柏崎刈羽原発被災現地調査
     「9・11テロ」以来初の住民立入り
        原子炉建屋・格納容器へも
            8月21日1号機の炉心調査始まる


 当全国センター代表は8月21日、新潟県柏崎市共産党市議団、佐賀県唐津市日本共産党・まつら会派とともに、中越沖地震による東京電力・柏崎刈羽原発被災の状況について、同原発・伊藤敦夫技術担当部長らの案内で、3号機所内変圧器火災現場、3号機主排気筒ダクトのずれ、1号機非常用ディーゼル発電機用軽油タンク基盤の陥没などを視察した後、3号機原子炉建屋・格納容器内を見学。その後、質疑・意見交換などを行ったが、1号機の炉心調査は今日から始まる。全国センターからは伊東達也筆頭代表委員、柳町秀一事務局長、早川篤雄代表委員、藤巻泰男名誉代表委員が参加した。
 当初、テレビ放映された地震による敷地道路のうねりなどは修復されていたが、1号機軽油タンク基盤の1b数十aの陥没、変圧器配管のずれからの火災現場、主排気筒ダクトのずれなどの被災現場は生々しく、地震エネルギーの凄まじさを物語っていた。敷地内の施設の各所に段差やひび割れが見られた。
 3号機原子炉建屋内、格納容器内への住民の立入は、「9・11テロ」以来、全国センターとしては初めてである。原子炉建屋では、6号機車軸破断があった同じ天井クレーンや燃料プールからの水の溢れ状況などについて説明を受け、格納容器内では、スクラム地震計の設置場所などを視察した。百聞は一見にしかずである。
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【警鐘】

●新潟県中越沖地震による柏崎刈羽原発基礎の観測値が設計値を超えた。1〜7号機基礎の南北・東西・上下方向では、5号機の上下方向を除くすべてで観測値が設計値を上回った●観測値が設計値を上回ったが、あらゆる固有周期領域で、しかも、大きく上回ったことは今回が初めてである。観測値が設計値を超えた事例は一九九五年一月、阪神淡路大震災をもたらした兵庫県南部地震以来、五回あり、今回で六回目である(二面参照)●これらのことは、それぞれの原発の設計基準となった耐震設計審査指針が崩壊していることを改めて裏づけられたことを意味している。それは耐震指針を策定した専門家の責任を問うものでもある。この事情は、耐震指針以外の指針でも同じである●原子力の安全規制のあり方がいまこそ、まともに見直すべきときである。


(2007.8、第221号1面)



 「プルサーマルNO!」全国交流集会 IN 愛媛
      9月29日(土)〜30日(日)

〈9月29日(土)〉

○伊方原発見学―午後一時JR 「松山駅」出発
○八幡浜市住民と交流・「白壁 の街」内野町など見学
○伊方原発出力調整実験反対運 動・全国センター結成二〇周 年レセプション―午後七時〜
 会場=「東京第一ホテル松山」
○宿舎「えひめ共済会館」

〈9月30日(日)〉

○全国交流集会―午前十時〜午 後三時三十分
 会場=「コムズ」大会議室
*特別報告「中越沖地震による 柏崎刈羽原発被災の教訓」― 立石 雅昭新潟大学教授
*記念講演「必要のないプルサー マルで新たに背負わされる危 険」―岩井孝原研労組委員長
*問題提起―伊東達也筆頭代表 委員
○参加費=資料代千円

〈集会が掲げる緊急要求〉
 ○中心スローガン
 *原発の現状の危険を増大させるプルサーマル計画に反対!
 ○サブスローガン
 *原発等の耐震対策を緊急に確立すること!
 *苛酷事故を前提とする緊急時対策を確立すること!
 *老朽原発を酷使する 「高経年化」対策をやめること!
 *「原子力政策大綱」を根本的に見直すこと!
 *国際基準にもとづく安全規制機関を確立すること!


(2007.8、第221号1面



 原発の耐震性に「不安」91l
      「毎日新聞」の世論調査結果


 「毎日新聞」が八月四〜五日に実施した世論調査では、原発の耐震性に不安を抱く人が九一lに達した。柏崎刈羽原発被災を受け、原発の安全規制に対するきびしい見方が増え、原発増設に賛成の人も一六lにとどまった。
 原発の耐震性については、「非常に不安」五六l、「ある程度不安」三五lと回答。「あまり不安はない」六l。とくに女性に不安は高く、男性で四六lの「非常に不安」が女性で六四l。
 原発立地県とそれ以外で大きな差はなく、中越沖地震の被害は地域を問わずに大きな衝撃を与えたと分析している。
 国がエネルギー確保や地球温暖化防止のために原発推進政策を掲げていることについては、「現状程度でいい」五七lで最多。「減らすべきだ」二三l。原発増設に賛成した人でも、原発の耐震性に不安を持つ人八三l。不安を感じながら「増設やむなし」と考えていると考察している。
 国は原発の安全目標として、大事故が起きて死者が出る危険性を年百万分の一以下に抑える案を検討中であるが、国の安全基準を認める人一九l、〇四年調査二二lを下回った。「より厳しい基準を」四七l、〇四年調査三六lから増加。「危険性ゼロでない限り運転停止を」二八l、〇四年調査二四lを上回る。



