住民不安・意見に応えられず
「プルサーマル」中止を要求して政府と交渉
愛媛県民共同の会が約7万の署名を前に
伊方原発プルサーマル計画の中止を求める愛媛県民共同の会(「共同の会」)は10月13日、衆院第二議員会館第3会議室で、中川昭一・経産大臣、松浦祥次郎・原子力安全委員会委員長への申し入れを行いました。
申し入れは、@伊方原発でのプルサーマル計画を中止すること、A早急に県民の疑問に答える公平な構成による公開討論会を開催すること、B伊方沖の中央構造線断層帯による地震被害想定、老朽化対策、MOX燃料による労働者被曝、MOX炉心の原子炉特性、政府の「中間とりまとめ」に対する国際評価パネルによる評価など5項目の質問に書面で回答すること、を求めています。
「共同の会」は、愛媛地方労働組合連合会、愛媛労働組合会議、伊方原発等の危険に反対する愛媛県連絡会議、愛媛原水協、愛媛原水禁、原発さよなら四国ネットワーク、環境・市民(県議会会派)、社会民主党愛媛県本部、新社会党愛媛県本部、日本共産党愛媛県委員会の幹事団体からなり、昨年来、伊方原発でのプルサーマル計画の中止を求める県民署名をすすめてきましたが、現在までに集まった約7万人の署名を示しながら、申しれを手渡しました。
この申し入れには、「共同の会」幹事団体代表8人をはじめ多数参加。日本共産党吉井英勝、塩川鉄也両衆院議員、仁比聡平参院議員、社民党福島瑞穂党首、保坂展人衆院議員、近藤正道参院議員、民主党金田誠一衆院議員ら国会議員7人が同席。原発問題住民運動全国連絡センター、原子力資料情報室、市民団体の代表も参加。政府側からは原子力安全・保安院、原子力安全委員会関係者が対応しました。
政府側は、申し入れにある県民の不安、意見に応えることはできませんでした。
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【警鐘】
●電力会社は、テロ対策を口実に一般住民の原発立ち入りをいっさい拒否している。どこでも、住民運動と電力会社とは、立地より遙か以前からのお付き合いである●原発計画が企画され、環境調査段階から住民監視が始まる。事故時には現場を訪れ、事故原因の究明と再発防止策を聞く。こうして、現実に、住民監視が事故の未然防止の力として機能してきた。本来、原発のテロ対策も、住民の支持を背景にしないかぎり成り立たない●電力会社は、ある日、突然に立ち入り拒否を告げてきた。住民運動だけではなく一般住民もそうだから了解してくれという。ここには一般住民全体がテロの危険をもつという論理がある。国民敵視、住民運動敵視である。それでは、これまでの「国民とともにある原子力」はどうなるのか。説明責任が問われる。
(2005.10、第199号1面)
日本学術会議
再発防止へ「事故調査の在り方」を提言
調査機関は独立性ある組織に
目的・初動調査・権限など9項目
日本学術会議の人間と工学研究連絡委員会安全工学専門委員会は6月23日、原子力発電所や核燃料再処理工場などを含むプラント、交通機関、労働災害などの事故の再発防止と安全性向上に向けて、独立性を持った常設の事故調査機関の設置などが必要とする「事故調査体制の在り方に関する提言」を公表した。
「提言」は、@調査の目的、A事故調査機関、B初動調査体制、C調査権、D事故責任(刑事責任)を問う範囲、E事故調査機関の情報収集権限、F調査報告書の使用制限について、G情報公開の在り方、Hインシデントデータ収集の仕組みの確立の9項目にわたるもので、それぞれに提言の背景が説明されている。
これまでも原発事故が発生すると、原因究明などを目的にして「事故調査委員会」が組織されるが、その構成は事故の当事者である電力会社やその原発の安全審査に関わった専門家など、いわば身内の関係者になっていて、公正な調査が行われなかった。
調査の目的も、刑事責任追及が優先され、再発防止の観点からの調査は二の次三の次にされてきたのが実態である。
その点で「提言」は、「事故調査の目的を、同種の事故の再発を防止し、安全性を向上させることに置く」として、「事故の背景も含めた事実を明らかにする」という基本的立場を指摘している。
さらに事故調査機関の性格ついて、「事故の真因を解明するためには、特定の産業を推進する機関、あるいは他の行政機関から影響を受けにくい、独立性をもった組織である必要がある」と提言している。
これらの点は、私たちの「再発防止を優先して、第三者機関による公正かつ徹底した原因究明」という要求が、道理に合ったものとして学術会議でも支持されていることを示している。
「提言」は、事故を未然に防止するため、インシデント・データの収集と活用の仕組みの確立や、事故原因の究明には事故当事者の証言が不可欠であり、事故関与者の「免責」問題も議論し、刑事責任については、「被害結果の重大性のみで、短絡的に過失責任が問われることがないような配慮」を求めている。
