共同行動の広がりに確信―第17回全国総会・交流集会
    「読者とともに活動」の定着へ
        根本的反省ない国と電力会社と対峙して

 第17回全国総会・交流集会は11月30日午前10時から東京都内の「港区立芝公園福祉会館」で、18都道府県から43人が参加して開かれました。
 開会挨拶の後、冒頭に議長に小谷邦男・代表委員(和歌山)を選出。来賓として高橋千鶴子・日本共産党衆議院議員、舘野淳・日本科学者会議原子力問題研究委員会委員長が挨拶。つづいて祝電・メッセージが披露されました。
 市川富士夫氏(元日本原子力研究所員)が「いまこそ原子力政策を根本的に見直すとき」と題して「特別報告」を行いました。市川氏は日本の原子力政策―軽水炉・高速増殖炉政策があらゆる局面で行き詰まりを来していること、原子力政策が軍事開発の延長線上にあることが行き詰まりの根源にあると指摘。これに替わる安全で平和な、例えばトリウム―ウラン233を燃料サイクルとする溶融塩炉等の開発が世界で行われたが、軽水炉・高速増殖炉路線が政治的に強行され、この開発が無視されてきた事実を紹介。「原子力政策の根本的見直し」の対案は歴史的に準備されていることを強調しました。
 つづいて、中村敏夫筆頭代表委員が「第17回全国総会・交流集会に対する全国代表委員会報告」(4〜10面参照)を行いました。中村氏は、一連の原発事故隠しの直後にも、大量異物混入事件、泊2号機の再生熱交換器水漏れ事故、原子炉内の水位計取り付けミス事故などが続出していることに触れ、これは国と電力会社が根本的反省をしていないからであると指摘。この事態を革新的に打開するのは住民運動によるしかないと強調。「げんぱつ」読者とともに共同行動に取り組み、読者を増やしてセンター強化に取り組むことを呼びかけました。
 討論では10人が発言(3面参照)。総会は中村氏の「討論のまとめ」を含めて全国代表委員会報告を採択しました。
 全国総会・交流集会は、次期全国代表委員を選出(3面参照)して午後4時に終了。


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【警鐘】

●「珠洲原発の凍結」「巻原発の建設断念」の報道があいつで届く。21世紀スタートでの新潟県刈羽村、三重県海山町の住民投票の勝利を画期として、原発依存のエネルギー政策からの転換が事実上、大きく進行している●一方、東京電力の東通1・2号機の第一次公開ヒアリング実施、「もんじゅ」の炉心改造の策動など逆流も渦巻いている。事故・トラブル隠し後も、圧力制御室への大量異物混入、原子炉の水位計取付ミスなど、考えられない不祥事が後を絶たない●老朽化原発の酷使は今後の最大問題の一つである。アメリカ並みの稼働率90l以上をめざすとなれば、寿命を終えた原子炉のライセンス延長など規制緩和が不可欠。「安全財産」を持たない日本がこの道を歩めば、過酷事故は必至●逆流ストップは住民運動の緊急課題。

(2003.12、第177号1面)



珠洲原発計画を「凍結」
    関電・中電・北電が珠洲市へ申し入れ
        能登の地域振興策の確立が急務


 関西、中部、北陸三電力会社は12月5日、珠洲原発計画の「凍結」を珠洲市に申し入れました。
 珠洲原発計画は1975年11月、同市が原発立地可能性調査の要望書を国、県に提出したことにより浮上。関電が高屋地区、中電が寺家地区に北電と各1基(135万`h)ずつを計画、3社で電源開発協議会を設置して立地をすすめてきました。
 この構想が浮上以来、地元住民をはじめ多くの県民が「能登半島を『原発基地化』するな」と反対の声を挙げ、住民運動を粘り強くすすめてきました。89年5月には、関電の高屋地区での立地可能性調査の強行を中止に追い込みましたが、国や県は珠洲原発計画を「国家プロジェクト」に押し上げ、93年6月、「要対策重要電源」に指定しました。この間、原発立地をめぐる利権構造も明らかになり、99年10月には高屋地区の原発予定地周辺の土地を、清水建設など大手ゼネコン関連会社が秘密裏に取得したことが判明。買収工作に加担した企業は暴力団の舎弟企業を含め20数社にものぼりました。
 今回の「凍結」申し入れは、計画浮上以来28年ぶり。「珠洲原発立地反対」の一致点での粘り強い共同行動の広がりで勝ちえた大きな成果です。
 電力会社は電力自由化のもとで、電力需要の伸びが予定を大きく下回ること、莫大なバックエンド対策など原発コストが相当にかかることなど、安全性に加えて経済性も成り立たない状況に追い込まれたことが大きな要因として働いています。中電は、現状では、三重県での新規立地の見通しもなく、原発は浜岡原発しかもっていないことから「凍結」には消極的でしたが、立地強行はできませんでした。

 原発問題住民運動石川県連絡センターが声明

 原発問題住民運動石川県連絡センターは12月5日、声明を発表。声明は、今回「凍結」について、同センターの88年結成以来の住民運動の成果であり歓迎するとしたうえで、原発計画に替わる能登半島の地域振興策が急務であること、志賀1号機のプルサーマル導入と同2号機増設に反対の共同行動を訴えています。


(2003.12、第177号2面)



東北電力
     巻原発 建設断念
         用地訴訟で推進派敗訴



 新潟県巻町の東北電力・巻1号機(BWR,82.5万`h)建設計画をめぐり、笹口孝明町長が建設予定地の町有地を反対派住民らに売却したことを違法とする建設推進派住民5人の上告について、最高裁第一小法廷は12月18日、「上告申し立てを受理すべきものとは認められない」と判断、推進派の敗訴が確定しました。これを受け、東北電力は同24日、臨時取締役会で計画断念を正式に決定。幕田圭一同社長は同日昼すぎに新潟県庁を訪れ、平山征夫知事に計画の白紙撤回を伝えました。
 巻原発は96年8月、全国初の住民投票が行われ、町民の圧倒的多数が「立地反対」の住民意思を明確に表明しました。これを受け、笹口町長は通産省を訪れ、「巻原発計画の電源開発基本計画からの除外」を申し入れるとともに、99年8月30日、建設予定地内の町有地約9,000平方bのうち原子炉建屋予定地に当たる一区画743平方bについて、反対派住民有志23人の申し出に1,500万円で売却。契約書では、土地の譲渡や抵当権の設定、賃借は一切してはならないとされました。推進派住民はこれを違法として提訴。一審=新潟地裁、二審=東京高裁は、いずれも「裁量権の範囲内で職権乱用はなく、違法とはいえない」と判断。推進派住民はこれを不服として上告していたもの。
 国の電源開発基本計画に組み込まれた原発計画の撤回は国内で初めてとなります。笹口町長は「町民が勇気を持ち、自らの運命を切り開いた」と語り、住民パワーの勝利を強調しました。


