美浜3号機で二次系復水配管破裂事故
運転開始以来点検を放置
原発史上最悪―死者4人・重軽傷7人
関西電力=美浜3号機(PWR,82.6万`h)のタービン建屋で8月9日、二次系復水配管が破裂し、噴出した蒸気で、定期検査の準備作業中の作業員221人のうち4人死亡、2人重体、5人重軽傷を負う原発史上最悪の事故が発生した。(関連記事3面)
二次冷却水は、蒸気発生器で一次系冷却水と熱交換して蒸気(約281度、約60気圧)となり、タービンを回した後、復水冷却器で水に戻され、再び蒸気発生器に導かれる。事故は蒸気発生器に導かれる復水配管(直径56a、肉厚約10_)内の流量を調節・測定するオリフィス装置(直径34a)の後方配管上部から約50aにわたって破裂、配管を流れる冷却水(142度、10気圧)が蒸気となって噴出、二次冷却水全量1,100dの70lを超える800dが吹き出した。
タービン建屋には、14日から始まる定期検査を控えて221人が準備作業に従事していたが、たまたま休憩時間で現場近くにいた作業員が被害を受けた。
事故原因は、オリフィス装置の狭まった管内を通った冷却水の渦が配管の減肉現象を起こしたと見られる。関電は当該配管の厚さが0.6_までに減肉していた個所が2個所もあったと発表している。
同様の事故は1986年12月9日、米サリー原発2号機(PWR)で起こり、8人が火傷を負い、4人死亡している。以来、この種の事故は「要注意」でのもの。ところが、日本では、通産省(当時)は「日本では起こりえない」の報告書をまとめ、関心が払われていなかった。秋山喜久関電会長は「想定外の特殊な事故だと思う」などという始末。サリー事故の教訓はまったく生かされなかった。
その結果として、当該部配管の点検は美浜3号機の運転開始以来、一度も点検は行われていないという安全無視も甚だしい事態のなかで事故は起きた。まさに、起こるべくして起きた事故である。
関電は、美浜3号機の当該配管以外の配管を含め高浜1・3・4号機、大飯3・4号機の計6基で17個所の点検漏れ(8月18日現在)があったとしている。
今回事故は国と電力会社による老朽原発の営利優先の運転危険を改めて示したもの。
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【警鐘】
●美浜3号機で二次冷却系の復水配管破裂・蒸気噴出事故が起きた。原子炉機器の損傷から死傷者が出たのは初めてで史上最悪の事故である●「日本の原発では苛酷事故(シビアアクシデント)は起こりえない」と国と電力会社は高言する。日本の原発は優秀だからというのが、その理由である●あいつぐ原発事故の発生、長年にわたる原発事故隠し、再処理と直接処分の経費コスト資料隠し…などに直面して、国民のほとんどは、国と電力会社のこの高言を信用していない●安全工学の概念にハインリッヒの法則がある。一つの大事故の背景には30の中事故、300の小事故が付随しているという。日本の原発の大事故発生の統計的状況は、いまどのあたりなのか●苛酷事故発生の危険が顕在化へ向かってカウントダウンが始まっている。要警戒を。
(2004.8、第185号1面)
住民投票条例制定要求請願署名へ
核燃料中間貯蔵施設誘致めぐり
日高原発・核燃料施設反対30`圏内住民の会
請願署名15,000人目標めざす
【通信=小谷邦男代表委員】「日高原発・核燃料施設反対30`圏内住民の会」(以下「住民の会」)は7月29日、御坊市の教育会館で代表者会議を開き、使用ずみ核燃料施設誘致問題について、住民の意思を問うべきであるとして住民投票を要求して住民投票条例制定を求める請願署名運動を10〜11月の2ヵ月間にわたって取り組むことを確認しました。
直接請求署名ではなく請願署名としたのは、広範な住民との対話を広げること、また、住民の会の広範な人びとが活動に参加できるようにとの配慮から、活動上基本的に制限がない請願署名がふさわしいと考えられたからです。
署名目標は15,000人。御坊市内10,000人、御坊市外5,000人を掲げています。
「住民の会」は、8、9月を署名運動成功のための準備期間として、8月は会員拡大、9月は各地の住民の会の総会を開いて学習会や役員改選を含む体制の立て直しに取り組むとしています。
「住民の会」は、日高地方の御坊市6地域と10町村のそれぞれの「住民の会」から構成される個人加盟の住民組織です。
市議会に貯蔵施設調査特委設置
御坊市議会は6月議会最終日の30日、中間貯蔵施設調査特別委員会設置を求める請願を8対6で採択。特別委員会設置を9対5で決めました。
