 b 同一覧表(一)記載の符号1及び2、並びに同一覧表(二)記載の符号 1ないし5及び12の各発言については、平成六年になってから、 担当者が被告丁の発言を読んだ際に名誉毀損発言と判断し、直ち に削除すべきであったのに、これを行わず、平成六年五月二五日 に、ようやくこれらを電子会議室の登録から外す処理をした。 c 右a及びb以外の本件各発言については、被告ニフティは、少 二 〇 頁 なくとも訴状送達後、直ちにこれらを削除すべきであったのに、 右bと同様の処理をした。 被告ニフティのこのような行為は、右<1>iの義務に違反するもので ある。 ii 右<1>iiの義務違反 原告は、被告ニフティに対し、平成六年二月一四日付け書面及び 同年三月一〇日付け書面をもって、被告丁の住所氏名の開示を要求 したが、同被告はこれを拒否した。このような被告ニフティの行為 は、右<1>iiの義務に違反するものである。 被告ニフティは、被告丁の住所氏名の開示を拒否した理由として 電気通信事業法一〇四条をあげるが、通信当事者の一方たる原告に、 二 一 頁 他方の通信当事者たる被告丁の住所氏名を開示することは同条にい う「通信の秘密を侵」す行為にはあたらないと解すべきであるから、 同被告の主張には理由がない。 iii そして、右i及びiiの義務違反の結果、本件各発言による原告の 損害が拡大したのであるから、被告ニフティは、原告に対し、債務 不履行に基づき、その損害を賠償する責任がある。 (四) 損害額及び謝罪広告の必要性 (1) 本件各発言の内容はその一つ一つが極めて悪質であること、同一フォ ーラム上に継続、反復して書き込まれていること等に照らすと、本件各 発言によって原告に生じた損害に対する慰謝料の額としては、一〇〇〇 万円が相当である。そして、原告の、被告らそれぞれに対する請求権は、 二 二 頁 不真正連帯の関係にあると解されるから、被告らは、原告に対し、各自、 一〇〇〇万円の損害を賠償する責を負うものである。 (2) また、本件各発言によって、原告が被った損害の回復のためには、被 告らにおいて、ニフティサーブ上に、別紙一の謝罪広告を同別紙記載の 掲載条件で掲載することが必要というべきである(ただし、被告ニフテ ィに対しては、使用者責任のみに基づいて、謝罪広告掲載の請求をする ものである。)。
(一) 本件各発言についての違法性の不存在
(1) ある言動が人の社会的名誉を低下させるものか否かの判断にあたって
は、事実摘示の程度、公益性、行為者とその対象となった者との関係、
二 三 頁
行為時の状況・手段等を検討して、法が名誉毀損として類型的に予定し
た程度の違法性を具備するかどうかを検討しなければならず、また、類
型的には他人の社会的名誉を毀損するものと考えられる場合でも、かか
る行為が、真実を公表するものであって、その他人の行った言動に対す
る反論、弁明としての自己の権利・名誉の擁護を図るものであり、かつ、
その他人の行った言動に対比して、その方法、内容において相当と認め
られる限度を超えない限り、違法性を欠くものと解するのが相当である。
(2) 本件各発言がされるに至った経緯
<1> 被告丁は、平成五年四月ころ、妻のIDを用いて本件フォーラムに
入会したが、右当時、原告は、本件フォーラムに設置されていたフェ
ミニズム会議室において、リアルタイム会議(RT会議。同一フォー
二 四 頁
ラム内に同時にアクセスしているニフティの会員が複数で会話を交わ
すことができる機能。)を主辛するRT要員(リアルタイム会議にお
いて、会員相互の会話を盛り上げるため、運営に協力する会員。)と
いう公的地位にあり、被告ニフティからフリー・フラッグ(FF。特
定のフォーラムへのアクセス中はニフティサーブの使用料金が課され
ない課金免除の地位を表す標識。)を付与されていた。
<2> フェミニズム会議室は事実上原告を中心に運営されていたところ、
そこでは、原告及び原告と親しい会員(以下「原告ら」という。)の
考える「フェミニズム」に異を唱えた会員に対しては、その意見を認
めず、最終的には対話を拒否するという運営が事実上されていた。被
告丁は、原告らが考える「フェミニズム」及び原告らが行っていた右
二 五 頁
のような運営のやりかたを批判したところ、主として原告のシンパで
ある会員から猛反発を受けた。
<3> 平成五年五月七日、被告丁が、本件フォーラムのリアルタイム会議
に参加していたところ、RT要員としてこれを主催していた原告が、
他の参加者に呼びかけ、スクランブル機能(スクランブルモードにす
ることによって、スクランブルモード及びパスワードを知っている特
定の会員のみしかアクセスすることができないようにする機能。)を
用いて、被告丁を、リアルタイム会議に参加できないようにした(こ
の出来事を、以下「スクランブル事件」という。)。また、原告は、
平成五年五月中旬、本件フォーラムのリアルタイム会議において、被
告丁が、以前勤めていた職場において原稿料のことでもめごとをおこ
二 六 頁
した旨の書き込みをして、被告丁のプライバシーを暴露した。さらに、
原告は、そのころ、本件フォーラムに、「部落は怖い。」との書き込
みをした。
<4> スクランブル事件に関して、原告は、多数の会員から批判を受けた
が、右批判に対し、原告は、自分は一般会員であるから、気の合う人
だけで話すためにやるスクランブルは正当であるとの弁明を行った。
しかしながら、原告がリアルタイム会議の主宰者であることは一般に
知られていたため、右弁明によって原告への批判はさらに強まった。
そのためか、原告は本件フォーラムからの撤退を表明したが、その後
の平成五年一〇月ころ、原告は、本件フォーラムに、「朝鮮は怖い。」
旨の書き込みをした。
二 七 頁
<5> 平成五年一一月中旬、原告が運営責任者となって、生涯学習フォー
ラム(FLEARN)の中にフォーラム・イン・フオーラム(FinF。
一つのフォーラム内に独立したフォーラムが設置されるもので、いわ
ば通常のフォーラムに昇格する前の準備段階的なもの。)の形式でフ
ェミニストフォーラム(FFEMI)が設置された。フェミニストフ
ォーラムにおいては、ローカルルール(フォーラム利用者に対して、
当該フォーラムのみで適用される利用方法や発言方法、発言の削除を
含む保守管理に関するルール)によって、あらかじめ発言の内容が拘
束されており、事実、原告の考える「フェミニズム」に批判的な書き
込みは、一方的に削除されるという運営がされていた。
(3) 被告丁が本件各発言を書き込んだ趣旨
二 八 頁
被告丁は、<1> 前記のように本件フォーラムの運営協力者であり、か
つ、フェミニストフォーラムの運営責任者という公的地位にあった原告
が行ったフォーラムの運営方法や、原告の運営責任者としての資質とい
ういわばフォーラムにおける公共的な問題に対する批判、<2> 原告が本
件フォーラムに「部落は怖い。」「朝鮮は怖い。」との書き込みをした
ことに対する抗議・反論、<3> 原告が考える「フェミニズム」「フェミ
ニスト」に対する思想的な批判を目的として本件各発言を書き込んだも
のである。そして、本件各発言より以前に、他の会員からされた穏便な
方法による原告批判が全く効果を現さなかったために、被告丁の発言は、
多少激烈な修辞を用いたスタイルにならざるを得なかったものである。
(4) さらに、本件においては、次のような事情も考慮されるべきである。
二 九 頁
<1> パソコン通信及びコンピュータネットワーク(以下、「ネットワー
ク」という。)においては、会員に関しては、通常、ID、ハンドル
名、書き込んだ日時、文章自体の四つの情報以外は明らかでなく、ま
た、多くの会員が、実社会とは別の人格としてふるまい、複数のID
を取得して複数の人格を演じる者もいる。したがって、ネットワーク
上において、名誉毀損の前提となるその人の社会的評価というものを
観念できるかは疑問である。
<2> また、ネットワーク上に社会的評価を低下させるおそれがある発言
が書き込まれたとしても、これに対しては容易に反論して社会的評価
の回復を図ることが可能である。また、書き込まれた発言を読む他の
一般会員は、当該発言自体が直ちに社会的評価に影響を及ぼすものと
三 〇 頁
は考えず、むしろ、反論、批判こそが重大関心事であって、それらの
反論、批判をも考慮して、当該発言の正確(ママ)を判断するものである。こ
れらのような事情は、会員相互で論争をしながら現代社会の問題や思
想的課題に取り組むことを目的とした本件フォーラムのような場にお
いては、最も顕著に表われるものである。
<3> さらに、本件各発言は、現代社会と思想を扱う極めて特徴のあるフ
ォーラムである本件フォーラムに書き込まれたものである。
(5) 以上のような事情を総合すると、被告丁が行った本件各発言は、いず
れも、法が名誉毀損として類型的に予定した程度の違法性は有しないも
のと言わざるを得ない。
(二) 原告の精神的損害の不存在
三 一 頁
原告は、<1> 平成六年四月五日発行の雑誌に掲載された座談会において、
実名でパソコン通信上の名誉毀損問題について自ちの体験を語っているこ
と、<2> 本訴提起に際し、各種マスコミに対し記者会見を行い、本件各発
言(甲六ないし三二)の写しを配布していること、<3> 「婦人新聞」平成
六年六月二五日号に実名(全身の写真付き)で登場しており、記事の中に
は被告丁の発言の一部が具体的に引用されていることに照らすと、本件各
発言によって、原告が精神的損害を被ったことはないものというべきであ
る。
(三) まとめ
以上のとおりであるから、被告丁に対する原告の請求は失当である。