(2005.10、第199号2面)
高経年化対策、機器冷却系ポンプ見学問題で交渉
テロ対策口実に現場見学拒否の根拠について説明を求める
原発の安全性を求める福島県連絡会
原発の安全性を求める福島県連絡会の代表は10月20日、東京電力・福島第二原発を訪れ、@高経年化対策、A地震対策、B機器冷却系海水取水ポンプ現場見学問題などで交渉しました。
県連絡会から早川篤雄、伊東達也、馬場、らが参加。当全国センターから中村敏夫、柳町秀一、野村存生らが同席。東京電力からは福島第一原発、福島第二原発の広報、地域共生担当関係者が対応しました。
@高経年化対策の内容として、東京電力は、5項目の点検項目を示しましたが、全容がわからないことから点検項目の全体を示すよう求めました。
Aの地震対策について、東京電力は、福島原発の基準地震動S1、同S2、同S2(直下地震)の応答スペクトルと先の8.16宮城県沖地震の応答スペクトルを示しましたが、福島原発建設以来、最大地震の応答スペクトルは示されませんでした。次回までにこれと合わせて、兵庫県南部地震(1995年)の岩盤上の地震動の応答スペクトルをプロットしたものを示すよう要求しました。
Bのチリ級津波に対して機器冷却系海水の取水ポンプが機能しなくなる問題について、現場の見学を求めているのに対して、東京電力はテロ対策を口実にこれを拒否しました。これに対して、県連絡会側は、同原発の建設以前から交渉を行い、建設以後は事故時には現場立ち入りのうえ交渉を重ねてきた経過があること、東京電力が事故隠し・不正事件の後、「再び信頼をいただくために、生まれかわります」のビラをまき、「もっと発電所を知っていただけるように努力します」自ら言明したことからいってとうてい認められない、と反論しました。次回までに、拒否の根拠を示すことを求めました。
(2005.10、第199号3面)
「プルサーマル」で国がシンポ
玄海町民ら約600人参加
九州電力玄海原発のある佐賀県玄海町の町民会館で経産省主催のプルサーマルシンポジウムが開かれ、町民をはじめ唐津市、佐賀市などから600人以上が出席。シンポジウムは二部構成。第一部は資源エネルギー庁主催で「プルサーマルの必要性」をテーマに、コーディネーターのほか推進派、慎重派3人ずつ6人の専門家がパネリスト。第二部は原子力安全・保安院主催で「プルサーマルの安全性」をテーマに、放射線、炉心、燃料の三分野の専門家が講師として推進の立場で説明したことに場内から不満の声が漏れた。
全体では5時間近い議論が行われたが、それだけプルサーマルに対する住民の不安の大きさを反映したものと言えよう。しかも、国の納得ゆく説明がなされたかと言えばほど遠い。「これで国が十分な説明責任を果たしたとは言い難い」の古川康佐賀県知事の発言に示されている。
原子力安全・保安院は自らを「規制機関」として位置づけ、シンポジウムを二部構成として、推進機関の資源エネルギー庁との同席を避ける形をとったが、推進機関同士の掛け合い茶番劇である。むしろ、「安全審査で安全と評価したことに対する説明を十分に果たしたい」との同院の立場自体がエネ庁以上の推進機関であることを示した。当然のことである。独立した規制機関不在の日本の現実の一端がシンポで典型的に示されたのは皮肉である。
玄海原発対策住民会議の坂本洋会長(当センター代表委員)は、「安全性より危険性を重点に説明すべきだ。保安院が『安全性を確認した』といっても言葉通りに受け取れない。規制機関は独立させるべきではないか」と指摘している。
(2005.10、第199号4面)
各地からの便り
原発の老朽化と被ばくを考える
JCO臨界事故を忘れない、原子力事故をくり返させない、
2005年9・30茨城集会
標記「2005年9・30茨城集会」が10月2日、茨城県東海村の舟石川コミュニティーセンターで開かれ、約100人が参加しました。
今回集会は、総選挙、県知事選挙、村長選挙の3つが同時実施9月11日投票)というかつてないきびしい状況のなかで開かれましたが、6周年集会としての歴史が見事に引き継がれました。
集会は、JCO臨界事故と関西電力美浜3号機事故の犠牲者に黙祷を捧げたあと、村上守・真理子夫妻のギターとフルート演奏で幕が開きました。
間宮孝子事務局長が「一年間の取り組みとこれからの課題」について報告。JCOが臨界事故の現場を解体・撤去したことに抗議しました。また、村上村長の本集会への後援取消に遺憾の意を表しました。記念講演は野口邦和氏(日大)が「低線量の影響を考える」と題して行いました。
大間原発の第二次公開ヒアリング
ABWR、フルMOXへの不安・意見への納得ゆく説明求める
核燃サイクル施設立地反対連絡会議
下北の原発・核燃を考える会