市議会は、今年3月に市議全員が参加して設置され、計9回にわたって財政状況を審議してきた行財政問題特別委員会を6月9日、審議を終了して解散していました。「市議の間には、市の財源不足を浮き彫りにして、原発から出る使用ずみ燃料の中間貯蔵施設学習までつなげたい思惑もあったが、施設には一切触れられないまま終了した」(「読売」6月10日付)と報じられました。
ところが、自治連(町内会長連合会)の有志(18町内会長のうち14人連記)が6月22日、「『中間貯蔵施設調査特別委員会』を設置の上、調査研究し、判断材料を提供」してほしいとする請願書を市議会に提出し、これが採択されたものです。「住民の会」は6月26日、記者会見で自治連有志が提出した請願書に抗議するととも、アピール文書を市内で配布。ある役員は「こんな大問題になるとは思っていなかった」と語るなど、ほとんどの役員は自覚もなく請願に名をつらねたといいます。
柏木御坊市長は、6月議会での質問に「電力の50lは原発にたよっている。受益者が核施設について調査研究していくのは歓迎する」「市民の代表としての議会の意見が決定的な要因になる」と答えています。
中間貯蔵施設特別委員会(市議全員)の第1回委員会は7月15日、開かれ、東海村、むつ市、六ヶ所村、美浜町視察を予定。学習会を今後3回もつが、自治連の参加、反対派学者も呼ぶが、住民の会の参加は認めないなど非民主的運営に批判の声があがっています。
「住民の会」は、運動を発展させるために、@特別委員会の傍聴をすすめること、A立て看板の設置、増田講演のパンフレットつくりと販売、新たなビラ配布、街頭宣伝、意見広告など大量宣伝に取り組むこと、B特定地域を定めての署名活動などをすすめるとしています。
この4月に「全国交流集会 in 御坊」が現地で開かれ、大成功を収めましたが、その際、採択された「御坊からのアピール」が呼びかけた「使用ずみ核燃料中間貯蔵施設建設を問う!」の一点での共同行動が、「住民の会」の本格的活動として提起されることになりました。
(2004.8、第185号2面)
美浜3号機復水配管破裂・蒸気噴出事故
「安全神話」で老朽原発を酷使する恐ろしさ
美浜3号機の二次冷却系復水配管破裂・蒸気噴出事故は、国と電力会社が「安全神話」にどっぷり浸かって老朽原発を酷使していることの危険をあらためて示した。
生かされなかったサリー事故の教訓
事故直後、秋山喜久関電会長は「想定外の特殊な事故だと思う」(「日経」8月10日付)と語っているが、米サリー原発2号機で同様な事故(1986年)が起きて以来、「要注意」のもの。秋山会長発言は、このサリー原発事故の教訓をまったく無視してきたことをはしなくも物語っている。
同社が美浜3号機運転開始以来28年間、当該配管を点検せず、その結果、起こるべくして起こした事故に対する最高幹部責任者として無責任きわまりないものである。
事故後もこのことに気づいていないとは、あきれるばかりであるが、「安全神話」にどっぷり浸かっている姿を示している。
この関電の無責任ぶりの背景には、当時通産省がサリー原発事故について「日本では起こりえない」の報告書をまとめ、「安全神話」にお墨付きを与えたことが指摘される。
今回事故は、国と関電に共同責任があるといえよう。
「点検漏れ」があいつぐ背景にあるもの
それでも、サリー事故後、同機のメーカー三菱重工は、関電とともに二次系配管(約6,000個所)の肉厚管理の内規を策定。当該配管も点検対象とされたというが、1987〜1996年まで検査を委託された三菱重工の点検項目リストには登録されず、関電も気づかなかったという。日本アームに検査業務を引き継いだ後、三菱重工がミスに気づき、1999年4月、2000年8月の2回、日本アームに伝えたが、日本アームは、他の原発の点検結果から「問題はなかった」として関電に伝えなかったという。日本アームは2003年4月、同11月、関電に検査提案し、関電は8月14日からの今回点検で検査を予定することにした。
関電管内の原発で、18日までに事故機の当該配管部以外の配管を含めて高浜1・3・4号機、大飯3・4号機の計6機で17個所の点検漏れが判明している。
しかも、こうした事態があったにもかかわらず、関電は2000年5月、「定期安全レビュー」で、肉厚測定に関しても「合理的な点検基準を策定し、運用している」と報告、通産省はこれを妥当と評価した。
こうした点検漏れの経過自体、実に不可解であるが、いずれにしろ、国と関電の安全無視の実態があらわに示されている。
定格熱出力一定運転がなければ事故を回避?