三 二 頁 (一) 予見可能性及び予見義務について (1) 予見の困難性 <1> パソコン通信の歴史は浅く、そこで行動する人々の行動様式や行 動原理は経済的合理性に基づかないことが多い。また、<2> 名誉毀損に よる不法行為では、損害の内容が人の社会的名誉であって、損害発生の 予見は困難であるうえ、ネットワークにおいて、金銭で填補されるにふ さわしい社会的評価の低下があり得るかは不明である。さらに、<3> 被 告丙は、本件フォーラムで活動している者に関する情報として、書き 込まれた文章、右文章が書き込まれた日時、ID番号、ハンドル名のみ しか与えられてないうえ、一人で多数のIDを保有したり、一つのID 番号を多数人が使用したりする者もいる。また、<4> 被告丙の本件フ 三 三 頁 ォーラムへの関与は留学していた期間をはさんで限定されていたこと、 本件各発言は、同被告が留学から帰国して本件フォーラムのシスオペに 就任した一か月後から書き込まれたこと、同被告は、シスオペを行うた めの実費用に満たない程度の報酬を被告ニフティから受け取っていたに すぎず、本業の傍ら、基本的にはボランティア的にシスオペを行ってい たことに照らすと、被告丙に過重な予見義務を課すことはできないと いうべきである。以上のような事情に照らすと、本件において、被告丙 が、損害発生を予見することは困難であったものというべきである。 (2) 被告丙が予測し得た損害 右(1)のような困難な状況であったにもかかわらず、被告丙は、被告 丁の書き込んだ発言による損害発生の危険性について、原告から電子メ 三 四 頁 ールで発言一覧表(二)の符号6ないし11の各発言につき対処を求められた 直後に、本件フォーラムの運営会議室において討議をしたが、その結果、 損害発生の危険の現実性、具体性、重大性はないものと予測された。 (3) 常時監視義務を認めることの不当性 仮に、原告主張のとおり、シスオペにフォーラムを常時監視する義務 を課すとすれば、右(1)のように、ボランティア的に行われているシスオ ペの活動に基礎をおいている現在のパソコン通信等のネットワーク発展 の芽を摘んでしまうことになりかねず、妥当ではない。 (4) 以上のとおりであるから、本件において、被告丙には、損害発生の 予見可能性及び予見義務はなかったものというべきである。 (二) 結果回避可能性及び結果回避義務について 三 五 頁 (1) 右(一)(1)ないし(3)に照らすと、被告丙に関して、結果回避可能性及び 結果回避義務を明確に確定することは困難である。 (2) 発言削除等の措置について <1> 削除の無効性 i ネットワークにおいては、発言を削除しても、同趣旨の発言を 何度でも容易に書き込むことができること、一旦書き込まれた発言は、 極めて短時間のうちに多くの者にダウンロードされ、それが電子会議 室等から削除された後も、ダウンロードした者から電子メールやフロ ッピーディスク等で流布されることも多いことに照らすと、問題発言 に対する対処としては、発言削除は有効なものではない。また、ii 問題発言を書き込んだ者のフォーラムへのアクセスを停止する措置 三 六 頁 (会員削除)も、当該会員において他のフォーラムに同趣旨の発言を 書き込むことが可能なこと、同一人が他のID番号でフォーラムに入 会して同趣旨の発言を行うことも可能なこと、本件フォーラムでは、 当時、フォーラムの会員でなくとも発言を書き込むことができたこと 等に照らすと、問題発言に対する対処としては有効な方法とはいえな い(なお、被告ニフティが当該会員のニフティサーブの会員としての 資格を剥奪する措置(ID削除)をとったとしても、当該会員が氏名 ・住所等を偽って新たなIDを取得したり、同趣旨の発言を他の会員 にさせることも容易なこと、他のネットワーク上に同趣旨の発言を書 き込むことも可能なことに照らすと、有効な対処方法とはいえない。)。 <2> シスオペにとっての発言削除の危険性 三 七 頁 i 被告丙は、被告ニフティに対し、ニフティサーブの会員の権 利を最大限尊重する義務を負うとともに、電気通信事業法上、ニフテ ィサーブの利用者が書き込んだ発言等を伝達する義務を負っているが、 みだりに発言削除を行うと、このような義務に違反する危険性がある。 なお、被告丙のように、思想を扱う本件フォーラムのシスオペとし ては、憲法に規定されている表現の自由や適正手続の要請をできるだ け尊重せざるを得ないという事情もある。また、ii シスオペが発言 の記載内容を監視し、これを削除するなど通信内容への関与を強める と、それが、雑誌・新聞などの編集と同等の行為とみなされ、通信内 容すべてについて不法行為等の責任を負わされる危険性も生じる。 <3> 被害を主張する者にとっての危険性 三 八 頁 i フォーラムにおいては、ある発言によって誹謗された者が、そ の発言を発言者が削除できないように自ら当該発言にコメントをつけ たうえで反論をすることさえあるところ、発言削除はこのような反論 の機会を奪うことになる。また、ii 発言削除は、被害を受けたと主 張する者が、訴えの提起等などのために必要な証拠を失わせる危険性 も生じさせる。さらに、iii 発言削除が契機となって、脅迫等の実生 活上の被害が生じる危険性や、同趣旨の発言が当該フォーラムや他の フォーラム等に繰り返し書き込まれるなどかえって被害が拡大する契 機となる危険性がある。 <4> 会員規約、フォーラム運営契約、運営マニュアルの解釈 後記4(一)(2)の被告ニフティの主張を援用する。 三 九 頁 <5> 以上のとおりであるから、被告丙に、発言削除等による結果回避 可能性及び結果回避義務はない。 (3) 発言の「一時預かり」について 右(2)のような事情は、シスオペが「一時預かり」等の名目で発言の送 信を停止する措置をとる場合にも、仮処分手続における立担保制度のよ うに一時的に不利益処分を受ける者の損害を担保する制度が整っている か、不利益処分を受ける者の納得を得たうえで実行する場合で最終判断 について明確な手続保障があるとき以外はあてはまると解される。した がって、本件において、被告丙に、いわゆる「一時預かり」による結 果回避義務もない。 (4) 強権的な指導の無効性 四 〇 頁 被告丙が、原告に対し、本件フォーラムの会員を指導すべき義務を 負う法的根拠はないうえ、当時、被告丙が、強権的な指導を行えば、 これによって、被告丁が反発し、さらに問題発言を書き込む危険性が大 きいことは、被告丁が書き込んだ発言等からみて明白な状況にあった。 (5) 問題発言に対するシスオペの対処について 確立された基礎理論もない電子的なネットワークの世界で、現行法の 要請を満たし、フォーラム運営者としての責務を果たしながら、会員の 人格を守るためには、シスオペとしては、自己の運営・管理するフォー ラムの特性と会員の個性とを把握し、自らの経験に基礎をおいた手法を もって対処していくしか方法はない。被告丙は、このような観点から、 シスオペ就任に際して本件フォーラムの過去の書き込みを検討し、フォ 四 一 頁 ーラムの現状が罵倒に満ちた憂うべきものであることを知り、思想を論 ずる場のあり方を模索し、会員との対話によって多くの会員の個牲をつ かむとともに、フォーラム運営に自己の教育学者としての経験を生かせ そうな途として、ぎりぎりまで発言削除は避け、会員と公開の場での議 論を積み重ね、会員の意識を変えることによって、他人を罵倒するよう な発言が多数書き込まれるような本件フォーラムの状況を根本的に改善 することをフォーラム運営の基本方針として採用したものである。そし て、このような被告丙のフォーラム運営は、着実に成果を上げている ものである。 (6) 以上のとおりであるから、原告が主張するような発言削除や発言者に 対する「指導」では結果回避可能性があるとはいえないし、また、本件 四 二 頁 では被告丙に結果回避義務違反もない。 (三) 本件各発言の不法行為性の認識 (1) 本件各発言の不法行為性 右2における被告丁の主張を援用する。 (2) 不法行為性の認識 被告丙が原告に対し法的責任を負担する前提としては、単に問題発 言が書き込まれたことを認識したというだけでは不十分であり、不法行 為の要件が全て備わっていることの認識が必要であるというべきである。 <1> 違法性の認識について i 原告は、本件フォーラムにおいては通常会員がアクセスできない 運営会議室へのアクセスが許され、かつ、フリーフラッグが付与さ 四 三 頁 れていたなど、かつては「運営者側」にあった者であり、また、生 涯学習フォーラムのフェミニストフォーラムにおいては「運営者」 としての地位にあった。このような地位にあった原告については、 その運営者としての言動が批判にさらされるのは当然であるし、原 告の言動にその思想が顕著に反映している以上、その思想の源泉で ある原告の人格に批判が及ぶこともやむを得ないことである。 ii 本件各発言は、a 原告が「朝鮮・部落は怖い」と発言したこと に対する非難、b 妊娠中絶に対する批判、c フェミニストフォ ーラムの運営に対する批判、d 原告がアメリカに在留期限を超過 して滞在したことに対する非難、e 原告が、被告丁のプライバシ ーを暴露したことに対する非難をその柱としている。そして、aに 四 四 頁 ついては、原告の本件フォーラム上における発言に照らし、原告が 右のような発言をした可能性がないとは断定できなかったこと、b については、原告が書き込んだ文章の中で自ら明らかにしていた事 項に対する異なった立場からの批判と理解できること、cについて は、右iのような公的立場にあった原告に対する正当な批判と理解 できること、dについては、被告丁の主張どおり原告が自ら書き込 んだ文章の中で語っているとしたら、この発言が違法とは断定でき ないこと、eについては、これが事実とすれば、このような行為を 被告丁が非難し得るのは当然であり、右iのような原告の地位から すれば、名誉毀損にあたらないことが明らかであることに照らすと、 これらの本件各発言をいわゆるフェア・コメントと理解することも 四 五 頁 可能であったものというべきである。 iii したがって、被告丙には、違法性の認識はなかったというべき である。 <2> 損害の認識について 右(一)(1)及び(2)のとおり、被告丙には、本件各発言によって原告に 損害が発生するとの認識はなかった。 (四) 本件各発言に対する被告丙の対応の妥当性 後記4(四)の被告ニフティの主張を援用する。 (五) まとめ 以上のとおりであるから、被告丙に対する原告の請求は失当である。
