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clear.gif (820 バイト) どんな人間社会にも付き物の楽しみ・苦労・怒り・喜び、そして掟。もちろん、船乗りでしか経験できない喜怒哀楽世界もあります。外航船の日本人航海士が日々の生活で耳にした船乗りならではの「ぼやき」を紹介します。
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Ani_037.gif (1008 バイト) 実は意外に大変な上陸−未知の国へ着いたら楽しみなのが上陸。でもスケジュールの忙しい船では上陸も大仕事だったりして。

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↑上陸中の楽しみのひとつが食事です。でもメニューがまったくわからないと大〜変。船が着くところは観光とかけ離れたマイナーなところが多いため、コミュニケーションに苦労してなかなか食事にありつけません。最後の手段は「隣のテーブルと一緒でお願い!」。

貨物船の乗組員は仕事で船に乗っているため、航海中だけでなく停泊中ももちろん仕事があります。そのため上陸は基本的に勤務時間外に寝るのを惜しんで行わなければなりません。下表はケニア停泊中の私の行動記録ですがサファリツアーへ行くにはほぼ30時間、寝ないでガマンする必要があります。船の航路や寄港地によっては停泊時間が僅か数時間の場合もあり、上陸はまさに時間と睡魔との戦いです。貴重な時間を惜しんで上陸しても他の乗組員からお使いを頼まれることもザラで、久しぶりの大地も無念に遠ざかります。しかしスケジュールの厳しい現在の船で上陸できるだけでも贅沢、タンカーやLNG船などの船務が忙しい船では乗船期間を通じて(6〜8ヶ月)全く上陸できないこともあります。やはり船旅は豪華客船に客で乗るのに限るのでは!?。

12:00 昼の荷役当直開始 00:00 夜の荷役当直開始
18:00 荷役当直終了 05:30 荷役当直終了
18:30 ホテルで夕食会 06:00 サファリツアーへ出発
21:50 ホテルから帰る 17:30 サファリから帰る

 

Ani_037.gif (1008 バイト) 病気をしたら、さあ大変−現在の貨物船には医師が乗っていません。医師を代行するのが衛生管理者です。その腕前は??? 乗組員が多かったその昔、貨物船にも医師免許を所持する船医が乗り込んでいました。しかし外国籍船は船医の乗船を免除する国が多くなり、わが国(日本籍船)でも船会社が外航医療事業団という特殊法人(某省庁の天下り先とか!?)に加盟すれば船医の乗船が免除されるようになったため、事実上、ほぼすべての貨物船には船医が乗っていません。そこで船内の治療を行うのが衛生管理者または衛生担当者です。しかしこの衛生管理者という身分がくせ者で、僅か1週間程度の簡単な研修(しかもほとんどが講義)で資格が取れてしまう看護士です。船の衛生管理者はこの研修を終えてばかりの、専門知識どころか薬のこともロクにわからない若手航海士が兼任することもあります。そんなことは外国人船員も察知しており、怪しい医者モドキ(タダの航海士)に診察して貰うぐらいなら港に着くまでガマンすると言う者まで現れたりします。世間では救急救命士の方が気管内挿管を行うか否かで議論が交わされていますが、船ではこんなヤブ医者が緊急時には患部を縫合したり人工呼吸を行わなければなりません。船での病気、事故は命取りかも!?(但し命に関わる切迫した場合には緊急入港をしたりヘリコプターで運ばれます)。ところで豪華客船にはちゃんと船医が乗り込んでいるためご安心を!。
Ani_037.gif (1008 バイト) 税関職員の七変化−禁制品の密輸を水際で阻止する税関。その意外な顔とは?

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↑あやしい船は徹底サーチ。完全武装(ヘルメット、工具持参)した税関職員が大挙して船内を隈無く捜索します。こうして日本の治安が水際で守られています。

