第15回全国総会・交流集会を開催
「運動論」の値打ちに確信
東京・板橋勤労福祉会館
原発問題住民運動全国連絡センターの第15回全国総会・交流集会は11月25日、東京都板橋区の勤労福祉会館で開かれ、18都道府県から45人が参加しました。
議長団に佐々木泉氏(愛媛)、渡辺三郎氏(福井)を選出のあと、地元選出の日本共産党都議ふるだて和憲氏と日本科学者会議事務局長の野口邦和氏が来賓あいさつ。館野淳中央大学教授が「廃炉時代の原発問題」と題して「特別報告」を行いました。
つづいて、中村敏夫筆頭代表委員が「全国総会への代表委員会報告」(3〜6n参照)を、@原発情勢の特徴、Aこの一年間の活動、B当面の方針の三項目について行いました。中村氏は、冒頭、一週間前の三重県海山町の住民投票の勝利について「日本の原子力政策を国策として国民に押しつけるやり方は通用しない時代になりつつある」と指摘。この勝利は「緊急要求の一点での共同」「住民の多数派の結集」という当センターの運動論を具体化した大きな成果であることを解明したうえで、この運動論の値打ちが光り輝いていることを強調しました。
昼食休憩の後の午後の討論では、出馬益子さん(三重)が海山町住民投票の勝利について報告。生き生きした報告は参加者に感動を与え、大きな拍手につつまれました。
新潟県巻町、同刈羽村の勝利につづく住民投票三連勝の報告は、参加者に大きな励ましとなりました。
討論では14人が発言。中村氏は「討論では、単なる情勢報告、活動報告ではなく、情勢に見合った分析的議論、運動論の議論が行われた」として、「緊急要求にもとづく共同への取り組みをいっそう強めよう」と「まとめ」ました。
全国総会は、「代表委員会報告」と「まとめ」を採択しました。
また、全国総会は、次期の全国代表委員(2面参照)を選出して終了しました。
【警鐘】
●電力業界の「原発見学百万人計画」の中止問題については前々号でふれたが、どうやら中止ではないようである●東京電力板橋支社は、年末から来年2月にかけて、柏崎刈羽原発見学会バスツアーを組み、管内でチラシまいて参加者を募っている。他の支社でも同様とか。日帰りコースは食事代1500円、一泊コースは同8000円。バス代と宿泊代は東電負担●このバスツアーは毎年恒例で、中止の対象ではないという。「募集対象」は「小学生以上」とあるから「こども対象」かと思ったら「参加者のほとんどが大人」という。東電負担分は、原発の「安全」宣伝をして賄う計算か?●それにしても、同じ「原発見学計画」でありながら、一方は中止、他方は中止ではない。判断基準がない。ここにも、原発推進の危うさが端的に示されている。
(2001.12、第153号1面)
緊急要求の実現へ政府・電事連交渉
「耐震指針妥当」報告の見直しも
全国総会翌日の11月26日、総会が確認した緊急要求の実現をめざして、中村筆頭代表委員ら14人が、午前に小泉純一郎総理大臣宛(原子力安全委員会)、午後に平沼赳夫経済産業大臣宛(資源エネルギー庁と原子力安全・保安院)への「申し入れ」(総会資料参照)を行いました。
この交渉は、政府側からあらかじめ提出していた申し入れに回答する形で行われましたが、いずれの申し入れ項目についても、基本的に納得できる回答はなされませんでした。
今年五月の新潟県刈羽村の住民投票では「プルサーマル計画反対」、11月の三重県海山町の住民投票では「原発誘致反対」の住民意思が明確に示されたにもかかわらず、政府側は、これを住民側の「理解不足」「認識不足」として「ひきつづき理解を求める」という立場に固執。住民意思を愚民扱いするという公僕にあるまじき態度をとったことは重大です。
しかし、それでも、原子力安全委員会は、現在、耐震設計審査指針類について、新知見にもとづく見直しを行っていますが、「この指針見直しが大きなものとなれば、95年の指針を妥当とした報告の見直しもあり得る」ことを認めざるをえませんでした。