四 六 頁 (一) 被告丙の作為義務の不存在(使用者責任に基づく損害賠償請求等につ いて) (1) 原告の右1(二)及び(三)(1)の主張は、被告丙が、会員に対して、発言削 除等の作為義務を負うことを前提とするものであるが、シスオペに右の ような義務を負わせる法令、契約及び慣習は存在せず、条理によってシ スオペに右のような義務を負わせるのも法的安定性を害し妥当ではない。 また、被告ニフティが会員に対して安全配慮義務を負わず、被告丙が その履行補助者の地位にあるとはいえないことは後記(二)のとおりで ある。 (2) 会員規約(本件各発言当時のものは乙四)、フォーラム運営契約書 (丙一)、運営マニュアル(丙二)においては、被告丙のようなシス 四 七 頁 オペに、フォーラムの運営・管理については広範な裁量権が与えられて おり、シスオペに対し、被告ニフティとの関係においても右(1)のような 作為義務を負わせる根拠となるものはない。 (3) 本件フォーラムは、現代思想上の議論を中心とする場であるが故に、 攻撃的色彩のある発言がされるのは日常茶飯事であり、被告丙がシス オペに就任した平成五年一一月当時は、多かれ少なかれ問題性のある発 言を全て削除するとすれば、全発言の三分の一ないし半分程度までがそ の対象となるという状況であり、また、軽卒に一方の立場に立っての発 言削除は困難で、そのことを無視してシスオペが一方的に発言削除を行 えば、たちまちにして大議論が始まり、シスオペが槍玉に挙げられるこ とは容易に予想されることであった。被告丙は、シスオペとして、強 四 八 頁 権発動である発言削除はかえって右のような本件フォーラムの混乱状況 を激化させがちであると考え、むしろ各紛争の当事者に徹底した議論を 行わせ、発展的かつ根本的に紛争を解消させるというフォーラム運営方 針をとっていたものである。そして、右のような方針の合理性は、被告 丙のフォーラム運営の結果、本件フォーラムにおいては問題発言が大 幅に滅少したことから裏付けられるものである。 (4) 以上のとおりであるから、本件フォーラムのシスオペである被告丙 は、会員に対し、原告主張のような作為義務を負うものではない。 (二) 被告ニフティと被告丙の間の指揮監督関係の不存在(使用者責任に基 づく損害賠償請求について) 運営マニュアル(丙二)の記載からも明らかなように、被告ニフティは、 四 九 頁 ニフティサーブにおけるフォーラムの運営・管理に関しては、被告丙の ようなシスオペに広範な裁量権を与え、その自主的な判断に委ねている (そして、各フォーラムはそれぞれ極めて多様な個性・特色を有しており、 このようなフォーラムの独自性を最も把握しているのは当該フォーラムの シスオペであると考えられること、三〇〇以上も存在するフォーラムの運 営・管理の全てを被告ニフティが行うことは不可能であることに照らし、 このような運営方針は極めて合理的というべきである。)。例えば、各フ ォーラム毎のローカルルールについてはシスオペが独自に決定するのが原 則であるし、どのような発言をどのような手続を経て削除するかの判断に ついてもシスオペらが決定することになる。したがって、被告ニフティと 被告丙の間には、使用者責任の前提となる指揮監督関係は存在しないと 五 〇 頁 いうべきである。 (三) 被告ニフティの原告に対する安全配慮義務の不存在(債務不履行に基づ く損害賠償請求について) 原告が、右1(三)(2)<1>で主張する諸事情は、原告主張の安全配慮義務の根 拠となるものではない。そもそも、被告ニフティと会員との間の会員契約 は、会員規約を基礎とし、同被告が会員にニフティサーブを利用すること ができる権利を与え、その対価として、当該会員が同被告に対し、一定の 利用サービス料を支払うことを主旨とするものであるから、これに基づく 付随的義務が同被告について観念されるとしても、あくまで、利用者たる 会員が自由に情報を提供し、円滑に情報を取得することができるよう配慮 するという観点からの義務であって、通信行為自体とは関係のない会員名 五 一 頁 誉等の利益保護の義務まで課されるものとは考えられない。 (四) 被告ニフティ及び同丙の具体的対応の妥当性(使用者責任及び債務不 履行に基づく請求について) (1) 原告から被告ニフティあての最初の電子メールが届く以前(平成五年 一二月二九日まで) 本件フォーラムには二〇の電子会議室があり、一日あたりの発言は合 計で平均四万五〇〇〇字以上にのぼること、右(一)(3)のような本件フォー ラムの状況に照らすと、被告ニフティ及び同丙には、この段階で積極 的に問題発言を探知し削除するような作為義務はなく、また、法律の専 門家でない同被告らにおいては、具体的に削除を求める発言を特定した 発言削除の要求がない限り、発言削除の作為可能性もない。したがって、 五 二 頁 この段階で、同被告らが責任を負うことはない。 (2) 原告から被告ニフティが初めて誹謗中傷発言の存在可能性を指摘され、 初期対応をした期間(平成五年一二月二九日から平成六年一月六日まで) <1> 被告ニフティの担当者である訴外戊は、年末年始の休み明けの平成六 年一月四日に原告からの最初の電子メール(甲三五)を読み、原告に 対し、フォーラムの運営は基本的にシスオペに一任しているので直接 発言者に対応するか、まずシスオペに相談するようにとの回答を行う とともに、被告丙にも連絡を取ったが、これは、フォーラムの自主 性を尊重するというニフティサーブの運営方針に基づく合理的なもの であって、何ら違法性はない。 <2> また、被告丙は、平成六年一月六日に、原告から具体的発言を指 五 三 頁 摘して、対処を求める旨の電子メール(甲三九)の送信を受けると、 直ちに、これらの発言の取り扱いについて、本件フォーラムの運営委 員会に付議したものであり、このような被告丙の対応は合理的なも のである。なお、右電子メールが送信される前の時点において、被告 丙に積極的な作為義務も、発言削除の作為可能性もなかったことは、 右(1)の時点と同様である。 (3) 原告から被告丙が誹謗中傷発言とされる発言の削除を求められ、そ れに対する対応を検討し、原告に提案した期間(平成六年一月七日から 九日まで) <1> 被告丙は、原告から指摘を受けた各発言の取り扱いについて本件 フォーラムの運営委員会で三日間にわたって極めて慎重な議論を行っ 五 四 頁 たうえ、平成六年一月九日、原告に対し、原告に発言を読んでもらっ て具体的に指摘を受けた部分についてニフティと協議したうえ削除が 妥当と認められた場合には、原告からの訴えがありニフティと法的検 討をした結果であることを明示して削除するとの提案を行ったもので あるが、右のような被告丙の提案は、i 原告自らが発言の問題性 を判断することが最も選択に遺漏がないと考えられること、ii 尖鋭 的な議論の対立が日常茶飯事である本件フォーラムの特質に鑑み、指 摘もない段階で発言削除を行うことは非常に困難と考えられたこと、 iii 右のような本件フォーラムの特質や本件フォーラムの過去の状況 からすると、シスオペが発言を一方的に削除した場合には他の会員か らの強い反発を招くことが予想できたことに照らすと、右発言を直ち 五 五 頁 に削除しなかったからといってもなおシスオペとして発言削除に向け た適当な措置をとっていたといえる。また、運営委員会における議論 中は、発言削除を行わなかったからといって、被告丙が責任を問わ れる余地はない。 <2> また、この時点において、被告ニフティは、フォーラムの自主性を 尊重するという合理的な運営方針に沿って、被告丙に対応を委ねて いたものであるから、被告ニフティについても、責任を問われる余地 はない。 (4) 原告と被告ニフティ及び被告丙の間で、右提案の修正について交渉 がされた期間(平成六年一月一〇日から二〇日まで) この期間においては、被告丙が右(3)のような合理的な提案をしてい 五 六 頁 るにもかかわらず、原告がこれを拒絶したために、発言削除ができない 状況に陥ってしまったものであり、このような状況下において、被告ニ フティ及び同丙が発言を削除することは到底不可能である。したがっ て、右両被告に責任は生じない。 (5) 右提案に対する原告からの回答待ち期間(平成六年一月二一日から二 月一四日まで) 被告丙は、平成六年一月二〇日、原告と電話で約一時間にわたって 話合をした際、原告から発言削除を待つよう告げられたため、この期間 中は、原告から何らかの回答があるものと期待して発言削除を留保して いたものであるし、被告ニフティの担当者も、被告丙からその旨説明 を受けていたものである。したがって、この期間に被告らが被告丁の発 五 七 頁 言に対する対応をしなかったことをもって、被告ニフティ及び同丙に 責任は生じない。 (6) 原告からの要望書(甲一の1)を被告ニフティ及び被告丙が受領し、 これに対する対応を行った期間(平成六年二月一五日から三月一八日ま で) 平成六年二月一五日、原告代理人から被告ニフティ及び被告丙に対 し、原告の名誉を毀損する発言の削除、被告丁の住所氏名の開示を求め る書面が送付されたが、被告丙は、右書面を受領後、直ちに本件フォ ーラムの運営委員会において対応を協議し、即日、指摘を受けた発言に ついては削除したものであり、このような被告丙の対応は妥当である。 また、この時点で指摘を受けていなかった発言について削除しなかった 五 八 頁 からといって、被告ニフティ及び同丙が責任を負うことはないことは、 右(1)と同様である。 また、被告ニフティが、被告丁の住所・氏名を開示するようにとの原 告の要求に応じなかったことについても、被告丁は紛れもなく通信の当 事者であるのに対し、原告は、少なくとも問題とされる発言については 通信の当事者ではあり得ないのであるから、電気通信事業法一〇四条に 違反するおそれが極めて高いのであって、右のような被告ニフティの対 応は、通信の秘密の観点からはやむを得ない判断であり、違法性は皆無 である。 (7) 原告が本訴を提起し、訴状において新たに指摘された発言に対する対 応がされた期間(平成六年四月二一日から五月二五日まで) 五 九 頁 被告ニフティ及び同丙は、訴状の送達を受けて初めて、右(6)で削除 した発言以外の発言に関する削除要求を認識したものであるところ、平 成六年五月二五日には、これらの発言を本件フォーラムの登録から外し ている。訴状の送達を受けてから発言を登録から外すまで若干の時間は あるが、これは、訴訟方針の決定作業との関連によるものであるから、 何ら問題とされる余地はないものというべきである。したがって、この 点についても被告ニフティ及び同丙が責任を負うことはない。 (五) まとめ 以上のとおりであるから、使用者責任又は債務不履行に基づく原告の被 告ニフティに対する請求は失当である。
六 〇 頁
