
弐


模型製作 八木博顕
情景作品「押絵と旅する男」について、
スケールは1/35で、タミヤの兵隊人形よりの改造です。
服はエポキシパテより、顔はレジン製ヘッドを初老の男風に削り込んで造りました。
客車内の設定なので、床板と椅子の台座は木材で、それ以外はプラ材を使用。
天井部に証明を入れてあります。

以上を小説よりイメージして造りました。
乱歩の幻想の中でこの作品は、落ち着いた雰囲気でいて、引き込まれるような感じを受けます。
この男のあやしさに増して、窓に立てかけてある額縁が主人公と同じく読者にも気になるからです。
読者という傍観者ではなく、自然に主人公の視点へと同化させられるからでしょう。
その額縁(模型では裏側が正面に向いています)には押絵があり、男は、押絵の中の人物に、
窓から流れる風景を見せてあげているのです。
「これがごらんになりたいのでございましょう」
この男の一言で、主人公と読者は押絵の妖しさと、押絵に関わる不思議な話に囚われてしまうのです。
押絵に興味を持たれた方は、ぜひご一読を。短編なのですぐに読めます。
創元推理文庫 日本探偵小説全集.1 江戸川乱歩集
春陽堂 江戸川乱歩 文庫 屋根裏の散歩者 他六編
河出文庫 渋澤龍彦編 暗黒のメルヘン
などに掲載されています。
これから乱歩を造るとしたら?
乱歩の作品では、僕は短編が好きです。長編も面白く読みましたが、印象に残っているものとして、
押絵と旅する男、人間椅子、芋虫、お勢登場などの短編があります。
人間椅子は作りかけたことがありますが、中に人形を芯として入れたものの、
やはり椅子でしかなく、製作途中で投げ出しました。
芋虫はグロテスクなものにしかなり得ないですね。
艶かしい女が造れればお勢でしょうが、これはもっと技術を上達させてからでしょう。
「人でなしの恋」などが面白く造れそうです。
「パノラマ島奇談」のサイケな世界も魅力的だな。
さて、構想を練るために、乱歩の本を手にとろうかな。
それでは、また。
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