乗船勤務を終了して私1人で神戸港を下船したときの出来事です。開放感と共に下船して船横でタクシーを待っていたとき、1台のワゴン車が船に近づいてきました。車種はトヨタ・エスティマで色はライトグリーン、ノーマル仕様のごく一般的なファミリーカーです。「釣り人でもやってきたのかな?」と思っていると茶髪でロンゲのサーファースタイル風若者と、釣り人風のオッサンがクルマからおりてきました。「スゴイ組み合わせだなあ」と思った次の瞬間、満点の笑顔で「ちわ〜ス!、神戸税関で〜ス!」と私に話しかけてきました。もちろん、やましいことは一切なかったので手荷物検査も無事終え、帰路についたのですがハッキリいって税関職員のそのカモフラージュ姿には驚きました。なんでも神戸港と横浜港は近年、海上経由の密輸が急増しているため、ビルや倉庫の屋上そして小型警備艇から怪しい入港船に目を光らせているそうです。ちなみにこのときの船は船齢25年のオンボロ船で、韓国寄港時には私たち日本人船員がベトナム人と間違えられる始末、よっぽど怪しげな出で立ちだったんだろうなぁ(このあとタクシーに乗ったら今度はフィリピン人に間違えられた)。
Ani_037.gif (1008 バイト) 入港船に禁酒、禁ポルノを押しつけるペルシャ湾岸諸国−女性の肌の露出や飲酒を禁じているイスラム教徒が大多数を占める湾岸諸国。他宗教の入港船にもそれらは課せられます。 飲酒や女性の肌の露出を禁じているイスラム教が大多数のペルシャ湾岸諸国。なんと入港する船にもイスラム教の「おきて」が強要されるのです。そのため、湾岸諸国に入港する船は事前に各個人の居室を含めた船内のアルコール類やポルノビデオ、ポルノ雑誌がすべて特定のロッカーに集められます。そして入港後に官憲職員によってロッカーが封印され、入港中は開閉厳禁です。週刊誌やマンガ雑誌に広告掲載してある女性や船内に飾られた人形(博多人形など)も不許可ということで、ペルシャ湾入港前は大わらわです。またゴミ箱の空き缶に残った少量のビールで罰金をせびられたケースもあるとのことで、トラブルの未然防止のため入港数日前から船内は禁酒となります。上陸の楽しみもないペルシャ湾で約1週間ものあいだ、お酒が飲めないのはハッキリ言って辛い!。上陸者へこういった厳しい規則を課すのは理解できるけど、治外法権であるはずの船内にこのようなことを強制するのはやりすぎだと思うのですが(さすがにイスラム教の断食「ラマダン」は強制されませんでした)。いっそのこと日本も「天皇陛下バンザ〜イ」を三唱するか、仏像にお祈りしなければ入港禁止にしたりして。因みにもっとも厳しいのがサウジアラビア、比較的穏やかなのがアラブ首長国連邦、粗品で何とかなるのがイランです。
Ani_037.gif (1008 バイト) 戦争手当が僅かだった忠犬「日本人船員」たち−世界には紛争地域がたくさんあります。そんな危険地帯へ勇敢に向かう船乗りには特別手当が与えられるはず、ですよね!?。

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↑軍用車がごく自然に路上駐車している国もあります。近所迷惑だからって間違っても警察に通報してはいけませんヨ。

イスラエル、イラン、ペルー、インドネシア、ユーゴスラビア、アルゼンチン...。商船は政情不安定な国やその周辺国への寄港も余儀なくされることがあります。かつてイラン・イラク戦争(1980年〜1988年)の際にはペルシャ湾の入り口であるホルムズ海峡がイラン軍により一方的に封鎖されました。世界中のタンカーは浮遊機雷やイラン革命防衛隊の無差別攻撃に怯えながら深夜、忍び足でホルムズ海峡をすり抜けていました。悲劇にも流れ弾や無差別攻撃で被害を受けた船も数多くあり、日本人船員の犠牲者も発生しました。そんなとんでもない危険地帯へ赴く欧米の船員は、船会社に対して200パーセント(月平均で今までの給料の2倍)から300パーセントの危険手当を要求しました。しかし日本人船員に提示された手当はたったの130パーセント(月平均で3割増し)。もちろんペルシャ湾行きは本人の意思次第で「行きたいヤツだけ誓約書に署名するように!」という意思確認が民主的?に行われました。ここで皆さんご察しのとおり、終身雇用制で会社への忠誠心が高かった日本社会では「拒否=臆病者=依願退職への道」につながるため、ほぼすべての乗組員が勇敢にもペルシャ湾へ向かいました。何だかこの半強制の志願スタイルって戦争末期の神風特攻隊の志願や北朝鮮の選挙に似ている気が...。日本人ってエラいなあ。バブル崩壊後、グローバルスタンダードがトレンドになっているニッポン、こういった労務管理もグローバルにしなければいけませんよネ。ちなみに米英のタンカーは自国の艦船に護衛されていたためイラン軍も脱兎のごとく退散したとのこと、それに対して戦争に中立な日本のタンカーは防弾チョッキとヘルメットで身構えていました。
Ani_037.gif (1008 バイト) 現地通貨を手にするまでの苦労−上陸したら必要なのが現地通貨。クレジットカードで済めばいいのだけれど。