(一) 名誉毀損 原告の起こした前記スクランブル事件(右一2(一)(2)<3>)は、リアルタイ ム会議において、被告丁を、いわば「村八分」にしたものと評価できる。 したがって、右のような原告の行為によって、被告丁の名誉は毀損された ものである。 (二) プライバシー権侵害 右一2(2)<3>のとおり、原告は、平成五年五月中旬、本件フォーラムのリ アルタイム会議において、被告丁が、以前勤めていた職場において原稿料 のことでもめごとをおこした旨の書き込みをしたものであるが、右書き込 みの内容が、(1) 被告丁の私生活上の事実に関することであり、(2) 一般 六 一 頁 人の感受性を基準として、被告丁の立場に立った場合、公開を欲しないで あろうと認められる事柄であって、しかも、(3) 一般の人々に知られてい ない事柄であることは明らかである。したがって、原告の右発言によって、 被告丁のプライバシー権が侵害されたものである。 (三) 損害額及び謝罪広告掲載の要否 原告の右(一)及び(二)の行為によって被告丁に生じた損害を金銭に換算する と、二〇〇万円を下らないうえ、右損害の回復のためには、別紙二のとお りの謝罪広告を同別紙記載の掲載条件で掲載することが必要である。
(一) 右1(一)のうち、原告が、平成五年五月七日に、本件フォーラムのリアル タイム会議においてスクランブルモードを用いたことは認めるが、その余 六 二 頁 は否認し、争う。被告丁は、本件フォーラムにおいて他人を罵倒する発言 を繰り返していたため、原告は、やむを得ない措置としてスクランブルモ ードを用いたものである。 (二) 同(二)及び(三)は否認し争う。
(一) 被告ニフティが事業として行っているパソコン通信ニフティサーブは、 パーソナルコンピュータ、ワードプロセッサー等(以下「パソコン等」と いう。)を電話回線で主宰会社のホストコンピュータに接続することによ 六 三 頁 り、ネットワークに加入している会員同士で情報交換を行ったり、会員が ホストコンピュータ内に蓄えられた情報を引き出したりすることを内容と する通信手段である(乙一九)。 (二) 会員と被告ニフティとの間の法律関係 (1) ニフティサーブにおいては、会員規約(本件各発言がされた当時のも のは乙四)が定められ、これを承諾したうえでニフティサーブへの加入 手続をした者のみが会員となるものとされているところ、ニフティサー ブに加入しようとする者は、被告ニフティの「イントロパック」等を取 得し、仮IDにより、公衆回線からニフティサーブにアクセスして、そ の場でこれに加入する手続(オンラインサインアップ)によって、容易 に会員となることができる。なお、会員規約には、<1> フォーラムに登 六 四 頁 録された発言等は、被告ニフティ又はシスオペにより、会員への事前の 通知なく、題名の変更、フォーラム内での複写、移動等が行われる場合 があること、<2> フォーラム、電子掲示板等に書き込まれた発言等の内 容が、被告ニフティ又はシスオペにより、他の会員又は第三者を誹謗中 傷し、または、その恐れがあると判断された等の場合には、会員への事 前の通知なく右発言等が削除されることがあること、<3> 会員が、会員 規約に違反したり、被告ニフティによって、会員として不適当と判断さ れた場合には、被告ニフティは、当該会員の会員資格を、事前に通知、 催告することなく、一時停止し、又は、取り消すことができること等が 規定されている。 (2) 右(1)のようなニフティサーブへの入会手続を経て、正式に会員となっ 六 五 頁 た者に対しては、被告ニフティから各会員固有のID番号を与えられる。 会員は、一定の基準に基づいて算出された額の利用サービス料を支払う ことにより、ニフティサーブを利用することができる。 (3) 右(1)及び(2)に照らすと、被告ニフティと会員との間においては、会員 規約に基づき、被告ニフティが、会員に対し、ニフティサーブというパ ソコン通信のネットワークを利用することができる権利を与え、その対 価として、当該会員が、被告ニフティに対し、一定の利用サービス料を 支払うことを主旨とする契約(以下「会員契約」という。)が締結され ているものということができる。 (三) フォーラム及び電子会議室 (1) ニフティサーブにおいては、多様なテーマに関して、興味を同じくす 六 六 頁 る会員が自由に意見を交換したり、情報を取得したりすることができる 場として多くのフォーラムが開設されている(甲一〇三、乙一九)。フ ォーラムには、会員が発言を書き込むことが可能で、また、そこにアク セスをすれば書き込まれている内容を読むことができる場所(電子会議 室)があるが、各フォーラムには複数の電子会議室が設けられているの が通常である。ちなみに、原告が本訴を提起した時点では、約三〇〇の フォーラムが存在していた(乙一九、証人訴外戊)。 会員のうち、どのような者に、どのようなかたちでフォーラムの利用 を許すかは、当該フォーラムのシスオペの判断に委ねられている(シス オペにより、フォーラムの利用を正式に許された会員を、以下「フォー ラム会員」という。)。一般的には、フォーラム会員以外の会員につい 六 七 頁 ては、フォーラムの利用に一定の制限があることが多いが、本件各発言 が書き込まれた当時、本件フォーラムにおいては、正式にフォーラム会 員にならなくとも、自由に電子会議室に発言を書き込んだり、そこに書 き込まれている内容を読んだりすることができるものとされていた(丙 三、被告丙本人)。 (2) 電子会議室への発言の書き込みは、当該電子会議室に発言を書き込む 資格を有する会員が、自己の使用するパソコン等から電話回線を通じて 被告ニフティが管理するホストコンピュータ等(以下「ホストコンピュ ータ等」という。)に発言を送信すること(アップロード)により行わ れ、ホストコンピュータ等は、このようにして送信された発言を、その 内部の特定の場所(電子会議室)に記録、蓄積する。一方、電子会議室 六 八 頁 に記録、蓄積されている発言の読み出し(ダウンロード)は、当該電子 会議室の発言を読む資格を有する会員が、ホストコンピュータ等に電話 回線を通じてアクセスし、ホストコンピュータ等から、右会員が指定し た発言について、その使用するパソコン等に有線送信を受けることによ って行われる。 ニフティーサーブにおいては、電子会議室に書き込まれた発言は、被 告ニフティ及びシスオペによって、別の電子会議室に移動したり、削除 したりすることができ、発言を書き込んだ会員自身も、他の会員が右発 言にコメントをつけるまでの間は、これを削除することができるものと されている。発言が削除されると、会員は、ホストコンピュータ等から その有線送信を受けることができなくなる。 六 九 頁 (四) フォーラムの運営について 被告ニフティと個々のシスオペの間では、被告ニフティが、個々のフォ ーラムのシスオペに対し、当該フォーラムの運営・管理を委託し、シスオ ペが、その対価として、同被告から、フォーラムへのアクセス料金の一定 割合及びその他被告ニフティが定めるロイヤリティを報酬として支払を受 けることを主旨とする基本契約(フォーラム運営契約、丙一)が締結され、 これに基づき、シスオペがフォーラムの運営・管理を行っている。 シスオペは、通常は被告ニフティの従業員以外の者で、当該フォーラム を扱うテーマに造詣が深い者が務めているが、その多くが、シスオペを専 門に行っているわけではなく、他に本業を有し、空いた時間をシスオペと しての活動にあてている者である(甲一〇三、丙三、証人訴外戊、被告 七 〇 頁 丙本人。なお、甲一一九、一三五は、本件よりかなり後の記事であ るし、甲一三四も、シスオペを本業とする者が出始めたというだけの雑誌 記事であって、右認定に反するものとはいえない。)。 また、シスオペは、サブ・システム・オペレーター(以下「サブシス」 という。)等の運営協力者(運営スタッフ)を自己の権限で選任し、フォ ーラムの運営・管理を補佐させることができるものとされている。 そして、フォーラム運営契約に基づき、被告ニフティは、シスオペに対 し、「フォーラム運営マニュアル」を交付しており、同マニュアルには、 シスオペの権限と責任、フォーラムの企画と育成、フォーラム関係のトラ ブル対応等について詳細な教示がなされていた。しかも、同マニュアルは 第7章に「情報の削除に関する法律問題」という項を設け、表現の自由に 七 一 頁 関する一般的説明を行い、表現の自由においても名誉毀損、わいせつ文書、 誇大広告などは法律上規制がされており「表現の自由」といってもその行 き過ぎについては制限がかかっていること、「表現の自由」は基本的には 国と国民という関係で問題になるものであり、国民同士、民間人同士では 問題は異なっていることを説明しているほか、ニフティサーブの会員規約 一四条に基づき発言を通知なしに削除できる場合を掲げ、「<1> 明らかに 公序良俗に反する、あるいは、個人(または団体)を誹謗中傷していると 思われるもの。<2> 明らかに商行為あるいは営利を目的としていると思わ れるもの。<3> 会議の流れを全く無視し、参加者にとって迷惑だと思われ るもの。」のうち、「客観的にみて、明らかに<1><2>に該当すると思われる ものは、シスオペの判断で即座に削除しても構わないでしょう。そして、発 七 二 頁 言した会員に対しても理由を述べて削除した旨電子メールで連絡すること が肝要です。合わせて、その経過と処理内容をニフティに連絡していただ ければ、万が一発言者(登録者)からのクレームが発生したとしても、ニ フティがフォローするようにいたします。」との言及がなされている(丙 二)。 なお、本件フォーラムにおいては、シスオペや、本件フォーラムの運営 スタッフが討議をする場として、これらの者のみがアクセスすることがで きる電子会議室(二〇番会議室。以下「運営会議室」という。)が設置さ れている。