(2003.12、第177号2面)



5テーマ26項目の申し入れにもとづいて
    電気事業連合会、原子力安全・保安院
        原子力安全委員会と交渉


 第17回全国総会・交流集会を終えて、中村敏夫筆頭代表委員をはじめとするセンター代表らは12月1日、午前10時30分から電気事業連合会、午後1時30分から原子力安全・保安院、同3時から原子力安全委員会と交渉を行いました。
 交渉は、原子力安全委員会を除いては、いずれも、あらかじめ提出した「申し入れ」(次号掲載)に対する回答が順次なされ、その後、質疑応答の形で行われました。
 「申し入れ」は、@一連の原発事故・トラブル隠しと不正事件に対する国と電力会社の対応について―8項目、A事故当該機の運転再開について―3項目、B電気事業法・炉等規制法改悪と原子力安全基盤機構発足について―4項目、C最終報告後も繰り返される不祥事について―3項目、D原子力政策・行政の抜本的見直しについて―8項目の5テーマ26項目に及んでいます。
 交渉は、一応の回答はなされましたが、説得力の乏しいものでした。それは、国と電力会社の一連の事故・トラブル隠しへの根本的反省を欠いていることに起因しています。


(2003.12、第177号3面)



第17回全国総会
    熱心な討論―10人が発言(敬称略)


 全国総会・交流集会ではつぎの10人が、別記のテーマで発言、熱心な討論が行われました。
@関電の動向と老朽化問題  芹沢 芳郎(大阪)
A川内3号機増設めぐる動向 井上 森雄(鹿児島)
B石川県内の原発動向    川上 仁志(石川)
C泊2号機冷却水漏れ事故  菅野 一洋(北海道)
D原子力防災訓練の問題点  坂本  洋(佐賀)
E八王子市、東電支社と交渉 斎藤 金夫(東京
F六ヶ所再処理工場問題   小山内 孝(青森)
G運転再開問題との対応   伊東 達也(福島)
H事故隠しと職場の実態   鈴木 章治(東京)
I議会サミットの特徴など  持田 繁義(新潟)


 2004年の全国代表委員(敬称略)

◎○中村 敏夫(茨城)   出馬 益子(三重)
 ○小谷 邦男(和歌山)  芹沢 芳郎(大阪)
 ○柳町 秀一(埼玉)   佐々木 泉(愛媛)
 ○山崎  元(東京)   坂本  洋(佐賀)
 ○渡辺 三郎(福井)   森本 浩寿(全教)
  菅野 一洋(北海道)  島村きみ子(自治労連)
  小山内 孝(青森)   林  泰則(民医連)
  早川 篤雄(福島)   安達 絹恵(新婦人)
  伊東 達也(福島)   佐藤 利彦(茨城) 
  持田 繁義(新潟)
 名誉代表委員 藤巻 泰男(新潟)
 (なおあと一人補充を確認)
 ◎筆頭代表委員  ○幹事代表委員


(2003.12、第177号3面)



 第17回全国総会・交流集会にたいする全国代表委員会の報告
     2003年11月30日  東京−「港区立芝公園福祉会館」


 1.この1年間の取り組みについて

(1)この間の当センターのおもな取り組み

<原発事故・トラブルと不正事件への取り組み>
 ○総会方針にもとづく活動の重点としてこの問題での国と電力会社の責任追及
  *国への申し入れ(原子力安全・保安院、原子力安全委員会)
  *電力会社への申し入れ(電気事業連合会、東京電力本社2回、福島第一原子力発電所)
  *「国と東京電力の責任を問う」全国交流集会(いわき市−6月21〜22日)
  *各地でも取り組み
 ○「申し入れ」で指摘した点について
  *一連の原発事故・トラブル隠しと不正事件の真の原因と責任の究明を回避していること
  *国と電力会社の対応は糊塗策にすぎず、事件の再発防止の保障がないこと
  *国と電力会社は、会合の冒頭に陳謝し、頭を下げるが、根本的な反省はしていないこと
   :その点で、些細なことも含む事故・トラブル情報について、国と電力業界の壁、電力会社間の壁を超えて関係者全体が共有し、過酷事故の未然防止に役立てるシステム(「インシデント報告」制度)の確立を求めた。これを実施するなら、国と電力会社の安全への取り組みが、だれの目にも、一目瞭然にわかる

