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clear.gif (820 バイト) パナマ運河は全長約80キロから成ります。全区間が細い水路となっているのではなく、途中には湖もあります。太平洋と大西洋の水位差を運河の3ヶ所に設けられた<ロック>と呼ばれる閘門で調整させるため、航行にはおよそ9時間を要します。大西洋から太平洋へ抜けるルートをモデルに、パナマ運河の概要と乗組員によるほぼ徹夜での仕事ぶりを見てみましょう。
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パナマ運河の開通日
1914年8月15日

パナマ運河を通航可能な船
・幅員:106 feet(32.3 m)
・全長:965 feet(294.1 m)
・喫水:39.5 feet(12.0 m)

パナマ運河の運賃(米ドル)
・満載時:2.57 / P.C Net Ton
・軽貨時:2.04 / P.C Net Ton
・その他:1.43 / P.C Net Ton

主な航路
・北米東海岸〜極東:43.9%
・北米東海岸〜南米西海岸:8.6%
・北米、カナダ〜欧州:8.6%
・その他:38.9%

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パナマックス船の通過
運河を航行できる最大の船のことを<パナマックス(PANAMAX)>といいます。パナマ運河の可航幅に合わせて建造される船もあるほどです。なお、パナマ運河を航行できない船は<オーバー・パナマックス>と呼びます。毎年、運河を航行する船の実に23%は、パナマックス・サイズの大型船です。

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Area 1 - Gatun Locks

大西洋から入る船は、クリストバル港の防波堤を航過してリモン湾に入り、水路に進入します。大西洋の水位と同一であるリモン湾からガツンロック入り口までの水路長さは6.5マイル(約12km)、幅500フィート(約152m)で、その大部分には水面よりほんの少し顔を出すマングローブが生い茂ります。船はガツンロックにある3つのロックで3段階で85フィート(約26m)の水位上昇します。各々のロック幅は110フィート(約33.5m)で長さは1000フィート(約305m)、ガツンロックの全長はアプローチ部分を含めて1.2マイル(約2.2km)です。

通常、クリストバル沖でアンカーを下ろし、港湾局が指定する通航時間まで待たされます。通航時間が迫るとパイロット(水先案内人)が乗船し、数隻の船団を組んでいよいよパナマ運河へ入ります。船はロックに近づくとタグボートを取ります。ロックに入るとタグボートは機関車に交代、ゆっくり曳航されます。ロックが閉じられると見る見るうちに水位が変化し、次のロックが開かれます。こうして3段階のロックで船はガツン湖と同じ水位にされます。

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Area 2 - Gatun Lake

ガツンロックを出ると広大な人造湖<ガツン湖>が広がります。ガツン湖はパナマ運河に隣接するシャグレ川にダム<ガツンダム>が造成されたことにより、人工的にできました。面積は560.5平方キロメートルで、パナマ運河のガツンロックからゲイラード水路の入り口までの長さ23.5マイル(約43.5km)を横切ります。ガツンダムの2つの堰堤と放水口は、長さ約2.8キロの河川をせき止める能力があります。ダム幅は約920メートルで水面は海抜105フィート(約30.3m)、これはガツン湖の通常水位より20フィート(約5m)高い位置です。

船がガツン湖にはいるとタグボートが放たれ、ブイに沿って自力で航行します。時間調整のため、ガツン湖内でアンカーを下ろす船もあります。ガツン湖はパナマ運河のちょっとしたパーキングエリア、ホッとするひとときでもあります。

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パイロットが持参するGPS
パナマ運河では写真の<CTAN(The Communication, Traffic Management and Navigation System)>と呼ばれるGPS航法装置をすべてのパイロット(水先案内人)が携帯します。この装置は本部および各船のパイロットとも交信可能で、船の動向を把握したり航行情報のやり取りを行います。また本部ではEVTMS(The Enhanced Vessel Traffic Management System )と呼ばれる集中管理装置で運河の状況をリアルタイムに把握しています。

