原発の万全な耐震対策など
電事連や国の関係機関へ申し入れ
全国総会参加の北海道から九州までの当センター代表ら16人は11月19日、電気事業連合会、原子力委員会、原子力安全委員会、原子力安全・保安院をそれぞれ訪れ、柏崎刈羽原発被災を受けての耐震設計審査指針の抜本的再検討などの「申し入れ」を行った。
午前冒頭に行われた電事連交渉では、一通りの回答があったが、別途、日程を改めて交渉を行うことになった。
原子力委員会、原子力安全委員会は同席しての交渉となった。
原子力委員会には、「原子力政策大綱」の見直しなどを求めた。原子力安全委員会は、耐震設計審査指針の再検討や「プルサーマル」計画、「高経年化」対策の中止、緊急時対策の確立などを求めた。合わせて国際基準にもとづく原子力規制機関の確立を要求。原子力安全・保安院では耐震対策、老朽原発酷使などに意見が集中した。
途中で席立った原子力安全・保安院課長補佐
田口達也・原子力安全・保安院原子力発電検査課補佐は突如一人席を立ち退場。交渉を一方的に打ち切った。過去21回の交渉では初めての異常な対応。原発被災への反省も覗えず。
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【警鐘】
●現在の原発問題を考えるうえで、考慮すべきことに世論と運動主体の力量の乖離の問題がある●原発へ不安を抱く国民は1990年の総理府(当時)世論調査で「90.2l」にのぼった。以後、同じ世論調査が行われていればこの数字は「100l」近くなっていたであろうが、なぜかこの項目の調査は行われていない●政府、電力会社は、未確立の原発技術を「実用化段階」=「安全」として推進してきたが、実はこの「安全」推進論理自体が強弁である。この構造的な傲慢さのなかに推進側の最大の弱点がある●原発問題での世論が住民運動を支持する基盤となっているが、この世論が、国、電力会社の「安全」推進論理の根本的批判にまでは至っていない。ここに世論と運動主体の乖離の現状が示される。世論を運動主体の成長にどうつなぐか課題である。
(2007.11、第224号1面)
「原子力政策を安全優先の立場で
根本的に見直してください」署名を提出
原発問題住民運動全国連絡センターがすすめてきた内閣総理大臣宛の「原子力政策を安全優先の立場で根本的に見直してください」署名の第二次集計分「個人署名=9,174筆」 「団体=11筆」を11月19日、伊東達也筆頭代表委員らが原子力委員会を訪れて提出した。第一次分(2006年9月4日提出)と合わせて、「個人署名=28,490筆」 「団体署名552筆」となった。
《第二次集計分》(2007年11月19日提出)
個 人 署 名= 9,174筆
団 体 署 名= 11筆
《第一次(2006年9月4日提出)・第二次集計分合計》
個 人 署 名=28,490筆
団 体 署 名= 552筆
(2007.11、第224号1面)
第21回全国総会
いまほど原発等への住民監視が必要なときはないに共感の声
「原発の危機」と「運動の遅れ」に分析的議論
第21回原発問題住民運動全国連絡センター全国総会・交流集会は11月18日、東京都中央区の「勝どき区民館」で開かれた。
来賓として、日本科学者会議の安部愃三氏、日本共産党国会議員団の吉井英勝衆院議員があいさつ。
伊東達也筆頭代表委員が「原発情勢の深刻化とその革新的打開の道」と題する全国総会に対する代表委員会報告(3〜12面掲載)を行った。討論では12人(別項参照)が発言。伊東筆頭代表委員が「まとめ」を行い、総会は、代表委員会報告を採択した。
つづいて総会は、新代表委員と名誉代表委員を選出(別項参照)した。全国代表委員会は、筆頭代表委員に伊東達也氏を選出、幹事代表委員、事務局長・次長らを選出した。
全国総会に対して祝電・メッセージが日本婦人団体連合会、農民運動全国連合会、自由法曹団、日本母親大会連絡会、災害被害者の支援と対策を求める全国連絡会、全日本民主医療機関連合会から寄せられた。
伊東筆頭代表委員は、原発史上初の柏崎刈羽原発被災は、日本の原発等の設置申請、「安全」審査体制に致命的欠陥があることを実証したこと、いまほど原発等への住民監視が必要なときはないことを指摘。第三者機関による原発被災の全容解明、耐震設計審査指針の再検討、国際基準を満たす原子力規制機関の確立などを求めた。あわせて「運動の遅れ」を直視しての議論を提起。共同行動の展開、新たな署名運動、「げんぱつ」読者の拡大などを呼びかけた。このところ、目標が棚上げされている巨大立地地域「200人読者」、その他の立地地域「100人読者」の実現を訴えた。
討論では、多くの発言者から、集会が掲げるメーンスローガン「いまほど原発等への住民監視の必要なときはないへの共感の声と「げんぱつ」読者拡大の目標が語られた。
「次期交流集会までに 読者倍増して迎える」
次期の「全国交流集会 in 柏崎」開催(来年7月19〜20日)が報告されたが、持田繁義氏(新潟)は、「年末の総会を行い、全国交流集会までに読者を倍増(150人読者)し、つづけて200人読者を実現したい」と発言。総会参加者を大きく励ました。
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〈代表委員〉
筆頭代表委員 (幹事)
伊東達也 (福島)
(幹事)中村敏夫 (茨城)
(幹事)柳町秀一 (埼玉)
菅野一洋 (北海道)
小山内孝 (青森)
早川篤雄 (福島)
山崎 元 (東京)
安部愃三 (東京)
野村存生 (東京)
唐沢裕史 (静岡)
持田繁義 (新潟)
山本雅彦 (福井)
出馬益子 (三重)
芹沢芳郎 (大阪)
佐々木泉 (愛媛)
坂本 洋 (佐賀)
佐藤理河 (全教)
川俣勝義 (自治労連)
東郷泰三 (民医連)
安達絹恵 (新婦人)
〈名誉代表委員〉
藤巻泰男( 新潟)
〈事務局〉
事務局長 柳町秀一
同 次長 野村存生
同 次長 小川定之
事務局員 酒井清志
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〈第21回全国総会の発言者〉(敬称略)
@チェ原発事故につなげないために 庄司捷彦 (宮城)
A地震学者の責任を果たす日々 立石雅昭 (新潟)
B次期集会予定地・柏崎からの報告 持田繁義 (新潟)
C福島原発と住民運動の活動と教訓 早川篤雄 (福島)
D大阪での共同行動の追求と問題点 芹沢芳郎 (大阪)
E県に対する共同要求運動と原発問題 中村敏夫 (茨城)
F志賀原発問題と能登センター結成 山中尚史 (石川)
G「見直し」署名運動の教訓に学び 小山内孝 (青森)
H地震計を設置しない九州電力… 坂本 洋 (佐賀)
I低空飛行からの運動への取り組み 祝迫加津子 (鹿児島)
J初の原発震災から学ぶもの 菅野一洋 (北海道)
K震災予防調査会設置の田中館愛橘 山崎 元 (東京)
(2007.11、第224号2面)
第21回全国総会への全国代表委員会の報告
原発情勢の深刻化とその革新的打開の道
2007年11月18日
東京都中央区−「勝どき区民館」
1、この間の原発動向が示したもの
1-1.原発史上初の柏崎刈羽原発被災
1-1-1.世界最大規模の柏崎刈羽原子力発電所(1〜5号機=BWR、6・7号機=ABWR。計821.2万`h)が新潟県中越沖地震(7月16日。M6.8)に見舞われ、原発史上初めての原発被災
*不具合発生件数2,997件(10月31日現在)
*全機の燃料プールの水溢れ、オペレーティングフロアへの水溢れ、微量放射能を含む水の非管理区域及び海への漏えい、屋外消火系配管から
原子炉建屋への水の流入(1号機)、主排気筒ダクトのずれ(1〜5号機)、主排気筒からのヨウ素及び粒子状放射性物質の検出(7号機)、原子炉
建屋クレーン駆動軸破損(6号機)、非常用ディーゼル発電機用軽油タンク基盤の陥没(約1.6b)などのトラブル
*炉心調査は8月21日から始まったが、7号機の制御棒1本抜けない(10月18日発表)など、炉心の重大な損傷が明らかにされつつある
1-1-2.新潟県中越沖地震の地震動が原発のすべての重要機器類の設計値を大きく超える
*新潟県中越沖地震による柏崎刈羽原発での(1〜7号機)の最下階の地震動(東西・南北上下方向)の観測値は(5号機の上下方向一個所を除く)すべてで設計値を大きく超えた(表1.参照)
*あらゆる固有周期領域(重要機器類の固有周期領域)で大きく超える
*新潟県中越沖地震の観測値は、日本の(東海第二原発を除く)すべての原発・原子力施設の設計値を超える(表2.参照)
