福島県に意見交換を求める文書送付
 原子力委・資源エネ庁が…
「プルサーマル実施」へ巻き返し


 原子力委員会は、佐藤栄佐久福島県知事にたいして、異例の意見交換を求める藤家祥一委員長名で文書(6月13日付)を送付。また、資源エネルギー庁は川手晃同副知事宛に、県が設置しているエネルギー政策検討会への出席を求める迎陽一・電力ガス事業部長名の文書(6月14日付)を送付しました。
 佐藤知事は、昨年2月8日の東京電力の原発を含む新規発電所の「3〜5年凍結」発表を受けて、「新規電源開発のみならず、核燃料サイクルを含めたエネルギー政策全般を抜本的に見直し、これらを国民、県民にわかりやすく説明し、理解を求める」として、エネルギー政策検討会を設置して検討を重ね、現在も継続しています。
 佐藤知事は、昨年2月26日の県議会で「当面、MOX燃料装荷はありえない」として、福島第一原発3号機へのプルサーマル導入の延期を表明。また、政策検討会の議論を受けて、佐藤知事は、「ウランも70年ぐらいは輸入できるというのに、なぜプルサーマルを急ぐのか。原子力は本当に安いのか。こうした疑問に、国は説明責任を果たしていない」「核燃料サイクルについて国のグランドデザイン(将来計画)がはっきりしない」などと指摘。佐藤知事は、6月3日、双葉地方エネルギー政策推進協議会がプルサーマル計画や原発2基増設計画の早期実現を求める提言書を提出した際に、「プルサーマルは凍結を含めて考えないといけない」と、従来より踏み込んだ意見を表明していました。
 東京電力の服部拓也福島第一原発所長は「(3号機の)7月の定期検査での実施は現状では厳しい」との認識を示していますが、今回の原子力委員会、資源エネルギー庁の異例の文書送付は、プルサーマル計画の7月実施を断念したわけでなく、巻き返しをねらったものです。


【警鐘】

●日本原子力研究所と核燃料サイクル開発機構を廃止・統合して、独立行政法人化するという。文部科学省に設置された「原子力2法人統合準備会」は8月初旬には中間報告をまとめるという●統合問題は、働くものにとっては、「雇用・処遇」問題と「仕事」がどうなるかが重要であることは明らか。政府は「雇用は新法人で」(文科省)、「全員雇用は約束しない」(石原行革担当大臣)と冷たい対応●さらに重大なのは、「原子力長計の見直しはしない」という大原則のもとに、2法人の組織的統合だけを検討するという。両法人は事業内容からまったく違うもの。この検討なしの統合は水と油をそのまま混ぜるに等しい。統合のしようがない●日本の原子力開発を正しい軌道にのせるために、原子力長計の抜本的検討がいまこそ必要。

(2002.6、第159号1面)



女川原発18年─住民監視を考える
 ━事故・防災・行政・経済・エネルギー━
   全国交流集会のお知らせ

 ○日時─9月8日(日)午前10時〜午後4時

 ○場所─石巻市=「農協会館」

 ○参加費─1人1,000円

 ○原発・交付金施設等見学─9月7日(土)午後1時

   JR女川駅前集合。バス代1人2,000円

 ○宿泊─女川町=「海泉閣(かいせんかく)」

   宿泊費は懇親交流会費含めて10,000円



(2002.6、第159号1面)



浜岡1号機配管の爆裂・破断事故と同型
 6社21基改修へ
   水素がたまる恐れのある原発

 中部電力=浜岡1号機(BWR,54万`h)で昨年11月に起きた水素爆発による配管爆裂・破断事故を受けて、経済産業省原子力安全・保安院は6月13日、すでに再発防止策を指示した余熱除去系配管のほかに、水素がたまる可能性があり、対策が必要な配管が、全国の沸騰水型軽水炉(BWR)29基のうち、6社21基で計32個所あるとの調査結果をまとめました。
 同院では、「上りこう配で行き止まりのうえ、温度低下が大きい配管」に水素がたまる可能性があるとして、BWRをもつ東北、東京、中部、北陸、中国、日本原子力発電6社に該当個所を報告するよう求めていました。
 報告によると、32個所は、すべてタービン関係の配管だったといいます。各社とも、「ガス抜き弁を付ける」、「行き止まりのこう配をなくす」などの対策をもっとも近い定期検査の際にとるとしています。
 しかし、配管の爆裂・破断事故の原因とされる水素爆発のメカニズムは、事故調査でも、十分には解明されておらず、定期検査を待つまでもなく、即時に運転を停止して対策に当たるべきです。また、該当する原発が21基ですむのか疑問が残ります。
 対策が必要とされる配管がある原発はつぎの通り。

