マリアの百獣擬態 その弐
エリマキトカゲ〜5 - 4〜
このシリーズは、あらゆる惨めな珍芸を仕込まれ続ける
「マリア」の動物や昆虫の形態模写のみを厳選して
ご紹介するシリーズです。
クールで知的な男装の麗人のなれの果てをご笑覧下さいませ。
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罰ゲーム
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12.「変装」
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午前9時55分.
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男は懐から小さな紙袋を取り出すとマリアにそれを手渡した。
「けけっ!おめぇが百円で買った変装グッズだ!中を確かめなっ!」

「……は、はいっ!」
マリアは呆気にとられていた、男の差し出した紙袋のあまりの小ささに!あまりの軽さに!
「!!!」

「え?、え?、ええええっ!?」
紙袋の中身を確認したマリアが思わず驚愕の声を上げる!
紙袋の中に入っていた物は……
子供用の髪の毛を結わえる赤いゴム紐が三本!
金属で出来た大型クリップが二個!
先端に金属製の二股フックが装着された真っ赤なゴムバンド!
それのみである!
マリアが莫大な借金を背負ってまで手に入れた「変装グッズ」とは
まとめて買っても十銭にもみたぬようなガラクタ同然の品であったのだ!
「どうしたい?不服そうじゃねぇか!」

「こ、これは……?ど、どうつかうんですか?」
マリアの顔に不安感が浮かぶ!
「ふんっ!特別におれがメイクしてやるよっ!」

(ほらっ!マリアっ!お礼っ!)

「はっ!あ、ありがとうございますっ!」
男はマリアから変装グッズを受け取るとギャラリーの子供達に向かって
得意そうに説明を始めた!
「まずは髪型だなっ!」
「だいたい、女ってのは髪型を変えれば印象ががらりと変わっちまう!」
「そこでこのゴム紐だ!」
子供達はマリアの正面に座り込み男の手元を興味深そうに見つめる。
男はマリアの髪をぶっきらぼうにに正面から分けていく。
無骨な作業で金髪が数本まとめて引きちぎられ、苦痛の表情を浮かべるマリアのことなどお構いなしに
そのまま左右に分けた髪の毛をゴム紐で束ねる!
「ようしっ!髪型完成っ!どうだっ!ガキ共っ!」
「うわぁっ!かわいいっ!」
「おねえちゃん!こどもみたぁい!」
子供達が無邪気な感想を述べる!
歌劇団の男役特有の片側に流したマリアの髪型が、幼い女の子のような
可愛らしい髪型に変えられている!
しかし、身長180センチを優に越える完璧なプロポーションを持つ肢体にはなんとも
不釣り合いでアンバランスな印象を醸し出す!



(きゃははははははっ!)

(マリアちゃん!お似合いようっ!バッカみたい!)
「ほらっ!笑顔だ笑顔っ!
「は、はいいっ!」

「えへっ!えへへへへっ!」
「あはははははははは〜」
「おねえちゃん、なんか変〜っ!」
「さてとっ!次はこれ!」
「これをつけちまえば、親でもわからねぇっ!」
次に男が取り出したのはフック付きのゴムバンドである。
男はゴムバンドの片側をマリアのエリマキの後部に通しそのまま前に引っ張った!
そして……
「うぎいいいっ!」
最初マリアは自分が何をされたのかわからなかった!
そして、いきなり理解した!男はなんと固定されたゴムバンドのフックを
マリアの鼻の穴に引っかけたのだ!
「うへあああああっ!」

「うへええええええっ!」
「ふぁがあああああああっ!」
鼻を思いっきり上部に引っ張られたマリアが悲鳴を上げる!
「あははははははははっ!」
「おねえちゃん、おもしろい〜い!」
「ぶたおんなだぁ〜っ!」
「やーい!ぶた〜っ!ぶたぁっ!」
「ぶーぶー!ぶぅぶぅ!」
「きゃははははははっ!」
子供達にはマリアが感じている苦痛も屈辱も感じられぬ!
ただ、面白い顔をしたへんなお姉さんが自団駄を踏む様子が滑稽なのだ!
ゴムバンドの強力な伸縮力がマリアの美しい鼻を無様に引き伸ばす!
彼女は自分の顔がどう変形しているのかもわからず、また
お仕置きが怖くてゴムバンドに触れることすらかなわず、
ただただ情けない声で泣き叫ぶばかり!
「ほよよよよっ!ほよよよよっ!」

「ほよよよよっ!ほよよよよっ!」



(ぎゃははははははっ!)

