<月を見るもの><新しい岩>と対面した。
 物体は長方形の厚板で、高さは彼の身長の3倍もあったが、幅は両手を広げれば届くくらい狭かった。そして何か完全に透明な物質で出来ていた。

 律動的な振動はますます大きく、ますます執拗になってきた。やがてヒトザルたちは、否応の無い音の源へ向かって夢遊病者のように動きはじめた。彼らの子孫が長い時代を経て作り出すリズムに体内の血が呼応し、ときに彼らは軽くダンスのステップさえ踏んだ。
 透明な石版にすっかり魅せられた彼らは、一日の労苦も、近づく闇の危険も、体の中の飢えも忘れて、そのまわりを囲んだ。

 ドラムの音は大きくなり、辺りは暗くなってきた。ものの影が長く伸び、空から明るさが消える頃、石版は輝き始めた。
 ヒトザルたちは、輝く石版に魅了され眺めつづけた。
 見えない力が彼らの心を探り、肉体を走査し、反応を調べ、潜在力を測っているとは考えもしなかった。

模型制作 八木博顕
2001:A SPACE ODYSSEY
アーサー・C・クラーク作 【2001年宇宙の旅】より



この作品は、アーサー・C・クラーク原作、スタンリー・キューブリック監督 映画【2001年宇宙の旅】を題材として製作しました。文面は早川書房 アーサー・C・クラーク作 伊藤典夫 訳 【2001年宇宙の旅】
より引用しました。

以下、製作記です。興味のある方はご覧下さい。

【月を見るもの】と後ろ2体のヒトザル達は、バンダイ 1/48戦車兵を芯としてタミヤ・エポキシパテ速乾を盛り付けて整形0しました。ですからスケールとしては1/48です。モノリスはスチレンボードをプラ板でサンドして作っています。比率はちゃんと1対4対9としています。
 モノリスの塗装は映画を参考に黒としました。ベースはトミックスのシーナリープラスターを使っています。岩はコルクブロックにシーナリープラスターを塗りつけて作成。塗装は地面・岩ともに、少し赤を混ぜたサンドカラーで塗装しています。
 情景素材はヴィネットの作り方のコーナーで使用しているものと一緒です。興味のある方は、そちらを参考にして下さい。


  2001年、僕らにとってのモノリスは、現れるのでしょうか。すでに見つけている人もいるでしょうし、これから見つけられるのかも知れません。気づかずに通り過ぎる事だけは避けたいですね。21世紀は精神の充足が大事にされるという説がありますが、そうなら模型を楽しんでいる僕らは、この趣味をもっと誇っていいのでしょう。そういう意味では、子供の頃に触れたプラモデルが僕にとってモノリスだったのかもしれません。

 

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