*岩盤上の地震動が設計値を超えた事例は6回目
@−1995年1月=兵庫県南部地震
A−2000年10月=鳥取県西部地震
BC−2003年5月、2005年8月=宮城県沖地震
D−2007年3月=能登半島地震
E−2007年7月=新潟県中越沖地震
| 表1.柏崎刈羽原発で記録された地震動と設計値 | ||||
| 方向 | 南北 | 東西 | 上下 | |
| 1号機 | 観測値 | 311 | 680 | 408 |
| 設計値 | 274 | 273 | 235 | |
| 2号機 | 観測値 | 304 | 606 | 282 |
| 設計値 | 167 | 167 | 235 | |
| 3号機 | 観測値 | 308 | 384 | 311 |
| 設計値 | 192 | 193 | 235 | |
| 4号機 | 観測値 | 310 | 492 | 337 |
| 設計値 | 193 | 194 | 235 | |
| 5号機 | 観測値 | 277 | 442 | 205 |
| 設計値 | 249 | 254 | 235 | |
| 6号機 | 観測値 | 271 | 322 | 488 |
| 設計値 | 263 | 263 | 235 | |
| 7号機 | 観測値 | 267 | 356 | 355 |
| 設計値 | 263 | 263 | 235 | |
| 表2.各原発での想定との比較 | |||
| 電力会社 | 原発 | 想定を最も大きく上回った建物・機器 | 比較(倍) |
| 北海道 | 泊(1号機) | 余熱除去ポンプ | 1.43 |
| 東北 | 東通(1号機) | 余熱除去ポンプと原子炉格納容器 | 1.75 |
| 女川(3号機) | 主蒸気系配管 | 1.46 | |
| 東京 | 福島第1(4号機) | 制御棒 | 3.47 |
| 福島第2(4号機) | 余熱除去ポンプと原子炉格納容器 | 4.09 | |
| 中部 | 浜岡(5号機) | 余熱除去ポンプ | 1.19 |
| 北陸 | 志賀(1号機) | 余熱除去ポンプと原子炉格納容器 | 2.88 |
| 関西 | 美浜(3号機) | 余熱除去ポンプ | 2.11 |
| 高浜(3号機) | 余熱除去ポンプ | 2.04 | |
| 大飯(1号機) | 余熱除去ポンプ | 1.91 | |
| 中国 | 島根(2号機) | 余熱除去ポンプと原子炉格納容器 | 1.68 |
| 四国 | 伊方(1号機) | 余熱除去ポンプ | 1.58 |
| 九州 | 玄海(4号機) | 余熱除去ポンプ | 1.88 |
| 川内(1号機) | 余熱除去ポンプ | 2.00 | |
| 日本原子力発電 | 東海第2 | なし | |
| 敦賀(2号機) | 余熱除去ポンプ | 1.38 | |
1-1-3.ありえないことが現実となった柏崎刈羽原発被災
*耐震設計審査指針上、東京電力の設置申請書上、「安全審査」上からは今回原発被災は起こりえないはずであるにもかかわらず、それが現実に起きたことは、それらの内容に重大な致命的欠陥があることを示す
*耐震設計審査指針の問題点(別項参照)
:「旧指針」の問題点
−原発等の耐震設計は、将来、敷地地盤を襲う二つの大きな地震(@設計用最強地震基準地震動S1とA設計用限界地震の基準地震動S2)に耐えられる必要があるとされるが、この二つの実際の地震動記録は存在しないし、存在し得ないことから、敷地周辺の調査等から経験式によってこの二つの地震動評価される。この際、電力会社の恣意的判断が結びついて地震規模をきわめて過小に評価することが恒常化
−「旧指針」は、兵庫県南部地震(1995年)の岩盤上の地震動が日本の原発の耐震設計値を超えたとき以来、その基礎の崩壊が明らかとなった
−住民運動はこのとき以来、耐震設計審査指針の抜本的見直しを要求
:「新指針」の問題点(別項参照)
−世界で有数な地震国・日本での原発立地の危険に対して耐震安全性が確保されなければならないが、「新指針」にはこの具体的保障がない
−「新指針」は、電力会社の恣意的判断の領域を大きく拡大しており、これが悪用される危険が大きい
−「新指針」の「調査前倒し」(2007年7月20日、甘利経産相が指示)は耐震安全性の保障がない
−「新指針」の「遡及適用」(2006年9月20日、保安院の指示)は「私以外のすべての委員が、結局のところ、既存原発が1基も不適格にならないような新指針をめざしていたと思われる」(石橋克彦神戸大学教授)とすれば茶番劇でしかない
*電力会社が耐震設計審査指針の欠陥を利用して周辺の地震を過小評価した申請書を提出し、原子力安全・保安院、原子力安全委員会はこうした申請書を追認する機関に堕しているところに致命的欠陥がある
*日本に国際基準にもとづく原子力の安全規制機関が不在であること、また、事故・トラブルの調査の際、第三者機関が設置されないことと無縁ではない
:国際原子力機関(IAEA)の「原子力発電所安全基準(政府組織)」における「規制機関」についての規定
−「規制機関は、その国境内の原子力発電所の立地、設計、建設、試運転、運転及び廃止措置における原子力安全に関連した全ての問題について、政府としての全ての監視、管理に対する責任を持たねばならない」
−「規制機関は、原子力の推進に対して、責任を負ってはならない。また、加盟国内のこの責任を有する組織から独立していなければならない」
:『原子力安全白書』(平成15年版)が「国と事業者の責任についての国際原子力機関(IAEA)の規定」の説明
−「原子力発電所については、その立地、設計、建設、試運転、運転及び廃止措置における原子力安全に関連した全ての問題について、国として全ての監視、管理に対する責任を持つとしています」
:日本の説明はIAEAの「規制機関は」の主語を落として「国」 に置き換えることでごまかしている。日本では原子力安全員会、原子力安全・保安院、原子力安全基盤機構…などが「規制機関」を名乗っているが、国際基準を満たすものではない
:日本の事故調査について、現状の刑事責任優先から事故の再発防止優先に改め、事故施設等の設計・建設・運転の当事者や許認可の当事者を除く第三者機関による徹底かつ公正な調査でなければならない
1-1-4.地震計が設置されていない原発
*国内55基の原発のうち7基(泊2号機、大飯2号機、高浜2号機、玄海1・2・4号機、川内2号機)に地震計が設置されていないことが判明。吉井英勝日本共産党衆院議員が10月9日、北海道電力・泊原発調査で同2号機に設置されていないことがわかり、同24日の衆院経済産業委員会で指摘、経産省が認めたもの
*地震計の設置は電力会社の「自主的」なものとされ、公的規制の対象ではないとされるが、国の責任の放棄ではないか
1-1-5.日本列島はほぼ全域で大地震の活動期
*日本列島はユーラシアプレート、北米プレート、太平洋プレート、フィリピンプレートのせめぎ合う世界有数の地震の巣≠ナある
*日本列島をめぐる大地震は活動期にはいる
*戦後の大地震の静穏期に建てられた近代建築・構造物(高層ビル、高速道路、高架橋、新幹線、石油コンビナート、原発…)は、これから人類史上初めて大地震に見舞われる。未曽有の国難が予測される
*地震そのものに対しては何とも致しようがないとしても、それから生じる災害はこれを軽減できる≠ヘ、濃尾大地震(明治24年10月28日)の直後、国に「震災予防調査会」の設置(明治25年6月)を認めさせた田中館愛橘(当時東大教授)の言葉であるが、未曽有の国難を前にして賢明な防災対策が求められる
1-1-6.柏崎刈羽原発被災は「浜岡原発震災」への重大の警鐘
*「プレート間地震」の想定東海地震の震源域の直上にある浜岡原発の危険の重大化。柏崎刈羽原発被災は地震災害に加えて、地震を契機とする浜岡原発の苛酷事故(シビアアクシデント)による原発災害が重なる「原発震災」への重大な警鐘である
*「超」東海地震(地殻変動は想定東海地震の3倍)がこの5,000年間に少なくとも3回起きたことが日本第四紀学会(2007年8月末〜9月2日。神戸市)で発表された。この後、もう1回発生しているとみられ、1,000年周期の可能性がある。次の東海地震が「超」タイプになる指摘も出ている
*説明責任を果たしていない「耐震裕度向上」工事
:国内の原発では、基準地震動S2の600ガルの浜岡原発が最大である(S1は450ガル)が2005年1月28日、中部電力は突如「耐震裕度向上」工事計画を発表し、「1,000ガル」の水平加速度に耐えられるように1〜5号機すべてに必要な補強工事を施すとしている。4号機から着手され、2011年3月までに完了するとしている
