

タンカーやコンテナ船などの大型船では2サイクル(2ストローク)ディーゼルエンジンが用いられます。ところで世界で一番熱効率が良い熱機関はハイブリッドエンジンでも原子力エンジンやジェットエンジンでもなく、これら舶用大型ディーゼルです。最近では熱効率50パーセントを超えるものも出現しており、白熱電球の効率が約5パーセント、乗用車の効率が約35パーセントということを考えると驚異の数値です。余談ですが人間にとって一番熱効率の良い交通手段は自転車だそうです。
| ディーゼル機関 | 蒸気タービン機関 | ガスタービン機関 |
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| 現在の商船で最も多く用いられるのがディーゼル機関です。大型船では2サイクルディーゼルが用いられ、毎分60〜150回転と極めてゆっくり回転します。2サイクルですので吸気(2サイクルでは掃気といいます)はシリンダライナ下端の穴で行い、排気は上部の弁で行うという独特の形式が採られています。また効率を考えて、海水を利用したインタークーラーとターボチャージャーが数基備わります。なお、プロペラ軸がクランクシャフトに直結しているため、後進時はエンジンが逆回転します。また大型エンジンはセルフモータではなく、圧縮空気をシリンダに送ることにより始動させます。 | ボイラや原子炉で造られる高温高圧の蒸気を利用してタービンを回し、推進力を得るのが蒸気タービン機関です。廃熱を再利用する<抽気システム>、多筒タービンの採用、圧力に応じたタービンブレードの併用など熱効率を有効に利用するための工夫がされています。容易に10万馬力以上の高出力が得られること、そして振動が少ないことから石油ショック以前は豪華客船、タンカー、コンテナ船など多くの船に採用されました。しかし燃料消費量が多いことから現在はLNG船、原子力船でしか用いられなくなりました。ディーゼル機関の大出力化と信頼性アップがその衰退に拍車をかけたとも言われます。 | 航空機のターボプロップエンジンと同じ原理を利用してプロペラ軸を駆動するのがガスタービン機関で、小型高出力が特徴です。またディーゼル機関や蒸気タービン機関が熱応力による影響を考慮しなければならないためウォーミングアップにかなりの時間を要すのに対し、このエンジンは始動後直ちに最高出力まで上げられるのが最大の利点です。燃料が高価なため迅速性が命の艦船や巡視艇、高出力が必要なジェットフォイルやホバークラフトなど特殊な用途に限られます。 |
| 油清浄機 | 燃料油ヒータ | 発電機 |
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| 船ではコスト削減のため、極めて低質な燃料<C重油>が使われます。不純物が多いことからこのままでは精密なディーゼルエンジンの使用に耐えないため、油清浄機を何度も通されます。油清浄機は、遠心力によって作られた地球重力の何千倍もの力により不純物を分離するいわば遠心分離器です。因みにボイラは少々不純物が混入していても問題ないため、蒸気タービン船には燃料用清浄機を備えないものもあります。 | 低質のC重油は常温での粘度が高いため、使用に際して加熱する必要があります。燃料の粘度を低めてエンジンへスムーズに送る為、蒸気を使用して加熱するのがこの燃料油ヒータです。 | 舵を動かし、エンジンを制御する電気は船にとって重要なもののひとつです。そのため、船には電力需要を十分賄うことができる多数の発電機(3相交流440ボルト)が設置されており、火災時等の緊急用のものも整備されています。常にコンピュータが使用電力を計算し、各発電機を自動的に負荷配分したり発停しています。発電機原動機にはディーゼル機関と蒸気タービン機関が用いられるのが一般的です。最近はメインエンジンのプロペラ軸に取り付けられたものもあります。 |
| 排気ガスエコノマイザ | ボイラ | 造水器 |
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| ディーゼルエンジンから発生する排気ガスの熱を利用して蒸気を造るのが排気ガスエコノマイザです。1970年代の石油ショック以降、省エネの流れの中で普及し、現在は大型船の標準装備となっています。なお、エンジンが停止している停泊中はボイラが代替します。 | 大型船には必ず1台のボイラがあります。蒸気タービン機関の駆動には500度以上、60キロ以上という高温高圧蒸気<過熱蒸気>が必要なため、写真のような大型ボイラが2台併設されています。ディーゼル船の場合、蒸気の使用先がシャワーや空調機、船上機器など小規模なため、小型の補助ボイラが設置されています。船舶用ボイラは大型なことから点火に失敗すると大爆発しますので取り扱いには注意を要します。 | 大型船には海水から淡水を造る造水器が備えられており、海水を真空容器で加熱して蒸留することにより淡水をとりだします。真空下では約40度で海水が沸騰するため、航海中はメインエンジンの冷却に使われた熱を使う船もあります。通常、1日の船内清水使用量をまかなう以上の造水器が設置されています。 |
| 各種熱交換機 | 空気圧縮機 | 機関室無人化装置 |
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| 機関室に入ると数多くの熱交換機を目にします。メインエンジンの冷却清水を海水で冷やす清水冷却器、潤滑油を海水で冷やす潤滑油冷却器などが挙げられます。最近は、1台の冷却器で多くの機器を冷却する集中冷却方式<セントラルクーリングシステム>という様式を取り入れた船もあります。熱交換過程で態が変わるもの(気体→液体)を<コンデンサ>、そうでないものを<クーラ>と呼んで区別しています。 | ディーゼルエンジン始動のほか圧力計発信器、制御装置、送水タンク、緊急燃料遮断装置など、船内では様々な形式で圧力空気が用いられます。それらの重要施設を支えるために機関室には電動式の空気圧縮機で適宜圧縮空気をつくり、大型の空気槽に約25キロの圧力で蓄えられます。精密機械に使用する制御用空気はさらに、専用の空気乾燥器を経由して除湿しています。 | 現在の商船は機関室無人<Mゼロ>状態で航行できる自動化設備、安全支援設備が完備しています。船内のあらゆる場所に加えて各機関士のキャビンには機関室警報装置が設置されており、<Mゼロ>運転時は機関長と当直機関士のキャビンに備わる警報装置が機関室の安全を守ります。またあらゆる所にセンサーが取り付けられており、図のような制御室の集中監視装置でエンジンの状態を手に取るように知ることができます。 |