(2007.8、第221号3面)



 来年度から原発の長期連続運転可能に
      保安院が省令改悪へ
           定検間隔最長二十四ヵ月に延長


 原子力安全・保安院は八月二十三日、電力業界が強く要望している原発の長期連続運転について、定期検査間隔(インターバル)を現行「十三ヵ月」から最長「二十四ヵ月」まで延長できるように省令を改悪する方針を決めた。来月にも改悪案をまとめ、今年度中に具体的な運用法を示したガイドラインを作り、来年四月から長期連続運転が可能になる。
 しかし、立地地域自治体は安全性の確保や地域経済への影響などから慎重姿勢を示してきた経緯があり、柏崎刈羽原発被災で国民の間に不安が広まっている、この時期の方針決定に強い反発が広がっている。
 原子力安全・保安院は、定期検査間隔について、現行「十三ヵ月」のほか「十八ヵ月」と「二十四ヵ月」を盛り込むとしている。これは、電力業界などでつくる協会が一九八九年にまとめた「一八ヵ月までの連続運転が可能」報告、日本機械学会が二〇〇六年に出した「二年程度の連続運転に見通しを得た」報告が根拠とされている。
福島県は「データ改ざんなどの問題で国、事業者の信頼が大きく損なわれ、新潟県中越沖地震で柏崎刈羽原発が被災し、、県民の不安が増大している中、定期検査制度の改正がすすめられたことは大変に遺憾。国は安全、安心を最優先する対応をしてほしい」(生活環境部)と批判。福島県原子力発電所所在町協議会会長の遠藤勝也富岡町長は「この時期に省令改正はそぐわない。一方的で国への不信を抱かざるを得ない」と不満を表明している。
 アメリカは二〇〇一年、原発(一〇三基)の年間発電電力量「七、六七〇億`h時」と過去最大を記録、二十一世紀に入って最大記録を更新してきた。一九七
九年のTMI原発事故以来、原発の廃止はあっても、新増設はないにもかかわらず、この記録ラッシュ。これは設備利用率九〇l台という老朽原発の徹底酷使によるもの。最大の要因は長期連続運転である。
 原子力安全・保安院はアメリカを手本にしている。



(2007.8、第221号4面)



 IAEAが柏崎刈羽原発被災で報告書
     安全対策の再検討を指摘
         前調査時の火災対策不備の指摘を東電は無視

 国際原子力機関(IAEA)は八月十七日、新潟県中越沖地震による東京電力・柏崎刈羽原発被災状況に関する調査報告書を公表した。
 報告書は、「自動停止装置が正常に作動した」として「目に見える重大な損傷はなく、被害は予想より軽微だった」と報告している。
 一方、原子炉格納容器や原子炉圧力容器に収められている燃料棒などの重要部分は検査が終わっていないとして、詳細な調査の必要を指摘している。
 報告書は、「中越沖地震の教訓と最新基準を生かした地震安全対策を再検討する必要がある」と強調している。
 また、「地震による隠れた損傷で、長期的な運転に支障が出る可能性がある」とし、「大規模地震と老朽化の相互作用が、将来の調査計画にとって重要な点となる」と、日本の高経年化対策実施を前にして警告している。
 ところで、今回柏崎刈羽原発の火災対策が不十分だったことが明らかとなったが、これについてはIAEAから指摘を受けていたにもかかわらず、措置されなかったことがわかった。
 IAEAが二〇〇四年、同原発を調査、〇五年六月に出した報告書で、@火災防護を専門に担当するグループが存在しない、A消防署に援助を得る際の消火計画が定められていない、B訓練が適切に行われていない、ことなどを指摘していた。


(2007.8、第221号5面)



各地からの便り


  耐震安全性再検討とプルサーマル計画中止を県と四電に申し入れ
      伊方等の原発の危険に反対する愛媛県民連絡会議

 新潟県中越沖地震での東京電力・柏崎刈羽原発被災を受け、伊方原発等の原発の危険に反対する愛媛県民連絡会議(中川悦良代表幹事)メンバー九人は八月十三日、四国電力・伊方原発(愛媛県西宇和郡伊方町)の耐震安全性の再検討とプルサーマル計画中止を四国電力と愛媛県に申し入れた。
 申し入れは、柏崎刈羽原発で設計値を大きく広い範囲で超える観測値が記録されたことを指摘。付近を中央構造線が走る伊方原発の周辺地域の地質・地形再調査や多重防護機能を含む総点検、耐震安全性の確保を求めるとともに、これらの対応を抜きにしてのプルサーマル計画は以ての外として中止を要求している。
四電松山支店では、山本由副支店長が「現状では伊方は大丈夫」と繰り返したことに対して「柏崎刈羽原発被災の全容が明らかにされないうちから『安全』を繰り返すのは理解できない」と抗議した。県庁では、門野利之県原子力安全対策推進監は、「柏崎刈羽原発の地震の観測値が大幅に設計値を超えたことは非常にショッキング。伊方原発側も事実関係一つひとつに慎重に対応する必要がある」として、四電にもその旨徹底すると回答した。
 その後、県庁記者クラブで九月の全国交流集会開催について記者会見した。柳町事務局長も同席した。


