米オハイオ州デービス・ベッセ原発
圧力容器が穴あく寸前に
いつ、どこで、どんな事故が起きるか?
アメリカ・オハイオ州のデービス・ベッセ原発(PWR、91.5万`h。1978年7月運転開始)で、圧力容器に穴があく寸前になっていたケースが、このほど判明。世界を大きく驚かせました。
アメリカ原子力規制委員会(NRC)は3月19日、国内の同型機69基を運転する電力会社にたいして、緊急検査の実施と結果の報告を命じました。
浸食が生じたのは、原子炉圧力容器上部の出力を調整する制御棒などが挿入されている部分。材料の炭素鋼が「深さ約15a、長さ約18a、幅約10〜13a」にわたって浸食されていたといいます。いちばん深い場所では、内張りされている厚さ約1_のステンレスが残る状態だったといいます。
浸食は原子炉の冷却水中に中性子吸収材として加えられるホウ酸が原因とされるとしています。アメリカの加圧水型軽水炉では、昨年、今回事故に近い、制御棒駆動を通す筒部分にひび割れ、劣化が相次いで発見され、その点検・交換過程で今回の浸食がわかったといいます。
資源エネルギー庁の原子力安全・保安院は、日本の加圧水型軽水炉23基について、心配はないとしていますが、アメリカと同様の緊急点検と結果の報告が求められます。
浜岡1号機の配管爆裂・破断事故
に係る着火試験、ガス蓄積試験等
中部電力・浜岡1号機の余熱除去系配管の爆裂・破断事故の事故原因解明の一環として、着火試験が日本カーリットの赤城工場(群馬県赤城村)で、ガス蓄積試験及び圧力変動試験が東芝の電力・産業システム技術開発センター(神奈川県川崎市)で行われています。
着火試験では、配管の爆裂・破断の原因として水素爆発が指摘されていますが、その発火メカニズムの解明が課題となります。先に白金を内側に塗った配管に酸素と水素を高温、高圧で封入したところ爆発したと報じられましたが、これは日本カーリットの赤城工場での試験結果です。しかし、同機の白金は微量であり、これで発火原因がわかったとはいえず、濃度などを変えながらの試験がつづけられます。)
【警鐘】
●原発等の現実にある危険に反対する緊急要求の確認こそ、住民運動の原点である。日本列島各地の原発等の危険は共通のものもあれば、固有のものもある。これら緊急要求にもとづく共同行動をすすめることが住民運動の核心部分である●全国センターとしてさきの全国総会で確認した緊急要求は、全国各地の原発等に共通するものである。各地域センターは、固有の緊急要求をも合わせて緊急要求を確認し、それらの実現をめざして共同行動を展開することを運動方針としている●現在、日本列島各地の原発等の危険は重大化しており、一連の緊急要求はますます切実さを帯びている。政府、電力会社にたいして、いつでも、どこでも緊急要求を突きつけ、その遂行の責任を追及することは住民運動の基本的責務である。この原点の再確認を。
(2002.3、第156号1面)
友人に「げんぱつ」見せられて
手紙で購読の申し入れ
いま読者を増やすとき
東京都練馬区の在住者から3月15日、「げんぱつ」購読の申し入れの手紙が事務局に届きました。
手紙には、購読申し入れの契機として「過日、私の友人から貴所発行の原発住民運動情報紙『げんぱつ』を見せていただきました」と書き、先月の「155号」一面のコピーが同封されていました。
「静岡県中部電力浜岡原発事故以来、私なりに関心を持つようになりました」と、浜岡1号機の余熱除去系配管爆裂・破断事故と原子炉底部からの冷却水漏れ事故が原発問題への関心を呼び起こしたと書かれていました。
この手紙は、今日の原発情勢を端的に示しているのではないでしょうか?
先月号の「げんぱつ」を紹介いただいた方は読者と思われますが、そのやりとりとそこに込められた思いがよく伝わってきます。また、それを見て、購読申し込みされた方の気持ちに、率直に敬意を表明します。住民運動が新しい力強い仲間を得た思いです。
読者が読者を増やしていただいた結果の手紙でした。事務局では、歓声をあげる思いで手紙が紹介されました。
それにしても、手紙を拝見するかぎり、自然でさわやかな読者の広がりです。いまこそ、読者を大いに増やしましょう!