:中部電力は「基準地震動S2(600ガル)に余裕をもたせ800ガルとし、さらに3割の余裕をもたせ1,040ガルとした」 と説明しているが、「600ガルで十分に安全といいながら、なぜ突然800ガル、1,000ガルなのか?」、また「1,000ガルならば安全なのか?」の住民の素朴な質問に対して納得できる説明責任は果たされていない
*中部電力と国の浜岡原発の「耐震安全」宣言には住民が納得できる根拠が示されていない
:新耐震設計審査指針にもとづく基準地震動Ssの策定の根拠をはじめ敷地地盤を「安全」とする中部電力と国の主張には「浜岡原発がプレート間地震の震源断層の直上にあっても大丈夫」と住民が納得するところまでの十分な根拠・データは示されていない。
:例えば、浜岡原発の敷地地盤にはH断層が東西方向に4本(海側からH1、H2、H3、H4断層)走り(H層の存在は3号機申請書までは書かれていない。東海地震の警告後の3号機補正申請書で初めて記載される)、原子炉建屋は断層を避けているものの、タービン建屋は断層を跨いで建てられており、地震時にH断層が副断層として動けば、甚大な被害をもたらしかねない。にもかかわらず、H断層の成因、形状の全容も示さないままに、その活動性を否定する乱暴な「論証」をしている
*静岡地裁の浜岡原発運転差し止め訴訟棄却判決(2007年10月26日)の独断
:原告らは、地震国日本で最大規模とされるプレート間地震における震源断層面の直上に建設されること自体が地震 学の常識から異常であり、裁判ではこの決定的な過ちを正すとして、原発の運転が継続されるならば、地震動によって苛酷事故が発生する蓋然性があり、事故発生時に原告らの生命と暮らしに重大な被害を及ぼす放射線被曝を受ける具体的な危険があるとして、運転差し止めを請求した事案であるが、静岡地裁は「原子炉施設の安全性を確保しうる」として、原告らの請求を棄却した
:静岡地裁の判断の基礎は、電力会社、国の「安全審査」の言い分を鵜呑みしたものでしかなく、きわめて迎合的な判決であり、これでは地震時の原発事故から住民の安全を守ることはできない
:静岡地裁判決は、地震時のH断層を活動性についても一方的に否定している。中部電力は、新指針による浜岡3・4号機の「耐震安全性評価報告書」を2007年2〜3月に提出、現在「安全審査」中であるが、ここでもH断層の成因や形状をめぐる議論が行われており、その結論はまだ出されていない。にもかかわらず、地裁判決は専門家の議論に先行して「安全」判断をしているが、基礎的資料を欠いた判断でしかない
*「原発震災」を想定した「地域防災計画」の確立は急務
:災害対策基本法にもとづく「地域防災計画」の「原子力対策編」は、事故を過小評価したもので緊急時には役立たないものである。国際基準並みの苛酷事故を想定した緊急時計画の確立が急務である
:「地域防災計画」の「地震対策編」と「原子力対策編」が別個に策定され、地震災害と原発災害が重なる複合災害を対象としたものはない。複合災害を想定したものへの検討が新潟県、茨城県で始まっているが、「原発震災」に対応できるものとして確立する必要がある
*電力会社、国の浜岡原発の「耐震安全」宣言には納得できる内容が示されていない現状では運転停止を求める以外にない
1-2.原発の臨界事故隠し・データ改ざん
1-2-1.くり返される原発めぐる不祥事(表3.参照)
*電力12社が昨年秋以来すすめてきた総点検にもとづくデータ改ざん等の調査報告と再発防止対策を原子力安全・保安院に提出(3月30日と4月6日)
:原子力の発覚件数458件と発覚事案数98件は水力・火力に比してはるかに少ない数字に見えるが、原子力は2002(平成2)年に大がかりな事故トラブル隠し・不正検査・データ改ざん事件があり、これが社会問題となり、「ウミを出し切る」として調査が行われた経緯がある。にもかかわらず、今回発覚した事案・件数はすべて「2002年の不祥事」以前のものである。「2002年の不祥事」時点でなぜウミを出し切れなかったのかが問われる
:電力会社の再発防止対策は、くり返される不祥事に根本的なメスを入れることを回避していることから真摯な対応とは言い難いもの
−北陸電力の志賀1号機の臨界事故隠し(1999年6月18日)は最悪なケースであるが、2号機増設時にあったために、志賀原発所長らが共謀して事故隠しを決める。このとき事故隠しにかかわった所長代理が、その後常務となっていたにもかかわらず、「経営層の責任」として「その後、8年間それをみつけだすことができな かったこと」と報告する脳天気ぶりである
*これを受けて原子力安全・保安院の行政処分発表(4月20日)
:水力では違法取水に対して国交省の水利権の取消など5発電所が運転停止に追い込まれたが、原子力安全・保安院は運転停止を命じていない
−志賀1号機の臨界事故隠しは、11人の死傷者を出した美浜3号機配管破断事故よりも重い事故であるにもかかわらずである
−敦賀2号機で発覚した格納容器気密性の不正検査(1997年7月)は「2002年の不祥事」の際、運転停止処分を受けた福島第一=1号機と同じ事例にもかかわらずである
:電力会社と保安院の報告と対応は仰々しいものではあったが、不祥事の背景にある電力会社の営利優先と秘密主義体質、行政との癒着体質には切り込まず、温存されたままで、再発防止の保障はない
*今回調査は原子力安全・保安院と電力会社の癒着を示しており、両者には真摯な態度ははじめからうかがえず、再発防止の保障はない
*福島県は6月11日、福島県原子力センターで東京電力に対して、さる4月23、24日に立地四町とともに実施した福島第一原発及び福島第二原発の立入調査結果について伝えるとともに、不正問題再発防止、組織風土改善の取り組み等のいっそうの強化を要請
:立入調査結果を伝えた阿久津県生活部長は、これまで過去の不正事案が解明されてこなかったことに触れ、東電の企業倫理遵守の徹底や再発防止の対応について「『安全』を最優先し、過去の不正事案を積極的に解明し、発電所の安全性、信頼性向上をめざす取り組みが、結果的に不十分であったことを示すもの」と批判。今後の「安全優先」の取り組みが従来と具体的になにが違うか「県民の目に見える形」で対応するよう求めた
| 表3.電力12社の報告件数(右)と報告事案数(左) | ||||||||
| 電力会社 | 原子力 | 火 力 | 水 力 | 各社計 | ||||
| 北海道 | 0 | 0 | 206 | 11 | 355 | 3 | 561 | 14 |
| 東 北 | 23 | 8 | 26 | 14 | 1330 | 8 | 1397 | 30 |
| 東 京 | 233 | 20 | 33 | 10 | 3586 | 17 | 3852 | 47 |
| 中 部 | 123 | 14 | 134 | 15 | 773 | 11 | 1030 | 40 |
| 北 陸 | 5 | 4 | 28 | 8 | 318 | 9 | 351 | 21 |
| 関 西 | 8 | 8 | 27 | 12 | 959 | 4 | 994 | 24 |
| 中 国 | 31 | 29 | 321 | 35 | 405 | 17 | 757 | 81 |
| 四 国 | 0 | 0 | 0 | 0 | 9 | 2 | 9 | 2 |
| 九 州 | 0 | 0 | 6 | 1 | 599 | 4 | 605 | 5 |
| 沖 縄 | − | − | 371 | 11 | − | − | 371 | 11 |
| 電源開発 | − | − | 55 | 13 | 650 | 6 | 705 | 19 |
| 日本原電 | 35 | 15 | − | − | − | − | 35 | 15 |
| 合 計 | 458 | 98 | 1027 | 130 | 8984 | 81 | 10649 | 309 |
1-2-2.核分裂の暴走という「即発臨界」事故を隠す
*志賀1号機の臨界事故隠しは、定期検査中に制御棒(89本。長さ4.5b)の駆動装置の作動試験中、駆動弁の操作ミスから制御棒3本が脱落し、制御棒を戻すまでの約15分間(最初の警報=同日午前2時18分43秒)局所的に臨界がつづく
*日本原子力技術協会(石川迪夫理事長)が事故状況について、制御棒の抜ける速度や順番を最も厳しい条件で分析したところ「臨界発生6秒後から」核分裂が暴走する「即発臨界」が発生し、「0.3秒程度」起きている可能性があると発表した(4月11日)