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↑完全防弾ガラスで仕切られた南アフリカの両替所(ガラスにカメラが写っています)。客との応対は専用マイクで行います。入り口は片方のドアを閉めなければもう片方が開かない2重トビラとなっており、何とも重苦しい雰囲気。パンフレットを取ったらアラームが鳴りそうでした。

上陸してまず必要なのが現地通貨です。発展途上国を中心に米ドルが使用できる国もありますが、欧州各国(ユーロ移行後はラクでしょうね)や韓国、台湾など経済水準が高い国では現地通貨が必要不可欠です。そこで大変なのが短い上陸時間での両替作業です。タクシーは現地通貨しか受け付けないことが多いため、まず市街地まで米ドルか日本円で行けるタクシー会社探しから始まります。運良く荷役作業員や代理店のクルマに乗せてもらえればラッキーですが、自由時間の都合からそう上手くゆきません。やっとのことでタクシーを呼び、市街地に出たら第2の関門「銀行」が待っています。両替の際に上陸許可証が認められずにパスポートが必要だったり、記入シートの内容が現地語で理解不可能だったりと苦労させられます。また治安の悪い国の銀行は警備が物々しく、入るだけでも気合いがいります。ケニアの銀行は両替所が電話ボックスのように1人づつ隔離されており、背後ではAK-47機関銃を持った警備員が待機、カメラなんて取り出そうもんなら銃殺されそうな雰囲気でした。ところでATMで現地通貨も引き出せるクレジットカードは非常に重宝するのですが発展途上国の小売店では手作業のところも多く、不正されたら大損害を被る恐れがあるため注意が必要です。因みに私はインドで高額商品購入の際に思い切ってクレジットカードを使いましたが、臆病な私はスキミング(カード番号を不正に読みとること)を恐れてカードリーダーに不正がないか店員に嫌がられるほど入念にチェックしました(分解したいのでドライバーを貸して欲しいと言ったけれどダメでした)。
Ani_037.gif (1008 バイト) 上陸中はひとりぼっち−貨物船の平均乗組員数は約25名で、うち日本人はたったの5名ほど。仕事の兼ね合いから、なかなかみんなそろっての上陸はできません。

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↑こういうところをひとりで歩くのはかなりの勇気がいります。まして写真撮影なんて...。

現在の船は稼働率を高めるため、効率的なスケジュールで運航されていることから入港中に作業がない船はほとんどありません。そのため、各乗組員の当直時間が相違するため揃って上陸できるチャンスが少なく、ひとりで上陸しなければならないことがザラです。初めて訪れた未知の国でひとり歩きをするのは気が張ります。またコンテナ船や自動車専用船の出港時間は荷役時間に左右されることが多いため、せっかくの上陸中も船が出港していないか気がかりで落ち着かないこともあります。さて、以下はひとりぼっちの上陸で困ったことです。

困った−1:オーストラリアでの出来事。この日は休日で営業している店が少ないため上陸者は私ひとり。ショッピングセンター前で帰りのサービスバスを待っていたが、なかなか来なかった。既に閉店しておりクルマ通りは少なく、太陽は見る見るうちに地平線へ沈むのでかなり心細い。15分遅れでバスが到着。
困った−2:韓国での出来事。帰りのタクシーを捕まえるが外国人だと知ってことごとく乗車拒否された。5台目でやっと乗車成功、帰路についた。
困った−3:プエルトリコでの出来事。自転車で上陸したが街まで高速道路風の道しか見あたらない。必死になって路肩を走り、市街地へ。ひとりで上陸中のため、食事中や買い物中は自転車が盗まれないか心配でならなかった。もし盗まれたら路肩を歩いて帰らなければ!?(約6キロ。ゲェ〜!)