電源開発の大間原発(ABWR,138.3万`h)の第二次公開ヒアリングが青森県大間町の総合文化センター「ウィング」で開かれました。
下北の原発・核燃を考える会・櫛部孝行代表委員、横垣成年日本共産党むつ市議が意見陳述しました。大間原発が「目に見えるコストダウン」を目指した新型超大型の改良型沸騰水型軽水炉(ABWR)であること、しかも、全炉心MOX燃料装荷という世界で初めてのもであることから住民の不安は大きく、2人はこれを受けて納得ゆく説明を求めました。
このヒアリングに先立って、核燃サイクル立地反対連絡会議は10月7日、当センターの柳町秀一事務局長を講師に迎え、急遽「大間原発(フルMOX・ABWR)問題学習会」を開き、午前は報告、午後は質疑応答で、問題点を深め合いました。
3年5ヵ月ぶりの回答会合後に要求書を提出
玄海原発対策住民会議
原水爆禁止唐津・東松浦地区協議会
玄海原発対策住民会議、原水爆禁止唐津・東松浦地区協議会の代表は10月17日、玄海原子力発電所の地元で、2002年5月29日以来、3年4ヵ月半ぶりに、九州電力による要求・質問書に対する第6回目の回答を受けました。今回の回答は、昨年と今年の平和行進の際、提出していた要求書に対するものです。
玄海原発側は、本社が準備した回答メモを約2時間にわたって読み上げました。以前から「文書回答と質疑・意見交換」を要求してきましたが、相変わらずのメモの読み上げに「九州電力は回答内容に自信がない証拠。みっともない」と本社に伝えるよう申し入れました。
代表らは、改めて「プルサーマル中止」をはじめとする6項目の要求書を提出。10月末をメドに文書回答を求めました。現在、唐津市民、唐津市、唐津市議会で、九州電力と安全協定締結を求める動きがあり、要求書ではこれも取り上げています。
(2005.10、第199号6面)
「全国交流集会 in 敦賀」の記録
住民運動の息吹や教訓語り合う
『議会と自治体』2005年11月号
『議会と自治体』(2005年11月号)では、さる8月28日、福井県敦賀市で開かれた原発問題住民運動全国連絡センターと原発問題住民運動福井県連絡会、原発の安全性を求める嶺南連絡会が共催した「美浜三号機事故一周年『もんじゅ』の運転再開を許すな!全国交流集会 in 敦賀」の報告を掲載している。
当日の集会は、立石雅昭新潟大学教授が記念講演「近代構造物と大地震」、中村敏夫・全国センター筆頭代表委員が「問題提起」などを行い、これを受けて10人が討論に参加した。
『議会と自治体』誌には、@中村筆頭代表委員の「問題提起」と「討論のまとめ」A菅野一洋・原発問題全道連絡会事務局長の「見直し」署名の取り組み、B河内淑郎・核燃料サイクル施設立地反対連絡会議事務局次長の六カ所核燃料サイクルを巡る情勢、C伊藤達也・原発の安全性を求める福島県連絡会副代表の福島県の行政変化、D佐藤正雄・日本共産党福井県会議員の安全性を脅かす福井県の原子力行政、E日高原発・核燃料施設反対30キロ圏内住民の会中西敏代表世話人・津村絵里子両氏の御坊市の使用済み核燃料中間貯蔵施設反対運動の成果などの報告が掲載されている。
当日の集会が充実した内容であったことは参加者は実感したところだが、こうしてまとめられたものを改めて読み返してみると、中村氏の「問題提起」をはじめ、各地の実践を踏まえた活動の報告は、日本の原子力政策の行き詰まりの現状、原発の危険の重大化、その打開の道、住民運動の取り組みの息吹が肌で感じられる。教訓に富んだものであることを実感させるものである。
集会に参加された方はもちろんだが、集会に参加されなかった方にも、ぜひ一読をお勧めしたい「全国交流集会の記録」である。
(連絡先=『議会と自治体』編集部рO3・5379・2411)
(2005.10、第199号8面)
放射線防護学とは (用語の解説)
放射線(専門的には電離放射線)は生物にとって本質的に有害です。一方、医療では、X線が利用されています。そこで、人体が受ける影響を防止する、制限するのにどのような防護措置が必要かを系統的に研究する学問分野を放射線防護学といいます。19世紀末にウィルヘルム・コンラート・レントゲンがX線を発見したり、アントニー・アンリ・ベクレルが放射能を発見したりした直後から放射線の被害がわかるようになり、その研究がはじまりましたから100年余の歴史があることになります。放射線防護学を研究している学会を保健物理学会といいます。わかりにくいところがありますが、アメリカが原爆開発のプロジェクト「マンハッタン計画」の一環として放射線防護学という学問分野が登場してきました。そのさい、外部に、核とか放射線とか悟られないように、学問分野を表すのに、保健物理(ヘルス・フィジックス)という言葉が使われました。アメリカの影響が強い日本でも、放射線防護の部局を放射線防護部ではなく保健物理部と呼んだりしています。
(2005.10、第199号8面)