:この「即発臨界」で炉内は瞬時に認可出力の「約14l」に達し、間もなく「0.26l」に落ち着いたとしている。燃料棒の温度は「約150度」になったと見られる。核分裂が一気にすすみ、燃料棒の温度が2,800〜3,300度を超える状態となれば、核燃料が破壊され、水蒸気爆発、水素爆発などにつながる恐れがあるが、このケースでとどまったのは定検中で全制御棒の挿入状態からの3本の脱落だったことによる
*相次いで判明した制御棒トラブル
:表4.のように相次いで制御棒トラブルが隠しが発覚した。また、制御棒が誤って挿入された事例も6機(女川1号機、同2号機、福島第一=2号機で2件、柏崎刈羽3号機、浜岡1号機で2件、同2号機、同3号機)で発覚した
:いずれも沸騰水型軽水炉(BWR)で炉心上部に気水分離器があるために下部から水圧駆動で入れる構造になっている
*一連の制御棒脱落事故は、安全上、もっとも重要な制御棒駆動に問題があることを示したものである。それが臨界事故に、さらには即発臨界事故にまで至ったことは重大である。これらの事故が隠されたことはさらに重大である。これらは、この系の重大な事故として全面的な解明と万全な対策が求められる問題で、一連のデータ改ざん等の一環としての扱いで埋没させられる扱いは許されない
| 表4.相次いで判明した制御棒トラブル | ||||
| 事故発生日 | 原発名 | 電力会社 | 原子炉メーカー | 事故内容 |
| 78年11月2日 | 福島第1(3号機) | 東京 | 東芝 | 制御棒5本脱落 臨界事故可能性 |
| 79年2月12日 | 福島第1(5号機) | 東京 | 東芝 | 制御棒1本脱落 |
| 80年9月10日 | 福島第1(2号機) | 東京 | 東芝 | 制御棒1本脱落 |
| 88年7月9日 | 女川(1号機) | 東北 | 東芝 | 制御棒2本脱落 |
| 91年5月31日 | 浜岡(3号機) | 中部 | 東芝 | 制御棒3本脱落 |
| 93年6月15日 | 福島第2(3号機) | 東京 | 東芝 | 制御棒2本脱落 |
| 99年6月18日 | 志賀(1号機) | 北陸 | 日立 | 制御棒3本脱落 臨界事故発生 |
| 99年9月30日 | (JOC臨界事故) | |||
| 00年4月7日 | 柏崎刈羽(2号機) | 東京 | 東芝 | 制御棒2本脱落 |
1-2-3.国際基準にもとづく規制機関の不在
. *ここでも日本の原子力の安全規制体制の致命的欠陥を実証
1-3.日本の原発等の耐震安全対策等を放置しての老朽原発の酷使は許されない
1-3-1.「長期連続運転」の実施
*定期検査間隔(インターバル)を現行「最長13ヵ月」を「最長24ヵ月」に延長(来年4月実施)
:定期検査間隔は火力、水力は「最長24ヵ月」とされているが、原子力は除かれてきた。これは原子力の安全性への配慮からであった。これが来年4月から取 り払われる。「長期連続運転」で原発の稼働率の大幅引き上げ(徹底酷使)がねらいである
*アメリカは、21世紀になって原発による発電電力量の最高記録を更新している。アメリカはスリーマイル島原発事故以降、廃炉となった原発は多数あるが、新増設は1基もない。にもかかわらず、原発の発電電力量の記録を更新である。これは原発の稼働率「90l」台という異常な酷使の結果である
−「長期連続運転」の平均は沸騰水型軽水炉(BWR)で「20.5ヵ月」、加圧水型軽水炉(PWR)で「18.2ヵ月」に及び定期検査の短縮は「平均37日」(2001年)、1990年代から半減。最短で「14日16時間」を確保
*原子力安全・保安院は9月10日、福島県双葉郡大熊町で開いた福島県原子力発電所安全確保連絡会議で、原発の定期検査間隔(インターバル)を現行13ヵ月から最長24ヵ月に延長するために、省令を改正し、来年4月から実施する方針を 説明
:県町側は「住民の感情を逆なでするようなことをなぜするのか」(井戸川克隆双葉町長)、
「スケジュールありきではいかがなものか」(阿久津文作県生活環境部長)と懸念を示し、一様に改正は時期尚早で立地地域の理解は得られないと苦言
1-3-2.設計寿命30年〜40年の原発を60年に延長して酷使する「高経年化」対策の実施
*老朽原発の徹底酷使である
*30年を超えた原発は「高経年化技術報告書」を提出し、原子力安全・保安院が寿命延長を認めることになっているが、これまでに13基の原発に認可が出ている
*アメリカは2004年10月までに原子力規制委員会(NRC)は、30基に老朽原発の20年の「運転延長」認可を出しており、その時点で14基の「運転延長」を申請中。また、NRCは「定格熱出力増強」(例えばインディアン・ポイント2号機=PWR、99.5万`hで3.26lの増強)を認可している
*配管・機器の応力腐食割れ
:老朽原発の配管・機器の劣化が問題であり、応力腐食割れが問題である
−1970年代にひび割れが頻発し、応力腐食割れ(SCC)とわかり、新しい改良型合金がつくられ、「原発の材料問題は解決済み」とされた
−改良型合金でも1990年代半ばからGEの研究者などからひび割れが報告され出し、日本ではひび割れを隠して運転していたことがGEの技師の内部告発で2002年8月に発覚、2003年4月には東京電力のすべての原発17基が運転停止したほか多くのBWRが運転停止
−この新しいタイプのひび割れはひび割れの進展方向が曲がりくねったり、枝分かれしたりとタチが悪い。正確な深さの測定がむずかしく、超音波検査で見つけにくいく、配管を切り出して初めてひび割れがわかったり、深さが倍以上あったりした。2002年12月に急遽、導入された「維持基準」にもとづい超音波検査でひび割れを検出するとしているが、どこまで有効か疑問である
−原発の長期連続運転で次のひび割れが予測されている。照射誘起応力腐食割れ(IASSC)である。ひび割れが複合的原因による場合の予測は困難となっている
−女川2号機で、昨年5月に穴が見つかり交換した配管(高圧第2給水加熱器ベント配管:改良型合金製)が運転再開からわずか10ヵ月で同じ場所に再度縦11ミリ、横9_の穴があく(女川2号機は10月11日運転停止)
*原子炉圧力容器の脆性破壊
:原子力圧力容器は延性(ねばい性質)をもつ鉄であるが、ある温度以下で脆くなる現象で、その温度の移り変わりを脆性遷移温度という。中性子照射でこの温度が高くなる。この温度が高いほど急激に冷やして応力がかかった場合などに脆性破壊を起こす危険性が高まる
:老朽原発はその危険が高まる。圧力容器監視試験片データで脆性遷移温度の上昇を見ているが、PWRの観測値のうち高照射のもので40度Kを超えるものが多数ある。BWRで照射量が低いのに40度Kを超える予想外のものがいくつかある。 美浜1号機は90度Kを超えるものもある
:PWRはBWRに比べ圧力容器の径が小さいので、中性子照射速度(したがって照射量)が大きい。だからといって、BWRが照射速度が小さく、PBWに比べて照射脆化がさほど大きくないとはいえないことが明らかになってきた
:老朽原発の60年延長は想定されておらず、圧力容器監視試験片データの準備がない状況をどうカバーするのか、専門家は、現在監視に使われている電力会社の脆化予測曲線は原子炉圧力容器の観測された脆性遷移温度より大きく下回ってると指摘しているが、こうした瑕疵は許されない
1-3-3.「プルサーマル」計画の2010年度からの実施
*「プルサーマル」は玄海3号機、伊方3号機、島根2号機、浜岡4号機で2010年実施をめざす
*「プルサーマル」は使用ずみ燃料の全量再処理の結果生じたプルトニウム過剰事態に対する世界からの日本の核武装化への懸念の高まりに直面しての場当たり対応策である
:プルトニウム過剰事態を本格的に解消するには使用ずみ燃料の再処理をやめ、プルトニウムの安全な処分に関する基礎研究を抜本的に振興することである
*「プルサーマル」の経済的及び資源的メリットはない
:国と電力会社は「ウラン資源の有効利用」を宣伝文句にしているが、もともとはプルトニウム利用の主役は高速増殖炉で、「プルサーマルは」は脇役でしかなかった。世界の主要国が高速増殖炉から技術的・経済的・政治的困難から撤退し、主役が舞台から遠ざかったいま、脇役だけが取り残された状態で、プルトニウム利用の舞台の幕を開けるべきではない
:たとえ「プルサーマル」用のモックス(MOX:ウラン・プルトニウム混合酸化物)燃料を使ったとしても1回しか使えない。MOXの使用ずみ燃料はプルトニウムの質が低下するために再処理に適さなくなり、原発敷地内に長期保存を余儀なくされる
