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スエズ運河は「マルボロ運河」 |
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| ここスエズ運河では水先案内人<パイロット>の乗船だけでなく緊急時に本船を接舷するための小型ボートの積み込みとその作業員<ボートマン>の乗船、照射等の管理を行う電気技師(実際やるのはただスイッチを入れるだけ)の乗船が義務づけられています。乗船者が多いことに気づきますが、そう、彼らは仕事もありますが目的はマルボロです。パイロットと言えばこの国でも有数の高額所得者ですが、そんなプライドもないのか操船中ことあるごとに「マルボロ1カートンくれ」とねだります。拒否すると「それならオレは降りるからあとは知らないぞ」と一蹴、船長を泣かせます。このようなことからいつの日か世界中の船乗りはスエズ運河を<マルボロ・キャナル>と冷笑し、ある外国船はスエズ港湾局を無線呼び出しする際、「マルボロ・キャナル、こちらXXXX号」という始末です。ところで強気に見える彼らが最も恐れるのが断固拒否する韓国人だそうで、パイロットが乗船後にまず確認するのが「この船は日本人か?」です。以前は「うぬぬ、日本人だからと甘えやがって」と思いましたが、こんな些細なことを大目に見て世界第2位の経済大国を成し遂げた“NIPPON”を誇りに思い、最近は「マルボロぐらいくれてやるわ」とあざ笑えるようになった私はもう立派な大人です?。因みにマルボロ以外のタバコは市場で高く売れないとのことで執拗にマルボロにこだわります。エジプトの3大産業は観光、運河運賃、産油と言われますが、イスラム原理主義者によるルクソールでの観光客無差別殺人事件に加えてスエズ運河でのこの殿様商売ではこの国がいつまで続くかは皆さんご察しのとおりですね。写真は両端を砂漠で囲まれたスエズ運河を航行中です。 | ||
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緊張するペルシャ湾 |
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| ペルシャ湾はご存じのとおり政情不安定な国が多いことから海上保険会社から「ウォー・リスク・エリア(戦争の危険がある地域)」と呼ばれて保険料が区別されており、戦争中ほどではありませんが入湾に際して若干の緊張が伴います。巡視中のアメリカ海軍やイラン海軍が付近航行船を呼び出すことは日常茶飯事で、アラブ産油国出港前には積載した原油をイスラエルへ輸出しない旨記載された誓約書に船長が署名させられます。ところで人種の違いからペルシャ湾を「ペルシャ湾」と呼んでいるのはペルシャ人の国であるイランだけで、サウジアラビアなどアラブ人の国では「アラビア湾」と呼び、むやみの外国人が「ペルシャ湾」と呼称することを嫌います。写真はイラン・イラク戦争で爆撃された韓国のタンカーです。 | ||
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幼心を忘れないアラブ人とインド人労働者 |
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| サウジアラビアのジェッダで重機や中古自動車を降ろすときのことですが、アラブ人とインド人労働者は自分の興味があるシャベルカーや高級車を運転したがります。珍しい重機を降ろす順番になるとこぞって運転席に乗り込み、荷下ろしの際に必要のないバケット部分を動かしたり不必要に船内を走り回ったりとまるで子供がおもちゃに群がる様子に映りました。そして目を離すととんでもない位置の自動車や重機が動き始め、制止しようとすると「俺はどうしてもこのフォード・クラウンV6を運転したいんだ!こいつは最高なんだゼ」という始末で手が焼けました。写真はモスクが一際目立つスエズの街です(本文と関係ありません)。 | ||
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アラブでさえ、人種差別はこんなにすごい |
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| 料理長がフィリピン人のタンカーでアラブ首長国連邦のジャベル・ダーナへ入港したときのことです。現地では通常、数名のパイロット兼バースマスターが入港から出港まで船内で宿泊し、食事を共にしますがこの日はシリア人とドイツ人が乗船しました。料理長がフィリピン人だと知ったシリア人がすぐにVHF無線電話で陸側ターミナルを呼び出し、「この船はフィリピン人が主だ。とても汚くて食べられない。食事は陸からボートで持ってきてくれ!」と大声で命令したのです。ビックリすると同時に依然残る彼らの人種差別を垣間見た気がしました。その後よくよく話を聞いてみるとどうやら対象はフィリピン人だけでなく、現地で働く外国人労働者をあたかも差別するように「インド人、フィリピン人、韓国人は不潔でダメだ。なぜこの船には日本人の料理長が乗っていないんだ」と言われました。ここで胸をなでおろす我々日本人がいるかも知れませんが、冷静に考えるとイギリス船などでは日本人を含めた黄色人種を冷笑しているのかも知れません。さらに彼らパイロット下船時に、私が荷物を持とうとすると「なぜ日本人士官が荷物運びをするのだ。Use Filipino!!(フィリピン人にやらせろ)」と言われました。いやあ日本人はお人好しで心が広いなあと感じたと同時に世界でリーダーシップを発揮できない日本の一因は、欧米に比べて長い植民地支配を経験していないため上手く階級社会をコントロールできないことかもしれません。差別の根底には近代の欧米階級社会が根強く残っているのかも知れません。写真はタンカーのガソリンスタンドと言われるアラブ首長国連邦のフジャイラ沖で燃料補給するタンカーです(本文と関係ありません)。 | ||
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こんなにも貧しいイランの人々 |
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| 産油国は総じてアラブの大金持ちのイメージがありますが、イラン(因みにイランはアラブ人ではなくペルシャ人の国です)だけは様子が違います。入港前に乗船する水先案内人を迎えに行ったときのことですが、乗船後の第一声はグッド・モーニングではなく私のポケットのボールペンを指差して「これちょうだい」でした。その後、船橋まで案内するエレベータ内での僅かな時間も惜しまず私が身に着けている靴や懐中電灯などを狙います。そして入港するとたかり目当てに必要以上に多くの官憲、税関職員、検疫官が乗船し、船内のめぼしいものを手当たりしだいに「Give me」します。税関職員の指示で酒や煙草などが保管された保税品倉庫を開けると宝の山を掘り当てたような口調で「このタバコくれ!」を合唱し、乗組員を困らせます。ここで意地を張って「ダメだ!」と言ってしまうとさあ大変、国家公務員の職権を乱用し、船内徹底検査や出港不許可などのカードを切りだして脅迫してきます。そのため入港前には電卓やボールペンなど金目のもの?を片づけて予防します。そして甲板上の古びたバケツや雑巾もうっかり目を離すと作業員にもって行かれてしまいます。そんな彼らですが私たち乗組員にはピスタチュや腕時計、他船でもらってきたと思われる作業服などを売りつけるしたたかさ。こんな国で働く日本人駐在員の方々、本当にお疲れさまです。ここイランでは日本製品はすっかり高級品となってしまい、市場を韓国製品と中国製品が席巻していると聞きました。 | ||
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