<原発の危険に反対する緊急要求のもとづく共同行動>
○全国でも各地でも、さまざまな緊急要求にもとづく共同行動を展開
  *電力会社への「申し入れ」と交渉−その結果を住民に知らせる活動の定着
  *ニュース、パンフレット等の発行
 ○新たな共同行動の広がり
  *原発事故の追及でのフォーラム開催など
  *「JCO事故を忘れない 原子力事故をくりかえさせない」の一点での共同行動の定着−「9.30茨城集会」実行委員会
  *使用ずみ核燃料中間貯蔵施設計画(むつ市、御坊市、小浜市など)の誘致反対の共同行動
   :むつ市の使用ずみ核燃料中間貯蔵施設をめぐる住民投票条例制定を求める直接請求署名運動の共同(署名提出−8月)など
  *高レベル放射性廃棄物の地層処分反対の共同行動
   :高レベル廃棄物の地層処分の可能性調査区域の公募を開始(12月19日)したが、現在応募はない
   :旧動燃が1986〜88年にかけて調査を実施した北海道、秋田、山形、福島、新潟、長野、岐阜、愛媛、高知、長崎、宮崎、鹿児島など12道県、40数個所の候補地の24冊の報告書の白紙部分の公開
 ○福島県など立地自治体の変化
  *福島県のエネルギー政策検討会の「中間とりまとめ」の発刊と佐藤栄佐久・福島県知事の原子力政策への批判
   :エネルギー政策検討会は22回の検討会を重ね、「国策」としての原子力政策に対する立地自治体の疑問・意見・批判をまとめた「中間とりまとめ」を行い、パンフレット・単行本として発刊
   :「エネルギー基本計画」の閣議決定(10月7日)に対して、佐藤知事は「原子力の安全規制機関の独立性を高めることや今後の原子力発電の行く末を左右しかねない核燃料サイクルの強引な進め方の見直しなどは、ほとんど盛り込まれなかった」と批判。「計画は『地域の声がエネルギー政策に適切に反映されるよう広聴・広報等を徹底的に行う』としているが、結局は、地方がなにをいおうが、十分な議論もせず、『国策』として押し切る姿勢が最大の問題だ」と指摘
  *立地自治体では同じ変化
○総合資源エネルギー調査会基本計画部会(茅陽一部会長)に対する全国知事会の「エネルギー基本計画等の策定に関する緊急要望」
  *全国知事会の要望書(8月7日)が第6回同部会(9月1日)に出される
   :「地方公共団体の意見を聴取するとともに、原子力の安全規制を行う組織の独立性を高めるなどの意見を最大限反映するよう強く要望」
  *全国知事会エネルギー問題特別委員長・橋本昌茨城県知事が第6回同部会(9月1日)に委員として参加して意見発表
  *佐藤栄佐久福島県知事が経済産業大臣宛に「エネルギー基本計画修正案」提出(9月25日)
:「1政策決定プロセスについて」「2エネルギー需要対策における基本的考え方」「3核燃料サイクルについて」「4原子力安全規制について」「5立地地域との共生について」の基本事項について「修正案」を提出

<住民運動への取り組みに対する確信>
 ○当センターの力量と活動は、原発情勢から見れば「ささやか」なものであるが、それらは、過酷事故の未然防止の力として現実に機能するとともに、世論と結びついて原発情勢の安全優先への転換の力として機能することを確信

<センター強化への取り組み>
 ○住民運動の取り組みに当たっては、「げんぱつ」読者とともに活動する、「げんぱつ」読者を増やしながら取り組む活動スタイルの確立をめざすことを重視−この面での一定の前進は「ささやか」ではあるものの重大な成果
  *「げんぱつ」読者はセンターの活動の源泉
  *「げんぱつ」紙に原発動向、住民運動の動向を反映するように取り組む
   :<資料メモU>を参照すれば、紙面の都合上、割愛したものが少なくない。住民運動の動向も同じ。編集における「選択の視点」が重要
  *「げんぱつ」紙に読者を増やす取り組みを最大限に反映
   :「国と東京電力の責任を問う」全国交流集会の成功は、原発の安全性を求める福島県連絡会の「『げんぱつ』読者200人実現」が大きくささえる
   :「失業・無収入でしばらく購読中止」「目が悪くなり、判読不能で中止」「療養のため購読を遠慮」など、読者の高齢化による購読中止も少なくない
  *「げんぱつ」紙代の滞納一掃運動(「げんぱつ」173号2面、174号「編集後記」参照)
   :「滞納1年以上」の213人を対象に対話
   :「げんぱつ」紙の役割についての対話を重視しつつ取り組む
 ○「原発を考える広島の会」加盟
 ○財政報告
  *事務局のボランティア1人削減(2003年1月〜)
  *代表委員会への会計監査報告

(2)国と電力会社の動向−<資料メモU>「この1年間のおもな動向について」を参照
<一連の不正事件への国と電力会社の対応>
 ○一連の原発事故隠しへの国と電力会社の対応
  *電力会社等の対応
   :東京電力は全17基の原発が運転停止に至ったが、事故・トラブル機の「安全宣言」→「運転再開」を最優先
   :通り一遍の各社調査と無責任な「(自主点検をめぐる)最終報告書」(〜3月末)
   :メーカーの日立は、「反省」も「安全」もないままに、「03年度の収益悪化の直接的原因はトラブル対策費があまりに巨額だ」として、総勢4,000人で業務改革活動のキックオフ大会を開催(10月6日)
  *国の対応
   :電力会社の「安全宣言」、「運転再開」の露払い役
   :電気事業法と原子炉等規制法の「一部改正」
    −自主点検が「定期事業者検査」として法定検査に
    −「維持基準」の導入
:独立行政法人・原子力安全基盤機構設置法の制定
  *原子力安全基盤機構(成合英樹理事長。職員約420人)の発足(10月1日)
   :「定期事業者検査」を審査する定期安全管理審査(原子力発電用特定電機工作物を対象)溶接安全管理審査(原子力発電用特定ボイラー、格納容器を対象)を担当
   :国が実施していた「定期検査」の一部をひきつぐ
   :使用前検査、施設定期検査、各種溶接検査
   :関連三機関(原子力発電技術機構、発電設備技術検査協会、原子力安全技術センター)の原子力検査業務を一本化
   :電力10社から37人出向
 ○不祥事件以後も同じことをくり返す
*東京電力の運転停止中原発12基の原子炉圧力抑制室から1,094個もの大量異物を回収
*原子炉水位を示す「基準面器」を誤って取り付けて以来(営業運転開始以来が多い)、発覚するまでの長年にわたって実際の水位が表示より低い状況で運転継続
 ○国と電力会社は原子力政策・行政の根本的見直しを回避し、既定の原子力政策に固執
  *原子力委員会の「我が国におけるプルトニウム利用の基本的な考え方」の決定(8月5日)
*原発推進を明記の「エネルギー基本計画」の閣議決定(10月7日)
  *放射性廃棄物に「クリアランス」(規制除外)方式の導入
   :原子力安全・保安院は、放射能レベルが一般人の年間被曝限度の100分の1以下のものを、特別の管理を必要としない一般廃棄物として扱う方針(原子炉等規制法改悪を2005年提出へ)