*「プルサーマル」による危険だけが増幅される
:MOX燃料利用の前提としての再処理の危険、MOX燃料加工工場での労働者被曝の危険(住民被曝の可能性も)、MOX燃料輸送の危険、MOX燃料装荷時の労働者被曝の危険、MOX炉心の運転時の危険、MOX燃料の使用後に被曝の危険を増す物質(超ウラン元素など)が低濃縮ウラン燃料と比して大幅に増大する危険…などが、現状の原発の危険にさらに大きく上乗せされるだけである
*「『プルサーマルNO!』全国交流集会 in 愛媛」(9月30日)は昨年の「唐津集会」の成果の上に開かれ、「愛媛からのアピール」を採択した
1-3-4.運転停止中の原発の危険は運転中と同程度
*定期検査の運転停止中の原発で制御棒が抜け落ちる事故が相次ぎ、なかには臨界状況、さらには即発臨界に至った事例があったことは、運転停止中の原発でも運転時と同程度の危険性があ
ることを示した点で重大である
*原子力安全・保安院は運転停止中の原発の安全強化に向け、5月24日、検討会を設置。8月までに指針をまとめる
:運転中の原発について、放射性物質は「多重防護」(@ペレット焼結、A燃料被覆管、B原子炉圧力容器、C原子炉格納容器、D原子炉建屋の五重の壁)で遮蔽され、環境に放出されることはないとしているが、原発を停止した定期検査の場合、原子炉建屋、格納容器、圧力容器まで開放しないかぎり、点検作業は行えない。加えて、点検や修理で、運転中には行わないような操作をするために、作業ミスがあれば、事故が起きやすくなる一方、放射能の遮蔽効果は核燃料棒の健全性に頼るだけの状況で、放射能の環境放出の危険性は高まる
:年間二〜三ヵ月原発を運転停止した際に重大な事故が発生する確率は「100万分の1〜1,000万分の1」程度で運転時の発生確率と変わらなかったとしている
:すべての原発で定期検査の作業手順の見直しが必要になる
1-4.女川原発の周辺海域でヨウ素131(半減期8日)を継続して検出
1-4-1.女川原発の前面(A〜D地点)・周辺(E〜J地点)・対照(K〜Q地点)海域での「あらめ」及び「一部の海藻(はりがね及びいそむらさき)」等の環境資料(2006年7月〜2007年10月)の核種分析結果
*宮城県は11月20日、調査結果を発表
:検出されたヨウ素131の濃度範囲は、発電所前面海域では「ND(検出限界未満)〜0.30ベクレル/kg生」、周辺海域では「ND〜0.13ベクレル/kg生」、対照海域では「ND〜0.47ベクレル/kg生」。最大値は対照海域の宮戸の「0.47ベ クレル/kg生」(2007年10月)
:宮城県では、1986年のチェルノブイリ原発事故の際、ヨウ素131が「あらめ」も含め種々の環境資料から検出されたが、これ以降は検出されたことはない
:放射能は極微量で環境及び人体に影響はないとしている。ヨウ素131は半減期8日のため、継続した放出源がなければならないが、女川原発について「ほとんど無関係」と報告している
*放出源は不明のまま
1-5.「ふげん」コンクリート強度不足−日本の原発は大丈夫か!?
*福井県敦賀市の新型転換炉「ふげん」(2003年運転終了)の原子炉補助建屋のコンクリート強度不足が今年二月発覚した問題で原子力機構は10月19日、追加調査結果を発表した
:耐震構造上重要な壁を追加調査した結果、12個所36地点のうち5個所10地点で設計基準を満たしていなかった
:今回は地下二階〜地上三階の耐震壁を抜き取り(厚さ25〜150ab)、地下二階を除き強度不足が見つかった。1平方_b当たりにかかって耐えられる力の設計基準値は22.06N(ニュートン)だが、もっとも強度が不足した三階では12.2Nしかなかった
* コンクリート強度は耐震性に直接かかわるもので、中越沖地震を経て原子炉建屋など他の施設の強度は大丈夫かの懸念が大きくなっている現在、今回の調査結果発表は、原発への国民の不信を招かざるを得ない。
*原子力機構は当初、昨年実施した調査で補助建屋の壁6個所34地点中5個所25地点で設計基準を下回っていたことについて、コンクリート抜き取りを請け負ったのが不慣れな会社で調査方法などに問題があったなどと弁解したが、専門機関の委託した今回の追加調査でも強度不足が確認された。原発のコンクリート強度調査はハンマーで表面を叩く式の非破壊検査が一般的で、壁の抜き取りなど本格的な実測調査は不可能。廃炉の「ふげん」だからできた調査である
1-6.使用ずみ燃料中間貯蔵の事業申請
*東京電力などが出資するサイクル燃料貯蔵施設(青森県むつ市)は3月22日、むつ市で計画中の使用ずみ燃料の中間貯蔵施設の事業許可申請を経産省に提出
*最大貯蔵能力約3,000dの施設を一棟目として建設し、2010年12月の稼働をめざすとしている。中間貯蔵施設としては全国で初めて。
*東京電力などの原子力発電所から使用ずみ燃料を年間200〜300d搬入して、最長50年間中間貯蔵するというもの。その後、六ヶ所再処理工場に運んで再処理に回す。概ね15年以内に隣に二棟目の貯蔵施設(約2,000d)を建設する予定。事業費は二棟合わせて約1,000億円
1-7.再処理・高速増殖炉路線に固執
1-7-1.六ヶ所再処理工場の本格操業の8回目の延期発表
*日本原燃は9月7日、使用ずみ核燃料再処理施設(青森県六ケ所村)の本格操業が「来年2月以降」となることを発表
*今年1月、「11月以降」と延期発表しているが、1992年の事業指定を受けてから変更は8回目
1-7-2.「もんじゅ」の運転再開へナトリウム充填
*原子力機構は5月23日、ナトリウム漏れ・火災事故で1995年12月以来、運転を停止している高速増殖炉原型炉「もんじゅ」(FBR、28万`h。福井県敦賀市)で、冷却材ナトリウムの再注入を始めた。ナトリウム貯蔵タンクにガスを送り込んで圧力をかけ、A〜C三系統ある二次冷却系配管のB系統配管で充填作業を開始。約200度の液体ナトリウム約200dが二日間かけてタンクから配管へ移される。順次三系統に計約660dが充填される。事故のあったC系統の配管には六月上旬までに充填される予定。原子力機構は、来年5月の運転再開めざす
:運転再開に向けての改造工事は2005年2月、福井県知事の了解表明を受けて同5月以来、改造工事を強行。改造工事では、計48本あった同型温度計のうち6本を撤去、42本を太く短い改良型に交換。ナトリウム漏れを早期発見する火災感知器544個増設し、遠隔監視カメラ180台を新設した。配管を太く改造したことで、ナトリウム抜き取り時間は50分から20分に短縮。二次系配管室にナトリウム漏れの際に燃焼を抑える窒素ガス注入設備などを設け、事故時の漏えいや燃焼を最小限にとどめる仕組みも新設。ナトリウム再注入はこれらの機器などの試験を目的としている
:運転再開には、手続き上、劣化した核燃料の交換にともなう国の安全審査を経て県と敦賀市の同意が必要
:「もんじゅ」にかかった費用は改造工事費179億円を含めて計約8,827億円。運転再開後は、毎年200億円強をかけて10年間程度稼働させるとしており、総費用は1兆1,000億円にもなる
*同機構は、現在実施している改造工事の機能確認試験を8月30日までに終え、翌日から原子炉全体機能、安全性を確認する最終試験へ移行、試験は140項目にわたる。当初計画から蒸気発生器の全伝熱管861本の探傷試験、一次冷却系配管の警報装置など現在稼働中の機器の検査、ナトリウムの原子炉内循環状況の確認など試験約五十項目を追加・変更するとしている
1-7-3.FBR実証炉研究開発は三菱重工
*経済産業省、文部科学省は4月18日、高速増殖炉(FBR)実証炉の研究開発先を三菱重工に決定したと発表した。「もんじゅ」につづく実証炉の基本設計を2015年を目途に開始するとしている
:三菱重工は2007年度中にも新会社を設立、新会社の資本構成は、三菱重工が90l強、残りは電力大手が出資予定
:現在、三菱重工に約70人いるFBR設計担当の約半分が新会社に移る。
:経産・文科省は数10億円の研究開発費を原子力機構を通じて投じる。実証炉設計に向け研究開発計画の立案を始め る
:これまでの経産省、文科省、電気事業連合会、日本電機工業会、原子力機構の5者による「FBRサイクル実証プロセスへの円滑移行に関する5社協議会」の開発業務を引き継ぐ
1-8.高レベル放射性廃棄物処分をめぐって
1-8-1.交付金の増額
