この奇怪な物語を読み、改憲論議に備えて簡単な肯/否クイズ (無料。なお、ご厚志の節、お振込先は日本郵便貯金: 10540 55207191)に挑戦してはいかが。この頁の末尾のnextをクリック、次頁を呼出して下さい。酩酊(中)はクイズに後続。

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  苦い真実

 ことの発端は二千年中頃に近くの市民センターで見掛けたポスターである。

 「オウム(アレフ)信者の申請は拒否します。」(後記参照)

 玄関ホールの壁に貼った、この古ぼけたポスターは、もう何年も居座っている。江戸川を隔てて東京に隣接する当市が運営する諸地区センターでの掲示であるから、その無法さは常識ある日本人なら見過ごせない。
 当初、市の幹部職員に抗議したら、「市の方針です」と言う、澄ました返事。当方は「オウムと言えども日本人だぞ」と、誰にともなく怒鳴らざるを得なかった。
 警察も動き渋るので、この「日本の恥」を私は二千年八月九日付けで検察に告発、市・署長らを、アーレフ信者のだけでなく全国民の憲法(第十四条「平等権」)上の差別不受権を妨害した罪で刑法(第百九十三条「職権濫用」)に従って、罰するよう求めた。
 
 日本国憲法は、そのマッカーサー草案の逐語訳と言ってよいが、第十一条の冒頭で宣言する。

 「国民は、すべての基本的人権の享有を妨げられない。」

 この条文の「享有」は英文では「エンジョイイング」で「享有享受」と言う意味であるが、憲法では何故か「享受」が落ちている。このように日本国民は、人権享受の権利は剥奪されているのに、英文では、マ案でも憲法反訳でも、前後一貫して「享有享受」していることになっている。巧く騙したものではないか。
 ところで、憲法施行当時の噂では、この詐術は次条で更に悪辣なのを仕組む布石に過ぎなかったのだが、その第十二条。


 「この憲法が国民に保障する自由及び権利は、国民の不断の努力によって、これを保持しなければならない。又、国民は、これを濫用してはならないのであって、常に公共の福祉のためにこれを利用する責任を負う。」

 因みに、この末尾文節に対応するマ案第十一条末尾。

 「、、、国民の側に、その濫用を防止し、常に共同の善のために用いる義務を生ぜしめる。」

 上記十二条末尾の文節こそが、かの醜悪なポスターを守っている。これは第一の詐術で諸人権行使の保証を密かに取消しておいたので、この文節が、語句「のために(フォア)」は「を目的に」と解し得るから、国民の義務として確立、諸人権は公共の福祉を達成する為の単なる手段と化したからであるが、これら条項の文脈思想は人権宣言に由来し、その公理は「自由に、他を妨げぬように。」だった筈。

 その夏も終わる頃、元法務大臣が、「オウムと言えども日本人である」と、私と同じ言葉を使って、新聞のコラムで怒った。この官僚上がりの政治家に力付けられて、私は第二の詐術を以下の通りに暴露する。

 まず、ある英英辞典(OALD)の例文。

「国民を騙してよいものでしょうか、彼等自身の為を思って(フォア・ゼア・オウン・グッド)とは言え。」(筆者試訳)

 更に、諸コンサイス英和辞典の例文。
 
 「あなたのためを思って(フォア・ヨア・グッド)これを言っているのです。」
  
 前述マ案の英慣用句「共同の善のために(フォア・ザ・コモン・グッド)」は通常は「公益のために」と読み、これは「公益を目的に」と解し得るから、憲法第十二条の「公共の福祉のために」も「公共の福祉を目的に」と最強力に解釈出来る(「目的説」)。

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 しかし、このマ案句で、「の善のために(フォア、、、グッド)」部分は「に善かれと願って」、言い換えれば「のためを思って」又は「の利益に配慮して」とも読めることが、これら辞書の二例文で判明したのである。この別解をマ案第十一条末尾に適用すれば、どうなるか。

 「、、、常に共同社会の利益に配慮して用いる、、、」(配慮説)