<国と電力会社の対応の問題点>
 ○国と電力会社は、一連の原発事故・トラブル隠しと不正事件に対する原因調査について、第三者機関
による公正かつ徹底した調査を回避し、真の原因究明と責任追及を棚上げしたことは、事故トラブル隠しと不正事件を起こした構造と体質が変わっていないことを示している
 ○従来の営利優先の原子力開発、原子力行政に対する根本的メスが回避された結果、国と電力会社の対応は糊塗策でしかなく、一連の事態の再発防止の保障はない
 ○BWRの応力腐食割れは1970年代に発見され、1970年代末までには新材料開発をもって解決したとされていたが、実際には解決されていなかった。原点にかえった原因究明と安全対策が求められている
  が、国と電力会社は「維持基準」導入など運転再開を優先させている
 ○プルトニウム循環政策と原発推進政策を柱とする原子力政策のあらゆる局面での行き詰まりにもかかわらず、その根本的見直しを回避して既定路線に固執
 ○国と電力会社の対応には、住民運動の要求を反映した部分もうかがえる
  *「第三者機関のよる調査」の要求に対して「社外弁護士による調査」などの一定の考慮
  *事故・トラブル情報をめぐり、電力会社は「安全上問題はなく報告義務もない」としたことに対して、原子力安全保安院は「技術情報の共有化の観点から報告するのが望ましかった」とした点は注目される

2.当面の方針について

(1)第17回全国総会が掲げる緊急要求
<中心スローガン>
 ○原発の事故隠し・不正事件に対する第三者機関による公正かつ徹底的な再調査を!
 ○国と電力会社は根本的反省に立った再発防止策の確立を!
 ○独立行政法人・原力安全基盤機構設置など糊塗策でなく、独立した安全規制機関の確立!
 ○天然ウラン・プルトニウムの核燃料サイクルを軸とする原子力政策の根本的見直し!
 ○「日本では過酷事故は起こりえない」とする「安全神話」の一掃!
○苛酷事故を想定した原子力災害対策の確立!
<サブ・スローガン>
 ○「プルサーマル計画」やめよ!
 ○使用ずみ核燃料の「中間貯蔵施設計画」やめよ!
 ○老朽原発の「高経年化対策」をやめ、運転停止を!
○耐震設計審査指針類の抜本的見直し!
 ○目に見えるコストダウン≠フ新超大型軽水炉(ABWR及びAPWR)の新増設反対!
 ○安全上も経済上も破綻した六ヶ所再処理工場の建設・運転反対!
 ○「もんじゅ」の原子炉設置許可無効の高裁判決を尊重し、改造工事の強行をやめよ!
 ○高レベル放射性廃棄物の「ガラス固化→30〜50年一時冷却貯蔵→地層処分」反対!
 ○21世紀のエネルギーを原子力政策に依存することをやめ、マイクロ水力・風力・太陽光・バイオマス(生物資源)・地熱など再生可能エネルギーと新エネルギーの積極開発を!
<上記の緊急要求にもとづく共同行動>
○上記の緊急要求にもとづく共同行動の展開と新たな広がりの追求
○これらの共同行動を「げんぱつ」読者とともに取り組み、「げんぱつ」読者を増やす活動ス
  タイルの確立

(2)国と電力会社の原発事故・トラブル隠し、不正事件に対する責任の徹底追及の共同行動
<第三者機関による公正かつ徹底的な再調査を! >
 ○国と電力会社の根本的な反省はないままの対応は無責任であり、再発防止の保障がない。責任追及は重大課題
 ○シュラウド・再循環系配管等のひび割れ問題の原点にかえっての原因究明と対策の確立
 ○第三者機関による公正かつ徹底した再調査を改めて求める
 ○福島第一=1号機の格納容器気密検査不正事件が一連の原発事故・トラブル隠しの核心問題である。この不正事件に示される国と電力会社の「日本では過酷事故は起こり得ない」とする「安全神話」こそ一連の事件の背景に横たわる根本問題として追及
<「維持基準」導入など糊塗策を批判し、独立した安全規制機関の確立! >
 ○この10月1日から発足した原子力安全基盤機構などによる新たな「規制体制」が、独立した安全規制機関に逆行するすものであることを批判し、独立した規制機関の確立を求める

(3)全国センターの取り組み
<政府、電事連、電力会社等への申し入れと交渉>
○総会翌日12月1日(月曜日)に政府・電事連交渉
<全国交流集会の開催>
 ○日時
 ○場所
<チェルノブイリ原発事故20周年調査(2006年)の検討>
 ○事故20周年の2006年にウクライナ、ベラルーシ、ロシア三国の現地調査
 ○事故5周年、事故10周年調査の経験を生かした調査
<センターの強化・拡大について>
○共同行動の展開に当たっては「げんぱつ」読者にまず呼びかける
○「げんぱつ」読者を増やす−それはセンター財政の強化にもつながる
 ○緊急要求がもつ意義などについて学習を深める−<資料メモT>を参照
 ○「げんぱつ」編集の改善と通信の集中を

  (以上)

第17回全国総会・交流集会資料<資料メモT><資料メモU>のページ

(2003.12、第177号4〜6面)



