「『プルサーマル反対』全国交流集会 in 唐津」を開催
「プルサーマル」の必要性・安全性・経済性の
説明責任果たさない国と電力会社の責任は重大
白紙撤回求める「アピール」
台風13号直撃下に決意も新たに
「『プルサーマル』反対全国交流集会 in 唐津」は9月17日、原発問題住民運動全国連絡センター・佐賀県実行委員会の共催で唐津市民会館で開かれ、16都道府県から約250人が参加した。
強い大型台風13号が唐津直撃の直前とあって集会は緊張感をもってすすめられた。集会は当初「午前10時〜3時半」を予定していたが、昼食休憩も30分に短縮、討論もできるだけしぼって集会の早い終了をめざして開かれた。
玄海原発対策住民会議会長・藤浦晧氏が歓迎を兼ねて「開会あいさつ」。集会は議長団に同会議副会長・仲秋喜道氏、原発問題全道連絡会事務局長・菅野一洋氏を選出した。
伊東達也筆頭代表委員が、@「チェルノブイリ事故20年現地調査の教訓」A「『プルサーマル』は現状の原発の危険を増幅するだけのもの」B「老朽原発の酷使は『プルサーマル』だけではない」C「『プルサーマル』導入反対の一点での共同行動の前進を」などを内容とする「集会に対する問題提起」を行った。また、玄海原発対策住民会議前会長・坂本洋氏が「現地からの報告」を行った。
討論は9人が発言(3面参照)。伊東筆頭代表委員が討論のまとめを行い、集会は、一連の報告、発言、まとめを含めて運動方向を確認した。
佐賀県原発問題対策協議会の武藤明美さんが九州電力のプルサーマル計画の白紙撤回などを求める「唐津からのアピール」を提案。満場一致で採択された。
来年度全国交流集会開催地として決定した愛媛県を代表して伊方原発等の危険に反対する愛媛県民会議の佐々木泉氏が「閉会あいさつ」。集会は午後2時に終了。集会は、台風に負けず、かつてなく密度が濃く大きな成果をあげた。
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【警鐘】
●八幡浜市議会が9月19日「伊方原子力発電所プルサーマル計画に関する意見書」(3面参照)を採択した●市議会は「プルサーマル計画」を知るために、四国電力を招いての勉強会、国や県のシンポジウムや討論会への参加、先進地の唐津市への視察研修、市内各種団体の意見聴取、特別委員会設置と討議など、真面目に取り組んでいる●その上で「八幡浜市民4万2000人の市民は、プルサーマル導入についての『安心・安全』については未だ不安感が充分に払拭されていない」として、今後とも国と電力に説明責任を求めるとともに、市民の安全・安心の確保のために8項目の対策を要望している●「住民と滞在者の安全を守る」ことは地方自治体の基本的任務である。ここには八幡浜市がこの責任を自覚し、その任務を真摯に果たす姿が示されている。
(2006.9、第210号1面)
チェルノブイリ原発事故20年
ベラルーシ・ウクライナ現地調査の教訓
事故時には国民に「原発の危険」の認識なし
現在は隣国原発の苛酷事故監視体制も確立
チェルノブイリ原発事故20年―ベラルーシ・ウクライナ現地調査団(伊東達也団長ら19人)は8月27日成田空港出発、9月4日成田空港に無事到着した。原発問題住民運動全国連絡センター・日本ユーラシア協会共催によるもので、事故5年、事故10年につづく3回目の調査団である。
調査団は、@事故20年の節目に当たって、改めて事故の現状と問題点をリアルに見るA日本の原発の危険に反対する運動論の立場に立つ調査団であるBチェルノブイリ事故のような「苛酷事故(シビアアクシデント=炉心損傷に至る事故)は起こりえない」とする日本の安全規制体制の問題点を改めて考え直す契機とする視点から現地調査に当たった。
