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Syozo OSAWA



大澤省三

 研究者一人が一生に使える時間は意外に短い。人から押しつけられず、人まねをせず、自分の好きなことをやり通す 

2003.3.19郷通子教授退官記念シンポジウムの記録より)



*略歴 
1928年10月2日生まれ。1951年 名古屋大学理学部生物学科卒業、 1954-1955年 ロックフェラー医学研究所(Mirsky Lab)、 1956年 名古屋大学理学部助手、 1968年 広島大学教授を経て、1981年理学部生物学科動物学第一講座教授。1992年定年退官( 名古屋大学名誉教授、広島大学名誉教授)。その後1992年から2001年までJT生命誌研究館顧問をつとめた。

*受賞歴 
日本生化学会奨励賞 (1966), 中日文化賞 (1985), 日本遺伝学会木原賞 (1987), 遺伝学振興会遺伝学奨励賞 (1989),  日本学士院賞 (1992), 木村資生博士記念学術賞 (2001)

*所属学会 
日本遺伝学会(名誉会員)、日本進化学会(名誉会員)、日本鞘翅学会、日本甲虫学会


郷通子教授退官記念シンポジウムにて(撮影:堀 寛)


昆虫少年からの旅立ち
 私が少年時代にすんでいたのは名古屋市東区の新出来町。あまり豊かではない人たちの住む長屋街で、私たちは冗談まじりに「貧民窟」などと呼んでいた。すぐ裏手に徳川時代から続いている「建中寺」というけっこう由緒あるお寺があって、高い石垣に囲まれて中には入れない。人を入れないから中はうっそうとした原始林(?)で、昆虫の宝庫だった。

 小学校4〜5年ごろから虫採りに夢中となり、このお寺にもぐりこんでは昆虫を採った。しかし、最初から蝶にはあまり関心がなかった。もっぱら集めたのは甲虫、それも、カミキリムシやクワガタムシといったなじみのある大型甲虫ではなく、体長0.5cm〜2cm の小さな甲虫が中心だった。

 虫好きの私を見て親父が買ってくれた三省堂の『原色甲虫図譜』には、小さな甲虫がたくさん出ていた。カミキリとかクワガタに比べると、こうした小さな甲虫はわからないことが多い。だから、そっちのほうが面白いと思ったのだろう。

 大学卒業近くまでは昆虫学者になるつもりだった。しかし、私のいた名古屋大学理学部は発生学のメッカで、昆虫学は農学部でやるものだという雰囲気があり、私のほうも講義を聞くうちに虫以外に生物学には面白いものがあると感じるようになっていった。とくに印象に残ったのが、イモリの発生の鍵を握る物質としてあがってきたのがRNA(リボ核酸)である。化学の江上不二夫さんの講義を聞いてみると、じつに面白そうな物質だと思った。虫も面白いが、DNAやRNAという核酸のほうが、より生命にとって本質的なのではないか。虫屋であった私が、やがて遺伝暗号の世界へと歩を進めていったのには、こんないきさつがあった。(JT生命誌研究館サイエンテイストライブラリー: 大澤省三 より。@


代表的な著書 (Representative Books)

Evolution of the Genetic Code
Syozo OSAWA
Oxford University Press (1995)
(簡単な日本語解説付き紹介文)

Molecular Phylogeny and Evolution of Carabid Ground Beetles
Osawa, S., Su, Z.-H., Imura, Y.
Springer Verlag Tokyo, January 2004.

遺伝暗号の起源と進化
大澤省三著/渡辺公綱・上田卓也・大濱武訳 (Evolution of the Genetic Code の和訳)共立出版、東京 (1997)

DNAでたどるオサムシの系統と進化
大澤省三・蘇智慧・井村有希 著(Molecular Phylogeny and Evolution of Carabid Ground Beetles の和訳)
哲学書房 (2002)

List of Publications

全業績集(年代順)
その他

「無の発見─最終講義にかえて─」 大澤省三 (井川洋二編「生物科学の新世紀」1992年4月、羊土社)

「分子生物学の岡崎時代」 大澤省三 ( 自然 1975 年 10 月号)

「新ミレニアムへのメッセージ:私説 日本の生物学」大澤省三 ( 蛋白質核酸酵素 2001年 6 月号、p. 741-745).

「危機にたたされた日本の動物相 」 大澤省三 (日本昆虫協会ニュース・レター別冊 2004)


「大澤 : ムシの博物館」


このページは名古屋大学理学部生物学科の歴史の記録の一環として旧動物学第一研究室HP成委員(堀)により作成された。