稼働中の原発に定検準備作業で221人が入っていたのは、定検短縮のためである。たまたま休憩中であったが、事故があと数分遅ければ、大惨事は必至であった。
また、日本の原発では、2年前余から定格電気出力一定運転から定格熱出力一定運転に切り替えられた。これで設備利用率が年間2l程度上がると計算されているが、当然、この分だけ、発電施設に負担がかかる。
今回事故は、定検5日前の事故であったが、もし熱出力一定運転に切り替わっていなければ、当該配管への負担は少なくすみ、事故を回避しえた可能性もある。死者にとってはこれが生死を分けたことになる。
定検短縮にしろ、熱出力一定運転にしろ、ここでも、老朽原発の酷使が死者を出す結果となったといえよう。
原発の設計寿命は30年とされるが、国と電力会社は高経年化対策で60年に延長しようとしている。これほど、営利優先・安全無視の運転を示しているものはない。無謀きわまりない。美浜3号機事故はこのことを先行的に示した。
第三者機関による徹底調査と再発防止策の確立が急がれる。
(2004.8、第185号3面)
第2回小水力利用セミナー
日本には無数の低落差・超低落差の水資源がある
第2回小水力利用セミナーが7月27日、東京・四谷にある主婦会館プラザエフで開かれた。地球環境に優しい自然エネルギーへの関心の高まりを背景に、会場は参加者で満員になった。
セミナーでは、主催者である@クリーンエネルギー・フォーラム顧問の千矢博道氏が、小水力利用の現状と課題について総括的に報告した。
A小林久・茨城大学農学部助教授は、「そこに生きる地域の姿」と題して、富山県城端町で、からくり水車で地域おこしをすすめる「城端水車の会」の活動や、大分県中津江村で、村の資源である豊かな森林、清らかな水、美しい緑を利用・保全するため、砂防ダムからの導水を利用した鯛生川小水力発電所の例などを紹介して、ローカルエネルギー開発の長所は、生産施設・設備とその運営が地域に密着できる点、地域の特性を有効に活用できる点であることを指摘した。
B森武昭・神奈川工科大学教授は、長野県上高地にある日本山岳会山岳研究所に設置したミニ水力発電設備の設置経過を報告した。この中で、水力発電施設の設置にともなう技術問題とともに、国・地方自治体の手続きの煩雑さに触れたほか、96年の京都会議が取り組みに追い風になったことなどが報告された。
C町田和美・福島大学経済学部非常勤講師は、埼玉県上里町で実施されている国営埼玉北部水利事業の用水管を利用した780`hミニ水力発電所について報告。用水路の途中で水圧調整のため捨てられている水のエネルギーを電気に変えて、公共施設に供給する事業の計画を紹介した。
最後に、古賀康正民生研究所顧問が、小水力利用推進連絡協議会の設立を呼びかけた。
古賀氏は、日本には「無数の低落差・超低落差の水力資源がある」として、日本のエネルギー政策での位置づけの必要性を強調。ベトナムで200h低落差水車発電装置がわずか2,000円で販売されている状況にも触れ、全国で水車発電装置が何10万台も使われるということになれば様変わりすること、無視されてきただけに技術的改善の余地が大きいことを指摘。また水車発電装置をおくうえのさまざまな規制の緩和を訴えた。
(2004.8、第185号4面)
第四世代原子炉国際フォーラム
原子力の安全制御の「注目株」
6課題の1つに溶融塩炉開発
現在、アメリカがすすめる第四世代原子炉国際フォーラム(Generation IV International
forum:GIF)の課題の一つに溶融塩炉のプロジェクトがある。
第四世代原子炉というのは、 米エネルギー省(DOE)が2030年頃の実用化を目指して提唱した次世代の原子炉の一般的な概念である。これは、@燃料の効率的利用、核廃棄物の極小化、核拡散抵抗性の確保などエネルギー源としての持続可能性、A炉心損傷頻度の飛躍的低減や敷地外の緊急時対応の必要性排除など安全性・信頼性の向上、B他のエネルギー源とも競合できる高い経済性の3項目の目標を満たすものとされる。