(馬鹿みたいっ!バッカみたいっ!)

(ぷははははっ!ブタっ!あんたブタようっ!)

(ブタトカゲですよぅっ!)



(ぎゃはははははははははっ!)
「けけけっ!無様だぜっ!クソトカゲっ!」
「おらっ!笑顔だ笑顔っ!嬉しいだろ!」
「ふゅひっ!ひゅへへへへへっ!」

「ふゅへへへへへへへっ!」



(ぎゃはははははははっ!)

(嬉しい?!まりあちゃん!ブタ女に変身できて嬉しい!?)
「うへっ!えへへへへへぇっ!」

(ああああああっ!あああああっ!?)
マリアはまだ自分の身になにが起こっているのかを理解していなかった。
しかし、最後のグッズで「変装グッズ」本当の意味を思い知ることになる。
男は最後に残った大型クリップを左右の手に持ち、マリアに話しかけた。
「これで最後だぜっ!ブタトカゲ!」
「これを付ければ完璧だ!」
「歌劇団の連中だって、てめぇとは気付かないだろうぜっ!」
男はそういうなり、クリップをマリアの両頬にはさみ付けた!
バチンッ!バチンッ!
「うびえええええええええっ!」

両頬に加えられた激痛にマリアの悲鳴が公園中に鳴り響く!
「ひべええええええっ!」
「ぶへええええええっ!」
美しかった頃のマリアの面影などどこにもない!
そこにいるのは、顔面を上下左右に引き伸ばされ、醜く変形した顔を晒した
ひとりの変態トカゲ女の姿があるだけである!
マリアが購入した変装グッズとは、これだったのだ!
マリア自身の顔を醜く変形させ、無様に引き伸ばす道具!
「あははははははっ!」
「きゃははははははっ!」
「おねえちゃん、おもしろい〜!」



(ぎゃはははははははっ!)
「きゃははっ!へんなかお〜!」
「へんなかお〜!へんなかお〜!」
「へんなかお〜!へんなかお〜!」
「へんなかお〜!へんなかお〜!」



(へんなかお〜!!)
子供達の大合唱が始まった!
「ぎへへっ!これがてめえの顔だっ!変装としちゃあ完璧だろっ!」
男が、懐から手鏡を取り出しマリアの顔面に押しつける!
「ふぎいいいいいっ!」

(ひ、ひどいっ!ひどいっ!こんなのいやぁっ!)
手鏡にあまりに惨めに変形された醜い顔が映し出される!
「ひぎゃあああああっ!」

「ふぎゃあああああっ!」
マリアが惨めに泣き叫ぶ!
しかし、「あっかんべえ」の形で固定された下瞼は閉じることもかなわず
いたずらに滑稽さを増すばかり!

(うわぁっ!マリアちゃん!ブッサイクゥゥ〜っ!)

(うひゃひゃっ!あんただれぇ?だれなのうっ!?)

(どうぉ!お気に召した!あたしの考案した変装グッズは!?)
「ぶひゃあっ!ぶひゃあっ!」

(ひ、ひどい〜!ひどすぎますぅ〜っ!)

(あははっ!いやならスッピン!)

(あわれ、老夫婦は……)
「びひゃあああああっ!」

(あ、あああっ!ああっ!うれしいですぅっ!)
(うれしいですよぅっ!)
「あ、ありがとうごじゃいまーす!」
「ありがとうごじゃいまーす!」
「ありがとうごじゃいまーす!」



(ぎゃはははははははっ!)
「きゃはははっ!へんなかお〜!」
「へんなかお〜!へんなかお〜!」
「へんなかお〜!へんなかお〜!」
「へんなかお〜!へんなかお〜!」
子供達の大合唱が響き渡る!
マリアが露西亜堂に到着するまであと3分!
エリマキトカゲ 6-1に続く
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