調査団は、原発を保有していないにもかかわらず、チェルノブイリ事故時に放出された放射性物質の7割が降下、最大の被害を被ったベラルーシの首都ミンスク市の「お客さん」として迎えられる。調査団のために、ベラルーシのカナプリア放射性生物学研究所所長・アカデミー会員(ベラルーシ・日本友好協会会長)は専門家6人の報告からなるセミナーを開催してくれる。
「リクビダータル」(事故時に除染・復旧作業に当たった被曝作業員のことで、広島・長崎の「ヒバクシャ」と同じように国際語となっている)のガンの発生が事故20年の節目に当たって多発が心配される。調査団のバス運転手(ミンスク→スラウチッチ)、スラウチッチ在住の案内人(チェルノブイリ原発→キエフ)もリクビダータルで、キエフ市郊外の放射線医学研究所付属病院で3人のリクビダータルから話を聞く。
いまもつづく汚染地域(土壌や森林)、汚染農水産物などに囲まれて暮らす住民の安全を守るさまざまな活動が紹介される。汚染地域に住む「事故を知らない世代」の教育問題が新たな課題になっている。
最大の問題は、事故を起こした4号機の石棺の中にはいまも大量の「死の灰」が閉じこめられている。四方の壁の崩壊を防ぐなどの「補強安定化工事」はいまもつづけられ、今年中に完了見込みだが、それがうまくいっても後数年しかもたないという。そのために、石棺を新たに覆う「新石棺工事」の物理調査が行われ、来年度から本格工事がスタートすると見られる。新たに2000人の作業員が動員されるが、強烈な放射線被曝が想定される一方、膨大な資金が必要とされる。
事故時には「原発事故」「原発の危険性」の認識は、ベラルーシ国民にはまったくなかったとされるが、事故の経験を経て、例えば、周辺四ヵ国(北はリトアニア、南はウクライナ、東はロシア、西はポーランド)の原発の放射線監視体制を確立し、苛酷事故発生に備えていることなどは、現在、国民の常識となっていることは注目される。
日本国民がベラルーシ国民の常識に達するのに、苛酷事故を経験してからでは遅すぎる。「日本では苛酷事故は起こりえない」とする安全神話批判をはじめ住民運動の役割は重大である。これが現地調査の最大の教訓である。
調査団は、@「セミナー報告書」A「調査団報告書」の作成を計画している。
チェルノブイリ原発事故は営業炉における実験が契機であった。4号機(RBMK-1000型)では運転停止直前を利用して発電所内の全電源喪失時にジーゼル発電機が起動するまでの間、タービン発電機の慣性エネルギーを所内電力として利用するための実験を始めたときに事故が発生した。「プルサーマル」は営業炉におけるいきなりの実験という点に注目すべきであろう。
(2006.9、第210号2面)
「見直し」署名を総理大臣に提出
個人署名=19,461筆
団体署名= 541筆
原発問題住民運動全国連絡センター代表らは9月4日、内閣府を訪れ、小泉純一郎内閣総理大臣宛の「原子力政策を安全優先の立場で根本的に見直してください」署名を提出するとともに、署名内容について原子力委員会と交渉した。
提出した署名は個人署名=19,461筆、団体署名=541筆であった。
センター側はチェルノブイリ原発事故20年現地調査から帰国したばかりの伊東達也筆頭代表委員・安部愃三・中村敏夫・野村存生・早川篤雄・柳町秀一代表委員のほか、北海道・菅野一洋、青森・小山内孝、新潟・持田繁義代表委員、小川定之・酒井清志事務局員らが参加。内閣府からは黒木慎一参事官(原子力担当)が応対した。