第四世代国際フォーラムは、このプログラムを国際的な枠組みで推進するため、アメリカ、日本、イギリス、韓国、南アフリカ、フランス、カナダ、ブラジル、アルゼンチン、後にスイスが加わり10ヵ国で結成された。
各国から100前後の原子炉概念が提案されたが、ナトリウム冷却高速炉、超高温ガス炉、ガス冷却高速炉、炉臨界圧冷却炉、鉛冷却高速炉、溶融塩炉の6つの炉型を対象とすることですすめられている。日本は、ナトリウム冷却高速炉、溶融塩炉を含む5つのプロジェクトに参加している。
溶融塩炉については、本誌でも「『原発』革命」、「原子力開発の光と影」の書評(152、170、172、176号)でも取り上げてきたが、トリウム・サイクル炉で安全制御をめざす原子力開発研究としては注目されるもの。ウランサイクルとちがって、原理的に暴発性がなく、核兵器転用が容易なプルトニウムが出てこない。また、長寿命で毒性の高いアクチノイド元素が出てこない。
日本の取り組みは、ウランサイクルの延長としてのナトリウム冷却高速炉には予算措置も講じて積極的に取り組んでいるが、溶融塩炉については、在野では研究開発の意欲が示されているが、企業、行政ベースでは情報収集程度で残念というほかはない。
溶融塩炉開発構想は、核兵器廃絶の道にもつながり、現在の過剰プルトニウムや高レベル廃棄物などの「負の遺産」の消滅処理につながるプロジェクトでもあり、国際共同研究に積極的な参加が期待される。
(2004.8、第185号5面)
各地からの便り
美浜事故でいっせい「申し入れ」
勝俣東京電力社長、佐藤福島県知事に
原発の安全性を求める福島県連絡会
原発の安全性を求める福島県連絡会は8月12日、勝俣恒久東京電力社長、佐藤栄佐久福島県知事宛に、つぎの「申し入れ」を行いました。「申し入れ」はいずれも同じですが、知事宛は( )分が追加。
@運転裁可した原発を含めすべての原発を停止し、緊急の安全性の総点検をおこなうこと。とくに、配管の「減肉」状況の過去の検査結果を明らかにするとともに、「減肉」の可能性のある配管については、徹底的な検査をおこなうこと。(県は独自に調査し、見解をもつこと。)
A老朽化がすすみ、安全性が確認されない炉については、「廃炉」とすること。
B定期検査の期間を、労働者の安全を前提に、徹底した検査をおこなえる期間に延長すること。
C以上の諸点の実施状況について、情報をすみやかに公開すること。
県原子力行政の根本的見直しを
核燃料サイクル施設立地反対連絡会議
核燃料サイクル施設立地反対連絡会議は8月23日、「いまこそ、県原子力行政の根本的な見直しを―8・9関西電力美浜原発事故にあたっての私たちの要求―」を三村申吾青森県知事へ申し入れました。
「申し入れ」は、冒頭に、県が美浜事故について現地に県職員を派遣したことについて、県独自の調査結果を県民に広く、わかりやすく公開することを求めています。
また、「青森県が、茨城、福井につぐ第三の原子力事故発生県になることは許されません」として、「県が、国に対して、行政から独立した権限をもつ原子力規制機関の設置を強力に要請していくこと」、廃炉時代を迎えて「青森県が『廃炉』を含む全ての核廃棄物の最終処分地に、絶対ならないように、国や事業者に対して、毅然とした構えで臨むこと」などを要求しています。
さらに、福井県知事が「もんじゅ」運転再開の判断の大幅遅れ、プルサーマル計画の凍結を示唆したことなど、これまでの核燃料サイクル政策が根本から揺らいでいるとして、「県は、その場しのぎの国の原子力行政に翻弄されることなく、県原子力行政を根本から見直す」ことを強く要求しています。
泊原発の「二次系配管」の説明求む
原発問題全道連絡会
原発問題全道連絡会は8月13日、北海道電力に泊原発の安全確保などを求める要請文を提出しました。
要請文はつぎの通りです。
@泊1・2号機の「二次系配管」に対する維持・管理の内容を説明すること。