(一) 原告は、翻訳をフリーランスで請け負って生計を立てていたが、平成元 七 三 頁 年四月ころ、パソコン通信を利用して翻訳した文書を納入すること及び翻 訳者の横のつながりを作ることを考え、ニフティサーブに加入した。そし て平成二年九月ころ、本件フォーラムに「フェミニズム会議室」が設置さ れたことを知り、本件フォーラムに参加するようになった。原告は、平成 六年の春に至るまで、断続的ではあるものの長期にわたって、本件フォー ラムの特にフェミニズム会議室に活発に書き込みを続けてきた。そして、 平成五年一二月には、当時のシスオペである訴外己からリアルタイム会議 室(RT)における常駐要員として、課金免除資格(フリーフラッグ)の 資格を付与され、一般の会員のアクセスを許されない運営会議室にも参加 を認められるようになっていた。(甲一一四) (二) 被告丁は、山口県下関市に在住し、地元や関西の私立大学で非常勤講師 七 四 頁 として英語を教えたりなどしている者であるが、妻がニフティサーブに入 会していたことから妻のIDを利用してフォーラムに参加するようになり、 平成五年四月、本件フォーラムに入会した。そして本件フォーラムのフェ ミニズム会議室の過去の発言を読んでいるうちに原告であるCookie 会員らの発言に反発を感じ、同年五月五日からフェミニズム会議室におい てフェミニズムを椰楡する発言を書き込んだ(甲七五、七六、丁七)。原 告は、被告丁の右のような発言に不快の念を持っていた(甲一一四)。 (三) 同月七日、被告丁がフェミニズム会議室の定例RT会議に参加したとこ ろ、原告はその際その場に参加していた他の会員一〇名ほどに連絡して一 斉にスクランブル機能を用いて別の場で話をするよう勧誘し、事実上被告 丁を同会議室から排除してしまった。被告丁はこれに対し憤りを感じた。 七 五 頁 そしてこの事件は他の一般会員からも批判を受けることとなった。(丙三、 丁七。スクランブル事件) (四) 同月一〇日ころ、当時のシスオペである訴外己は右のような事態に対処 すべく、被告丁に対し、電子メールにより被告丁の個人情報を質問したと ころ、被告丁は電子メールによりかつて「ニューズウイーク(ママ)」で編集者を やっていた旨の返信を行った。ところが訴外己は、右の返信を「絶対に他言 禁止です。」と付記した上、電子メールにより原告に送付した(丙一九)。 原告は、右の情報に基づきニューズウイーク(ママ)日本版の現編集長に事情を聞 くなどしてさらに被告丁の人物調査を行った。また訴外己は同月一三日、被 告丁と電話により話をし、被告丁の本名が**であり韓国籍であることな ども聞き出し、これを原告に連絡した(丙二五)。 七 六 頁 (五) ところが、同月二一日、フェミニズム会議室の定例RT会議において、 原告は、被告丁に対し、「あのさ、LEEさんて、NEWSWEEKにい たことない?日本版のほうね」と質問した(甲八〇)。原告の話の持ち出 し方は「噂を聞いたことがあるから」という形のものであったが、被告丁 は、シスオペである訴外己に話した内容が原告に漏れていることを察知し、 原告に対する不信感を一層強めるに至った。そして、同月二五日、被告丁 は、訴外己が同被告のプライバシーに属する問題を原告に漏らしたことを告 発する旨の発言を同フォーラムに掲載した。(丙三) (六) 同年一一月一七日、原告は、本件フォーラムから撤退することとした。 そして、従前からの仲間とともに本件フォーラムとは別のフォーラムであ る「生涯学習フォーラム」においてフォーラム中のフォーラムとして「フ 七 七 頁 ェミニスト・フォーラム」を設立することを決め、本件フォーラムにその 旨掲示した。(甲一一四、丙三)
(一) 右のような経緯から原告は本件フォーラムにあまりアクセスすることは なくなったが、被告丁は、本件フォーラムに、同年一一月二九日から平成 六年三月二七日にかけて、別紙発言一覧表(一)ないし(四)の各「年月日」欄記 載の時期に、これらに対応する「名誉毀損部分」欄記載のような文章を含 む発言(なお、個々の発言に対応する発言番号は、右各一覧表の各「発言 番号」欄記載のとおり。)を書き込んだ。なお、同一覧表(一)記載の発言は 六番会議室に、同一覧表(二)記載の発言は七番会議室に、同一覧表(三)記載の 発言は八番会議室に、同一覧表(四)記載の発言は一〇番会議室に、それぞれ 七 八 頁 書き込まれたものである。 (二) なお、被告丁は、同年一二月一九日晩から二〇日明け方にかけて、「M other Fucker」のハンドル名によりフェミニスト・フォーラ ム会議室に「COOKIEの場合は単純で、あの女は弱いのではなく、弱 いふりして、根性がひんまがっているからです。あれでは離婚になるでし ょう。」といった原告個人を誹謗中傷する別紙発言一覧表(二)記載の符号8 と同様な文章を一一回にわたり掲載した(甲九二ないし一〇二)。しかし 右文章は、生涯学習フォーラムのシスオペにより削除され、同シスオペは 被告丁がフェミニスト・フォーラム会議室にアクセスできなくする措置を とったため、その後は発言削除がされない本件フォーラムにおいて専ら発 言していた。(丁七) 七 九 頁
(一) 被告丙は、本件フォーラムの前シスオペである訴外己から、同人の後 任としてシスオペに就任するよう要請を受け、平成五年一〇月初めころか ら、サブシスとして、本件フォーラムの運営にかかわるようになった(丙 三、被告丙本人)。そして、平成五年一一月ころ、本件フォーラム のシスオペに就任した。(丙一、三) (二) 右当時、本件フォーラムには、他人を罵倒するような内容の発言が繰り 返し書き込まれ、それまで、本件フォーラムにアクセスをしていた会員が、 アクセスをやめてしまうといった事態が相次いでいた。そこで、被告丙 は、右のような本件フォーラムの状況を根本的に改善することが必要であ ると考え、過去に本件フォーラムの電子会議室等に書き込まれた発言の内 八 〇 頁 容を検討した。その結果、本件フォーラムでは、特に平成五年五月以降、 シスオペ等によって多くの発言が問題ありとして削除されていたが、発言 を削除された者が、同様の発言を繰り返し書き込むなどしたため、結果と して、右のような発言は減少しなかったこと、フォーラム会員が従前の運 営スタッフに対して不信感を持っていたことなどがみてとれた。このよう なことから、被告丙は、本件フォーラムの右のような状況を根本的に改 善するためには、発言削除はできるだけ避け、公開の場で議論を積み重ね ることによって会員の意識を変え、発言の質を高めることが重要であると 考え、これに沿ったフォーラム運営をすることとした(丙三、被告丙 本人)。 (三) その後、右3のとおり、被告丁による本件各発言の書き込みが始まった。 八 一 頁 本件各発言のうち、<1> 別紙発言一覧表(二)記載の符号8、9の各発言につ いてはこれらが書き込まれた当日に(甲六七、六八)、同一覧表(二)記載の 符号11の発言については、これが書き込まれた翌日に(甲七一)、運営会 議室において、本件フォーラムの運営スタッフから、発言番号等を特定し たうえ、これらの発言は名誉毀損・プライバシーの侵害で脅迫ではないか との指摘がされ、<2> また、同一覧表(二)記載の符号8の発言については、 会員から、右発言が書き込まれた四日後の平成五年一二月二二日に、「こ のフォーラムではこのような個人的怨恨にみちた攻撃も言論の自由として 認めるのですか?Niftyの規約にも束縛されない無法地帯なのですか?」 「これらの発言を掲載したまま、何の行動も起こさないフォーラムの運営 諸氏のお考えをおうかがいたい。」といった指摘がされている(甲七三)。 八 二 頁 (四) 被告丙は、同一覧表(二)記載の符号3、8の各発言については、これら が書き込まれた当日に(丙五二、六五)、同一覧表(一)記載の符号1、同一 覧表(二)記載の符号5及び11の各発言については、これらが書き込まれた翌 日に(丙五二、五六、六八)、これらの各発言の問題点を指摘する発言を、 被告丁を名宛人とするかたちをとって、本件フォーラムの七番会議室に書 き込んだが、右(二)のような考え方から右各発言を積極的に削除することは せず、敢えて放置した。 (五) さらに、被告丙は、平成五年一二月二九日、右(三)<2>の指摘を行った会 員に対し、被告丁の発言は誹謗中傷を含むものであると考えているし、会 員規約一四条にも違反するものであると考えているが、被告丁の発言は論 争により解決されるべきであるからそのまま放置する旨の発言を七番会議 八 三 頁 室に掲載した。(甲五〇、五一) (六) 同月二九日、原告は、被告ニフティのセンター窓口及び同被告の訴外庚取 締役あてに、本件フォーラムの六番及び七番会議室に原告に対する誹謗中 傷が書き込まれているとの情報を得たので対処されたい旨の電子メール (具体的な発言の指摘がないもの。)を送信した(甲三五、三六)。 (七) 平成六年一月四日、被告ニフティの担当者である訴外戊(以下「訴外戊」 という。)は、電子メールを用いて、原告に対し、フォーラムの運営は基 本的にシスオペに一任しているので、直接発言者に対応するか、まずシス オペに相談するようにとの回答を行うとともに(甲三八)、被告丙に対 しても、右のような経緯を連絡し、対応を要請した(乙六)。 (八) 同月六日、原告から、被告丙及び訴外戊に対し、原告を誹謗中傷する発 八 四 頁 言として別紙発言一覧表(二)記載の符号6ないし11の各発言につき、発言番 号等を指摘したうえ、これらは原告に対する誹謗中傷であるので対処を求 める旨の電子メールが送信された(甲三九)。これを受けて、被告丙は、 運営委員会に、右各発言の取り扱いを付議した(丙三、被告丙本人)。 (九) 同月九日、被告丙は、原告に対し、本件フォーラムの運営委員会にお ける議論をふまえて、(1) まず、原告に発言を読んでもらい、どの部分が 名誉毀損にあたるか指摘を受けたうえ、(2) 右(1)で指摘された発言の違法 性について被告ニフティの判断を仰ぎ、削除が妥当ということになれば、 当該文章を削除する、(3) 発言削除の際は「原告からの訴えがあり、被告 ニフティと厳密な法的検討をした結果違法性のある発言と認め削除する」 旨の理由を付記するとの処理案を、電子メールにより提示した(甲四四) 八 五 頁 が、同月一〇日、原告は、被告ニフティに対し、右のような対応は受け入 れられない旨の電子メールを送信した(甲四五)。その後、同月一四日、 訴外戊は、原告に対し、電子メールによって、右のような被告丙の案にし たがって、本件フォーラムの書き込みに目を通してもらいたい旨の申入れ をするとともに、具体的に指摘された発言については削除される可能性が 高い旨の指摘をした(甲四六、乙一九)。 (一〇) 同月一六日、原告は、被告丙及び訴外戊に対し、誹謗中傷の発言者は原 告の勤務先まで知っており、しかも発言内容から原告を脅迫しているので あるから当面、原告の氏名(ハンドル名を含む)を出して発言の削除をす ることはしないようにとの電子メールを送信した(甲四七)。