また、電気事業連合会への「申し入れ」は、12月7日午後に行われました。回答は政府側と基本的に変わりはありませんでしたが、冒頭、中村筆頭代表委員の「この『申し入れ』は、センター設立以来12回、総会翌日に実施されてきた慣行がある。地方代表の意見の反映が重要だからである。ところが、ここ3回つづいて電事連から日程変更の要請があり、この慣行が破られた。次回からは改善を求めたい」との要請に電事連側もこれを了承しました。
また、住民投票の結果について、電事連側が「残念」と表明したことにたいして、住民側は「住民意思を尊重する懐の深い対応」を求めました。
第15回全国総会での発言
第15回全国総会での発言者はつぎの14人です。
@浜岡1号機の二つの事故の内容 柳町秀一(事務局)
A「低エネルギー」の中身の吟味 野村存生(東京)
B海山町住民投票の勝利報告 出馬益子(三重)
C刈羽村住民投票とラピカ問題 藤巻泰男(新潟)
Dプルサーマル断念後の福島県政 伊東達也(福島)
E地域振興に結びつかない原発立地 上野寿雄(福井)
F東海原発の廃炉問題 佐藤利彦(茨城)
G政府・県交渉と防災訓練 坂本 洋(佐賀)
H防災訓練の事故想定と浜岡事故 菅野一洋(北海道)
I最近の核燃をめぐる情勢 河内淑郎(青森)
J画テロ問題とパグウォッシュ声明 増田善信(東京)
K東海地震問題シンポの取り組み 大野宙光(愛知)
L核燃立地反対連絡会議の署名運動 小山内孝(青森)
M浜岡1号機事故と今後の課題 稲穂 勤(静岡)
2002年度の新代表委員の紹介
(敬称略 ◎=筆頭 ○=幹事)
◎○ 中村敏夫(茨城)
○ 小谷邦男(和歌山)
○ 柳町秀一(埼玉)
○ 山崎 元(東京)
○ 渡辺三郎(福井)
菅野一洋(北海道)
小山内孝(青森)
早川篤雄(福島)
佐藤利彦(茨城)
藤巻泰男(新潟)
持田繁義(新潟)
板垣和子(静岡)
出馬益子(三重)
芹沢芳郎(大阪)
佐々木泉(愛媛)
坂本 洋(佐賀)
森川義弘(全教)
今中正夫(民医連)
吉田きよ子(新婦人)
島村みき子(自治労連)
(2001.12、第153号2面)
第15回全国総会・交流集会への代表委員会報告
筆頭代表委員 中村敏夫
1、この間の原発問題をめぐる情勢について
〔住民意思の反映〕
東京電力=柏崎刈羽原発3号機(沸騰水型軽水炉=BWR、110万`h)への「プルサーマル」計画をめぐる新潟県刈羽村の住民投票(5月27日)は、「プルサーマル反対」の住民意思が明確に示されて勝利した。この結果は、政府、電力会社の「プルサーマル計画」をはじめとする核燃料サイクル政策への大きな打撃となっている。また、三重県海山町議会が「原発誘致」と「原発誘致反対」の請願にたいする態度を決めるうえでの参考として、住民の意思を問う住民投票(11月18日)でも、「原発誘致反対」の住民意思が明確に表明され勝利した。
この一年間に、二つの住民投票が実施されたことは異例であるが、いずれの場合も、住民運動側が勝利した。このことは、国策としての原子力政策について、住民投票が実施されること自体、日本の原子力政策の行き詰まりを示すものであるが、住民の意思が問われるなら、その意思は明確に反映される新しい情勢が切り開かれつつある。これまでの原子力政策を国策といって押しつけるやり方は通用しなくなっている。
しかし、政府、電力会社は、「政策や安全性の説明が不十分」「ためにする議論にやられた」といい、自らの「説明責任(アカウンタビリティー)」を果たしえていないことを棚上げして、相変わらず、問題は住民側の認識不足、理解不足にあるとする傲慢な見地を捨てていない。
〔既定の原子力政策への固執〕