*原環機構は2002年12月以来、最終処分の候補地を公募。最終処分地の選定は、公募への応募を経て@文献調査→概要調査地区選定(2007年頃)、Aボーリング調査→精密調査地区選定(2008〜12年頃)、B地下施設調査→最終処分施設建設地選定(2023〜27年頃)の三段階を経て、最終処分開始(2030年代中頃)とされる
*国は文献調査に応募した市町村に年間2億1千万円の交付金を出すことを決めたが、2007年度からは年間10億円に大幅引き上げた
*橋本高知県知事は「住民の意思を無視した原子力政策は即刻廃止してほしい」と語った
1-8-2.高知県東洋町の出直し町長選挙
*高レベル放射性廃棄物ガラス固化体の最終処分場候補地選定をめぐる高知県東洋町で、出直し町長選が4月22日、行われた
:これに反対する無所属の沢山保太郎氏(63)が、推進派の無所属の前町長田嶋裕紀氏(64)を大差で破り初当選
*沢山町長は「今回選挙結果を重く受け止め、直ちに文献調査を中止してもらいたい」と強調。翌23日、応募撤回と調査中止を求める町長名の文書を国に送付
*原環機構は2002年12月以来、最終処分の候補地を公募。国は文献調査に応募した市町村に年間2億1千万円の交付金を出すことを決めたが、2007年度からは年間10億円に大幅引き上げた
*高知県東洋町の臨時町議会が5月20日、開かれ、核燃料や放射性廃棄物の町内への持ち込みなどを阻む「放射性核物質の持ち込み拒否に関する条例案」を全会一致で可決
1-8-3.鹿児島県南大隅町は誘致に向け勉強会
*税所篤朗町長は「誘致に向けて検討したい」として3月20日、町幹部、町議ら約20人が参加して、原環機構の説明会が行われた。
*伊藤祐一郎・鹿児島県知事は「県として検討するつもりはまったくない」と反対の意向を表明。鹿児島県では、最近、旧笠沙町(現さつま市)と宇検村が誘致を検討したが、いずれも住民や伊藤知事らの反対を受け断念
1-8-4.秋田県上小阿仁村長の誘致撤回
*小林宏晨(ひろあき)村長の高レベル放射性廃棄物最終処分場誘致表明は、県民を驚かせたが、同村長は7月28日、村議会全員協議会(村議7人)、その後、村民説明会(約200人参加)を開催し、席上、村長は「この問題は幕引きする」 「処分場には応募しない」と撤回を表明
1-8-5.電事連に地層処分推進本部設置、原子力機構が研究報告会
*勝俣恒久電気事業連合会会長は9月14日、電事連内部に地層処分推進本部を設置して電力業界としても高レベル放射性廃棄物などの最終処分事業への支援を強化することとし、電事連として全国レベルの広報活動を実施するほか、原子力発電環境整備機構が実施する各地域での理解活動を電力各社が支援する考えを明らかにした。
*日本原子力研究開発機構が9月18日、東京で「高レベル放射性廃棄物の地層処分技術に関する研究報告会」を開き、瑞浪、幌延両深地層研究所などの現状を報告
1-8-6.高レベル放射性廃棄物関連三法案の可決・成立
*三法案が6月6日、参院本会議で可決・成立。来年4月から施行見通し
:原子炉等規制法では、高レベル廃棄物の埋設事業の規制強化、事業への核物質防護措置の義務づけ、第1種廃棄物埋設(ガラス固化体、TRU廃棄物)とそれ以外の放射性廃棄物は第2種廃棄物埋設(低レベル廃棄物、一部のTRU廃棄物)の分類などがある
:特定放射性廃棄物の最終処分法(NUMO法)では、最終処分の対象にTRU廃棄物、海外からの交換・返還される高レベル廃棄物の追加、費用拠出の再処理施設設置者へ義務づける
:再処理積立金法では最終処分の対象が追加されたことにともない積み立て費用が変更できる
*海外再処理委託にともない発生する超ウラン元素(TRU)を含む放射性廃棄物の最終処分に関して、青森県六ヶ所村の古川健治村長は9月11日、「村で一時貯蔵した後、最終処分場へ搬出されると考えている」と村内での最終処分に反対。県は6月、「高レベル廃棄物と同様に深地層処分が必要なものは(高レベルと)同じ方針で対応したい」と県内での最終処分を拒否
1-8-7.医療用低レベル放射性廃棄物の最終処分
*文部科学省は2008年度から企業や大学などの研究機関、病院の2千数百個所から出る低レベル放射性廃棄物(2004年度末現在、総量ドラム缶51万本)の最終処分場整備に乗り出す
*文科省は10年後の完成をめざし、運営主体を日本原子力研究開発機構とし、毎年約40億円を交付するなど、処分場整備のための関連法案を次期通常国会に提出する
*処分場は、敷地面積1平方`bで、深さ5〜15b程度の地下に、50年間にわたり約60万本のドラム缶(200g)を埋設、その後300年間保管する
1-9.自治体の新たな対応
1-9-1.新潟県危機管理監の発言
*「第1回中越沖地震における原子力施設に関する調査・対策委員会」において斎田英司新潟県危機管理監は「これまでの度重なる東京電力の『トラブル隠し』『データ改ざん』などにより、東京電力の信頼が失われているなか、現在は、東京電力自ら『安全である』と言えば言うほど地元は不安になるという状況です」と発言している
1-9-2.福島県の申し入れ
*新潟県中越沖地震による柏崎刈羽原発被災、原発トラブルを受けて、福島県や福島県議会、福島県市長会、福島県町村会、福島県市議会議長会、福島県町村議会議長会の6団体は9月11日、原発の耐震安全性を検証する第三者委員会の設置を国に要望した
*要望書は、@昨年改訂された原発の耐震設計指針にもとづき、原発の耐震安全性を再評価する公平・中立な第三者委員会の設置、A自衛消防体制の充実、避難道路確保など総合的な安全対策強化、B原子力安全・保安院の経産省からの分離…などを求めている
1-9-3.宮城県議会の意見書
*宮城県議会は10月12日の本会議で意見書を全会一致で採択
:「原子力規制を行う組織体制については原子力安全・保安院の経済産業省からの分離・独立などあらゆる角度から検討を行い、中立性が高い責任ある規制体制を確立」
:「原子力発電施設等の安全性の確保と防災対策の確立」
1-9-4.全国原子力発電所所在市町村協議会の「原子力発電所の検査制度の見直しに関する要望」
1-10.一つの世論調査の結果
*「毎日新聞」が8月4〜5日に実施した世論調査
:原発の耐震性に不安を抱く人が91lに達した。柏崎刈羽原発被災を受け、原発の安全規制に対するきびしい見方が増え、原発増設に賛成の人も16lにとどまる
:原発の耐震性については、「非常に不安」56l、「ある程度不安」35lと回答。「あまり不安はない」6l。とくに女性に不安は高く、男性で46lの「非常に不安」が女性で64l
:原発立地県とそれ以外で大きな差はなく、中越沖地震の被害は地域を問わずに大きな衝撃を与えたと分析している
:国がエネルギー確保や地球温暖化防止のために原発推進政策を掲げていることについては、「現状程度でいい」57lで最多。「減らすべきだ」23l。原発増設に賛成した人でも、原発の耐震性に不安を持つ人83l。不安を感じながら「増設やむなし」と考えていると考察している
:国は原発の安全目標として、大事故が起きて死者が出る危険性を年100万分の1以下に抑える案を検討中であるが、国の安全基準を認める人19l、04年調査22lを下回った。「より厳しい基準を」47l、04年調査36から増加。「危険性ゼロでない限り運転停止を」28l、04年調査24lを上回る
1-11.この間の日本の原発情勢はかつてない深刻な状況にある
*柏崎刈羽原発被災は日本列島各地の原発等の危険がかつてなく重大化していることを示す
*この間の原発情勢は「原子力政策大綱」(原発推進政策と核燃料サイクル政策を二本柱)があらゆる面で行き詰まりに直面していることを示している
*その革新的打開が求められているにもかかわらず、国と電力会社は「原子力政策大綱」の居直り的に推進をはかっていることが日本の原発等の危険の重大化の要因である
*日本に国際基準にもとづく原子力規制機関が不在で、安全基準もダブルスタンダードであるもとで「原子力政策大綱」が推進される危険ははかりしれない
*現状の原子力のエネルギー利用が、ウラン濃縮技術、プルトニウム生産技術など核兵器開発の軍事技術利用と表裏一体の関係にあり、これが原発等の危険の淵源となっていることを銘記しなければならない
2、深刻な原発情勢を切り拓く道
2-1.第21回全国総会・交流集会が掲げる緊急要求
*「いまほど原発等への住民監視が必要なときはない−苛酷事故の未然防止の力として−」をメーンスローガンに、つぎの原発等の危険に反対する緊急要求を掲げる
@柏崎刈羽原子力発電所被災の全容を第三者機関によって検証すること、その教訓は直ちに公表、全国の原子力発電所の耐震対策に生かすこと!