これに対し、 被告丙は、同月一八日、原告に対し、右電子メールの趣旨がそもそも発 八 六 頁 言の削除はしない方がよいということなのか、削除はして欲しいが名前を 出すなということなのかを確認するため、自分に電話を入れて欲しい旨の 電子メールを送信した(甲四八)。 (一一) 同月二〇日、原告と被告丙は、約一時間にわたって、電話で本件各発 言に対する対応について話合いをした(甲一一四、丙三、原告本人、被告 被告丙本人)。その結果、被告丙は、最終的には、発言削除にあたっ て、原告から要請があったことを積極的に付記することはしないことにつ いては了承したが、原告に対し、会員から、原告からの要請があったかど うかについて質問があれば、原告からの要請はなかったという説明をする との約束はできない旨の説明も併せて行った。これに対し、原告は、信頼 できる人に相談するので、その結論が出るまで発言削除は待って欲しい旨 八 七 頁 の回答をした(乙一〇、丙三、被告丙本人、弁論の全趣旨)。 (一二) その後、原告から被告ニフティ及び被告丙に対して具体的な接触はな く、被告ニフティ及び同丙も、右(八)で原告から指摘された被告丁の発言 に対して特に対処はしなかったが、平成六年二月一五日になって、原告代 理人から、被告ニフティ及び被告丙に対し、原告の名誉を毀損する発言 の削除、被告丁の住所・氏名の開示等を要求する書面が送付された(甲一 の1・2)。被告丙は、右のような要求を受け、右同日、本件各発言の うち、右書面で指摘されていたもの(発言一覧表(二)記載の符号6ないし11) について、本件フォーラムの七番会議室から削除する措置をとった(乙一 九、丙三、証人訴外戊、被告丙本人)。 (一三) 平成六年三月一一日、原告代理人は、被告ニフティに対し、被告丁の住 八 八 頁 所・氏名の開示等を書面をもって要求した(甲二)。被告ニフティは、同 月一七日、被告丁に対して、今後、誹謗中傷発言があった場合には、会員 資格の剥奪もあり得る旨、電子メールをもって警告するとともに(乙一七)、 同月一八日、原告代理人に対し、右(一二)の書面に対する回答を行った。右回 答の中で、被告ニフティは、被告丁の住所・氏名の開示については、電気 通信事業法一〇四条に違反するおそれが極めて高いことなどを理由に、こ れを拒絶した。
原告は、平成六年四月二一日、東京地方裁判所に本訴を提起し、被告丙(ママ) 対しては同月三〇日に、被告ニフティに対しては平成六年五月二日に、それ ぞれ訴状副本の送達がされた(記録上明らかな事実)。そして、被告丙及 び被告ニフティは、それぞれの代理人を交え、原告から、訴状において初め 八 九 頁 て指摘を受けた発言(本件各発言のうち、右4(一二)で削除した以外のもの)に 対する対応を協議し、平成六年五月二五日(本件第一回口頭弁論期日当日)、 被告丙は、これらの発言を本件フォーラムの電子会議室の登録から外し、 同被告がフロッピーに保管する措置をとった(乙一九、丙三、被告丙 本人)。
(一) 被告丁が、本件フォーラムの電子会議室に本件各発言を書き込んだこと は当事者間に争いがないところ、これらの発言がいずれも原告に向けられ ていることは、その内容に照らし明らかである。そして、これらの発言は、 九 〇 頁 いずれも激烈であり、また、原告を必要以上に椰楡したり、極めて侮蔑的 ともいうべき表現が繰り返し用いられるなど、その表現内容は、いずれも 原告に対する個人攻撃的な色彩が強く、原告の社会的名誉を低下させるに 十分なものというべきである。 (二) 被告丁は、原告が本件フォーラムの運営協力者として公的な立場にあり、 本件各発言はこうした公的な立場にある人間に対する正当な批判である、 あるいは、「フェミニズム」「フェミニスト」に対する思想的な批判を目 的としたものである旨主張するが、本件各発言は、明らかに個人を誹謗中 傷する内容であることは明らかであり、被告丁の本件各発言の意図ないし 目的が所論のとおりであるとしても、これが原告に対する正当な批判ある いは思想的な批判ないし論争として是認し得る範囲を逸脱するものといわ 九 一 頁 ざるを得ない。 (三) また、被告丁は、原告が本件フォーラムに「部落は怖い。」「朝鮮は怖 い。」との書き込みをしたのでこれに対する抗議反論をした旨主張するが、 原告が右のような発言を行ったことを認めるに足りる証拠はない。 (四) なお、被告丁及び同丙は、ニフティサーブにおいては、匿名性が確保 されており、本件各発言によって原告の社会的評価が低下したといえるか は疑問であると主張する。 しかしながら、右一1(三)(1)のとおり、電子会議室に書き込まれた発言は、 多数の会員がこれを読むことができるという意味において公然性を有する というべきところ、(1) 被告丁は、これらの発言中において、繰り返し 「Cookie」が原告であることを、人物の特定にとって最も重要な要 九 二 頁 素というべき原告の本名を示して明らかにしていること、(2) 被告ニフテ ィ発行の会員情報誌である「ONLINE TODAY JAPAN」の 平成五年九月号には、「Cookie」が原告であることが、原告の本名 を示して明らかにされていたこと(丁七、原告本人)、(3) 原告は、ニフ ティサーブ上で、職業及び訳書名を公開していたこと(丙三、丁七、原告 本人)に照らすと、本件各発言が書き込まれた当時、「Cookie」と のハンドル名を用いている者は、原告であるという事実を多数の会員が認 識し得る状態にあったものということができる。したがって、本件におい ては、原告に関して匿名性が確保されているとはいえないから、本件各発 言によって、原告の名誉は毀損されたものというべきであって、右被告ら の主張は、採用することはできない。また、本件各発言によって名誉毀損 九 三 頁 による不法行為は成立しない旨の、被告丁及び同丙のその余の主張につ いても、採用することができない。 (五) したがって、本件フォーラムの電子会議室に本件各発言を書き込んだ被 告丁の行為は、原告に対する不法行為にあたるというべきである。
(一) 原告の主張は、被告丙の不作為による不法行為をいうものであるとこ ろ、不作為による不法行為が成立するためには、その要件として、i 結 果回避のため必要な行為を行うべき法律上の作為義務を負う 者が、ii 故意・過失により、右iで要求されている必要な行為を行わず、 iii その結果、損害が発生したことが必要とされるというべきである(最 高裁昭和六〇年(オ)第三二二号同六二年一月二二日第一小法廷判決・民集四 九 四 頁 一巻一号一七頁参照)。 (二) そこで、右(一)にいう作為義務が被告丙にあるかどうかを検討 する。 (1) 前示事実によれば、以下の点が認められる。すなわち、 <1> シスオペは、被告ニフティとの間で締結されたフォーラム運営契約 により、同被告から、特定のフォーラムの運営・管理を委託され、そ の対価として報酬を受領している者であるところ、他人を誹謗中傷す るような内容の発言が書き込まれた場合の対処も、フォーラムの運営 ・管理の一部にほかならないというべきこと、 <2> シスオペにおいては、当該フォーラムに他人の名誉を毀損するよう な内容の発言が書き込まれた場合には、これを削除するなどして、そ 九 五 頁 の有線送信を停止する措置をとることができ、これらの措置をとれば、 それ以後は、当該発言自体が他の会員の目に触れることはなくなるこ と、 <3> その反面、当該発言によって名誉を毀損された者には、右のような 内容の発言が多数の会員によって読まれてしまう事態を避けるため、 自ら行い得る具体的な手段は何ら与えられていないこと、 <4> フォーラムの運営・管理に関して、シスオペの拠り所となるものと しては、会員規約(本件当時のものは乙四)及び運営マニュアル(丙 二)があるが、会員規約には、他人を誹謗中傷し、あるいはそのおそ れがある発言が書き込まれた場合には、右発言が削除されることがあ る旨の規定があり、運営マニュアルにも、右のような発言が書き込ま 九 六 頁 れた場合の対処に関する記載があること。 そして、これらの事情に照らすと、フォーラムに他人の名誉を毀損す るような発言が書き込まれた場合、当該フォーラムのシスオペにおいて 積極的な作為をしなければ、右発言が向けられている者に対し、何ら法 的責任を負うことはないと解することは相当でなく、シスオペが、右(一) にいう条理に照らし、一定の法律上の作為義務を負うべき場面もあると いうべきである。 この点、被告丙及び同ニフティは、シスオペに法律上の作為義務は ない旨主張する。確かに、ニフティサーブには本訴提起時点で三〇〇に 上るフォーラムが存在し、テーマ、会員層等によって、それぞれ異なっ た個性を有するのであるが(乙一九、丙三、証人訴外戊、被告丙 九 七 頁 本人)、これらを円滑に運営・管理するためには、各フォーラムの個 性に応じ、異なった配慮も必要とされるというべきこと、フォーラムの 個性を最も熟知しているのは当該フォーラムのシスオペであると解され ること、フォーラム運営契約(丙一)及び運営マニュアル(丙二)の記 載内容に照らすと、ニフティサーブにおいては、フォーラムの運営・管 理は、基本的にはシスオペの合理的な裁量に委ねられているものと解さ れるが、右裁量も、私法秩序に反しない限りにおいて認められることは 当然であるから、シスオペにつき、条理上の作為義務の存在を一切否定 する根拠となるものではない。また、その他、シスオペについて法律上 の作為義務を否定する同被告らの主張は、前示<1>ないし<4>の事情に照ら し、採用することができない。 九 八 頁 (2) 一方、前示事実に証拠(甲三四、丙三、被告丙本人)及び弁論 の全趣旨を併せると、<1> フォーラムや電子会議室においては、そこに 書き込まれる発言の内容をシスオペが事前にチェックすることはできな いこと(この点が、新聞、雑誌等の編集作業に携わる者とは根本的に異 なるところである。)