昨年末、政府は、「第九次原子力研究開発利用長期計画」(以下「長計」)を策定した。しかし、この「長計」は、「もんじゅ」事故(95年)、東海再処理工場事故(97年)、JCO臨界事故(99年)と、相次ぐ重大な事故への根本的な反省もないままに、既定の原発推進政策とプルトニウム利用政策を柱とすることを「宣言」したものである。このことは、政府、電力会社には、もはや日本の原子力政策を担う責任も能力もないことを端的に示している。
〔原発等の危険の格段の増幅〕
この「長計」の推進は、日本の原発の危険、核燃料サイクル施設の危険、放射性廃棄物施設の危険をかくだんに増幅させずにはすまないものである。原発施設等が同時多発テロの目標にされるとすればなおさらのことである。
まして、@日本の原発は、どこの原発も、兵庫県南部地震(95年)程度の揺れで容易に破壊されうることがすでに明らかになって数年を経過したが、耐震設計審査指針類は「妥当」とされ、耐震対策はまったく措置されていない、A日本の原発では、「苛酷事故(シビアアクシデント)は工学的に起こるとは考えられない」とされ、苛酷事故対策としての「アクシデントマネジメント」は電力会社まかせであり、これを想定した原子力災害対策はない、B既設原発の徹底した効率的運転をめざす「高経年化」対策(寿命30年の原発を60年に延長、建設当初には想定されていない沸騰水型軽水炉のシュラウド交換工事・加圧水型軽水炉の蒸気発生器の交換工事、定期検査期間の短縮など)が実施されている、C独立した原子力の規制機関が確立していない―こうしたなかで、この「長計」が推進されることは、国民の安全にとって重大な事態を招かざるをえない。
原子力施設でのあいつぐ重大な事故を経て、原子力災害対策特別措置法の制定、オフサイトセンターの新設、原子力防災専門官・原子力安全管理官の配備、原子力安全委員会事務局の拡充などが行われているが、これらはわずかにすぎないものではあれ、一定の改善ではある。同時に、今日の原発等の危険の重大化に比すれば、とりつくろいにすぎないことも事実である。
〔苛酷事故の未然防止と原子力政策の根本的転換への力量の蓄積〕
このことは、国民の間に、原発や核燃料サイクル施設、放射性廃棄物施設などにたいする国民の不安・心配をますます広げている。原発等の危険に反対する緊急要求にもとづく共同行動をすすめる条件が大きく広がり、住民運動の役割はいっそう大きくなっている。こうしたなかで、住民運動はかつてない位置づけと規模で取り組まれるようになっている。
私たちは、こうした住民監視の広がりが日本の原発での苛酷事故発生を辛うじて未然防止する力として機能していることを確信を深めるとともに、相次ぐ住民投票の勝利に示されるように、住民運動が国民世論と結びつくならば、日本の無責任な原子力政策をくいとめ、安全優先への根本的転換をめざす大きな力量の蓄積となることに、確信を深めている。
2、この間の活動について
この間の活動について一言でいえば、第14回全国総会方針の具体化に取り組んだということである。(機関紙「げんぱつ」のこの一年を参照)
〔緊急要求の一致点での共同行動〕
全国センター確立以来の、原発等の危険に反対する「緊急要求の一致点での共同行動の展開」「住民の多数派の結集」という運動論は、原発情勢の行き詰まり状況のなかで、ますます輝かしい光を放っている。1996年の新潟県巻町の住民投票の勝利につづいて、この間、新潟県刈羽村、三重県海山町の住民投票でも相次いで勝利し、三連勝をかちとった。
@〈新潟県刈羽村の住民投票(5月27日)の勝利〉