「見直し」署名の3項目要求について、内閣府から「国民の声を聴いて『原子力政策大綱』をきめた」などの回答があったが、センター側は「原発に不安を抱く国民の声はまったく反映されていない。原子力委は『初めに既定政策ありき式』のやり方を改め、国民の声をまともに受け、説明責任を果たす構えに徹することから始めるべきだ」などと指摘した。
(2006.9、第210号3面)
八幡浜市議会がプルサーマル計画で意見書採択
現状では容認しがたい
安心・安全確保に8項目の対策要望
愛媛県八幡浜市議会は9月19日、国と県、四国電力に対する伊方原子力発電所プルサーマル計画に関する意見書を採択した。
八幡浜市議会はこれまで四国電力を招いての勉強会、国主催のシンポジウムへの参加、特別委員会設置以来の市内各種団体の意見聴取、県主催の討論会参加、、唐津市議会への視察研修、特別委員会の討論など精力的かつ慎重な検討をすすめてきた。意見書はその中で、「八幡浜市民4万2000人の市民は、プルサーマル導入についての『安心・安全』については、未だ不安感が十分に払拭されていない」として、「現状では、プルサーマル計画導入は容認しがたい」と結論。今後ともプルサーマル導入について、国・県・事業者の説明責任を求めていくとともに、「安全協定への八幡浜市の参加…市民の安心・安全確保のための新たな仕組みづくり」など、具体的に八項目の対策を要望している。
(2006.9、第210号3面)
「『プルサーマル反対』全国交流集会 in 唐津」の発言者
@チェルノブイリ調査の放射能測定報告 安部愃三(東京)
A伊方原発めぐる愛媛県の取り組み 和田 宰(愛媛)
B住民運動と唐津市議会特別委等の連携 浦田関夫(佐賀)
C新耐震指針の問題点 立石雅昭・新潟大教授
D島根原発のプルサーマルと耐震問題 片寄直行(島根)
E浜岡原発のプルサーマルは認めない 岡村哲志(静岡)
F柏崎刈羽原発のプルサーマル住民投票 藤巻泰男(新潟)
G原子力政策見直し署名の継続について 菅野一洋(北海道)
H青森での運動の成果・教訓・課題 河内淑郎(青森)
このほか、プルサーマル反対署名・アンケート調査―川添俊太郎(佐賀)、原発など国策に税金投入され、福祉、教育が圧迫―吉田恵子(佐賀)、美浜3号機事故二周年―山本雅彦(福井)、プルサーマル計画と維持基準をめぐる福島県の動き―早川篤雄(福島)などの発言通告が出されていましたが、討論時間の短縮のために、割愛させていただきました。
(2006.9、第210号3面)
「『プルサーマル反対』全国交流集会 in 唐津」からのアピール
私たちは、国と九州電力が玄海原発3号機で「プルサーマル」計画を二〇一〇年度から実施することを発表したことに対して、大きな不安と怒りを表明するものです。これまで、九州電力が「プルサーマル」計画の実施に当たって行った安全性、経済性、必要性にかかわる説明には、私たち住民が納得できる内容はまったく見られませんでした。ただ「はじめにプルサーマルありき」の説明でしかありませんでした。これでは、九州電力の説明責任が果たされたとはとうてい言えません。住民合意のないままに、「プルサーマル」計画を実施することは断じて許されません。私たちは、九州電力の「プルサーマル」計画の白紙撤回を要求します。
私たちは、きょう、「『プルサーマル反対』全国交流集会 in 唐津」に集まりました。
この集会は、中心スローガンとして
「玄海原発3号機へのプルサーマル導入反対!