A原子力発電所周辺の活断層・海底活断層など徹底的に調査し直すこと!
B新耐震設計審査指針の抜本的再検討をいそぐこと!
C耐震安全対策を放置したままに、老朽原発を酷使する「プルサーマル計画」や「高経年化」対策などの実施は言語道断であり、直ちにやめること!
D苛酷事故を前提とする緊急時対策を確立すること!
E「原子力政策大綱」を根本的に見直すこと!
F国際基準にもとづく原子力安全規制機関を確立すること!
*これらの緊急要求は9月の「『プルサーマルNO!』全国交流集会 in 愛媛」が採択した「愛媛からのアピール」が訴えているものであり、現在の情勢にかなったものである
*メーンスローガンは、この全国総会が掲げたものである
:現在の原発情勢の行き詰まりは、大局的には、彼我の力関係の反映であるが、住民運動が大きく追い込んだというよりは、国と電力会社の構造的な傲慢さからくるタイムリーエラーの連続による側面を見ておくことが重要である
:原発等の危険がこれまでになく重大化し、いつ、どこで苛酷事故が起きてもおかしくない状況に至っている今日、住民監視をこれまでになく量的にも質的にも強化することが求められている。住民監視が事故の未然防止の力であるからである
:こうした事情からこのメーンスローガンを掲げた
2-2.共同行動の前進を
2-2-1.緊急要求にもとづく共同行動
*このメーンスローガンをこころに、これらの緊急要求にもとづく共同行動を広く大きく発展させよう!
*対政府、自治体、電力会社交渉の定着
:「事故情報について、住民運動と電力会社が共有」することは、事故の再発防止の最大の保障である。この認識を推進側にも認知させることが重要
:交渉については、住民に原発に対する不安・心配に対して、国や電力会社の説明責任を果たすことを求めることを基調とすることが有効である。この立場を一貫して堅持することが重要である。技術論争などの「空中戦」にしてはならない
:「9.11同時テロ」以来、管理区域への住民の立入は拒否されてきたが、これが粘り強い交渉で徐々に解除され、柏崎刈羽原発被災については格納容器内立入を含む現地調査が8月21日に行われた
:月1回の交渉を定例化しているところも
*原発の危険のリアルな認識
:原発の危険に反対する運動では原発の危険のリアルな認識が起点となる。住民運動がこの起点を忘れては成り立たないことを銘記しなければならない。原発の危険が重大化している現在、住民運動の本格的な強化が求めらているときはない
*国、電力会社の最大の弱点
:「技術的に未確立の原発」について、国、電力会社は「実用化された原発」という立場で「安全」推進をうたっている。この「安全」推進論理・体制に推進側の最大の弱点がある
:安全審査指針類、申請書、安全審査報告などに、国、電力会社が「安全」と強弁する論理、データ、資料がふくまれており、これらにたいする根本的批判が必要である
:この点では、申請書などの住民運動側からの精査・検討の遅れがある。専門家の協力を得て取り組みを強化しなければならない
*全労連、保団連等から原発の安全問題での共同行動の打診があるなど、共同行動への関心は広がっている
2-2-2.緊急要求にもとづく新たな署名運動
*これらの緊急要求にもとづく新たな署名運動をすすめることを「『プルサーマルNO!』全国交流集会
in 愛媛」で確認したが、今回全国総会を契機に、前回署名運動を一回り二回りを超える運動として取り組もう!
*前回署名は「個人署名=28,275筆」「団体署名=552筆」
:この署名は2006年9月4日、2007年11月19日の2回にわたって政府に提出
:この署名数は当センターの到達点であり、住民運動の宝である−全国総会として心から敬意を表する
*署名運動の教訓
:核燃料サイクル施設立地反対会議の活動の教訓
−署名数の大半を集めた
−パンフレット『いまこそ、見直すとき 「満身創痍」の原子力政策』を大量に普及して学習会などを開き、原発や核燃料サイクルなどの危険を語り合いながら共同行動や署名運動に結実させる活動による成果であった。きわめて初歩的かつ基本的な活動の成果であった
:全道連絡会の教訓
−署名運動に区切りを設け、署名運動の宣伝文書を独自に作って署名運動の取り組む
−署名運動の成功のために、各労組・団体めぐりを行う
:全教、民医連等の教訓
−原発の危険から児童・生徒や国民の安全を守るということが関係団体の特徴と重なって取り組まれた
:個人の取り組みの教訓
−「原発が気になる」という人に気軽に声をかけて署名してもらう
2-2-3.共同行動の多彩な形態の追求
*各地で緊急要求実現のために、さまざまな形の共同行動がすすめられている
:茨城県では、年度ごとに県交渉の「共同行動」が取り組まれるが、原発問題の要求項目では、茨城県原発を考える会が責任をもって共同行動がすすめられている
:大阪では、ライフラインの安全問題に取り組む「ライフライン市民フォーラム」に、原発問題住民運動大阪連絡会も加わり、原発問題での安全問題での共同行動をすすめている
:学習会も共同行動の一形態である
2-2-4.「全国交流集会 in 柏崎」の開催(2008年7月19〜20日)
2-3.パンフレットの普及
*パンフレット『いまこそ、見直すとき 「満身創痍」の原子力政策』を「3,865部」普及し、「見直し」署名運動を大きく支える
*『日本での「原発震災」への警鐘−チェルノブイリ原発事故20年ベラルーシ・ウクライナ現地の旅(2006年8月28日〜9月4日)調査報告書』はすでに「770部」を普及したが、今後とも広く普及しよう!
*署名運動を成功させるために新しいパンフレットを作成する
2-4.「げんぱつ」読者拡大
*「げんぱつ」読者が当センターの存在を支え、住民運動を支えている
*前回の全国総会が確認した方針
@巨大立地地域―福島の経験に学び「200人読者」の実現
Aそのほかの立地地域―当面「100人」読者の実現
B加盟労組・団体―方針上に原発問題の位置づけを要請するとともに、原発に関心を抱く構成員を読者に紹介する
この方針について、今回の全国総会を機に、この目標をそれぞれの加盟団体・会員の間で共通課題とする議論から始めようではありませんか!