Aその内容について地元住民をはじめ道民に広く公表すること。
B美浜3号機事故に対応して、14日から定期点検が始まる1号機について必要な検査項目を補充し、定期検査の終わった2号機にも反映させること。
C2号機の定期検査結果について詳細な説明をおこなうこと。
小浜市こそ「希望の灯台」に
原発設置反対小浜市民の会
小浜市長選挙(7月25日投票)で中間貯蔵施設誘致反対を明確に掲げた村上利夫氏が11,806票(相手候補と3,643差)で当選。原発設置反対小浜市民の会の機関紙「はとぽっぽ通信」は「再選であるが、新生・村上市政を期待してやまない」と表明している。
市長選ビラで「あとからくる者のために、苦労をするのだ 我慢をするのだ 田を耕し 種を用意しておくのだ 山を川を海を きれいにしておくのだ」として小浜市こそ希望の灯台を打ち立てようの訴えが実る。
(2004.8、第185号6面)
「平成15年度『エネルギーに関する年次報告』」
「安全規制」の自画自賛では
原子力の安全は保障されない
政府は7月14日、「平成15年度『エネルギーに関する年次報告』」(2004年版エネルギー白書)を国会に提出した。
これは2002年6月に制定されたエネルギー政策基本法にもとづくもので、日本のエネルギー政策の現状と方向をまとめた最初の刊行である。
白書は、従来のエネルギー政策を踏襲したもので、再生エネルギー政策の抜本的強化をはじめ、日本がエネルギー政策上とるべき根本的な方向は打ち出していない。
白書は、あいもかわらず、原子力発電については、「安全確保を前提として、今後とも基幹電源と位置付け引き続き推進する」としている。
長年にわたる原発事故隠しなど、社会的批判が集中した現状を反映して、白書はこの間の「安全規制の改革」を大宣伝している。
第一は「定期事業者検査」を法制化したことを自讃している。
定期事業者検査では、検査結果の記録・保存が義務づけられたが、検査内容の是非について国がチェックする仕組みはない。これでは、検査が適切におこなわれる保障はない。
第二は「事業者の品質保証体制・保守管理活動の確立」を国がチェックすることの自讃である。
事業者は保安規定に品質保証活動を義務づけるとしているが、具体的な点検作業のチェックはない。
第三は「定期安全レビューの義務化」の自讃である。
しかし、これほど無反省な自讃はない。2002年に、福島第一=1・2・34・5号機、福島第二=1・2・3・4号機の「定期安全レビュー」のあいつぐ撤回、さらには、今回事故の美浜3号機の配管検査がおこなわれていないにもかかわらず、これを2000年5月、「定期安全レビュー」で「適切」としたことへの反省はまったくない。これは「義務化」ですむ話ではない。白書は、このほかの項目をも自讃しているが、内容の裏づけはない。
いずれも、日本の原子力安全規制が国際原子力機関の安全基準の規定から大きく逸脱していることの自覚さえなく、「日本では苛酷事故は起こりえない」と豪語することの危険ははかりしれない。
(2004.8、第185号8面)
原子核とは(用語の解説)
そもそも原子核は、「陽子」(水素の原子核と同じもの)という正の電荷をもった素粒子と、それと同じ重さだが電荷をもたない「中性子」とが、いくつかより集まってできている。それらをくっつけ合わせているのが湯川博士が予言した中間子である。その正電荷の総数(陽子の数)がその原子核の「原子番号」(これが元素の種類を決定する。例えば6は炭素、7は窒素、8は酸素…)で、それはまた原子核の回りを回っている負電荷の電子の総数と同じである。こうして陽子と電子の数が同じだから原子全体は電気的に中性となる。陽子の数と中性子の数を足したものが、その元素の質量数である。電子の質量は陽子の1800分の1で無視していいほどわずかである。電子の運動領域が原子の大きさで約1億分の1abであるのに対し、原子核の直径はその約1万分の1、すなわち約1兆分の1abということになる。
(2004.8、第185号8面)