―新たに国民世論を結集して原子力政策の『見直し』署名運動の成功を―」
を掲げ、サブスローガンとして
「最新知見にもとづく『耐震指針』の見直しと耐震対策の確立を急ぐこと!」
「設計寿命三〇年の老朽原発を六〇年も酷使することをやめること!」
「六ヶ所再処理工場の試運転、『もんじゅ』運転再開、高レベル放射性廃棄物処理・処分の 強行を中止すること!」
「事故調査は第三者機関による公正かつ徹底した原因究明を行い、事故の再発防止策を確立 すること!」
「原子力推進から独立した安全規制機関を確立すること!」
を掲げています。
私たちは、これらの原発の危険に反対する緊急要求に賛同して集まりました。
この集会は、九州電力が「プルサーマル」計画の導入の必要性を正しく語っていないことを明らかにしました。「プルサーマル」は、日本の原子力政策の柱である使用ずみ燃料の全量再処理と高速増殖炉路線の破綻の結果、プルトニウム過剰事態を生じ、日本の核武装への世界の懸念をかわす場当たり対応にほかなりません。国と電力会社はこの実情を正しく語り、真摯な対応策について国民との対話をすすめ、合意をめざすべきです。
また、この集会は、九州電力が「プルサーマル」計画の安全性についても正しく説明していないことを指摘しました。国と電力会社の「プルサーマル」の「安全」宣伝はまったく根拠がなく、現状の原発の危険を増幅するものでしかありません。
既設原発の危険についていえば、先の北陸電力・志賀2号機の運転を差し止めた金沢地裁判決に象徴的に示されるように、日本の原発は、耐震設計審査指針の不備のもとで建設され、設計値を超える地震に襲われる危険があることが指摘されています。日本列島の地震が本格的活動期に入ったとされる現在、いずれの原発もこのような地震に襲われる可能性は高く、その場合、住民は日本列島のどこに住もうと、許容線量を超える放射線を浴びる具体的危険が指摘されているのです。しかも、この「指針」の見直し検討が数年にわたって行われてきましたが、新たに決定される「指針」は最新の地震学の知見を反映するものとはなっていません。原発の耐震性の一つを見ても、その危険は重大化しています。
さらに、この集会は、九州電力が「プルサーマル」計画の経済性についても偽っていることを確認しました。もし、プルトニウム利用が経済性があるとすれば、原理的に高速増殖炉の場合だけです。しかし、この高速増殖炉路線は、世界の主要国がその技術的経済的困難と核不拡散上からすでに撤退しているものです。
しかも、重大なことは九州電力の「プルサーマル」計画が、耐震設計の不備など既設原発の現状の危険が重大化しているにもかかわらず、これらへの対策がとられないままに、玄海3号機で実施されようとしていることです。加えて、原子力の独立した安全規制機関が不在という国際的基準から大きく逸脱したもとで実施されることの危険ははかりしれません。
これらの事情は、二〇一〇年度からの実施を計画している他の電力会社の場合も同じです。しかも、老朽原発の酷使となることは必至です。
私たちは、この集会を契機に、原発の一般的是非についての意見の違いや思想信条の違いを超えて、「プルサーマル反対」の一点での緊急要求にもとづく共同行動を大きく前進させることを確認するとともに、「プルサーマル」に不安を抱く圧倒的多数の国民のみなさんのご協力を心から呼びかけます。
「日本の原子力政策を安全優先の立場で根本的に見直してください」署名運動を改めて広げましょう!
原発の危険に反対するさまざまな緊急要求にもとづく共同行動を前進させ、原子力政策の安全優先への転換を勝ちとりましょう!