(2002.3、第156号2面)
芦浜原発
電源開発指定を解除
住民運動の大きな成果
三重県度会郡南島町・紀勢町にまたがる中部電力の芦浜原発計画は2000年2月、県議会で北川正恭知事の白紙表明を行い、中部電力も断念表明していましたが、3月19日、開かれた総合エネルギー対策推進閣僚会議で、国の「要対策重要電源地点」の指定を解除しました。中部電力は、知事の白紙表明を受けて、「平成12年度電力供給計画」から芦浜原発計画を削除しており、住民運動側も、「白紙撤回した以上、国の指定解除は当然」としてきました。今回の指定解除は住民運動の大きな成果です。
政府は、電源立地の促進をはかるとして、「要対策重要電源地点」(総合エネルギー対策推進閣僚会議)と「開発促進重要地点」(経済産業大臣)を指定していますが、一度指定するとなかなかこれを解除しませんでした。
例えば、東北電力の巻原発計画(新潟県西蒲原郡巻町)は、1996年8月の初の住民投票で明確に立地を拒否され、原子炉建屋の敷地予定の町有地が原発誘致反対派の町民に売却され、その計画の足場が失われているにもかかわらず、今日にいたるもなお「要対策重要電源地点」の指定は解除されていません。
また、原発立地反対の首長を選んで立地を阻止している自治体は、高知県高岡郡窪川町、和歌山県西牟婁郡日置川町、和歌山県日高郡日高町など相当数にもぼりますが、ここでも今日なお「開発促進重要地点」の指定は解除されていません。
その意味で、今回の指定解除は、国が地域の意向を受け入れざるをえなくなったという原発情勢の新たな発展を示しています。
同時に、芦浜原発の南島町・紀勢町にまたがる芦浜原発の「要対策重要電源地点」の指定が解除されたとはいえ、紀勢町では、原発誘致勢力が新たな単独の立地に向けた動きもあり、ひきつづき監視が求められています。
その点では、昨年11月の海山町での原発誘致をめぐる住民投票で、当初の情勢を大きく逆転して、住民の圧倒的多数が「誘致反対」を表明したことは、三重県内での原発誘致問題への終止符を打つものとしての重みを増しています。
(2002.3、第156号2面)
風力発電
日本の風資源8000万`h
デンマークは世界の4割のシェア
日本の再生可能エネルギーの最有力としてマイクロ水力発電がありますが、ここでは風力発電について紹介しましょう。
風力発電の世界最大の輸出国はデンマーク。昨年ヨーロッパ調査団が乗った航空機がコペンハーゲン空港に降りたつ際、約2`bの沖合に円弧状に、世界最大級の2000`h級の風車が20基並んだ光景に出会い、一同驚きの声を挙げたと報告されています。
デンマークにはベスタス、ボーナス、NEGミーコンが世界の4割以上のシェアを握っているといいます。ドイツ、スペインも需要・供給で上位を占めています。
EUの閣僚理事会(2001年9月7日)は「再生可能エネルギーに関するEU指令」のなかで、「2010年までに、EUの総エネルギー消費量の12lを再生可能エネルギーにする」としています。電力では「22.1lを自然エネルギー」にする目標値を示しています。ドイツは「自然エネルギーの利用でCO2削減量を2010年までには7,000万〜8,000万dにする」としています。風力発電はその利用が本格化してから約10年余。年率15〜20lの拡大を見せる成長市場になっています。
日本の風資源は、500`h級風車で、陸上部1万3700台分、沿岸部で14万台分の計約15万台以上。2000`h級風車なら4万3000台分といいます。
総合エネルギー調査会の新エネルギー導入目標は2010年までに原油換算134万`g分。風力は300万`h。1999年度実績の約38倍の規模。
風車は羽根が描く円を通る風からエネルギーを取り出す。風の発電電力量は、風速の3乗に比例します。現在、風車は3枚羽根が一般的。2枚だと1枚の羽根が担当するのは180度。3枚だと120度。それだけゆっくりした回転で同じだけのエネルギーをうる。1〜2枚でも回転を早くすればいいが騒音が大きくなったり、機械的に無理がかかったりする。4〜5枚だと回転部の重量が増し、不都合がでる。空気の渦の解析がすすんで、翼の先端をナイフエッジ状に変えることで騒音を抑えます。
現在、国産最大級がタワーの高さ70b以上、発電機などメカを納めたナセルはマイクロバス大で約40d近く。3枚羽根の描く円の直径約75b。寿命は約20年。FRP(ガラス繊維強化パラスティック)、軸受け、歯車、船のプロペラ等の技術など機械要素が重要。流体解析技術、設計と実際の違いなど技術の総合力が重要な分野です。シュミレーション計算にはスーパーコンピュータが必要。
一方、風車は1000`hの大型風車でもその出力を常に出せないむずかしさがあります。風力は出力の35〜40lです。また、一度建てたらそこから逃げられないことから、設計は航空機・船よりむずかしい。さらに安全率を多くとると重くて回らなくなります。同じ場所に100台の風車の有効な置き方も、十分にわかってはいません。
現在1`h当たり16〜25円(NEAの1998年度報告)。自治体が積極的に取り組んでいますが、電力の買い取りや優遇税制なしには成り立たないのが現状。いっそうの研究開発と推進策が望まれます。
日本のメーカー三菱重工
日本での風車メーカーは三菱重工。富士重工が小型風車開発、IHIも一時中断を再開したという。
三菱重工は、国内に62台、合計23.4メガh分納品。国外には1,371台、611メガh分輸出(2001年9月末)している。三菱重工のアメリカ輸出は、2000年度のシェアの30数lを占める。カリフォルニア州、ワイオミング州、テキサス州、オレゴン州、ハワイ州などである。そのほか、外国への輸出は、メキシコ、ペルー、イギリス、ドイツ、ポルトガル、インドなど。
三菱重工は風車の寿命20年であることからその交換期にもねらいを定めている。
(2002.3、第156号4面)
「原子力安全条約」とは(用語の解説)
原子力の安全を世界的に達成・維持すること等を目的とする国際的な約束で、原子力の安全に関する条約という。条約は一九九五年五月に採択され、日本は一九九六年十月に受託、一九九八年四月までに発効しました。二〇〇一年十月現在、日本を含む五十二カ国および一機関(欧州原子力共同体)が締約国となっています。原子力安全条約に示される安全基準等は、締約国が実施の責任を負い、三年に一度、義務の履行についての国別報告を提出する義務があります。国際原子力機関(IAEA)は一九七〇年代以降の「原子力安全基準(NUSS:Nuclear
Safety Standards)計画」など、原子力安全への取り組みは積極的です。NUSSに示される安全基準は、各国が速やかに具体化する責務があります。しかし、日本の安全基準、安全規制への取り組みは世界からは大きく遅れています。
(2002.3、第156号8面)