福島県連絡会が東京電力へ「申し入れ」
     活断層・海底断層の徹底した再調査を


 原発の安全性を求める福島県連絡会の代表らは12月20日午後、東京都千代田区新橋の東京電力(東新ビル)を訪れ、「新潟県中越沖地震による柏崎刈羽原発被災を真に踏まえた福島原発の地質・地盤調査を求める申し入れ」(2面参照)を行った。
 この「申し入れ」には、早川篤雄同会代表はじめ、伊東達也当センター筆頭代表委員、中村敏夫代表委員(茨城県)、持田繁義代表委員(柏崎市)、柳町秀一事務局長、小川定之事務局次長、酒井清志事務局員らが参加した。
 東京電力からは、小宮山訓章・原子力センター所長、笹木隆弘原子力センター課長(技術)、原修原子力センター課長(事務)が応対した。
 冒頭、東京電力側から「申し入れ」に対する回答が行われた後、交渉が行われた。
 福島原発に対する地震の影響でいちばん心配される双葉断層(新編『日本の活断層』では断層の長さ「55`b」)調査について、東京電力が「18`b」と過小評価し、今回調査でも双葉断層が上位の地層に「変異を与えていないこと確認するための」調査としていることに対して「これでは申請書の追認でしかない」「これこそ恣意的調査の最たるもの」と追及。これには「場合によって不足しているものがあれば追加することもありうる」との答弁も…。
 また、東京電力が半径50`圏内には「M5」以上の地震はないとしていることに対して、福島第二原発西方2`地点を震央とする地震(1920年12月20日)があったことを指摘し、再調査を強く求めた。
さらに、海域調査について、福島原発に直接被害をもたらした地震が6ケースもあるのに、これらの地震源の海域が今回調査に入っていないことは認めたが、調査範囲を広げることは拒否した。

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  電事連との交渉も

 同日午前、一行は東京都千代田区大手町の経団連会館に電気事業連合会を訪れ、先の全国総会翌日の「申し入れ」の際、残された諸問題についての交渉を行った。

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【警鐘】

●日本の大学の教科から「原子力科」が外されたり、学生の「原子力離れ」が言われてから久しい。原子力産業界は「危機的状況」として政府や大学と連携して人材育成に力を入れるとしている●経産省の調べでは、1994年度に1,793人と最多を数えた国立大学の学生数は、2006年度は137人と10分の1以下にまで落ち込んだ。学科再編で「原子力科」が消えて、統計からの抜け落ちがあるとしても、激減ぶりに変わりはない●不人気の背景として、「日本特有の原子力アレルギー」を指摘する学者もいるが、この間の激減の説明にはならない。基本的には、現状の原発技術が軍事技術の延長からくる非安全性、非経済性の行き詰まりにあることが主因である●平和で安全な原子力開発へ転換してこそ、若者を惹き付けうることを銘記すべきであろう。


(2008.1、第226号1面)



 東京電力株式会社社長 勝俣恒久 様

 中越沖地震による柏崎刈羽原発被災を真に踏まえた福島原発の地質・地盤調査を求める申し入れ

          2007年12月20日
                          原発の安全性を求める福島県連絡会代表 早川篤雄

 中越沖地震による柏崎刈羽原発の被災は、福島県民に驚愕と言い知れない不安を改めてもたらしました。すべての福島県民は、福島原発で地震等による大事故の発生がないように祈るような気持ちになっています。
それは、東京電力(以下東電)も国も、今回のような原発被災が起きることはありえないといってきたからです。柏崎刈羽原発被災が現実に起きたということは、東電と国が「耐震安全」宣言をしてきたことがウソであったことを天下に知らしめました。その点で、東電と国の責任が根本から問われており、当然、東電が今回の原発被災から最大限の教訓を学ぶことは最低の責務の一つです。
 ところで、東電が11月5日と11月27日の二回にわたって発表した「中越沖地震の発生を踏まえた福島原発における地質・地盤調査」の計画は、この際、「原発敷地周辺の活断層・海底活断層について徹底した再調査をしてください」という住民の緊急かつ素朴な要求を満足させるにはほど遠いものです。したがって、以下の諸点を申し入れるものです。納得のいく答弁を聞かせてください。