二〇〇六年九月十七日 「プルサーマル反対」全国交流集会
in 唐津)
このほか、プルサーマル反対署名・アンケート調査―川添俊太郎(佐賀)、原発など国策に税金投入され、福祉、教育が圧迫―吉田恵子(佐賀)、美浜3号機事故二周年―山本雅彦(福井)、プルサーマル計画と維持基準をめぐる福島県の動き―早川篤雄(福島)などの発言通告が出されていましたが、討論時間の短縮のために、割愛させていただきました。
原子力安全委員会
耐震設計審査指針を25年ぶり改訂
「剛構造」「岩着」削除、活断層見逃し懸念…
石橋専門委員が抗議の辞任
原子力安全委員会(安全委)は9月19日、原子力発電所の「耐震設計審査指針」の改訂に関する原子力安全基準・指針専門部会報告を了承、新指針を決定。同指針の改定は1981年の策定以来25年ぶり。同専門部会に耐震指針検討分科会(2001年7月設置)で指針見直し議論が始まって5年である。安全委は同日、原子力安全・保安院と文科省に対して新指針にもとづいて既設原発等の耐震安全性を事業者に確認させるように要請した。
新指針は冒頭、その適用範囲について「許可申請の内容の一部が本指針に適合しない場合」でも、技術改良や進歩等を反映して「本指針を満足した場合と同様それを上回る耐震安全性が確保しうると判断される場合は、これを排除するものではない」としている。安全性の「判断」が推進機関に委ねられている日本の現状では、新指針が大きな後退となる危険があることを注視しなければならない。
新指針の最大の特徴は、従来の基準地震動S1、S2の策定を統合し、高度化して基準地震動Ssの策定に変わったこととしている。しかし、なにが高度化なのか納得いく説明はない。
新指針は、旧指針で過去5万年に活動した活断層を対象にしていたものを、「13万年〜12万年前以降の活動が否定できないもの」までさかのぼる。また、活断層を見落とす場合に備え、従来はマグニチュード(M)6.5の直下型地震を一律想定することを求めてきたが、新指針では一律をやめ、原発ごとに未知の断層による最大の地震を想定することを求めている。試算ではM6.8程度になると見られる。活断層が見られないところで現実にM7を超える地震が起きていることを無視している。
新指針は、従来の「建物・構築物は原則として剛構造にする」が削除され、また「建物・構築物は岩盤に支持」が「十分な支持性能を持つ地盤に設置」に変わった。「剛構造」「岩盤に支持」の削除はコストダウンとして電力側が主張してきたことである。
新指針は、「これでほんとうに大丈夫か」という大きな疑問が提起される。
もともと、旧指針は1995年の兵庫県南部地震の岩盤上の地震動が最大の地震に備える浜岡原発の耐震設計値を超え、その基礎の崩壊が指摘されてきた。ところが、安全委は「兵庫県南部地震を踏まえた原子力施設耐震安全検討会」を設置、旧指針を「妥当」とする報告を行ったが、報告内容と「妥当」結論は矛盾したものであった。今年3月、金沢地裁は旧指針には不備があるとして志賀2号機の運転差し止め判決を下した。
活断層が確認されない場所で起きた鳥取西部地震(M7.3)が同分科会の指針の見直しにつながる。この4月に改定案をまとめ、意見公募を経て8月にも新指針決定と見られた。
ところが、中田高広島工大教授らは6月上旬、島根原発(松江市)南約2`の場所でトレンチ掘削調査を行い活断層「宍道断層(鹿島断層)」を発掘。電力と安全委がその存在を否定した場所であり、活断層見落としが明らかになった。
この活断層が初めて指摘されたのは80年。2号機申請(81年)では中国電力は地震断層と評価せず、3号機増設調査(98年)で一転して8`だけを活断層と認め、原子力安全・保安院もこれを追認した。02年、国土地理院は中田教授らの研究をもとに活断層を約18`と認定したが、保安院は「空中写真を見ているだけだ」と認めず、04年に中国電力が約10`に修正した経緯があった。変動地形学の成果を軽視した結果である。
このほかの原発周辺の活断層15本について、電力側が過小評価している事実も明らかになっている。
意見公募で約700件の意見が寄せられ、多くが改定案の改善を求めた。石橋克彦神戸大学教授は同分科会委員として改定案の修正を主張したが、分科会は「議論を蒸し返さない」として応じなかった。同氏は最終案審議の席上で辞任した。