「原発問題を考える刈羽西山住民の会」は、刈羽村が「原発城下町」であることを考慮して、柏崎刈羽原発の現状の危険を格段に増幅する「プルサーマル」に反対する一点での共同を全村民に訴え、原発で働く労働者・家族の支持も得て勝利した。これは思想信条の違い、原発の一般的是非をめぐる意見の違い、柏崎刈羽原発の是非の意見の違いを超えて、「プルサーマルの危険に反対」の一点での共同行動を追求した。「住民の会」のこの基本的立場からの訴えは、村民の共感を得て世論となり、「脱原発」系の住民団体も基本的にこの立場に立って活動を展開した。とくに、「柏崎刈羽原発では、現状のウラン燃料でも、労災認定基準「年間5_シーベルト」を超える被曝労働者が年間220人も出ているのに、プルサーマル計画を導入して、プルトニウム燃料を燃やすようになれば、プルトニウムの放射能の強さはウランと比べて1万倍〜1億倍にもなり、被曝労働者の数が大幅に増え、はかりしれない危険を現場にもたらす」との訴えは、原発労働者と家族の関心をひいた。
投票当日のNHKの出口調査では、「プルサーマル反対」に投票したうちの12lが「原発賛成」の意見をもつ人びとであった。
「原発問題を考える新潟県連絡センター」「原発問題を考える柏崎刈羽地域連絡センター」「柏崎刈羽母親大会連絡会」が連帯して活動した。
全国センターは、原発の危険一般を語るのではなく、「プルサーマルの危険」を語る立場で、全国から「語り部」を刈羽村に派遣した。「語り部」としての派遣メンバーは、中村敏夫(全国センター筆頭代表委員)、柳町秀一(全国センター)、河内淑郎(青森)、高野博(宮城)、早川篤雄(福島)、伊東達也(福島)、増田善信(東京)、板垣和子(静岡)、上野寿雄(福井)、奥山裕次(福井)、吉田一夫(福井)、山本雅彦(福井)、中川悦良(愛媛)の各氏。学習会講師として舘野淳、市川富士夫、中村敏夫、柳町秀一の各氏。
(投票結果)
▽有権者数=4,090 投票総数=3,605(投票率88.14l)
▽「反対」=1,925(53.40l)、「賛成」=1,533(43.52l)、 「保留」=131(3.20l)、「無効」など=16(0.4l)
A〈三重県海山町の住民投票(11月18日)の勝利〉
「原発反対海山町民の会」は、原発の危険が現実となる「原発誘致」に反対する一点での共同を全町民に呼びかけ、「5,215」と絶対過半数を大きく超える(有権者比59.61l)支持を得て勝利した。
これは、推進派が「5,606」(有権者比64l)の署名を添えて「原発誘致」の請願を町議会に提出したのを契機としてはじまった。「町民の会」は直ちに「誘致反対」の請願を提出。町議会は請願審査特別委員会を設置して、9回もの審議を重ねたが、採決を回避し、参考のための住民投票を行うことを決めた。推進派主導の、電力会社の計画もない段階での異例の住民投票となった。
「町民の会」は、ほとんどの町民が原発への不安・心配を抱いており、これらの点で全町民との対話をする構えを確立することと合わせて、原発の危険を現実とする「原発誘致」に反対する一点での共同を呼びかけた。町民が抱く原発への不安・心配には根拠があるとして原発のさまざまな危険について全町民との対話をすすめた。「町民の会」のこの基本的構えと訴えが、当初の「4者」の共闘を「7者」にひろげるとともに、当初「原発誘致」が多数を占めた状況を大きく逆転する契機となった。「町民の会」は、投票区ごとに「学習会」を開いたのをはじめ、隣接の尾鷲市、紀伊長島町の住民の協力も得て、立て看板張り出し、ポスター貼り、街頭宣伝、ビラ宣伝に積極的に取り組んだ。
原発反対三重県民会議が10月6日、再建され、県レベルの支援態勢がつくられた。
全国センターは、9月の松山市での全国交流集会で全国の支援を呼びかけるとともに、早い時期から原発の危険の「語り部」を現地に派遣した。この「語り部」の派遣は、大きな成果を挙げた。メンバーは、中村敏夫(全国センター筆頭代表委員)、柳町秀一(全国センター)、河内淑郎(青森)、高野博(宮城)、早川篤雄(福島)、伊東達也(福島)、持田繁義(新潟)、児玉一八(石川)、上野寿雄(福井)、板垣和子(静岡)、の各氏。専門家として平野治和(つるが生協診療所)、角田道生(元日本原子力研究所)、市川富士夫(元日本原子力研究所)、増田善信(元気象研究所)の各氏。