1.柏崎刈羽原発の断層調査は断層の恣意的判断が問題となった
  東電が行った柏崎刈羽原発のこれまでの断層調査が、陸域でも海域でも恣意的判断できわめて過小に評価 していることに対して、かねがね学者と地元住民から調査のやり直しを求められてきたにもかかわらず、東 電はこれを無視してきました。
  兵庫県南部地震を受けて国の地震調査研究推進本部(「推本」)が行った原発周辺の活断層調査に比べて も、全国7電力会社が敷地周辺の15個所の断層について過小評価をしています。このなかには、東電の柏崎 刈羽原発と福島原発も含まれています。 
  東電は12月5日、新潟県中越沖地震の震源断層とみられる海底活断層について、断層の長さ「7〜8km」とし、 活断層ではないとしていたのに対して、2003年の再評価の際、活断層であったことを認識し、その長さも実 際にはその約三倍の「20km程度」であったことを把握していたことを、一転して公表しました。なぜ当時公 表しなかったのか、私たちには理解できません。これは、中田高広島工大教授(変動地形学)らが指摘して きたもので、中田教授らは柏崎刈羽原発の東電申請書の海底断層調査の原図を検討した結果、東電が断層の 存在を「15本」としていたものは「27本」であり、うち東電が耐震設計に際しての評価の対象にしていたも のが「4本」であったが、「8本」を対象にすべきであったと指摘しています。中田教授らは、これら海域の 断層の認定は当時の知見に照らしても当然下されるべきものであったとしています。
  今回の福島原発での地質・地盤調査は、以上、指摘したような断層の過小評価を絶対繰り返してなりませ んが、東電はこの点での根本的反省をどうのようになされたのでしょうか?

2.福島原発での陸域調査について *<以下( )内は要旨>
 @双葉断層の恣意的調査を根本的に変えること 
 (双葉断層の長さについて、新編『日本の活断層』では「55km」とされているのに対して、東電は「18km」  とし、双葉断層による地震規模は「M6.9」としている。「推本」では最大「M7.5」としており、東電の  過小評価が際立つと批判。しかも、東電が11月27日発表した福島原発での地質・地盤調査について「双葉  断層のうち当社が活動性を評価している区間の南方において、双葉断層を覆っている地層に断層による変  位が及んでいないことを確認するため、浅部の地下探査およびボーリング調査を実施する」としているこ  とに対して、本来、断層調査は、「断層が上位の地層に変異を与えているかいないか」を見ることであっ  て、あらかじめ「変異が及んでいないことを確認するための」調査では、設置許可申請書を追認する調査  に過ぎず、これこそ恣意的調査の最たるものと批判。この点から、双葉断層の全面的に再調査を求める)
 A原発敷地境界で発生した地震を徹底して調査すること
 (福島第二原発の西2kmの常磐線金山トンネル口を震央とする「M6.8」の地震(新編『日本の活断層』−  「46白河」に明記)が1920年12月20日に発生しているのに、東電はこの地震を無視し、50km圏内にはマグ  ニチュード5以上の地震はないとしていることを批判。今回の調査ではこの地震を含めて徹底した調査を求  める)

3.福島原発での海域調査について
 (東電は福島原発の設置申請書で、立地地域は日本のなかでも歴史的に地震の被害が大変少ない地域になっ  ていると記述しているにもかかわらず、これまでに海域で発生した地震によって、6度も原発事故が発生し  ている事実を具体的に指摘。これらの海域が今回発表の海域調査から外されていることを批判し、調査範  囲に入れることを求める)

4.チリ津波級の引き潮、高潮時に耐えられない事態に抜本的対策をとること
 (福島原発の場合、現状のままでは、チリ級津波によって発生が想定される引き潮、高潮に対応できないこ  と、なかでも引き潮時に機器冷却系海水取水が機能せず、冷却材喪失事故に至る危険があることを指摘。  これらの欠陥を放置したまま、建設・運転は許されないとして、重ねて抜本的な対策をとるよう求める)
                                              (以上)

(2008.1、第226号2面



 年末―ガラス固化中断事故、正月早々―油漏れ事故
      六ヶ所再処理施設操業開始またまた延期?

