憲法調査会とその問題点

2000.10.27 護憲の集い
奥野恒久(龍谷大学大学院)

はじめに

憲法調査会が設置されて: 国民の暮らしの前提としての憲法→政治的議論の争点としての憲法

一 今日の改憲動向の特徴

(1) 弱まる国民の「改憲アレルギー」(≠強まる改憲運動)
・冷戦の終焉・湾岸戦争後の「国際貢献」論、「一国平和主義」批判、政党再編後の護憲政党・護憲学者の変容、大新聞による「改憲試案」
今日の改憲論=9条の改定、新しい権利の明記、首相公選制・国民投票制の導入、公共の福祉の強調、憲法改正を容易に、憲法裁判所の設置など
(2) 「装い」にもかかわらず、改憲論の主眼は9条の改定
・新ガイドラインは、かつての政府の9条解釈の枠をも破る
  ・新しい権利の明記や首相公選制の導入などは国民に受け入れられやすいが、国民が主体的に運動しているわけではない
(3) 強まる改憲の現実性
←小選挙区制の導入、国会への憲法調査会の設置

二 今日の改憲論を支える要素

a. 従来からの「復古的改憲」論−「押し付け憲法」論
b. 「公共性」の待望←モラルの低下、資本主義・競争主義の暴走
c. 財界などの支配層による「新自由主義」戦略−規制緩和政策(渡辺治・二宮厚美)
d. 国民の平和意識の変容←「紛争巻き込まれ拒否」意識による平和意識の弱さ(和田進)
e. 教条的な護憲・平和運動への心理的反発−「さめた」感覚
※長谷部恭男の護憲論

三 改憲論を評価する視点

 
「憲法『改正』・『改悪』峻別」論(田畑忍・上田勝美)、「日々の生活・運動のなかで憲法をつくる」(奥平康弘)という視点
(1) 憲法9条は時代遅れか?9条があるから「国際貢献」できないのか?
→9条を捨てることの意味⇒日本が「殴る側」の国に自覚的に入る(渡辺治)
(2) 今日の改憲運動は主体的な運動か?改憲派は「憲法をいかす努力」をしているのか?、改憲運動が「不断の努力」以上の努力でなされているか?

おわりに

  ・憲法の「改悪」阻止運動を通じて、日本に立憲主義と平和憲法文化を定着させる
  ・憲法について考え、憲法を暮らしにいかす運動+さまざまな護憲運動の連帯への準備