第17回全国総会・交流集会資料

<資料メモT>原子力政策のさまざまな局面で行き詰まり―各局面のリアルな検討と学習を



  ○使用ずみ燃料の「中間貯蔵施設計画」(むつ市、御坊市、小浜市など)−原発運転の行き詰まり
  *現状(2002年9月末現在)
   :使用ずみ燃料の年間発生量−「約900tU(d・ウラン)」
   :日本の全体の貯蔵管理容量−「16,420tU(各サイト合計)」+「3,000tU(六ヶ所貯蔵プール)」=「19,420tU」@
:使用ずみ燃料の貯蔵量−「10,000tU(  〃   )」
   :  〃    余裕量−「 6,420tU(  〃   )」
   :1炉心量       −「 4,730tU(  〃   )」
    (なお、1定期点検での各サイト取替分の合計1,350tU)
 *2050年の見通し(核燃料サイクル開発機構・河田東海夫氏による)
   :累積蓄積量 −「約73,000tU」
   :必要貯蔵容量−「約80,000tU」A
   :今後の増設分(新増設原発による)−「数1,000tU」B
   :新たに確保すべき貯蔵容量−「約55,000tU」   A−(@+B)
 *新たに確保すべき貯蔵容量−六ヶ所貯蔵プールの18基分
               −福島・新潟・福井の三大立地県では「10,000tU以上」の増設
 ○六ヶ所再処理工場問題−安全上も経済上も行き詰まり
  *使用ずみ燃料貯蔵プール水漏れ事故
  *操業開始を一年延期
  *電機事業連合会の使用ずみ燃料の再処理費用の試算(5月15日付地方紙)
   :40年間(2005〜2045年)の再処理費用−「約15兆9,000億円」=〔(1)+(2)+(3)〕
    (1)再処理工場の操業費「約6.8兆円(2005〜45年)」=@4.2兆円(2005〜25年)+A2.6兆円(2025〜45年)
    (2)超ウラン元素の処分管理費・返還放射性廃棄物の貯蔵管理費・使用ずみ燃料の中間貯蔵費・MOX燃料加工費「約6.5兆円(2005〜45年)」=@3.3兆円(2005〜25年)+A3.2兆円(2025〜45年)
    (3)再処理工場の解体費「約2.6兆円(2045年以降〜)」
   :(2)(3)の「約9.1兆円」が財源未定
   :再処理する使用ずみ核燃料−「32,100d」(年間800dの処理能力を超える)
(なお、建設費は当初予算額をはるかに超える「2.14兆円」)
   :使用ずみ燃料「1d当たり約5億円」を超える。海外再処理=2.7億円(減価償却後=0.4億円)
  *バックエンド事業全般にわたるコスト構造、原子力発電全体の収益性等の分析・評価を検討するために総合資源エネルギー調査会電機事業分科会コスト等検討小委員会(委員長・近藤俊介東大大学院教授)を設置(10月21日第1回〜)
   :電気事業連合会がバックエンド事業費総計18兆8,390〜18兆9,590億円(@+A+B+C+D+E+F+G+H)と試算
    @再処理11兆600億円=a操業(本体)7兆4,200億円+b操業(ガラス固化体処理)3,700億円+c操業(ガラス固化体貯蔵)6,400億円+d操業(低レベル廃棄物処理・処分)6,200億円+e廃棄物処理・輸送・処分4,000億円+f廃止措置1兆6,100億円
    AMOX燃料加工1兆1,850億円=a操業1兆1,000億円+b操業廃棄物輸送・処分50億円+c廃止措置800億円
    B返還高レベル廃棄物貯蔵管理3,050億円=廃棄物貯蔵2,700億円+廃棄物輸送220億円+廃止措置130億円
    C返還低レベル廃棄物貯蔵管理5,850億円=廃棄物貯蔵3,500億円+廃棄物輸送・処分1,890億円+廃止措置
     460億円
    Dウラン濃縮バックエンド2,440億円=操業廃棄物処理1,670億円+操業廃棄物輸送・処分390億円+廃止措置380億円
    E高レベル廃棄物処分2兆7,500億円=廃棄物輸送1,900億円+廃棄物処分2兆5,600億円
    F超ウラン元素(TRU)廃棄物地層処分7,500〜8,700億円
    G使用ずみ燃料輸送9,500億円
    H使用ずみ燃料中間貯蔵1兆100億円
   :原発コストへの影響
    −@再処理費用については、「a操業(本体)7兆4,200億円」は再処理施設建設費等2兆7,400億円、運転・保守費3兆700億円、その他の諸経費1兆6,100億円の計。「a〜d」の計9兆500億円の現在価値に割り引いた原発コストへの影響は1`h時当たり55銭(割引率3l)〜85銭(同0l)、「e〜f」の計2兆100億円の原発コストへの影響は同じく8銭〜15銭
    −AのMOX燃料加工費用について、年間加工量100dの施設を40年間運転すると仮定した場合、建設費1,700億円、運転・保守8,000億円を含む「a〜c」の計1兆1,850億円の原発コストへの影響は同じく6銭〜11銭
    −今後80年間にわたるバックエンド事業総計約18兆9,100円の影響は98.3銭(割引率3l)〜1円53銭(同0l)
     (これは分母が異なるコストを単純に足したもの。また、事業費用は現時点で予測される今後80年に及ぶ費用の単純積み上げであり、現在価値に換算されていない)
   :政府は1999年、原発の発電コストが1`h時当たり5.9円との試算を公表したが、これには廃炉費用は含まれるものの、後処理全体は入っていない
  *原発のコスト問題−「経済神話」の崩壊
 ○原発の事故続出
  *シュラウドのひび割れ。原子炉冷却材再循環系配管ひび割れ。制御棒駆動系配管のひび割れ。再熱交換器配管のひび割れ−応力腐食割れ問題の解明と対策の確立
  *原子炉圧力抑制室への大量異物混入事件
  *原子炉水位を示す「基準面器」の誤った取り付け以来、実際の水位は表示より低い状況のままに運転継続
  *当初想定されていなかった蒸気発生器の取り替え、シュラウドの取り替え、加圧器の取り替え、上蓋の取り替え工事等
  *当初想定されていない事象の発生
  *巨大導入技術の「盲点」−浜岡2号機の余熱除去系配管の水素爆裂・破断事故
  *「高経年化」対策の問題点
  *定期検査期間の短縮
 ○耐震設計審査指針類の基礎の崩壊
 ○蒸気発生器(SG)取り替え工事時の格納容器開閉部位が従前の強度を維持している保障がない
 ○日本では工学的には起こり得ないとされ、国の安全規制の対象とされていない過酷事故対策と原子力災害対策
  *地震時に@「核分裂の熱」、A「崩壊熱」の制御の保障があるかどうか問われる
  *地震時にA「崩壊熱」の制御の保障がなかった浜岡1・2号機、女川1・2号機について、それぞれ浜岡3号機女川3号機増設時に機器冷却系海水導管の確保のための工事を実施させる(これまでの間、崩壊熱の除去不能状況であり、巨大地震に襲われていれば過酷事故の発生は必至であったことは明白)
  *巨大地震による震災に加えて、過酷事故による原発災害が重なる「原発震災」の警告
 ○「目に見えるコストダウン」をめざす新超大型軽水炉(ABWR及びAPWR)の新増設計画
 ○プルトニウム過剰問題
  *プルトニウムは「資産」ではなく「負債」に変化
  *新潟県刈羽村の住民投票における「プルサーマル計画」反対の勝利(2001年5月)
  *新型転換炉(ATR)実証炉「大間」計画の中止
  *高速増殖炉「もんじゅ」ナトリウム漏れ・火災事故(1995年12月)。「もんじゅ」の原子炉設置許可を無効とする名古屋高裁金沢支部判決(2003年1月)
  *東海再処理工場事故火災・爆発事故(1997年3月)。六ヶ所再処理工場問題(別記参照)
  *日本の核武装問題
 ○高レベル放射性廃棄物の「ガラス固化−30〜50年間冷却貯蔵−地層処分」問題
 ○関東圏の電力供給不足・停電問題(2003年5月〜)−原発依存をやめ、総合的エネルギー政策の確立
 ○立地地域が発展軌道にのらない「電源三法30年」の節目に「原発推進ルール化」の再出発(2003年度予算)
 ○原爆開発の延長の臨界系ウランサイクルを基軸とする日本の原子力政策の根本的見直し
 ○日本の開発優先の原子力行政の根本的見直し
  *独立した規制機関の確立
  *一連の審査指針類の根本的見直し
  *一連の原子炉設置許可の根本的見直し
 ○国民の圧倒的多数が原発への不安・心配を表明
  *総理府世論調査=「85.9l」(1986)、「90.2l」(1990)。同じ調査が行われていれば「100l」近いだろうことは明白
 ○原子力の安全制御をめざす研究開発の抜本的振興
  *「安全で安い」原発の研究開発
  *原子力の「負の遺産」の清算に不可欠           (以上)