新指針について、安全委の説明責任を果たすことが求められるが、地震学の最新の知見にもとづく再見直しが不可欠である。
(2006.9、第210号4面)
世界平和研究所(会長:中曽根元首相)が
「21世紀の日本の国家像について」発表
日本の核武装化研究を提言
中曽根康弘元首相が会長を務める世界平和研究所は9月5日、日本の核武装化について研究しておくべきだとの提言を含む「21世紀の日本の国家像について」を発表した。
中曽根氏は、記者会見で、「(核の傘を日本に提供する)米国の態度が必ずしもいままで通りつづくか予断を許さない。核兵器問題も研究しておく必要がある」と強調。「非核国家であるのが第一。核拡散防止条約(NPT)体制強化が第二ということを前提とし、将来国際関係がどう変動するかわからないので、核兵器問題も一つの検討対象にしておく」と説明した。
中曽根氏は「周辺には核をもつ国があり、日本は米国の核に頼っている。日米安保条約をやめさせられるなどの大変動がある場合に備え、研究するものだ」と説明しているが、具体的な内容に触れることは避けた。しかし、安保条約の失効、中国や北朝鮮の核戦力の強化、米国の「核の傘」の相対的弱化、核兵器持ち込み、日本の核武装など、さまざまな組み合わせのなかの研究であることは明らかであろう。
日本の国是である「非核三原則」への公然たる挑戦である。日本のプルトニウム保有量が史上最多(別記参照)のなかでの中曽根提言は世界の懸念を呼ばないわけにいかない。
(2006.9、第210号5面)
各地からの便り
最終処分場誘致へ勉強会や陳情
高知県東洋町・津野町
原子力発電環境整備機構は2002年12月19日以来、使用ずみ燃料の再処理から生じる高レベル放射性廃棄物のガラス固化体の最終処分場の候補地を公募してきたが、これまでいくつかの誘致話はもちあがったものの、最終的には応募はなかった。昨年も、鹿児島県笠沙町や滋賀県余呉町で誘致の動きがあったものの、いずれも県の賛同が得られず断念した。また、8月以降、鹿児島県宇検村が同機構の説明を受けていたことが明るみに出たが断念。
しかし、高知県東洋町が同機構の担当者を招いて勉強会を開いていたことが明るみに出た。さらに、同県津野町では、町長と議会に対して、候補地応募を求める陳情書が提出された。鹿児島、高知両県知事は最終処分地誘致に否定的であるが、電力関係者は、他の自治体への刺激となり、誘致合戦となることを期待している。
これらの背景には、「三位一体改革」にともなう地方交付税の大幅削減がある。最終処分事業では、地震など「文献調査」に応じただけで年間2億1000万円、地層調査など「概要調査地区」になれば年間20億円が地元に交付される。国は8月、文献調査にともなう交付金を年間10億円に引き上げ方針を打ち出した。このことは、巨大な「負の遺産」を金で押しつける以外に策がないことを示している。
文献調査交付金受け取りは
住民の安全・安心を売り渡すもの
―ふるさと伊香を 原発ゴミ処分場にするな―
『伊香民報』ビラで訴え
日本共産党伊香郡委員会が発行する『伊香民報』は、昨年10月、滋賀県伊香郡余呉町長が国松前知事の拒否で最終処分場誘致を事実上断念に追い込まれたにもかかわらず、その後も「文献調査」受け入れなどの動きを見せていることに対して、「文献調査交付金受け取りは住民の安全・安心を売り渡すもの」として、ビラを作成して住民に配布している。文献調査交付金の食い逃げができるか質している。
伊香郡は木之本町、高月町、西浅井町、余呉町からなり、木之本町商工会も青森県六ケ所施設見学などの動きを見せている。
「核燃料問題学習会」を開催
青森県農民連幹部ら
青森県農民連の「核燃料問題学習会」が8月23日、上北郡の天間林ふれあいセンターで20人が参加して開かれた。
核燃料サイクル施設立地反対連絡会議の諏訪益一代表委員(日本共産党青森県議)が講演した。
諏訪氏は、六ヶ所再処理施設のアクティブ試験の現状と問題点について報告。労働者の内部被曝が相次いだことに知事が激怒。ところが専門家から「想定内のトラブルで健康に影響なし」といわれるとトーンダウン。地元紙は「知事のブレ」と報じたとの紹介に、「知事も内心失敗したと思っているのではないか。内部被曝はあってはならないこと」など、発言がつづいた。