対策−1:上陸前に街の地図が手に入らないことが多い。そこで縮尺の大きい海図をコピーして持参した。海図の陸地情報は曖昧だが結構重宝した。
対策−2:
最悪の場合を想定して船内用トランシーバを持ち歩いていた。
対策−3:携帯電話(GSM方式)を事前に購入し、船にやってくる物売りから現地で使えるプリペイドカードを手に入れて代理店の電話番号を控えてから上陸した。
対策−4:デジカメで船の停泊場所付近を撮影したのちタクシーで市街地へ。帰りのタクシーで撮影した写真を見せてすんなり帰船できた。予備電池を持ち歩くことが肝要かも。デジカメがない頃は周辺の建物や店名をメモ帳に模写していた。

Ani_037.gif (1008 バイト) おそろしく高い船員保険制度−みなさんおなじみの国民健康保険。でも船員のそれは特別なのです。 会社や事業法人に属する人に与えられるのがおなじみの健康保険です。しかし船乗りは特殊な職種のため、船員保険という独自の保険制度に加入しなければなりません。船員はいまだにリスクの高い職業に分類されるため、厚生年金の保険料も破格で毎月の控除額の大きさといったらそりゃあスゴイ額です(公表したいのですがやめておきます)。因みに生命保険会社においても船員は炭坑作業員と同等のハイリスク保険契約者「第3種」に区分されるため、高い保険料が課されます。でも現在の船長や航海士、機関士がそんなに危険な作業に冒されているとは思えないけどなあ。よっぽどバイクで交通戦争をすり抜けながら市街地を駆けめぐるバイク便やビザ配達の方がハイリスクな気がするけど。蛇足ですが船員が陸上勤務員となった場合、一般の健康保険制度に変更されます。
Ani_037.gif (1008 バイト) みなとみなとにオンナがいる!?っていい時代ですなぁ−世界各地を寄港する船。もちろんそこにはインターナショナルでよりどりみどりの楽しみがあります...って、それは30年前の話です。