〈東北電力〉女川1〜3号機
〈東京電力〉福島第一1・4・6号機、福島第二1〜4号機、柏崎刈羽1〜3号機、5〜7号機
〈中部電力〉浜岡1・4号機
〈北陸電力〉志賀1号機
〈中国電力〉島根1号機
〈日本原子力発電〉敦賀1号機

(2002.6、第159号2面)



浜岡2号機ECCS配管冷却水漏れ事故
 配管の半周に亀裂
   水流振動で金属疲労

 中部電力=浜岡2号機(BWR,84万`h)で5月25日に緊急炉心冷却装置(ECCS)系配管から冷却水が漏れているのがみつかった事故で、事故部分の配管(直径2.7a、肉厚3.9_)に、ほぼ半周にわたる大きな亀裂があったことが6月11日に明らかになりました。
 経済産業省原子力安全・保安院は、長年の振動による金属疲労が原因と見られるとしています。
 同社は、当初、水漏れ部は、5系統あるECCSのうち1系統の低圧注入系配管の水抜き配管(定期検査時など)の溶接部付近としていました。ところが、周辺の配管を切り出し、漏水部を電子顕微鏡で観察するなど詳しく調べた結果、水抜き配管自体に大きな亀裂を見つけたとしています。
 同社は、亀裂をさらに分析、報告書を原子力安全・保安院に提出する方針といいます。
 昨年11月に起きた同1号機の配管爆裂・破断事故時に、同社は、2号機についても停止し、直前まで点検していました。それにもかかわらず、大量の水漏れを起こした配管の亀裂発生の前兆を見逃していたチェック体制が問われます。
 「外側から亀裂が入っていることになぜ気づかないのか。塗装にも異常があったはずだ。検査体制に根本的な問題がある」と、専門家は指摘。「長い間の熱や振動で配管に亀裂が生じるのは老朽化の現れだ。いま直ちに大事故に至らないとしても、時間がたてば亀裂は拡大していく」とも強調しています。
 老朽化原発の安全管理が改めてきびしく問われることになります。

(2002.6、第159号2面)



「プルサーマルとり止め」
 27労組・団体が関電に要請
   原発問題住民運動大阪連絡会が呼びかけ

 原発問題住民運動大阪連絡会は、関西電力に「プルサーマルとり止め」を要請する運動を、府内の労組・団体にひろく呼びかけていましたが、5月22日、これに賛同する27団体が集まって、交流会を開きました。
 交流会は、関西電力への要請文を確認して送付しました。要請文の本文では、「プルサーマル計画をとり止め」を要請し、これにたいする関西電力の「真剣な検討と回答」を求めています。
 また、「プルサーマル計画をとり止め」を要請する理由として、@プルサーマルが現状の原発の危険性を増すこと、Aプルサーマルは実証された技術ではない、BMOX燃料の問題点、C核兵器の材料であるプルトニウムの使用に反対であること、DMOX燃料の繰り返し再処理は困難で非効率であること、E放射能汚染は重大な地球環境汚染であること、などを分かり易い文章でまとめています。
 交流会は、この要請にかんする話し合いを6月12日に行うよう、関西電力に申し入れることを決めました。
 前回(99年8月)のプルサーマル問題での申し入れでは15団体でしたが、今回はこれを大きく上回りました。
 要請文に今回署名した労組・団体はつぎの通りです。(順不同)
 全大阪労働組合総連合、大阪パルコープ労働組合、大阪府職員労働組合、大阪府立高等学校教職員組合、大阪教職員組合、生協労連大阪府連合会、民放労連近畿地方連合会、全印総連大阪地方連合会、大阪自治体労働組合総連合、全国一般労働組合大阪府本部、大阪私学教職員組合、化学一般関西地方本部、日本民主青年同盟大阪府委員会、AALA連帯委員会、大阪商工団体連合会、原水爆禁止大阪府協議会、新日本婦人の会大阪府本部、安保破棄・諸要求貫徹大阪実行委員会、大阪母親大会連絡会、大阪民主医療機関連合会、大阪から公害をなくす会、全大阪生活と健康を守る会連合会、大阪府保険医協会、大阪府歯科保険医協会、道路公害反対運動大阪連絡会議、大阪市民ネットワーク、原発問題住民運動大阪連絡会。