、<2> 本件各発言がされた当時、ニフティサーブ においては、被告丙を含むシスオペの多くが、シスオペとしての業務 を専門に行っているわけではなく、他に本業を有し、空いている時間をシ スオペとしての活動にあてている者であったこと、<3> シスオペが行う べき業務の内容は、フォーラムの運営・管理全般に及ぶうえ、一つのフ ォーラム全体に一日あたり書き込まれる発言は膨大な数にのぼることが 認められ、この事実からすると、シスオペにおいて、自己の運営・管理 九 九 頁 するフォーラムに書き込まれた個々の発言の内容を、これらが書き込ま れる都度全てチェックし、その問題点をもれなく検討することも、通常 の場合は極めて困難であると解されること(なお、前示のとおり、シス オペは運営協力者を選任することができるが、右<2>のような実情に照ら すと、全てのシスオペに対し、書き込まれた発言の全てを、常時チェッ クするために必要な人員を確保することを要求するのは酷に失するとい うべきである。)に照らすと、シスオペに対し、条理に基づいて、その 運営・管理するフォーラムに書き込まれる発言の内容を常時監視し、積 極的に右のような発言がないかを探知したり、全ての発言の問題性を検 討したりというような重い作為義務を負わせるのは、相当でない。 (3) また、シスオペは、フォーラムを円滑に運営・管理し、もって、当該 一 〇 〇 頁 フォーラムを利用する権限のある会員に対し、十分にフォーラムを利用 させることをその重要な責務とするから、自己の行為により、フォラー ム(ママ)の円滑な運営・管理や、会員のフォーラムを利用する権利が、不当に 害されないかを常に考慮する必要があるというべきところ、発言削除等 の措置は、会員のフォーラムを利用する権利に重大な影響を与えるもの であり、当該フォーラムの個性を無視した対応をすれば、フォーラムの 円滑な運営・管理を害し、ひいては、会員に、十分にフォーラムを利用 させることができない状況に陥ってしまうこともあり得る。また、当該 発言の内容によっては、名誉毀損にあたるか否かの判断が困難な場合も 少なくないというべきである。このような事情に照らすと、名誉毀損的 な発言がフォーラムに書き込まれた場合、シスオペは、右(1)のような作 一 〇 一頁 為義務と右のような責務との間で、板挟みのような状況に置かれたうえ、 困難な判断を迫られるような場面もあり得る。したがって、右のような シスオペの地位、当該発言の内容、当該フォーラムの個性(テーマ、会 員層、ローカルルール等)等の事情も考慮する必要がある。 (4) 以上のような事情を勘案すると、少なくともシスオペにおいて、その 運営・管理するフォーラムに、他人の名誉を毀損する発言が書き込まれ ていることを具体的に知ったと認められる場合には、当該シスオペには、 その地位と権限に照らし、その者の名誉が不当に害されることがないよ う必要な措置をとるべき条理上の作為義務があったと解するべきである。 (三) そこで、被告丙が、本件各発言の存在を具体的に知ったと認められる 時期と内容について検討する。 一 〇 二 頁 (1) 前示事実によると、被告丙は、本件各発言のうち、<1> 別紙発言一 覧表(二)記載の符号8、9の各発言についてはこれらが書き込まれた当日 に、同一覧表(二)記載の符号11の発言については、これが書き込まれた翌 日に、運営会議室において、本件フォーラムの運営スタッフから、発言 番号等を特定したうえ、これらの発言については問題があるのではない かとの指摘を受けたこと、<2> また、同一覧表(二)記載の符号8の発言に ついては、会員から、右発言が書き込まれた四日後の平成五年一二月二 二日に、右発言は中傷及び脅迫であり、本件フォーラムではこのような 発言を放置するのかとの指摘がされたこと、<3> 被告丙は、同一覧表 (二)記載の符号3、8の各発言については、これらが書き込まれた当日に、 同一覧表(一)記載の符号1、同一覧表(二)記載の符号5及び11の各発言につ 一 〇 三 頁 いては、これらが書き込まれた翌日に、これらの各発言の問題点を指摘 する発言を、被告丁を名宛人とするかたちをとって、本件フォーラムの 七番会議室に書込みを行い、さらに、右<2>の指摘に対しては、平成五年 一二月二四日、当該発言は、原告が過去に行った行為に対する抗議の意 味もあるから、これのみを問題とするわけにはいかない旨の説明をした ことが認められる。 また、原告が、平成六年一月六日、被告丙に対し、同一覧表(二)記載 の符号6ないし11の各発言につき、発言番号等を指摘したうえ、これら は原告に対する誹謗中傷であるので対処されたい旨の電子メールを送信 したこと、平成六年四月二一日に本訴を提起し、その訴状は、同月三〇 日に被告丙に送達されたことは、右一5において認定したとおりであ 一 〇 四 頁 る。 (2) そして、右認定事実によると、被告丙は、<1> 別紙発言一覧表(二)記 載の符号3、8、9については、これらが書き込まれた当日(右各発言 に対応する同一覧表(二)の「年月日」欄記載の日)、同一欄表(一)記載の符 号1、同一覧表(二)の符号5、11については、これらが書き込まれた翌日 (右各発言に対応する同一覧表(一)又は(二)の「年月日」欄記載の日の翌日) の各時点で、<2> 同一覧表(二)記載の符号6、7及び10については、平成 六年一月六日の時点で、<3> 右<1>及び<2>以外の発言については、本件訴 状副本送達の日である平成六年四月三〇日の時点までに、それぞれ、本 件フォーラムに原告の名誉を毀損する発言が書き込まれていることを具 体的に知ったものと認められる。 一 〇 五 頁 (3) なお、被告丙本人は、「本件各発言が書き込まれた当時、勤務 先から大幅に仕事を軽減されており、本件フォーラムの運営・管理のた め、職場に出勤する日は一日あたり五、六回、出勤しない日は一〇回以 上、本件フォーラムにアクセスし、平均して一日あたり約八時間を本件 フォーラムのために費やしていた。また、本件フォーラムの電子会議室 における発言は全てダウンロードし、会議室によっては流し読みをした り、丁寧に読んだりという差はあったものの、目を通しており、注目し ている議論については、大体フォローできている状況にあった。」など と供述しているが、右供述のみでは、被告丙が、右(2)の<2>及び<3>記載 の各発言について、右(2)の認定より早い時点で、本件フォーラムに原告 の名誉を毀損する発言が書き込まれていることを具体的に知ったと認め 一 〇 六 頁 ることはできない。 (四) 次に、被告丙が、シスオペの地位と権限に照らし必要な措置をとった といえるかどうかについて検討する。 (1) 別紙発言一覧表(一)記載の符号1、同一覧表(二)記載の符号3、5、8、 9、11に対する対応について <1> 右一4(三)(四)において認定したように、被告丙は、別紙発言一覧表 (一)記載の符号1、同一覧表(二)記載の符号3、5、8、9、11について はその発言後まもなく運営委員ないし会員から問題点の指摘を受け、 又は同被告自ら被告丁に対しその発言を(ママ)注意を与えるなどして右各発 言の存在及び内容を知っており、かつ、右一4(五)によれば、被告丙 は、右発言中に誹謗中傷を含むものがあり、かつ、ニフティ会員規約 一 〇 七 頁 一四条にも違反するものであると認識しつつ、右発言は討論により改 められるべきであると考えながら敢えてこれを削除せずにこれを放置 したものである。 <2> そこで右措置の当否について考えると、原告に対する名誉毀損発言 は、これがフォーラム内で批判されたからといってその発言内容その ものの違法性が減殺されるものではないし、本件フォーラムの特色が 自由な議論にあり本件各発言に反論を行い得ることをもってその違法 性に消長を来すものとはいえない。しかも、原告が自ら被告丁の発言 を削除することはシスオペの職責上、パソコン通信の制度上不可能で あるから、被告丙としては、当該発言を削除し、あるいはこれに向 けた積極的な措置を講じるべきであったというべきである。ところが、 一 〇 八 頁 被告丙は、右<1>のとおり、原告から電子メール又は訴状によってこ れらの発言の削除を求められるまで、右のような状況を解消するため、 何ら積極的な措置をとらず、被告丁に単に本件フォーラム上で注意を しただけで後記(2)の措置をとるまで一か月余りにわたりこれを敢えて 放置したのであるから、被告丙は、この間右(二)(4)にいう必要な措置 を執るべき義務を怠ったというべきである。 この点、被告丙及び同ニフティは、原告からの指摘がない段階で は被告丙に作為可能性はない旨主張するが、右1(一)のとおり、右各 発言については、原告に対する正当な批判の域を明らかに逸脱した個 人に対する誹謗中傷であり、被告丙はこの発言を具体的に認識して いたという状況に照らすと、右主張を採用することはできない。 一 〇 九 頁 また、被告丙は、発言を削除しても再び同趣旨の発言を掲載した り、ID削除という措置をとっても再度別のIDを取得して同様な発 言をすることが可能だから、このような措置は効果がない旨の主張を するが、問題発言は、これが削除されない限り、当該発言による名誉 毀損状態が解消することはあり得ないのであるから、被告丙の右主 張も理由がない。 (2) 発言一覧表(二)記載の符号6、7、10に対する対応について <1> これらの発言について、被告丙がその発言の存在を具体的に知っ たと認められる平成六年一月六日以降に被告丙のとった措置は、右 一4(八)ないし(一二)のとおりである。 <2> まず、被告丙が、i 原告から指摘された発言について、その取 一 一 〇 頁 り扱いを運営委員会に付議したこと、ii 同月九日に、原告に対し、 発言削除に際しては、「原告からの訴えがあり、被告ニフティと厳密 な法的検討をした結果違法性のある発言と認め削除する」旨付記する との提案をしたこと、iii 右iiの提案が原告によって拒絶された後、 被告丙が原告と接触し、平成六年一月二〇日に電話で話合いを行っ たことについては、右(二)(3)のようなシスオペの立場、右一4(二)のよう な当時の本件フォーラムの状況に照らすと、原告の利益の保護と本件 フォーラムの円滑な運営・管埋という二つの要請を調和させるという 観点からは是認し得なくもない対応であったというべきであるから、 これらの点については、被告丙において、必要な措置をとったもの と評価できる。 一 一 一 頁 <3> また、右一4(一〇)のとおり、右<2>iiiの話合いの際、原告から、「信頼 できる人に相談するので、その結論が出るまで発言削除は待って欲し い」旨の回答がされている以上、被告丙においては、原告から再び 接触があるまでの間は、これらの発言について積極的な対応は期待で きないというべきである。