(投票結果)
▽有権者数=8,748 投票総数=7,754(投票率88.64l)
▽「反対」=5,215 (67.26l)、「賛成」=2,512 (32.40l)、「無効」=27 (0.34l)
B〈全国各地での共同行動の前進〉
全国各地でも、創意、工夫をこらした緊急要求にもとづく共同行動が展開された。
なかでも、核燃料サイクル施設立地反対連絡会議は、事務局会議、役員会議、学習会などを定期的に開き、活動の定着をはかるとともに、海外再処理委託による高レベル放射性廃棄物(ガラス固化体)返送への抗議や使用済み燃料搬入反対、使用済み燃料中間貯蔵施設設置反対、MOX加工施設立地反対、再処理工場建設反対など、時宜にかなう形での共同行動を系統的に展開してきた。この努力は貴重である。
浜岡1号機(BWR、54万`h)の相次ぐ重大な事故、福島第二=3号機(BWR、110万`h)のシュラウド亀裂事故など第三者機関による徹底かつ総合的な調査の要求、耐震安全性、原子力災害対策、独立の安全規制機関の確立の追及など、さまざまな緊急要求にもとづく共同行動が展開された。
〔緊急要求実現へむけて政府・電事連交渉〕
前回の全国総会の翌日11月27日、「第9次原子力長計の見直し」「独立した原子力規制機関の確立」など、緊急要求実現へ向けて、通産省資源エネルギー庁藤富正晴審議官らに申し入れた。つづいて科技庁に、12月1日に電事連に申し入れた。申し入れの内容は、この段階での緊急要求をまとめたものである。
〔刈羽村の住民投票への介入抗議〕
全国センター、原発問題を考える新潟県連絡センター、原発問題を考える柏崎刈羽地域連絡センター、原発問題を考える刈羽西山住民の会は6月15日、平沼赳夫経済産業大臣、佐々木宣彦原子力安全・保安院長が刈羽村の住民運動に不当に介入したことにたいして抗議した。平沼大臣は、国費332万円も使って「プルサーマルは安全」のビラをつくり全村に配った。佐々木院長は、刈羽村で開かれた集会に推進機関と同席して、「プルサーマル」推進と「安全」宣伝を行ったもの。
〔エネルギー問題の調査・研究〕
安全なエネルギー供給は、本来、政府、電力会社の責任に属することであるが、その能力と資格を失っている現状では、住民運動団体も一定この問題に言及せざるをえない状況にあるとの認識で、調査・研究をはじめた。松山集会では、特別報告として、「エネルギー開発と自治体の役割―小型水力のすすめ―」(本島勳氏=元電力中央研究所)を行った。また、全国交流集会の帰路、代表団が日本で唯一の小型発電機製造メーカーをたずね、その現状と問題点について調査した。今後も、こうした調査・研究をすすめていく。
〔全国交流集会の開催〕
松山市で9月23日、「瀬戸内海を原発の危険から守り、21世紀のエネルギー問題を考える」全国交流集会を開催した。四国で初めての全国交流集会であったが、約150人が参加して、熱心な討議が行われた。「原発を考える広島の会」の参加、上関原発立地反対で活動する山口県からの参加など、新たなひろがりを見せた。「松山アピール」の三重県海山町の住民投票勝利の呼びかけは、その後の運動に少なからぬ影響を与えた。
〔ヨーロッパ原発調査団の派遣〕
ヨーロッパ原発調査団を8月29日〜9月7日、ドイツ、デンマーク、スウェーデンに派遣した。その成果は、報告書としてまとめる予定である。ドイツのフライブルク市の「エコシティー」の見学、市環境保全局関係者の報告と対話、デンマークのコペンハーゲン市沖合の風力発電の見学、エコハウスでのエネルギーキャンペーン団体のNGO「OOA」の非原発エネルギー開発の報告と対話は貴重なものであった。ドイツのフィリップスブルク原発の見学、スウェーデンのオスカースハムの使用済み核燃料中間貯蔵施設と地層処分実験場の見学も大きな成果があった。