 六ヶ所再処理工場(青森県六ヶ所村)は2月の本格操業開始を前に、アクティブ試験(試運転)の全五段階の第四段階にあるが、昨年末にはガラス固化試験の中断に見舞われ、正月早々には油漏れ事故を起こすなど2月以降の本格操業が危ぶまれる事態となり、9回目の延期に直面している。
 日本原燃は昨年9月、使用ずみ燃料再処理施設の本格操業が「来年2月以降」と発表。1992年の事業指定を受けてから、8回も延期発表してきた。
 日本原燃は昨年12月29日、高レベル放射性廃棄物をガラスで固める工程を中断していることを明らかにした。
 高レベル廃棄物廃液を混ぜた液体ガラスが粘っこくなり、金属容器に注入する速度が通常の倍ほどかかったのが中断の理由であった。
 ガラス固化工程では、ガラス溶融炉の温度について、約1200度前後(約1100〜1250度)に安定的に保つ必要があるとされる。
 日本原燃は溶融炉内をいったん空にして内部をカメラで点検したうえで試験を再開する。
 このため、現在すすめている試運転第四段階は年明けになることが確定。試運転の第五段階は当初の3.5ヵ月を3ヵ月に短縮しているが、それでも、大幅な短縮をしない限り、試運転終了は3月以降にずれ込む可能性が高い。
 加えて日本原燃は1月1日、再処理施設の前処理建屋3階にあるせん断機油圧装置B室で、せん断機駆動用の油約800gが床に漏れたと発表した。事故当時、使用ずみ燃料をせん断中だったが、せん断を停止した。
 日本原燃は11日、「金属疲労で油圧供給管の継ぎ手部品(外径15_、内径6_)が破損したのが原因」と発表した。継ぎ手部品はほぼ破断状態となっており、新規品と交換。油漏れの際は油圧ポンプを自動停止させる措置を検討という。


(2008.1、第226号3面)




 柏崎刈羽原発被災から半年
    東電は「復興マネー」全開しているが
         全容の徹底解明なしに復興はない


 柏崎刈羽原発被災から半年…。7基全基の運転停止に追い込まれた東京電力は、巨額の「復興マネー」を投じて、運転再開へ躍起である。
 「頑張れ新潟プラン」―被災地新潟県をめざす東京電力の社員や家族たちの観光バスツアー。同社が昨年8月、新潟への旅行に限って、福利厚生の旅費補助を最高14万円に倍増するなどの特別措置をとる。原発被災の風評被害による観光客の激減を受けてのもの。
 同社社員は約3万8000人。家族を含めて約10万人。この特例措置で新潟入りした社員らは延べ約7万8000人近いとか。特産品購入も約4億円に上るという。
 同社は12月5日、現金30億円を新潟県に寄付すると発表した。同社の寄付は1995年、阪神淡路大震災で日本赤十字社へ贈った義援金1億円が最高額。その同じ日、同社は、今回の中越沖地震の震源断層となった海底断層について、「長さは7`bで活断層ではない」としてきたものを、1993年の再評価の際、「長さ約20`bの活断層の可能性がある」ことを認識していたが、公表しなかったことを発表した。
 「寄付」と今回の「公表」が重なったことについて、同社は「偶然」と釈明するが、「公表」の緩和剤としての「寄付」ととるのが常識的であろう。
 同原発に働く労働者は約5,700人。うち社員は1000人余。圧倒的部分は下請け、孫請けが占める。昨年7月の原発被災で自宅待機者がでると、草むしりなど普段はやらない仕事を発注して解雇・休業対策とした。
 一方、経産省は昨年11月、「復興支援」として柏崎市と刈羽村に電源三法交付金の約41億円上乗せを発表。同交付金は電源開発設置、運転の円滑化に使われるもの。「原発立地等が円滑にすすまないので使い切れずにだぶついた交付金を回しただけ」と清水修二福島大学教授(財政学)は指摘する。
いずれも、原発運転再開めざす「復興マネー」だが、肝心なことは、今回被災について、第三者機関による全容の徹底かつ公正な解明である。国も同社も、これにまったく手をつけないで、「復興マネー」全開では事態の打開はできないことを銘記すべきであろう。



(2008.1、第226号4面)