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注水前
ガツンロックでの風景です。機関車にひかれた船が2つめのロックに入り、水門が閉められたところです。
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注水後
注水が終了し、水門が開かれました。1度の調整で水位がかなり大きく変化することがわかります。
パナマ運河の構造−パナマ運河は3ヶ所の閘門(ロック)と3つの人造湖をつないだ全長約80kmからなります。最小水深は約13m、最小航路幅はゲイラード水路の約192mです。運河通峡の平均所要時間は9時間で1日平均37隻、年間1万3千隻以上の船が航行します。

パナマ運河の概要−スペインのチャールズ5世が1534年、パナマ地峡(当時の名はイスマス)を通る運河案の最初の調査を命令しました。しかし最初の建設が始まるまでに3世紀以上を要し、ようやく1880年からフランスの手で建設が開始されました。しかし相次ぐ病気や経済的な理由で建設は難航しました。そのような状況下の1903年、パナマとアメリカが運河の着工に関する条約に調印しました。さっそく翌年にはアメリカがフランス運河会社より権利と所有権を4000万ドルで買い取り、着工にかかりました。そして遂に387百万米ドルの費用と10年の歳月をかけて1914年に開通にこぎ着けました。

以前はアメリカが管理−1977年9月7日、アメリカとパナマはパナマ運河の管理、運営、防衛に共同でのりだしました。 ワシントンDCにあるOAS本部で調印された2つの条約のもと、運河は二国間の絆と協力を強めるよう図られれました。そしてアメリカ政府機関であるパナマ運河委員会が、1979年10月1日より始まったパナマ運河条約履行後から20年間、運河の運営に当たることになりました。そして1999年12月31日、この委員会組織は条約で決められたとおり、アメリカからパナマへ委譲されました。

<第2パナマ運河>計画−船舶の往来が限界に達しつつあるため、パナマ政府は新ルートの建設計画を策定し、2000年10月に国際入札を開始しました。コンテナ船の大型化の流れに対応するためで、従来の2倍以上のコンテナを積んだ船の通峡が可能といわれています。総工費は約60億ドルで早ければ2003年に着工し、2010年の完成を目指しています。

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Area 3 - Gaillard Cut

ガツン湖を出るとゲイラード水路へ入ります。当初はクレブラ水路(Culebra Cut)と呼ばれていましたが、工事の責任者であったデイビッド・デューボーズ・ゲイラード大佐にちなんでゲイラード水路と名付けられました。この水路は長さ8マイル(約14.8km)で、その大部分は岩を削ったものです。パナマ運河で一番大がかりな工事箇所でもあり工事中に土砂崩れが起きたこともあります。まさに巨大な掘削水路、その独特の景観から客船では人気のスポットです。運河で最高峰である海抜587フィート(約179m)のゴールド・ヒルを左に見ることができます。なお、ゲイラード水路は、当初幅300フィート(約91m)に掘り下げられましたが1930年から40年代にかけて、大型船のために500フィート(約152m)に拡張されました。2001年11月には、さらに約3億ドルかけて630フィート(192m)にされました。対面通航可能となった現在、通航能力は一方通航時より20パーセント増したと言われています。

ゲイラード水路はタグボートの支援なしで航行します。途中には小さな港町や造船所もあり、まるでディズニーランドのアトラクションのようなコミカルな景色が印象的です。夜間はブイや灯台を頼りに通峡します。

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Area 4 - Miraflores Locks

ゲイラード水路を抜けるとペドロミゲルロックにさしかかります。このロックは長さ約0.8マイル(約1.5km)で1つのロックしかありません。ここで31フィート(約9.4m)水位が下げられミラフロアーロックへ向かいます。ミラフロアーロックは太平洋の水位に合わせる最終地点、長さは1マイル強(約1.9km)で船は2つのロックで太平洋の水位まで下げられます。ミラフロアーロックの水門は太平洋の急激な水位変化に対応するため、運河の中で一番大きく頑丈につくられています。

ミラフロアーロックを出ると機関車が放たれます。バルボア港沖でパイロット(水先案内人)が下船すると船長により全速前進「フル・アヘッド」が命じられ、いよいよ太平洋へ旅立ちます。バルボア港に隣接するパナマの街は高層ビルが林立する近代都市で、夜景の美しさが感動です。