参加者は中村敏夫団長(茨城)はじめ西脇洋子、三上和子(青森)、早川篤雄、馬場績(福島)、安部愃三、増田善信(東京)、柳町秀一(埼玉)、板垣和子、花井征二(静岡)、中川悦良、大石孝雄(愛媛)、井上寿雄(鹿児島)の各氏。
〔機関紙「げんぱつ」の発行と拡大〕
機関紙「げんぱつ」の発行を辛うじて維持した。この「げんぱつ」が現在、全国センターの活動の維持・継続・発展の「結び役」の役割を果たしている。刈羽村、海山町の住民投票の勝利は、「げんぱつ」読者の存在自体が重大な役割を担った。このことのもつ意義は絶大である。
一方、「げんぱつ」の拡大は一進一退≠ナある。この一年間の共同行動の飛躍的な発展に比べるとこの停滞が目立つ。
紙面の改善は、六面「各地の便り」欄を設置して以後、一定すすんだ。通信が系統的に届くという大きな前進が見られ、各地の活動が反映されるようになった。しかし、これはまだ少数であって、多数とはなっていない。
〔ホームページの開設〕
七月から全国センターの「ホームページ」を開設した。「ホームページ・アドレスは「http://homepage2.nifty.com/gjc/」です。「メール・アドレス」は「gjc@nifty.ne.jp」です。
〔加盟労組・団体の拡充・強化〕
「原発反対海山町民の会」が、前全国総会直後の12月4日、結成され、今回の住民投票では、「誘致反対」の住民組織の中心的役割を果たした。
松山集会での労組・団体の参加の一定のひろがりは心強い。しかし、加盟労組・団体の拡充・強化にまでは至らなかった。
〔財政活動について〕
全国代表委員会は、2000年11月23日から2001年11月20日までの一年間の財政報告を受けるとともに、会計監査担当から「相違ない」との報告を受けた。審議の結果、運動の必要性からは財政規模が小さすぎるが、健全財政であることを確認した。
新潟県刈羽村、三重県海山町の住民投票支援にたいする募金の呼びかけに、多くの団体・個人(刈羽村関係「一覧」は「げんぱつ」7月25日付。海山町関係の「一覧」は「げんぱつ」12月25日付予定)が応えられ、二つの勝利をささえていただいた。心から感謝する。
3、当面の活動方針について
〔緊急要求にもとづく共同行動の展開〕
原発等の危険の重大化に対応して、つぎに掲げる緊急要求にもとづく共同行動を大いにすすめる。
これらの共同行動は、全国センターの発足以来の運動論に裏付けられた運動であることに確信をもって取り組む。
これらの共同行動は、住民世論と結びつけば、いつでも広範な市民運動となりうることに確信をもって取り組む。
これらの共同行動の性格は、どのようなものでも全国的な意義をもつものであること、全国的な連帯の方向を視野に入れながら取り組む。
これらの共同行動は、住民監視としての役割を果たしており、日本の苛酷事故の発生の未然防止の力として機能するとともに、無責任な現状の原子力政策をくいとめ、安全優先への転換をめざす力量の蓄積となることに確信をもって取り組む。
○原子力政策へ住民意思を反映すること
○いかなる原子力施設へのテロ・報復攻撃にも反対するとともに、これに口実とする 国民の知る権利への侵害を許さないこと
○浜岡1号機の配管爆裂・破断事故と原子炉底部からの放射能水漏れ事故について、第三者機関による事故原因の徹底かつ総合的な究明と「廃炉」を含む万全の対策をとること
○福島第二=3号機のシュラウド亀裂事故の第三者機関による解明と万全の対策をはかること
○高速増殖炉実験炉「常陽」の火災事故の第三者機関による解明と万全の対策を措置すること
○住民への事故通報をすみやかに行うこと
○耐震設計審査指針を抜本的に見直すこと
○「苛酷事故は起こりえない」の「安全神話」の一掃。苛酷事故を想定した原子力災害対策の確立
○老朽原発の徹底した効率的運転(酷使)をやめること
○既設原発への「プルサーマル」計画の導入をやめること