*この間の取り組み
:読者の拡大=21人(北海道1、岩手6、宮城1、福島1、茨城5、埼玉1、東京2、新潟1、富山1、長崎1、佐賀1)
:購読打切り=51人(青森2、宮城2、福島8、茨城2、群馬1、埼玉3、東京3、神奈川3、静岡2、岐阜3、三重3、長野1、新潟6、富山1、石川3、和歌山1、大阪1、兵庫1、愛媛1、高知1、佐賀1)
:読者の減数=30人(前年度は4人増)
*前回総会方針の棚上げ状況がつづく :原発の危険度の深化に対して主体形成が大きく遅れている
:福島県は目標に達しているが、その他の立地地域の読者拡大の遅れが際立つ。分析的議論が必要
*このままでは当センター存続に大きくかかわる
*「げんぱつ」読者拡大の前年方針を再確認する
:方針の討議からはじめる
*紙面改善のために、各地の運動について通信を
2-5.財政の強化
2-5-1.前年度財政報告
*昨日の全国代表委員会は前年度の財政報告を受け、審議した。会計監査の安達委員の「報告を受け、監査を行いましたが、表記のとおり相違ありませんでした」の報告を了承した
*現状では事務局活動を支えきれない状況となっている
:事務局の代表委員の活動は交通費以外はまったくのボランティア
:全国交流集会の事務局派遣費を現地実行委員会に頼らざるを得ない状況
2-5-2.財政の保障は「げんぱつ」読者の拡大
*「げんぱつ」読者の方針とおりの拡大が財政の確実な保障である
2-6.都道府県センターの強化
*原発問題住民運動能登地域連絡センター(略称=原発センター・能登)が結成総会(9月13日)。原発問題住民運動石川県連絡センターと連携しての活動が期待される
*県レベルのセンター結成の動きも出ている
*全国連絡センターの基礎である都道府県センターの強化は不可欠
*住民運動の継続こそ重要
:そのカギ≠ヘ、役員会と事務局の確立
:「げんぱつ」読者とともに活動をすすめる
:財政の確保
2-7.加盟労組・団体の原発問題の適切な取り組み
*加盟労組・団体にはそれぞれの団体の方針上の原発問題の適切な位置づけを
*新しい署名運動へのご協力を
*それぞれの労組・団体において原発に関心ある構成員を当センターに紹介を
(以上)
(2007.11、第224号3〜11面)
耐震設計審査指針の問題点
(1)-旧耐震設計審査指針の問題点
*今回の原発被災は旧耐震設計審査指針(1981年7月、原子力安全 委員会決定)と「安全審査」体制の致命的欠陥を実証
*「旧指針」は、将来原発敷地を襲う可能性が高い二つの大きな地震(設計用最強地震の基準地震動S1、設計用限界地震の基準地震動S2)を想定し、原子炉施設をAs、A、B、Cに重要度分類して耐震設計がなされる。つまり、いかなる地震に見舞われても大丈夫なように設計されるとしてきた。しかし、二つの大きな地震動について、前者の記録はとられておらず、後者の記録はそもそもありようのないものである。そこで、二つの地震動の「最大振幅」「周波数特性」 「継続時間及び振幅包絡線の径時的変化」を評価して、基準地震動S1、S2が策定される。その際、古い経験式(「金井式」、「松田式」、「大崎の方法」)が使われ、これに電力会社の恣意的な判断が結びついて、設計値が非常に甘く設定される事態が恒常化している
:電力会社の恣意的判断は「活断層の無視」「複数の断層が動くことを無視」「断層の長さを過小評価」…などに現れ、その結果、基準地震動S1、S2がきわめて過小に策定される
:同じ断層の長さについて、電力会社の評価が国の地震調査研究本部の評価より過小である場合が二桁にものぼる
*開発官庁の第一次「安全審査」、原子力安全委員会の第二次「安全審査」は電力会社の申請書を追認するものでしかない
*1995年1月、阪神淡路大震災をもたらした兵庫県南部地震の岩盤上の地震動の記録は日本のすべての原発の耐震設計値を超え、旧指針の基礎の崩壊を示す
:住民運動は旧指針の根本的見直しを要求
:地震動が設計値を超えるケースは6回に及ぶ
*原子力安全委員会は「平成7年兵庫県南部地震を踏まえた原子力施設耐震安全検討会」を設置。同年9月、検討内容に反して「指針は妥当」報告をまとめたが、鳥取西部地震(2000年10月)を経て2001年7月、原子力安全基準専門部会(当時)に耐震指針検討分科会を設置。以来、2006年8月まで48回の会合が行われ、2006年9月19日、「新指針」が決定された
*2005年9月、金沢地裁が「旧指針」に重大な不備があるとして志賀原発2号機の運転差し止め判決
(2)-新耐震設計審査指針(2006年9月19日、原子力安全委員会決定)の問題点
*「新指針」は、第48回耐震指針検討分科会で専門委員の石橋克彦神戸大学教授(地震学)が抗議辞任した後に決定されたことに象徴されるように、「旧指針」の致命的欠陥が改善されたものではない。むしろ、「新指針」は大きな後退を含む可能性さえもつ
*「新指針」は@「はしがき」、A「適用範囲」、B「基本方針」、C「重要度分類」、D「基準地震動の策定」、E「耐震設計方針」、F「荷重の組み合わせと許容限界」、G「地震随伴事象に対する考慮」からなるが、次のような 問題点が指摘される
@「はしがき」では、「新指針」について「今後新たな知見と経験の蓄積に応じて、それらを適切に反映するように見直される必要がある」と書いているが、「新指針」はこの「はしがき」の趣旨に反している
:「新指針」の意見公募では、島根原発3号機の「安全審査」にかかわって、原発の直近で中国電力、保安院、原子力安全委員会がその存在を否定した活断層が発見・確認され、「新指針」の活断層の見逃し問題に意見が集中的に寄せられた。石橋氏はこれら提出意見を真摯に参酌すべきだとして修正意見を提出したが、「議論の蒸し返し」などとして拒否され、抗議・辞任した。「新指針」が新知見の拒否からスタートしたことは象徴的な出来事
:今回の柏崎刈羽原発被災は重要な新知見であり、当然見直しが求められる
A「適用範囲」は新指針の最大の問題点。「許可申請の内容の一部が本指針に適合しない場合」でも、技術改良や進歩等を反映して「本指針を満足した場合と同様それを上回る耐震安全性が確保しうると判断される場合は、これを排除するものではない」としている。これを「判断」するのは電力会社、保安院、原子力安全委員会である。柏崎刈羽原発被災を「想定外」としてきた電力会社、保安院、原子力安全委員会の「判断」に国民の信頼はない
B「基本方針」では、耐震設計の基準地震動が、旧指針のS1、S2の二本立てから「基準地震動Ss」に統一され、「高度化された」としている
:「基準地震動Ss」は、「敷地ごとに震源を特定して策定する地震動」及び「震源を特定せず策定する地震動」の二つの枠組みから策定される
前者の地震動は、敷地周辺の調査から検討用地震を設定し、「応答スペクトルに基づいた地震動評価」及び「断層モデルに基づいた評価」の双方が実施される。「応答スペクトルに基づいた地震動評価」は「旧指針」と同様の手法で策定される。「断層モデルに基づいた評価」が新しい手法である
後者の地震動は、特定できない地震として、旧指針では、M6.5の直下型地震が震源距離10kmに起こると想定して、設計用限界地震の一つとして評価してきたが、「新指針」ではM6.5以上もありうるとして、従来の一定規模の地震を想定するのではなく、「震源を特定せず策定する地震動」を基準地震動として別途に算定するとされた。それは申請時の最新の知見にもとづいて個別に確認するとされた
これでは、「新指針」の「高度化された」とする内容は国民には伝わってこない
−新潟県中越地震の「断層モデル」について、@気象庁や防災科学研究所などの余震分布の分析から日本海側から南東の陸地側に下がる南東傾斜タイプと指摘され、A産業技術総合研究所は南東傾斜タイプを主断層としながら、海側の北西方向へ下がる枝分かれがあると北西傾斜タイプも指摘、B国土地理院はGPSなどがとらえた地殻変動から北西傾斜タイプを提案、C東大地震研究所の佐藤比呂志教授は北西傾斜であると分析、陸部の長岡平野西縁断層群の「鳥越断層」とつながる可能性を指摘している。新潟県中越沖地震の「断層モデル」は現状では、南東傾斜タイプが一応確認されているが、詳細はこれからの検討を待つ以外にない。現実に起きた地震の「断層モデル」の検証でさえ、これほどむずかしいのであるから、「新指針」の 「断層モデルに基づいた評価」の新しい手法がどこまで現実的 かは疑わしい
−この「基準地震動Ss」について「周辺の観測記録に基づいて策定するようにしたが、その記録が十分信頼性をもっているか疑わしい。最新の手法で調査、評価しても、活断層を見逃すことはありうる」(大竹政和東北大名誉教授)前提に新指針は立っているとして「残余のリスク」の具体化が課題と指摘する。しかし、この「残余のリスク」問題が具体化される保障はない
B「基本方針」では、従来の「建物・構築物は原則として剛構造」が削除され、「重要な建物構築物は岩盤に支持」 は「十分な支持性能を持つ地盤に設置」にかわった。免震構造の導入第四紀層(約170万年前以降に堆積した若い地層)への立地を念頭において、耐震安全上の恣意的判断の領域が大きく拡大された
:「新指針」の「適用範囲」「基本方針」で、電力会社の恣意的判断の領域が大きく拡大されている。国と電力会社に性善説が通用するとは考えられず、これがいかようにも悪用される危険が大きいのが現実である
*「新指針」の「調査前倒し」は耐震安全性の保障がない
:甘利経産相は7月20日、原発関連11社社長を呼び、新指針にもとづく調査の前倒しを指示
*「新指針」は従来にはない「遡及適用」
:2006年9月20日、保安院は、電力会社に対して「新指針」にもとづく既設原発等の耐震安全性評価を実施と報告を求める
:石橋克彦神戸大学教授は論文「指針改定の審議を振り返る」(『科学』2007年8月号)で、「新指針」の「遡及適用」の裏側につて、「私以外のすべての委員が、結局のところ、既存原発が1基も不適格にならないような新指針をめざしていたと思われる」と語る
(2007.11、第224号11〜12面)