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↑こういう楽しみがある船は少なくなりました。

日本人船員黄金時代の昭和30年(1955年)代、貨物船は1週間程度の長期停泊が当たり前で休日には荷役がありませんでした。みなとに着くと乗組員のほとんどが停泊当直員に船を任せて一斉に上陸し、夜の繁華街へ消えて行くのがまさに船乗りの醍醐味でした。外泊して朝帰りを繰り返し、乗船中の給料をほとんど使い果たして下船して行く若い乗組員までいたほどです。そして横浜や神戸、大阪などの港町には多くの飲み屋や風俗店が軒を連ね、大勢の船乗りで溢れていました。しかし昭和50年(1975年)頃を境に船の専用船化が急速に進むと同時に24時間荷役が一般化したため、荷役時間が短くて済むようになり、停泊時間が僅かとなりました。また乗組員数が減少し(昭和30年代:60名→昭和50年以降:25名)、外国人乗組員との混乗化や船の大型化が進んで船務は次第に忙しくなります。こうして現在では船乗りがゆっくり上陸できる機会が少なくなりました。今の船乗りが港で楽しむチャンスを得られるのはドック入渠中か不定期航路の小型貨物船に乗船した場合ぐらいでしょう。因みに日本人が比較的多く乗り組むLNG船の停泊時間は約22時間、タンカーは約45時間ほどです。またタンカーがよく寄港するペルシャ湾岸諸国の殆どは船員の上陸を禁止しています。
Ani_037.gif (1008 バイト) 残業手当はありません−勤務時間外労働は残業です。不況ニッポンで蔓延するサービス残業は船では常識!?です。 現在の日本人船員の給与は1日8時間(4時間当直×1日2回=8時間)労働を基準とした完全固定制です。勤務時間外にどんなに仕事をしても給料は一定です。しかし日本人船員の減少とともに船の大型化が進み、また年々国際条約で強制化される作業が増えており、ハッキリ言って残業なしでは船が運航できなくなっているのが実状です。まして当直中に書類作成等をやるのはムリ、残念ながらサービス残業を無くすことはできません。とまあ愚痴をこぼしましたが日本人船員の賃金が世界最高水準となった現在、ガマンするしかないのでしょうね。
Ani_037.gif (1008 バイト) 船乗りは大酒飲みという迷信−「ドランケン・セイラー(酔っぱらいの船員)」という歌があるように船乗りは大酒のみのイメージがあることでしょう。現在の厳しい飲酒管理システムをご覧下さい。 単調な船内生活の楽しみであるのがお酒です。とかく船乗りは大酒のみのイメージがあることでしょう。しかし平成元年(1989年)、アラスカ沖で米国の超大型タンカー「EXXON VALDEZ(エクソン・バルディズ)号」が船長と当直航海士の泥酔が原因で座礁し、大量の流出油によって周辺地域に莫大な損害を与えました。この事故を契機に世界中の用船社や船会社は船員に対する飲酒規則を厳しくするようになります。管理会社によって許可される飲酒量は異なりますが、ほとんどの船会社が航海当直前の飲酒量を制限させたり、船内で販売するアルコール類を船長に監視させたりすることによって飲酒マナーを管理しています。米国の国際石油資本(スーパー・メイジャー)が運航するタンカーの中には、乗船期間を通して禁酒令が出されているところもあるほどです。こうして24時間航海し続ける船、すなわち24時間誰かが航海当直をしている船において当直前の飲酒管理が徹底された現在、みんなそろってドンチャン騒ぎをする機会が少なくなりました。加えて、飲酒量が減った原因のひとつに外国人船員との混乗化があります。日本と異なりフィリピンでは特別な記念日を除いてプライベートな時間であるアフターファイブに晩酌する習慣がほとんどありません。祖国の生活でお酒に慣れていない人が突然の飲酒で量をコントロールできず、ケンカや擾乱トラブルが飲酒の機会に起こることが多いのも事実です。時にはナイフや鉄棒を振り回しての殺傷事件に発展する飲酒時のケンカを防止するため、飲酒に関して厳しい処置を指示している船会社が多いようです。以上、現在の船は良くも悪くも、当直を終えた当直員だけで夜食を前にひっそりと晩酌をするのが一般的となりました。
Ani_037.gif (1008 バイト) 遭難通信の98パーセントがイタズラです−沈没や転覆の際に助けを求める遭難通信。あのタイタニック号事件でも活躍した「SOS」はあまりにも有名です。現在のお粗末な遭難通信の現状とは? 船が不幸にも遭難し、人命の危険がある場合に発信するのが遭難通信です。あのタイタニック号事件で初めて使用された「SOS」遭難通信はあまりにも有名ですが、この遭難通信システムは交信範囲が狭いため、付近に船がいなければ助けを求めることができませんでした。その欠点を補うため、平成11年(1999年)に義務化されたのが「GMDSS」と呼ばれる新しい遭難通信システムです。人工衛星や中短波を利用するため、世界中どこにいても付近の船だけでなく最寄りの海岸局(海上保安庁など)に直接通信することができるのが特徴です。しかし一見優れた通信システムに見えますが船舶ID番号を変更して遭難通信が発信できる(すなわち発信者が特定できない)という大きな設計ミスがあるため、イタズラ発信が絶えず、なんと遭難通信の98パーセントがイタズラとなってしまいました。またGMDSS方式の導入により専任通信士の乗船が免除されたことで通信の秩序が乱れたこと、そして便宜上の船籍国(パナマやリベリアなど)の罰則が比較的甘いということがイタズラに拍車をかけたとも言われています。98パーセントがイタズラということで毎日けたたましく鳴り響くアラームにどの船もウンザリ、遭難通信を受信しても「またかよ...」という気持ちで即刻停止して内容には見向きもしないというのが現状のようです。因みに某国の漁船団は目覚まし代わりに遭難通信アラームを利用しているという始末、また外国人船員はウサ晴らしに遭難通信を連打しているという有様です。完全に機能を失った現在の遭難通信システム、緊急時には衛星電話で船会社や信頼ある国(先進国)の沿岸警備隊に直接連絡した方が確実という悲惨な状況となってしまいました。ところで最近、携帯電話からの「イタズラ110番」が問題になりましたが、イタズラ多発が続くと命の絆である110番までもが誰も助けに来ない船の遭難通信システムのようになりかねないかも。
Ani_037.gif (1008 バイト) 超封建社会「パイロット」への道−航海士として一度は憧れるパイロット(水先人)。その道はかなり険しい、というより悪路かも。 (ひ・み・つ)

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