 世界の原発市場での受注合戦!
      「東芝-WH」「GE-日立」「アレバ-三菱」
            の三陣営が入り乱れて争っているが…


 世界の大手原発メーカーは東芝=米ウェスチングハウス(WH)、米ゼネラル・エレクトリック(GE)=日立製作所、仏アレバ=三菱重工の三陣営に集約されるが、中国はじめアジア、アメリカ、アフリカなどの市場で原発の受注合戦に乗り出している。
 GE・日立陣営は、GEの販売力と日立の原発建設の実績を軸に、世界最大の原発大国・米国に焦点を当てる。1979年のスリーマイル島原発事故以来、新増設はないが、2005年の税制優遇措置を盛り込んだ新エネルギー法が成立して、電力会社は新規計画を相次いで発表、激しい受注戦がつづいた。
 東芝・WH陣営は、東芝が「二つのタイプの原発」を持つ強みを売りにしている。東芝は、日立・GEと同じ沸騰水型軽水炉(BWR)メーカー。三菱・アレバは加圧水型軽水炉(PWR)メーカー。それが東芝がWH買収(2006年2月。約4,780億円)により唯一両方の炉型を持つことになった。燃料から原発建設まで手がけることをめざし、カザフスタンのウラン鉱山の権益も取得。さらに、再処理も視野に入れ、主戦場の米国や中国で受注戦にしのぎを削っている。
 アレバ・三菱陣営は、「PWRが世界需要の7割を占める」とされるPWR同士の連合。アレバ独自のヨーロッパ軽水炉(EPR,第一号機をフィンランドで建設中)に加え低コストの中型炉開発で新興市場を狙う。
 しかし、「市場拡大に沸く原発ビジネス」といわれるが、中国市場などを除けば、それほど建設熱が高まっているわけではない。原発の安全・コスト問題は残っている。
 米国では、中間選挙での民主党圧勝を受けて、ヒラリーショック≠ェ走った。当時、次期大統領ヒラリーの実現が確実とされ、税制優遇措置が無効にされるとされ、銀行の貸し渋りが広がり、新規計画が具体化しなかった。
 中国では2007年、WHが4基の原子炉本体を受注したが、親会社の東芝を横目に、うち2基の蒸気タービンを三菱が取ったとされるように、メーカーにとってきびしい状況であることに変わりはない。



(2008.1、第226号5面)



各地からの便り


  ―意気あがる地域連絡センター定期総会―
      柏崎刈羽原発被災の現地を訊ねて
          原発問題住民運動全国連絡センター代表委員・中村敏夫

 昨年12月23日、私は新潟県の「原発問題を考える柏崎刈羽地域連絡センター」の定期総会に招かれた。現地に着くとすぐ持田繁義代表(柏崎市議)の車で市の中心街を案内された。市内には規模の大きい被災住宅や廃棄物集積場が設置され、駅前商店街もやっと三分の一くらいが店を開いている状況で、地震に襲われたときの凄まじさが想像され、言葉を失った。
 総会の冒頭、持田代表は、被災住民を守る緊急性と住民運動の役割を訴え、「げんぱつ」情報紙の読者拡大に取り組む決意をのべ、年内に「100人読者」を実現し、来年7月、柏崎市で開催する全国交流集会までに「150人読者」を、さらに全国総会目標「200百人読者」をめざすことを訴えた。
 総会には約50人が参加したが、私は参加者の被災に心からお見舞いをのべた後、テーマを最悪の臨界事故隠しと柏崎刈羽原発被災の重要性に絞って報告した。
 私は最後に、住民監視の共同行動が世論と自治体を動かしはじめていることを強調、「げんぱつ」読者を拡大して、来夏の全国交流集会に茨城県からもバスで参加する決意を伝えた。集会直後、参加者からカンパ「3万円」を預かった。


  「防災計画」見直しと川内原発周辺の
      活断層調査を鹿児島県知事に申し入れ
          原発の危険に反対する鹿児島県連絡会

 原発の危険に反対する鹿児島県連絡会(祝迫加津子代表)は1月17日、伊藤祐一郎知事に対し、「原子力防災計画」の見直しと川内原発周辺の活断層調査について、申し入れを行った。日本共産党まつざき真琴県議、井上かつひろ薩摩川内市議らも参加した。
 県からは福田大三郎原子力安全対策室長らが対応した。 住民運動側は、昨年12月、実施された原子力防災訓練が「緊張感がない」などの「声」が聞かれたことに触れ、「苛酷事故や地震など複合災害に対応したものに『防災計画』を見直す必要がある」ことを強調した。また、全国の原発立地地域で「活断層」を無視してきたことが明らかになっていることを指摘し、川内原発の周辺に活断層はないのか、県民に公表するよう求めた。
 同会は同日、真部利応・九州電力社長に対し、「高経年化」対策の中止と活断層徹底調査を申し入れた。