 <資料メモU>この1年間のおもな動向について
(「事故・トラブル」は紙面がないので基本的に除く)


〔02年11月〕
 ○福島県エネルギー政策検討会の「中間とりまとめ」がパンフレット、単行本として発刊(11月〜)
 ○原子力委員会が市民参加懇談会(11月〜)
  *市民参加懇談会:東京=02年11月19日、青森市=03年3月15日、敦賀市=6月28日、福井市(内閣府のタウンミーティング)=8月31日、さいたま市=10月14日
  *「核燃料サイクルのあり方を考える検討会」:青森市(「再処理と核燃料サイクルを考える」公開討論会)=10月11日、伊方町(「核燃料サイクルについて語る会」)=10月24日、女川町長・泊村長・伊方町長・川内市長から意見を聞く(東京)=1月21日、鹿島町長・志賀町長・浜岡町長・東海村長から意見を聞く(東京)=1月23日
〔12月〕
○東京電力社外調査団が福島第一原発1号機の原子炉格納容器漏洩率不正検査に係る調査結果を公表(12月11日)
 ○高レベル処分場−可能性調査区域の公募開始(12月19日)
〔03年1月〕
 ○原子力安全・保安院が「定期安全レビュー」を法令上の制度にするために原子炉等規制法にもとづく保安規定に明記へ
  *提出した「定期安全レビュー」の撤回
   :福島第一=1・2・3・4・5号機(2002年9月13日)
    − 提出=1(1994.8.2)、2(1995.10.23 2001.6.14)、3(1997.11.6)、4(1998.6.11)、5(同)
   :福島第二=1号機(2002年10月3日)、2・3・4号機(2002年9月13日)
    −提出=1(2000.5.29)、2(2001.6.14)、3(2002.7)、4(同)
○和歌山県御坊市で使用ずみ核燃料中間貯蔵計画(関西電力)が浮上(03年1月)
 ○ベルギー上院は原発を段階的に廃止する法案を可決(1月16日)
○高速増殖炉「もんじゅ」の名古屋高裁金沢支部の原子炉設置許可無効判決(1月27日)
 ○米エネルギー省(DOE)のエイブラハム長官は米国が国際核融合実験炉(ITER)復帰を発表(1月30日)
 ○国は「もんじゅ」高裁判決を不服として最高裁に上告(1月31日)
〔2月〕
 ○原子炉再循環系配管のひび割れの深さについて、超音波探傷(UT)の測定結果と実測値に誤差−総合エネルギー調査会原子力安全・保安部会原子力発電施設の健全性等に関する小委員会(佐藤一男委員長)(2月26日)
 ○福島第一原発3号機で保安規定違反の制御棒引き抜き検査(2月28日)
  *東京電力は、この日に「最終報告書」を提出―この違反検査を住民への説明ビラ(4月25日付)配布まで隠す
 ○原発事故・トラブル隠し等について電力各社が「自主点検最終報告」(2月〜)
  *東京電力=2月28日、北陸電力=3月11日、中国電力=3月18日、九州電力・中部電力=3月19日…
〔3月〕
 ○原子力安全・保安院がシュラウド、原子炉再循環系配管等の健全性評価で「安全」の中間報告(3月10日)
  *シュラウド:福島第一=4号機、福島第二=3・4号機、柏崎刈羽1・2・3号機、浜岡4号機
  *再循環系配管:東北、東京、中部電力の各プラント
 ○臨界事故で水戸地裁がJCO幹部らに有罪判決(3月3日)
 ○日本経済団体連合会が原子力開発で「着実な推進不可欠」とする提言書「エネルギー政策の着実な推進を求める」を発表(3月11日)
 ○原子力安全・保安院が住民説明会(3月〜)
  *柏崎市=3月21日、柏崎市=6月6日、刈羽村=同8日、柏崎市=同19日、女川町(新制度説明)=10月13日、東京(「安全規制改善に向けたシンポジウム)=同16日
 ○原子力安全・保安院が日本機械学会の「発電用原子力設備規格・維持規格2000」を国の規制基準に適用するうえで「技術的に妥当」とする技術評価書をまとめる(3月25日)
 ○原子力安全委員会が「もんじゅ」判決に対する「原子力安全の技術的論点について」を決定(3月26日)
 ○原子力安全・保安院が「もんじゅ」判決に対する上告理由書を最高裁に提出(3月28日)
 ○新型転換炉「ふげん」が運転を終了(3月29日)
〔4月〕
 ○電源二法「改正」で予算の原発推進のルール化(今年度〜)
  *「プルサーマル」受け入れ自治体に新交付金
  *交付金等の一本化は10月から実施
 ○電気事業者による新エネルギー等の利用に関する特別措置(RPS)法は2003年度から全面実施へ(4月)
 ○福島第一=6号機の安全点検入りで東京電力の原発全基(17基)が運転停止(4月14日)
〔5月〕
 ○関東圏電力需給対策本部の設置(5月8日)
 ○電事連の再処理総経費試算の報道
  *「東京新聞」=5月16日、「福井新聞」=5月16日、「新潟日報」=5月22日
 ○原子力安全・保安院の「安全宣言」を受けて次つぎに運転再開(5月〜)
  *柏崎刈羽6号機(5月7日)、柏崎刈羽7号機(6月18日)、福島第一=6号機(7月13日)、柏崎刈羽4号機(7月22日)、女川1号機(7月23日)、島根2号機(7月29日)、福島第一=3号機(8月15日)、福島第二=1号機(8月26日)、浜岡4号機(9月3日)、福島第一=5号機(9月8日)
 ○川内3号機の環境調査を鹿児島県知事が了承(5月16日)