  断層問題で東電と交渉
      原発の安全性を求める福島県連絡会

 原発の安全性を求める福島県連絡会(早川篤雄代表)の代表九人は八月九日、東京電力福島第二原発を訪れ、柏崎刈羽原発被災にかかわって、東電の立地周辺の海底断層や双葉断層等の調査状況について、「東電も過小評価しているのではないか」とただした。代表らは中越沖地震で耐震指針はご破算になったとして、根本的再検討を求めた。


  国・事業者任せの「原発・核燃震災」対策は許されない
      核燃料サイクル施設立地反対連絡会議

 核燃料サイクル施設立地反対連絡会議の代表七人は七月二十六日、県庁を訪れ、中越沖地震問題で、青森県三村新吾知事に対して全容解明と六ヶ所再処理施設のアクティブ試験の中止を申し入れた。
 県が原子力施設が事業者や国の説明から「安全」と理解している、新耐震設計審査指針の調査を注視するとしていることに対して、代表らは、安全対策を国・事業者任せにすることは許されないと改めて申し入れた。


  耐震問題で石川県交渉へ
      原発問題住民運動石川県連絡センター原発を考える石川女性の会

 原発問題住民運動石川県連絡センターと原発を考える石川女性の会は八月二十七日、県庁八階の「八一一会議室」で耐震安全問題で交渉を行う。さきの柏崎刈羽原発被災問題と三月の能登半島地震でも志賀原発の耐震設計が根本から揺らいでいる現実を踏まえて石川県に「申入書」を提出している。


(2007.8、第221号6面)



 『平成十八年版 原子力安全白書』
     平成十九年七月  原子力安全委員会
          電力会社の不正問題と柏崎刈羽原発被災が示す
               新耐震設計審査指針への国民の不安に応えず 



 原子力安全委員会(委員長=鈴木篤之東京大学大学院教授)は八月十日、「平成一八年版原子力安全白書」を閣議に報告した。
 「白書」は、四月に公表予定であったが、折から、北陸電力・志賀1号機の臨界事故隠しなど一連の電力会社による不正問題への対応があって四ヶ月遅れて公表した。
 加えて、公表直前の七月十六日に起こった中越沖地震による柏崎刈羽原発被災に対して、「平成一八年版原子力白書の刊行に当たって〜新潟県中越沖地震を踏まえて」という安全委員会の声明を付している。
 「白書」は、公表時期を遅らせてまで盛り込んだ「原子力発電設備における過去の不正の総点検と今後の対応」では、「事業者による再発防止策に向けた自主的取り組み、とくに透明性の徹底である」と指摘するのみで、不正を見逃してきた自らの責任については一言もふれていない。
 また「保全プログラムを導入」などと称して、検査インターバルの延長など安全規制行政の新たな手抜きをすすめている。
 「白書」のいま一つの特集である新耐震設計審査指針について、鈴木委員長は「新知見の反映を義務付けた『基準地震動の策定方法』は、国際的にも日本がはじめてと考えられ、世界的に誇れる指針」と自画自賛している。
 しかし、柏崎刈羽原発被災が旧指針にもとづくものとはいえ、重要個所を含む二千五百件近い不具合を生じたことに対することへの根本的な反省はない。まして、新指針が地震学の専門委員が抗議・辞任するなかできめられたことに示されるように、地震学・地質学・地形学の最新の知見を反映してはいない。新指針の根本見直しが求められる。
 鈴木委員長の発言は「慢心」そのものである。


(2007.8、第221号8面)



 チェルノブイリ原発事故B
     無謀な営業炉での実験



 事故を起こした4号機の実験は四月二十五日一時頃から定格出力(熱出力三二〇万`h)から出力低下を開始。同日一三時五分、出力が半分(同一六〇万`h)になり、実験計画では出力低下を続け、出力同七〇〜一〇〇万`hで実験を行う予定であったが、キエフ給電所から給電指示で同一六〇万`hの発電をつづける(実は原子炉が停止、核分裂反応を不活発にするキセノン-135が炉内にたっぷり)。給電解除を受け、同日二三時一〇分、出力低下を再開。実験計画の出力二〇lにセットしようとしたが、原子炉はいうことをきかない。出力はたちまち一l(約三万`h)まで低下。出力上昇に努め、四月二十六日一時、約七l(二〇万`h)を回復。同日一時二三分、出力二〇万`hで実験開始を決意(本来なら原子炉が緊急停止するところ)。同日一時二三分三一秒、出力上昇。同日一時二三分四〇秒、緊急停止ボタン押す。同日一時二三分四四秒、出力が定格出力の一〇〇倍に達した。同二四分頃、二〜三秒の間隔をおいて大爆発。無謀な営業炉の実験だった


(2007.8、第221号8面)