○使用ずみ核燃料の中間貯蔵施設計画をやめ、原発サイト内に安全かつ厳重に管理すること
○原発労働者の被曝低減、医療の保障をはかるとともに、被曝線量の管理を民主化すること
○安全な処分法が確立するまで解体撤去はやめること
○上関原発など新増設計画反対。原発推進政策を抜本的に見直すこと
○再処理・高速増殖炉路線をやめ、プルトニウム循環方式を抜本的に見直すこと
○高レベル放射性廃棄物の処理処分方針(ガラス固化→30〜50年中間冷却貯蔵→地層処分)をやめること。この方針を実施するための安全実証試験を行う深地層研究所立地反対
○新潟県刈羽村の「ラピカ」事件を徹底解明すること
○独立した原子力の安全規制機関の確立すること
○原発依存をやめ、風力、マイクロ水力、太陽光、地熱、バイオマスなど再生可能エネルギーの開発をすすめること
〔重要な緊急要求にもとづく全国的な共同行動〕
全国的規模で展開すべき共同行動につては、情勢を見ながら適宜提起する。
〔緊急要求実現へむけて政府・電事連交渉〕
全国総会翌日の11月26日、小泉純一郎内閣総理大臣、平沼赳夫経済産業大臣宛の「申し入れ」(別紙「申し入れ」を参照)を行い、緊急要求の実現に向けての共同行動の第一歩とする。つづいて南直哉電気事業連合会長宛「申し入れ」を行う。
〔全国交流集会の開催〕
現状では開催地は未決定。開催地が決まれば、全国センターと現地との協議を早急に行い、全国交流集会が掲げる緊急要求、開催要項などについて合意したうえで、全国に呼びかけるようにする。
〔エネルギー問題の調査・研究〕
ヨーロッパ原発調査団のエネルギー問題を含む報告のとりまとめなどをはじめ、エネルギー問題の調査・研究をつづける。
〔機関紙「げんぱつ」の発行と拡大〕
機関紙「げんぱつ」の発行については、優先的に確保するものとする。
原発等の危険に反対する運動の「結び役」としての機関紙「げんぱつ」の役割の重要性を改めて再確認するとともに、系統的な拡大への格段の努力をもって取り組む。
各地からの通信が寄せられれば寄せられるだけ紙面の改善はすすむ。もちろん、紙面改善の独自の努力をする。
「ホームページ」「メール」による通信発信など積極的な活用を呼びかけるとともに、これらを紙面改善と結びつける。
〔住民運動組織の拡大・強化〕
住民投票運動、原発等の危険に反対する緊急要求にもとづく共同行動に参加した多くの人びとに住民組織への参加をたえず呼びかける。青年と女性への呼びかけを重視する。
労組・団体の方針での原発問題の適切な位置づけを通じてのセンターへの加盟促進などをはかる。
〔事務局の強化・拡充〕
運動の定着・発展を保障する事務局の活動の強化・拡充は、全国センター、地域センターとも共通する緊急の課題である。
(以上)
(2001.12、第153号3面〜6面)
「苛酷事故(シビアアクシデント)」とは(用語の解説)
苛酷事故とは「設計標準事象を大幅に超える事象であって、安全設計上想定された手段では適切な炉心の冷却または反応度の制御できない状態となり、その結果、炉心の重大な損傷に至る事象」をいう。現状の原発は「苛酷事故」の発生の危険性を構造的に排除できない。原発技術が未確立とされる所以の一つである。フランスとドイツでは、「苛酷事故」が起きても、公衆が原発サイト柵際で見学していても大丈夫というシナリオのもとに、「苛酷事故」への四つのストーリー―水素爆発、水蒸気爆発、チャイナシンドローム、高圧高温の炉心溶融物噴出をとにかく構造的に抑え込む「ヨーロッパ軽水型炉(YWR)」の共同開発をすすめてきた。「棚際で見学」のシナリオの変更を余儀なくされるとともに、4つのストーリー発生を抑え込む目途はたっていない。「設計標準事象」は安全審査の対象だが、「苛酷事故」は安全審査の対象となっていない。最たる「安全神話」である。
(2001.12、第153号12面)