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ロックで牽引するのは機関車
ロック内で船を移動させるのはタグボートではなく機関車です。当初は米国GE社製(自重43トン、馬力2万5千ポンド/速力2MPH)のものが使われていましたが、1965年の設備更新の際、よりパワフルな写真の三菱重工業製(自重55トン、馬力7万ポンド/速力3MPH)のものが輸入されました。2001年よりさらに高性能な最新型が、同じく三菱重工業から導入される予定です。

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タグボートがロックまで誘導
ロックに入る前にタグボートを取ります。タグボートに曳航された船体がロックに入ったのち曳航索は機関車へ取り直され、堰門が閉められます。このタグボートはカナダ製で4,400馬力のドイツ製エンジンを積んでいます。運河内では22隻のタグボートが働きます。

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ミラフロアー・ロック付近
手前がミラフロアーロック、奥がペドロミゲルロックです。こうして見ると太平洋(手前)との水位差がよくわかります。

sb_capt.gif (1134 バイト)船長の仕事−運河航行中はパイロット(水先案内人)が乗船します。しかしパイロットは国際的にあくまでも船長の補佐という位置づけのため、事故が発生した場合に責任をとることが免除されています。そのため全責任を負う船長は運河全般を通してパイロットと共に付きっきりで当直を行います。運河航行時間はスムーズなときで9時間、途中で時間調整等が入るとそれ以上にも及びます。その間、食事は船橋で行い、船橋のイスで仮眠しなければならないというハードな1日となります。もちろんアルコール類も控えなければなりません。しかし事実上、パイロットが操船指示に加えて港湾局やタグボートとの通信などほぼ全ての業務を行います。船長は操船指示の最終確認を行い、危険であれば改めて指示する形をとるのが一般的なようです。もちろん、最終判断は船長に委ねられます。

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船橋からの眺め
ゲイラード水路での眺めです。狭い水路ですが大型船が行き会うこともあります。美しい景色が客船で人気、行き会うクルーズ客船はどれも甲板が旅客で溢れていました。途中には小さな街や港、造船所があります。

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レーダ映像
上記ゲイラード水路航行中のレーダ映像です。ヘッドアップ表示で中心が自船、レンジは1.5マイルです。前船との間隔が意外に離れていることがわかります。

sb_c_off.gif (1104 バイト)1等航海士の仕事−3、4名の乗組員と共に船首に位置し、船首にタグボートや機関車をロープでとるときには船側責任者となります。手慣れた現地の作業員がフォアマン(監督)とともに大勢乗船するため、作業の安全確認を行うのが主な仕事です。ゲイラード水路などの狭い水域では、不測の事態に備えていつでも錨が下ろせるよう準備します(これをスタンバイ・アンカーといいます)。これも1等航海士の仕事です。またロック進入時には障害物の有無など周囲の状況を伝える役割も果たします。なお、食事は仕事がない時間を見計らってとらなければならず、運河航行中は船じゅうが大忙しとなります。船橋とはトランシーバでやり取りします。
sb_2_off.gif (1086 バイト)2等航海士の仕事−3、4名の乗組員と共に船尾に位置し、船尾にタグボートや機関車をロープでとるときには船側責任者となります。船首配置と同様、現地の作業員が大勢乗船するため、作業の安全確認を行うのが主な仕事です。また現地作業員の乗下船のためにハシゴを準備するのも2等航海士の仕事です。このほか、ロック進入時には船尾が安全になったことを確認する役割もあります。トランシーバで船橋と交信します。
sb_3_off.gif (1053 バイト)3等航海士の仕事−船長と共に船橋で当直を行います。エンジンテレグラフやバウスラスターの操作、見張り、船位確認が主な仕事です。また必要に応じて港湾局との連絡をテレックスなどで行うこともあります。このほか航海日誌記註のため、ロック通過時刻やエンジン使用状態などの各種記録を行わなければなりません。いわば船長補佐といったところでしょうか。
以上のように運河航行中は乗組員すべてがほぼ徹夜作業となります。ガツン湖で時間調整がなければ仮眠する間もありません。やはりパナマ運河は豪華客船でカクテル片手にゆったり楽しむのが一番では!?

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