(2002.6、第159号3面)



各地からの便り

 明治の水力開発の知恵をさぐる
    茨城県原発を考える会

 茨城県原発を考える会は6月2日、県北の高萩市、北茨城市、里美村にある小型水力・風力発電所をマイクロバスでめぐる見学会を行いました。28人が参加して、満席となりました。
 県北には、明治・大正時代に、日本鉱業日立鉱山、日立製作所等の創業に当たってつくられた小型水力発電所が13個所も現存しており、東京発電KKが運転しています。
 今日、原発の代替エネルギーとしてマイクロ水力、風力、太陽光、バイオマス、地熱など再生可能エネルギーの積極的開発についても住民運動の課題として取り組む時期になっており、その一環としてこの見学会が実施されたものです。
 殖産時代の水力発電所ですから、マイクロ水力の視点から見れば、小型とはいえ、花貫川沿いの松原発電所(大正13年使用開始。330`h)、花貫川第一発電所(同7年使用開始。525`h)、大北川沿いの石岡第一発電所(明治44年使用開始。常時出力4,800`h)、里川沿いの徳田発電所(常時出力170`h、最大出力650`h)など、数百`h・数千`h級と大きすぎるものですが、明治・大正の自然エネルギー利用への偉業が今日も生きている現実に接して、参加者一同は感動の声を挙げていました。
 里美牧場内の風力発電(定格出力600`h)は、県北初のもので、4月から運転開始。ドイツ製3枚羽根、建設費は調査費も含め約2億3,000万円。風力3〜5bで出力は10〜40`h程度。
 「おらが村の電力は、おらが村の小川から」というマイクロ水力のローカル・エネルギー・ネットワーク形成が強く求められます。


 北海道電力にただす
   原発問題全道連絡会

 原発問題全道連絡会は5月22日、北海道電力が泊原発の使用ずみ核燃料を青森県六ヶ所村の日本原燃に向け搬出したことにたいして申し入れを行いました。申し入れは、泊原発でのプルサーマル計画の実施が増しているとして、@使用ずみ燃料の保管状況、A4回にわたる搬出の目的、Bプルサーマル計画の検討状況などについての現状を質しました。
 北電側は、@については1号機=323体、2号機=312体の計635体、Aについては国の核燃料サイクル政策をすすめるため、
Bについては、2010年をめどに実施したい、と応えました。
 申し入れには、斎藤敏夫代表委員、菅野一洋事務局長ら7人が参加しました。

(2002.6、第159号6面)



核燃料税とは(用語の解説)

 核燃料税とは、原子炉に装荷される核燃料の取得価格に一定比率でかかる地方税。原発立地住民は、原発の危険との「共生」を余儀なくされるわけで、いわばその迷惑料といえる。福島県に例をとると、核燃料の取得価格の7lを核燃料税としてかけているが、現在、核燃料税改正案が県議会に上程されることになっている。課税率を現行7lから10lに引き上げるとともに、核燃料1`cに1万千円を課税する重量税も加算するというものである。ただし、「当分の間」は重量課税は1`c6,000円とする激変緩和措置を導入するという。5年間の財政需要は、当初案から約45億円引き下げ、約230億円に下方修正されるといいます。すでに、福井県と新潟県が税率を10lに改定しており、石川県も6月議会の成立をめざしている。福島県の条例改正案は、当面重量税分の引き下げで実効税率は暫定的に13.5lに抑えたという。しかし、東京電力は「10lが負担の限界」としてあくまで抵抗するとしている。

(2002.6、第159号8面)