高血圧症

  • Q1 高血圧(症)とは?
  • Q2 高血圧の原因は?
  • Q3 高血圧はなぜ治療しなければならない?
  • Q4 血圧はどのくらいまで下げればよい?
  • Q5 高血圧は治らない?薬は一生続ける?
  • Q6 家庭血圧とは?

A1 高血圧症は慢性的に血圧値が高くなり,様々な合併症を引き起こす病気です

診察室で測定した血圧の分類(mmHg)
(日本高血圧学会編 高血圧治療ガイドライン2009一部改変)
分類 収縮期血圧   拡張期血圧
高血圧 III度 180以上 または 110以上
II度 160-179 または 100-109
I度 140-159 または 90-99
正常高値血圧 130-139 または 85-89
正常血圧 130未満 かつ 85未満

2009年に日本高血圧学会により高血圧治療ガイドラインが5年ぶりに改訂されました.本ホームページの内容もこれに従い一部修正しました.

A2 高血圧症のおよそ90%は原因不明 (=本態性高血圧症) です

約10%は何らかの原因 (例えば血圧を上昇させるホルモンを作る腫瘍の存在など) によっておこる二次性高血圧症です. この場合は原疾患の治療 (例えば手術によって前記の腫瘍を取り除く) によって血圧は下がり,降圧薬が必要なくなる場合があります. 本態性高血圧症の場合は明らかな原因がないので,減塩,減量などの一般療法に加えて降圧薬が必要になります.

A3 血圧を高いまま放置した場合と治療により適正に下げた場合では, 後者の方が動脈硬化による合併症 (脳血管障害,心血管障害) の発症率が低く,長生きできることが, 多くの介入試験 (内科・循環器の項参照) によって証明されているからです

血圧が高いと動脈や心臓にかかる圧力が高くなり,動脈と心臓の両方に悪影響を及ぼします. 動脈に対しては動脈硬化を進行させ脳血管障害や心血管障害の発症率を高めます,心臓に対しては心臓の筋肉を厚くさせ (心肥大) ,心不全の 原因となることがあります (高血圧性心疾患) .

A4 降圧の目標値は対象によって異なります

診察室で測定した血圧の降圧目標(mmHg)
(日本高血圧学会編 高血圧治療ガイドライン2009より一部改変)
対象 目標血圧値  
若年・中年者 (65歳未満) 130/85未満 =正常血圧以下
高齢者 (65歳以上) 140/90未満 =正常高値血圧以下
糖尿病/腎臓病/心筋梗塞 130/80未満 =正常血圧
でさらに低く
脳血管障害 140/90未満 =正常高値血圧以下

65歳未満で糖尿病,腎臓病,心筋梗塞などがない方の降圧目標は,血圧分類の<正常血圧>以下ですが,糖尿病,腎臓病,心筋梗塞などがある方は,より 厳格なコントロールが必要です.一方,高齢者や脳血管障害のある方では,やや高めの目標設定(血圧分類の<正常高値血圧>以下)です.

A5 降圧薬は基本的には一生内服を続ける必要があります

高血圧症は高脂血症や糖尿病と同様に,<治る・治らない>という言葉で表現される疾患ではありません. 一般の肺炎や胃潰瘍などは治る病気であり,また再発することがあります.これに対して高血圧症などの前記疾患は,[生活習慣の改善などの一般療法] +[薬物療法]によって上手にコントロールする 病気です.つまり高血圧症は減塩食,適度な運動,減量などの一般療法に加えて降圧薬を内服し, 適正な血圧値を維持する病気です (一般療法のみで降圧目標に達する場合もありますが,多くの方は降圧薬が必要になります) . したがって降圧薬は高血圧症を治す薬ではありません.降圧薬が効いている時間内は 血圧が下がりますが,それを過ぎると徐々に血圧が上昇します. 降圧薬の効いている時間は個々の薬によって異なりますが,概ね次の3種類に分類され,現在は1が主流です.

  • 血圧を下げる作用が約1日続く薬:1日1回内服でよい
  • 血圧を下げる作用が約半日続く薬:1日2回内服しなければならない
  • 血圧を下げる作用が数時間しか続かない薬:1日3回内服しなければならない

A6 家庭血圧測定は診察室血圧測定と同様に高血圧症の治療に有用です

従来,高血圧症の診断と治療は医療機関での血圧値(診察室血圧)だけを指標に行われてきました.これまで説明してきたA1-A5の内容も診察室血圧に基づいたものです.しかし現在は血圧治療の指標として,家庭で測定した血圧(家庭血圧)が診察室血圧と同等以上に重要であるとされています.また家庭血圧による高血圧症の基準は診察室血圧よりも(5mmHg)低く設定されています(下の表).

 

高血圧症の基準 診察室血圧と家庭血圧(mmHg)
(日本高血圧学会編 高血圧治療ガイドライン2009
測定 収縮期血圧   拡張期血圧
診察室血圧 140以上 または 90以上
家庭血圧 135以上 または 85以上

 

 

<家庭血圧測定の意義>

  • 薬の効き具合の評価(充分に下がっているか,下げ過ぎてないか)
  • 白衣高血圧の診断
  • 逆白衣高血圧(=仮面高血圧)の診断
  • 早朝高血圧の診断
  • 薬の効果の持続性を評価

白衣高血圧とは診察室血圧は高値で家庭血圧は正常な状態をいいます.

(白衣高血圧は現状では治療の対象ではありません)

・逆白衣高血圧(=仮面高血圧)とは,白衣高血圧と逆に診察室血圧は正常ですが,家庭で測定すると高血圧である状態をいいます.

早朝高血圧とは,起床後早朝の血圧が高い状態をいいます.

診察室血圧は良好なのに脳出血を来すような患者さんの一部には早朝高血圧が関係しているとも考えられています. こういった患者さんを発見し,適切な治療を行うためにも家庭血圧測定は役立ちます.

・現在主流となっている1日1回内服するタイプの降圧薬は内服後24時間,効果が続くとされています.

言い換えると24時間過ぎると効果がなくなるということです.朝食後に内服した降圧薬の効果は翌朝の内服前には効果が薄れ,血圧が上昇する可能性があります.薬の効果の持続性を評価するという点においても家庭血圧測定は有用です.

 

<家庭血圧の測定法>

朝の測定

  • 起床後1時間以内
  • 排尿後
  • 坐位で1-2分の安静後
  • 朝食前,降圧薬内服前

夜の測定

  • 就寝前
  • 坐位で1-2分の安静後
  • 喫煙,飲酒,入浴直後は避ける

朝と晩,1日2回の測定は大変かもしれませんので,当院では朝の血圧測定を勧めています.血圧測定を2-3回繰り返してその平均値を使うのが理想ですが,1回測定でよいからとにかく血圧測定の習慣をつける事が大事だと考えています.尚,高血圧学会では,血圧測定器は医療施設で使われているように上腕(二の腕)で測定するものを勧めています(手首や指先での測定は正確性に欠ける事が多いため).

 

<家庭血圧の降圧目標>

家庭血圧では降圧目標も診断基準と同様,診察室血圧より(5mmHg)低く設定されています.下の表は家庭血圧の降圧目標を診察室血圧と比較したものです.

 

診察室血圧と家庭血圧の降圧目標(mmHg)の比較
(日本高血圧学会編 高血圧治療ガイドライン2009 )
対象 診察室血圧 家庭血圧
若年・中年者 (65歳未満) 130/85未満 125/80未満
高齢者 (65歳以上) 140/90未満 135/85未満
糖尿病/腎臓病/心筋梗塞 130/80未満 125/75未満
脳血管障害 140/90未満 135/85未満

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