そして、被告丙は、右二4(一二)のとおり、 原告代理人からの発言削除を求める書面を受領後、直ちにこれらの発 言を削除する措置を行っているものであるから、この点についても、 被告丙は必要な措置をとったものと評価できる。 この点、原告は、被告丙が、原告から要請があったことは明らか にしないことを確約しなかったため、発言削除を待つよう要請せざる を得なかった旨主張するが、右(二)(3)のようなシスオペの立場を考慮す 一 一 二 頁 ると、右一4(一〇)のような被告丙の対応を非難することはできないと いうべきである。 (3) 本件各発言のうち、右(1)及び(2)の発言を除くものに対する対応につい て これらの発言について、被告丙がその発言の存在を具体的に知った と認められる平成六年四月三〇日以降の被告丙の対応は右一5のとお りであるところ、右各発言について本件フォーラムの電子会議室の登録 から外す措置をとったことが妥当であることは明らかである。また、こ の時点においては、被告丙は、原告から訴えを提起され、訴訟の「被 告」という立場に置かれるに至った以上、被告ニフティや、各訴訟代埋 人などと綿密な打ち合わせをしたうえ、具体的な対応を決定せざるを得 一 一 三 頁 ないものというべきであるから、被告丙において、訴状の送達を受け てから、右各発言を本件フォーラムの電子会議室の登録から実際に外す 措置をとるまでの間に、本件程度の時間的間隔があることをもって、被 告丙を非難することはできないものというべきである。したがって、 右各発言については、被告丙は、右(二)(4)にいう必要な措置をとったも のというべきである。 (五) まとめ 以上のとおりであるから、別紙発言一覧表(一)記載の符号1、同一覧表(二) 記載の符号3、5、8、9、11の各発言に対する対応については、被告丙 には作為義務違反があることになる。そして、作為義務違反が認められ れば、少なくとも同被告に過失があったことが事実上推認されるものとい 一 一 四 頁 うべきところ、本件全証拠によっても、右推認を妨げるべき事情は認めら れないというべきであるから、右各発言に関しては、被告丙にも原告に 対する不法行為が成立するものというべきである。
(一) 被告ニフティとシスオペである被告丙とのフォーラム運営契約(丙一) においては、(1) シスオペは、<1> 被告ニフティの別途定める規約、マニ ュアル等に従うほか、被告ニフティの指示に従う(一条二項)、<2> フォ ーラムの運営に関しては関係する法令、被告ニフティの規約、指示等に従 う(六条四項)とされ、シスオペがフォーラム運営契約に違反したときに は、被告ニフティは、フォーラム運営契約を無催告で解約することができ るとされていること(一二条)、(2) シスオペが選任した運営協力者につ 一 一 五 頁 いては、被告ニフティが不適切と判断したときは、同被告は、これを解任 することができるものとされていること(五条)が認められ、このことに 照らすと、被告ニフティとシスオペである被告丙との間には、使用者責 任の基礎となるべき、実質的な指揮監督関係は優に認められる。 (二) そして、右のような被告丙の行為が、被告ニフティの事業の執行に関 して行われたことは明らかである。したがって、被告ニフティは、原告に 対し、使用者責任に基づき、被告丙の右2の不法行為によって原告が被 った損害を賠償する責任がある。 (三) なお、争点1(三)(2)(被告ニフティの責任原因・債務不履行〔安全配慮義 務違反〕)については、右一1(二)(3)のような会員契約の主旨に照らすと、 被告ニフティには、原告主張のような安全配慮義務がないことは明らかで 一 一 六 頁 あるから、原告の同被告に対する債務不履行に基づく損害賠償請求は理由 がないというべきである。
(一) 右1のような本件各発言の内容、右各発言が本件フォーラムに書き込ま れた期間、会員が本件各発言を読むことが可能であった期間、本件フォー ラムの会員数(被告丙がシスオペに就任した当時六〇〇〇人程度)は、 本件当時、アクセスが少ない状態であったこと(被告丙本人)、そ の他、本件に関する諸事情に照らすと、被告丁が、原告に支払うべき慰謝 料の額としては五〇万円が相当であるが(本件各発言によって原告が精神 的損害を受けていないとの被告丁の主張は、到底採用することができない。) 、原告の損害を回復するための謝罪広告はその必要性は認めない。 一 一 七 頁 (二) また、右(一)のような事情に加え、被告丙は、自ら原告の名誉を毀損す る発言を書き込んだわけではないこと、作為義務違反が認められるのも本 件各発言の一部に止まることに照らすと、被告丙及び同ニフティが、原 告に支払うべき慰謝料の額としてはそのうち一〇万円が相当である。 (三) なお、右(二)の被告丙及び同ニフティの損害賠償義務全額と、右(一)の被 告丁の損害賠償義務のうち一〇万円については、原告に生じた同一の損害 を填補するものというべきであるから、両者は不真正連帯の関係に立つも のというべきである。
以上のとおりであるから、原告の本訴請求は、(一) 被告ら各自に対して、 一〇万円の、(二) 被告丁に対して、さらに四〇万円の損害賠償を求める限度 一 一 八 頁 で理由があるというべきである。
1 争点2(一)(スクランブル事件が、被告丁の名誉を毀損し、不法行為となる か否か。)について (一) 原告が、被告丁のリアルタイム会議室参加の際、スクランブル機能を用 いて事実上被告丁を排除したことは右一2(三)において認定したとおりであ る。 (二) いわゆる村八分は、継続して特定人をある集団や生活共同体等から排除 するものであって、排除された者の社会生活に深刻な悪影響を与えるもの である。これに対し、本件におけるスクランブル事件は、原告が、ニフテ ィサーブにおいて、会員が用いることを許されているスクランブル機能を 一 一 九 頁 用い(原告本人、弁論の全趣旨)、ただ一度、一時的にRT会議室から離 脱したにとどまるものであり、原告のとった右措置についてのRT常駐要 員としての相当性の問題は別としても、被告丁の社会生活に重大な影響を 与えたものということはできないから、法的に、いわゆる村八分と同視す るほどの違法性が存すると認めることはできない。 2 争点2(二)(原告が、被告丁のプライバシー権を侵害する発言を行ったか否 か。)について (一) この点について、平成五年五月二一日に行われたRT会議室の記録(甲 八〇)によると、原告は、被告丁に「以前ニューズウィークに勤務してい たことはないか」と質問し、被告丁がこれを肯定している会話があること を認めることができる。しかしながら、右の記録中には、これを越えて原 一 二 〇 頁 告が「被告丁が職場でトラブルを起こした」旨の発言があったことを認め ることはできず、「以前ニューズウィークに勤務していたことはないか」 と質問した以上に被告丁のプライバシーを侵害したと認めることはできな い。 なお、丁二の2には、ハンドル名TSこと訴外辛が、五月中旬ころの本 件会議室のリアルタイム会議室において、原告と被告丁が参加していた場 において、被告丁がトラブルを起こしたとの話題が原告から出たことがあ る旨の記載がみられるが、右の回答者の記憶にはあいまいな点があり、右 書証の記載に全幅の信頼を置くことができるかについては疑念が残り、こ れを裏付ける客観的資料が証拠として提出されているわけではないことに 照らすと、右証拠は採用できない。 一 二 一 頁 (二) したがって、この点に関する被告丁の主張も理由がない。 3 よって、争点2(三)について判断するまでもなく、被告丁の原告に対する反 訴請求は理由がないことになる。
以上の次第であって、(一) 原告の本訴請求は、(1) 被告ら各自に対して一〇 万円、被告丁に対してさらに四〇万円及び右各金員に対する本判決言渡の日の翌日で ある平成九年五月二七日から支払ずみまで民法所定年五分の割合による遅延損 害金の支払を求める限りにおいて理由があるからこれを認容し、(2) その余の 請求はいずれも理由がないからこれを棄却し、(二) 被告丁の反訴請求は、いず れも理由がないからこれを棄却し、(三) 訴訟費用の負担につき民訴法八九条、 九二条、九三条但書、仮執行の宣言につき同法一九六条一項に従い、主文のと 一 二 二 頁 おり判決する。 東京地方裁判所民事第一三部 裁判長裁判官 園 部 秀 穗 裁判官 鬼 澤 友 直 一 二 三 頁 裁判官田中一彦は、差支えのため署名捺印することができない。 裁判長裁判官 園 部 秀 穗 一 二 四 頁 (別紙一) 一 謝罪広告 平成五年一一月から平成六年三月にかけて、現代思想フォーラム(FSHIS O)の複数の会議室に断続的に書き込まれた「甲は、部落ならびに朝鮮人 を差別する発言をした、通信上で不当な利益を得るために活動をした、不法滞在 等の違法行為をした」との趣旨の被告丁(ID:VFC03154、ハンドル名: LEE THE SHOGUN、又は気が小さい李)の複数の発言内容は事実に 反し、いわれなく甲氏の名誉を毀損するものであるにも関わらず、平成 年 月 日までその大半を削除せず放置し、そのために貴殿をはじめとする 会員各位に多大なご迷惑をおかけしたことを心から深くお詫び申し上げます。 平成 年 月 日 一 二 五 頁 ニフティ株式会社 右代表者代表取締役 甲 SDI00729 現代思想フォーラム システム・オペレーター 被告丙(ハンドル名:WAKEI) VFC03154 被告丁(ハンドル名:LEE THE SHOG UN、又は気が小さい李) 甲 殿 一 二 六 頁 会 員 各 位 二 掲載条件 掲載場所 ニフティサーブへのアクセス完了直後の「重要なお知らせ」 掲載期間 一か月間(ただし、一ユーザーにつき三回表示) 一 二 七 頁 (空 白) 一 二 八 頁 (別紙二) 一 謝罪広告 平成五年五月七日の現代思想フォーラム(FSHISO)のフェミニズム会議 室において、貴殿の名誉を著しく毀損し多大な迷惑をおかけしました。よって、 ここに深くお詫び申し上げます。 平成 年 月 日 甲 (NBD00367・ハンドル名 Cookie) 丁 殿 一 二 九 頁 二 掲載条件 掲載場所 ニフティサーブ内FSHISOへのアクセス直後のオープニング メッセージ 掲載条件 一か月間(但し、一ユーザーにつき三回表示) 一 三 〇 頁