 ○日本原子力研究所・核燃料サイクル開発機構統合による新法人の廃炉・廃棄物処理費用見積2兆円(5月23日)
 ○志賀1号機の事故・トラブルの多発(5月31日〜)
  *タービン建屋で弁点検のため水抜き作業中、系統配管の残水を8人が浴びる(5月31日)、原子炉建屋で残留熱除去系ブロー弁から水漏れ(6月9日)、原子炉給水(A)の戻り配管とさや管との溶接部にひび(6月12日)、原子炉給水ポンプ(B)戻り配管溶接部にひび(6月19日)、サービス建屋のドライクリーニング溶剤蒸留器(B)内の残渣抜き取り作業中に1人が飛沫を浴びる(6月27日)、原子炉再循環(B)系配管でひび割れ(7月29日)、制御棒駆動機構補修室内水漏れ(7月30日)、原子炉内等の薄膜状の沈殿物回収(8月11日)、ドライクリーニング施設から水漏れ(8月13日)、格納容器冷却器排水受口から水漏れ(8月20日)、タービン建屋内で油漏れ(8月29日)、モニタリングポストNo.1の高レンジモニタの異常(8月31日)、仮配線ミスによる非常用ガス処理系の誤起動(9月9日)、残留熱除去系(C)ポンプメカニカルシール部から水漏れ(9月27日)
〔6月〕
 ○原子力安全委員会が柏崎市で「新潟原子力安全シンポジウム」(6月29日)
〔7月〕
 ○泊3号機に経済産業相が設置許可。PWRでは16年ぶり(7月2日)
 ○福島県が「県民の意見を聞く会」を開催(7月3日)
 ○核燃料サイクル開発機構が幌延深地層研究センターで起工式(7月11日)
 ○青森県むつ市長が使用ずみ核燃料中間貯蔵施設(東京電力)の立地を東京電力に正式に要請(7月23日)
〔8月〕
 ○原子力委員会が「我が国におけるプルトニウム利用の基本的な考え方」を決定(8月5日)
 ○資源エネルギー庁は原子力の廃炉実証研究を今年度で打ち切り方針
○総合資源エネルギー調査会基本計画部会(茅陽一部会長)に対する全国知事会の「エネルギー基本計画等の策定に関する緊急要望」(8月7日)
  *「地方公共団体の意見を聴取するとともに、原子力の安全規制を行う組織の独立性を高めるなどの意見を最大限反映するよう強く要望」
 ○産経相が中国電力の伊方1・2号機への高燃焼度燃料使用を許可。PWRでは初めて(8月13日)
 ○放射性廃棄物等安全条約加入を閣議決定(8月26日)
 ○東京電力が原発トラブルの内部告発の調査結果をまとめて発表(8月21日)
  *告発文は今年6月、企業倫理相談窓口に郵送。浜岡2号機で起きた水素爆発と同じ事故が東京電力管内の三原発でも起きたが隠しているというもの
  *社内調査で1996年頃から蒸気圧力検出器など計装装置関連で過去8件(福島第一=1件、福島第二=2件、柏崎刈羽=5件)の事象があった。いずれも報告対象外のもので、97年7月の柏崎刈羽の1件は地元、通産省に報告
 ○むつ市住民投票を実現する会が使用ずみ核燃料中間貯貯蔵施設をめぐる住民投票条例制定を求める5,514人の直接請求署名を提出(8月27日)
 ○原子力安全委員会が『原子力安全白書』(平成14年版)を発表(8月29日)
 ○アメリカ東部大停電で原発9基停止(8月14日夕〜)
 ○九州電力が玄海1・2号機への高燃焼度燃料使用を許可申請(8月29日)
〔9月〕
 ○原子力安全委員会は安全目標専門部会(部会長・近藤俊介東京大学院教授)が8月に提出した原子力施設の事故に起因する放射線被ばくについて「敷地境界付近の公衆グループの平均急性死亡リスクが年当たり100万分の1を超えないように抑制されべき」とした中間報告を了承(9月)
 ○全国知事会の要望書が第6回同部会に出される(9月1日)
  *全国知事会エネルギー問題特別委員長・橋本昌茨城県知事が第6回同部会に委員として参加して意見発表
 ○東北電力が原発トラブルの内部告発の「指摘の事実ない」と発表(9月4日)
  *告発文書は今年4月下旬、企業倫理相談窓口に郵送。1995年12月、女川2号機の湿分分離加熱器系高水位調節弁から冷却水が漏れたのは「弁の構造上の問題」であるのに、メーカーの「弁の製作過程でのボルトの締め付け不足」とする報告を東北電力は鵜呑みにしたというもの
 ○使用ずみ核燃料の中間貯蔵施設の是非を問う住民投票条例案がむつ市議会に提出(9月4日)
 ○新潟県などが原子力安全規制を考えるシンポジウムを柏崎市で開催(9月8日)
 ○文科省、経産省が2004年度原子力関係概算要求3,132億円、1,773億円(9月)
○泊2号機の再生熱交換器配管からの一次冷却水漏れ事故(9月6〜7日)
 ○むつ市議会は使用ずみ核燃料の中間貯蔵施設の是非を問う住民投票条例案が賛成3、反対17で否決(9月11日)
 ○原子力安全・保安院が来年度から事故情報や安全規制の仕組みをまとめたニュース・レター作成。住民へ配布
 ○総合資源エネルギー調査会原子力安全・保安部会核燃料サイクル安全小委員会の六ヶ所再処理施設総点検に関する検討会(主査・近藤俊介東京大学院教授)が総点検へ(9月12日)
 ○文科省が福井市で「もんじゅ」シンポジウム(9月13日)
 ○福井県の「もんじゅ」安全性調査検討委員会が「安全性」確認(9月16日)
 ○三菱重工が米フォートカルフーン原発から世界初の取り替え用加圧器と原子炉圧力容器上部蓋を受注(9月16日)