 これが憲法第十二条末尾でも規定すべきことではないか。即ち、我々が自由なのは、「公共の福祉に反しない限り(第十三条)」に違いない。
 
 ところで、翻訳の鉄則は首尾一貫性であるが、この「配慮」説が人権優先を主題とする当の文脈に合致するのに対し、先の「目的」説は、そうではないから、誤訳である。
 では、このような国家的利害に関わる死活的作業で政府は間違ったのか。まさか、そんなことはなかろう。ならば、故意か。そうだ。それが第二の詐術であり、故意でなかったとしても効果は同じだし、多々あった正誤の機会も無視して、わが醜悪ポスター事件でのように、機能し続けている。
 即ち、この詐術で、日本政府はマ草案第十一条の問題の英語句「共同の善のために」を和訳する際、「共同の善(ザ・コモン・グッド)」を類似の「公共の福祉(ザ・パブリック・ウエルフェア)」と取替えて密かに「善(グッド)」を抹消して、この語句中に構成されていた慣用句「の利益を考慮して(フォア、、、グッド)」を解消、これに対応する憲法第十二条末尾では、マ案での<原則自由な人権享受への「公益配慮義務」の補足>を、<人権を常に「公共福祉を目的」に利用する責任>に、すり替える本末転倒に成功したのである。

 一方、検事は二千一年三月三十日付けで我が被告たちの「不起訴」を決定、別の検事が当方の申請に応えて四月十日付けで今回決定理由を「罪とならず」とだけ回答。この間、筆者は法務省人権擁護局と電話で地区から本局まで三段階で接触してきたが全くの無駄だった。酷かったのは同局の当県での責任者で、遂に「はっきり言ってオウム側に問題がありますね」とまで言ったので、こちらは「今言ったこと、忘れないで下さいよ」と念を押して置いた程だ。当市も、二千三年六月二十六日に同種の問題で自治体側敗訴が最高裁で確定したのに、全く態度を変えない。(本文末の後記参照)

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 結論として、そもそもは、一連の詐術で生じた、これら二条文間の不均衡による、この戦後最高の散文の渋滞を見逃した我々国民が迂闊だったのであり、問題の多義英語「フォア (和訳「のために」は、この文脈では「を目的に」としか解釈出来ない。唯一可能な別解「の利益に」が直前の語「福祉」と意味が重複して不適だから)」は、「の側に立って」とでも訳したら、誰もが納得して円満に終止符を打てたろう。

 驚くべきことに、この種の致命的欠陥は日本国憲法には珍しくなく、この問題は最悪なだけだ。この人権公共福祉目的説は、我々の民主主義を値切って根切って、その底まで抜けたバケッソコナイから薄汚いポスターなんかを垂れ散らかすからだ。
 もう一つの憲法の死病は周知のように戦争放棄の骨抜きである。自衛権は自明だとか国際法上の国家固有の権利だとか言うが、そんなことは我が最高法規が言ってないから無効である。憲法第九十八条は言う。

 「この憲法は、国の最高法規であって、その条規に反する法律、命令、詔勅及び国務に関するその他の行為の全部又は一部は、その効力を有しない。」

 これに自衛権は抵触しないか。因みに、この条文中の「行為」は英語では「アクト」で「法規」が正しい和訳であった。「その他」が先行文言で列挙し残した「同種のもの総て」を指すのは契約書の常套であるから、これも例の詐術の一環である。即ち、この詐術は、本条が無効とするのは「その他の行為」であり、「その他の法規」ではないから、国際「法規」である国家自衛権は無効と出来ないと言い抜ける為の逃げ口を開けて置いたのだ。
 憲法第三の末期癌は首相の衆院解散権である。そんな権利は、先年に当時の衆院議長が指弾した通り、憲法には無いが、マ草案には内閣不信任案との絡みで設けてあったのを、マ案和訳者が抹消して、天皇が衆院を解散する際に助言するのが首相だから、好きな時に「そう」助言出来ると無制限に拡大して、権利呼ばわりして来ただけである。

 このように、あなたの憲法は、その権力の柱を、理念、威力及び権能の三つとも、長年に亙り滅茶苦茶に弄ばれている。これら総てが誰の仕業か、あなたには当てられるだろうか。勿論、かの、人を食うのが趣味だと葉巻を咥えて嘯いた白足袋の老臣ならではのこと。この首謀者による有難迷惑な面従腹背外交の戦利品を己が手に、羊頭を掲げて狗肉を売るのに腐心する支配層が、朝野を挙げて、これを持て余してきたのが戦後日本である。
 過ちを改むるに憚ることなかれ。折角の歴史的選択を台無しにされては、南天でワンマンが吠えないか、「おれの足を引っ張るな、いつまでもッ」と。

 (真相物語。2005年3月31日完。)

後記

二千六年春、この人権尊重宣言 (98/12/10) 都市の市長選挙を目前に、わが醜悪ポスターは、今回は投票所にならない当市役所支所の違憲確定ポスター (「酩酊 1及び6」参照)に取って替わり、代わって投票所となる当市民センターのポスターは元のまま。

現状では、このHPを閉鎖する理由は無い。(06/6/15)


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