会場では、原発問題住民運動全国連絡センターのパンフレット『いま、まともに見直すとき 「満身創痍」の原子力政策』が20部売れた。
県回答に住民側の不安は消えず
2006年茨城共同運動
2006年茨城共同運動の第三日の対県交渉が7月31日、県庁内で行われ、原子力関係が先陣を切り、原発を考える会中村敏夫会長、佐藤利彦副会長ら約40人が参加した。県側は永井孝司原子力安全対策課長補佐らが応対した。
中村氏は冒頭、県の説明が県民の安全第一に丁寧に説明する姿勢に欠けていると抗議。三月県議会での知事のプルサーマル容認発言について、県は「一般論をのべただけで、東海2号機の場合について述べたものではない」と、事実上白紙と回答。県民の不安は消えないまま残った。
(2006.9、第210号6面)
『スリーマイルアイランド 手に汗握る迫真の人間ドラマ』
J・サミュエル・ウォーカー著 西堂紀一郎訳 ERC出版
一貫した規制機関の必要性を痛感させたTMI事故
本書は、米国原子力規制委員会(NRC)の肝いりで書かれた「原子力規制の歴史」シリーズの第四作目に当たり、TMI事故後25周年に当たる2004年に発行されている。著者は、NRCに籍を置く歴史学者であり、NRCの側から事態を見ている。
本書の約半分はTMI2号機で事故が発生した1979年3月28日から水素爆発の危険など、深刻な事態を回避した4月1日に至る5日間にわたるドキュメンタリーで占められる。 点滅する警報ランプ、原子炉の内部がどうなっているかつかめない制御室、楽観的な情報を流すメトロポリタン・エディソン社、混乱するNRC、ペンシルバニア州政府やホワイトハウスの対応、住民の不安やマスコミの動きなどが、臨場感を持って書かれている。
事故後のケメニー委員会やロゴビン委員会の報告、それを受けた改善策などにふれているが、NRCのその後は教訓的である。
本書では「NRCには伝統的、組織的、そして法的にも原子力プラントでの緊急事態に対処するための準備もなく装備もなかった。NRCはプラントを運転したり、緊急時対応を実施する運営機関ではなく、規則を作り、許認可申請を処理し、検査を行うための審査機関なのであった。また、NRCには電力会社に対して原子炉を安定化させるためにはどうしたらよいか命じる権限もない::」ことが事故を通じて明らかになったことにふれられているが、紆余曲折を経て、3000人の規模と一貫した規制体制を持つ今日のNRCに変革していった経緯を日本政府は学ぶ必要がある。
しかし、米国の稼働率90l以上という老朽原発の酷使は、この貴重な経験を踏まえた安全規制財産を食いつぶすことになるだろう。
本書では「この事故は周辺地域の人々の健康に重大な脅威となるような環境への大量の放射能放出、という大惨事にならなかった」と、これまでの政府の公式見解を繰り返しのべている。
しかし、この評価は当センターの訪米調査団の調査でも、放射能放出量の科学的検討の必要性を指摘しており、疑問を持たざるを得ない。
(2006.9、第210号8面)
「急性放射線症」とは?(用語の解説)
電離放射線を一度にたくさんの量を浴びると急性放射線症になる。被曝後30分くらいから数時間くらいの間に、めまい、知覚異常、発熱、酒に酔ったような放射線宿酔などの初期症状が現れる。第一期である。その後、症状がいったん軽くなる時期がある。第二期である。この後に本格的に症状が悪化する主症状の時期を迎える。第三期である。線量が高く症状が重ければ死亡に至る。線量が低く、症状が軽ければ乗り切って回復期を迎える。第四期である。百lつまり全員が一ヵ月あるいは二ヵ月以内に死亡するような線量を百l致死線量と呼ぶ。五〇lが同じように死亡する線量を五〇l致死線量という。五〇l致死線量は三〜五グレイくらいとされる。広島・長崎の原爆投下によって、多くの被爆者が急性放射線症となって亡くなった、あるいは生存している。JCO臨界事故では、二人が急性放射線症で亡くなったが、中性子線による被曝データは少ないのが現状である。
(2006.9、第210号8面)