 ○柏崎市と川内市が申請していた使用ずみ核燃料税の創設に総務相が同意(9月18日)
 ○原燃社長が六ヶ所再処理工場の操業開始を「2006年7月」に一年延期を青森県知事に伝える(9月19日)
 ○佐藤栄佐久福島県知事が経済産業大臣宛に「エネルギー基本計画修正案」提出(9月25日)
*「1政策決定プロセスについて」「2エネルギー需要対策における基本的考え方」「3核燃料サイクルについて」「4原子力安全規制について」「5立地地域との共生について」の基本事項について「修正案」を提出
 ○十勝沖地震で泊1号機が出力一時低下(9月26日)
 ○建設中の浜岡5号機、志賀2号機、東通1号機の「アクシデントマネジメント」報告書を「妥当」と判断(9月29日)
〔10月〕
 ○原子力安全基盤機構(成合英樹理事長。職員約420人)が発足(10月1日)
  *電気事業法及び原子炉等規制法の「一部改正」
   :自主点検が「定期事業者検査」として法定検査に
   :維持基準の導入
  *独立行政法人・原子力安全基盤機構設置法
   :「定期事業者検査」を審査する「定期安全管理審査」(原子力発電用特定電機工作物を対象)、溶接安全管理審査(原子力発電用特定ボイラー、格納容器を対象)
   :国が実施していた「定期検査」の一部をひきつぐ
   :−使用前検査、施設定期検査、各種溶接検査
   :関連三機関(原子力発電技術機構、発電設備技術検査協会、原子力安全技術センター)の検査業務を一本化
  *電力10社から37人出向
 ○電事連がホームページで軽微な原発トラブルでも公開(10月1日)
 ○エネルギー基本法にもとづくエネルギー基本計画の閣議決定(10月7日)
 ○総務省消防庁、厚生労働省、経済産業省は、出光興産・石油タンク火災、ブリジストン栃木工場火災など多発する主要企業の火災・爆発事故や重大災害を防ぐため、産業事故災害を防止対策連絡会議を設置(10月7日)
 ○輪島市議会が「珠洲原発撤回」の意見書を再可決(10月14日)
 ○総合資源エネルギー調査会電機事業分科会のコスト等検討小委員会(委員長・近藤俊介東大大学院教授)が原発コストの検証を開始(10月21日)
 ○文科省が敦賀市で「もんじゅ」シンポジウム(10月25日)
 ○大飯3・4号機(PWR、各118万`h)のどちらか1基で大規模な放射能漏れ事故が起きた場合、長期的な被害額は最大約460兆円、急性障害やガンなどによる死者も40万人を超える恐れがあるとの試算を、研究者がまとめる(「共同通信ニュース速報」10月27日)
〔11月〕
 ○北海道電力は泊2号機の再生熱交換器の補修工事終了を発表(11月4日)
 ○東京電力は、運転停止中の原発12基(福島第一=1・2・4・6号機−473個、福島第二=2・3・4号機−463個、柏崎刈羽1・2・3・5・7号機−158個)の格納容器下部に位置する圧力制御室(圧力抑制プール)で、足場材、グラインダー、スパナ、針金やワイヤブラシなど金属片、塗装研磨材、ボールペン、テープ片、ビニールシートな  ど1,094個の異物の回収を終了したと発表。運転中の五基(福島第一=3・5号機、福島第二=1号機、柏崎刈羽4・6号機)は今後の定期点検時に調べる(11月6日)
 ○原子力安全・保安院は点検状況で原子炉を格付けし、その後の検査で強弱を付ける「新方式」の導入を決め原子力安全委員会に報告(11月13日)
 ○東京電力の東通1・2号機(ABWR、138.5万`h)の第一次ヒアリング(11月19日)
 ○原子炉内冷却水の水位を示す「基準面器」の取り違えで実際の水位が表示より低い状態で運転継続が発覚(11月20〜21日)
  *福島第一=1号機(2001年の定検以来)、柏崎刈羽7号機(1997年運転開始以来)、志賀1号機(1993年運転開始以来)
 ○原子力安全・保安院は放射性廃棄物を一般廃棄物並みに取り扱うための「クリアランス」(規制除外)方式の導入方針(11月23日「朝日」)
 ○全国原子力発電所立地市町村議会が第4回立地議会サミット(東京−11月25、26日)           (以上)


(2003.12、第177号7〜10面)



原子の仕組み―同位元素とは(用語の解説)

 同じ種類の原子でも、中性子の数が異なるものを「同位元素」と呼びます。水素の原子核はふつう陽子が一個だけです。ところが、原子核が陽子一個に中性子一個からなるものがあります。これを重水素(デューテリウム)といいます。さらに、陽子一個、中性子二個からなものがあり、三重水素(トリチウム)といいます。自然界の中で一番大きくて重いのがウランです。ウランには、ウラン234(陽子九二個+中性子一四二個)、ウラン235(陽子九二個+中性子一四三個)、ウラン238(陽子九二個+中性子一四六個)があります。これらのウランはそれぞれ陽子の数は九二個と同じですが、中性子の数が異なります。したがって、質量数がちがうために、「U234」、「U235」、「U238」と質量数をつけて区別されます。これらは、ウランの同位元素です。ウランの同位元素が、自然界に存在する割合は、「U238」で九九・二八lと圧倒的に多く、「U235」が〇・七一五l、「U234」が〇・〇〇五八lです。岩石(天然ウラン鉱石)、海水などに含まれています。


(2003.12、第177号12面)