  新潟県中越沖地震で東電社長へ公開質問状
      NPO法人世界&日本のエネルギー労働者と連帯する会

 NPO法人世界&日本のエネルギー労働者と連帯する会(代表理事鈴木章治)は昨年10月29日、「中越地震における柏崎刈羽原発に関する公開質問状」を勝俣恒久・東京電力社長に提出。公開質問は、情報公開・運転再開・今後の対応・経営方針・労働者の生活と安全の確保問題などの5項目に及び、11月15日までに文書回答を求めた。指定日までに回答はなく、11月27日、口頭回答。回答への対応を検討中。


(2008.1、第226号6面)



 岩井孝論文「MOX燃料の『リサイクル性』」
      『どうするプルトニウム』(リベルタ出版所収)
          「資源の有効利用」というプルサーマルの
               ウソを具体的なデータにもとづいて解明



 この論文は、日本原子力研究開発機構労働組合委員長で、核燃料問題の専門家である岩井孝氏が書いたもので『どうするプルトニウム』(リベルタ出版・2,000円)に収められている。
 この論文は、プルサーマルが「エネルギー資源の有効利用」に役立つという政府の宣伝に対して、具体的なデータをもとに、その虚構を批判している。
 論文は、再処理で回収したプルトニウムをMOX燃料として使うとしても、その使用ずみ燃料を再処理して再びプルトニウム使用することは事実上不可能であると指摘。「一回使い捨て利用のせいぜい1.5倍程度の有効利用」として、「むしろそれにともなって有害なことがさまざま発生する」として、三つの問題点を指摘している。

 @使用済み燃料を再処理して回収したプルトニウムで製造するMOX燃料には、多種のプルトニウム同位体が含まれている。それらの同位体について、燃えやすさを表す「等価フィッサイル係数」にもとづいて、高速増殖炉による利用とも比較しながら検討している。プルサーマルでは、プルトニウム238・242、アメリシウム241などのプルトニウム同位体が、「中性子を無駄食いする『毒』として作用する」ことに加えて、プルトニウムを長期間燃やすとプルトニウムの高次化がすすみ、この作用を増幅する

A再処理したプルトニウムに含まれるプルトニウム241がアメリシウム241になり、等価フィッサイル係数は下がるため、MOX燃料を作る際にプルトニウムの含有率(プルトニウム富化度)を上げ続けなければならない。

BMOX燃料を再処理すると、プルトニウムの高次化にともないネプツニウム、アメリシウムやキュリウムなどの「超ウラン元素」(TRU元素)の生成量が増加する。214万年の半減期を持つネプツニウムは、高レベル放射性廃棄物処分で大きな問題になると指摘している。

 加えて、プルサーマルは、再処理工場の危険、MOX燃料加工工場の危険、MOX燃料輸送の危険、MOX燃料装荷時の原発労働者被曝の危険、原子炉運転の危険、最終処分の危険などが加重される。
 「百害あって一利なし」のプルサーマルではある。


(2008.1、第226号8面)



 チェルノブイリ原発事故F
     「被災三国」の被害の特徴



 チェルノブイリ4号機事故で放出された放射能は、ベラルーシ、ロシア、ウクライナ(以下この順)に大量に降下した。被災3国の被害の特徴を見ると、ベラルーシは、放出放射能の7割が降下、被災面積と被災者割合は最大である。原発30`圏から13万5000人の住民が強制避難。甲状腺がん患者が最多である。国土の23l、47,700平方`bが汚染された。農業面積2,600平方`bが汚染、林業被害も31〜51lの森林が汚染され、200万立方bの木材が失われた。200年12月現在、157万1000人が汚染地域に住む。ロシアは、放射能汚染面積が最大である。5万2400人が強制避難。178万8600人が汚染地域に住む。ウクライナは、被曝者数が最大。汚染レベルが最大。16万3000人が強制避難。「石棺」と放射性廃棄物の「ゴミ捨て場」となっている。同じく汚染地域に住む人は114万813人。原発事故後に事後処理に当たったリクヴィダートルは、最も厳しい時期(1986〜87年)は7万371人、16万人、6万1873人。それ以降は3万7430人、4万人、48万8963人となっているとされる。


(2008.1、第226号8面)