憲法調査会・参考人の発言(9条関係)

 

[参議院憲法調査会]


氏名  西尾幹二    電気通信大学教授      2000/03/22   147-04

発言要旨      我々の憲法の欠点が喫緊の課題においてたくさんある。集団自衛権をめぐる問題です。こういうものに関する数点だけ、憲法の条項の全面改定ではなくて、修正案というようなものを可能な限り早く、一両年内ぐらいに片づけるくらいでなければいけないのではないか。書かなければいけないプログラム、その中には紛れもなく国軍の規定というのがなければならない。


氏名  正村公宏    専修大学経済学部教授      2000/03/22   147-04

発言要旨   憲法もまた、状況が大きく変わったときにはまともに改正を議論すべきである、守られていない条項については、守れなくなった条項についてはどうしたら守れるかということをきちんと議論するということが当然です。平和主義は基本原則として堅持するけれども、国民の生命の安全と人権を守る。外国の勢力が日本のだれかを拉致するというようなことが起こっているという疑惑があるとすれば、これは深刻に受けとめないといけない。


氏名  ベアテ・シロタ・ゴードン      元GHQ民政局調査専門官      2000/05/02   147-07

発言要旨   ほかの国々は、アジアではまだずっと戦争のときの日本の軍国主義を忘れていないと思います。今この平和憲法があるから安心していると思います。しかし、それを今度改正すれば、そこから何が出るかと疑うと思います。


氏名  リチャード・A・プール    元GHQ民政局海軍少尉      2000/05/02   147-07

発言要旨   日本は自衛隊という名のもとに軍隊を持っておられることは事実です。現在のあいまいさは終止符を打つべき。そのために軍隊の役割は防衛に限定すべしと定めるのです。自衛ということだけではなく、国際平和維持活動等にも参加するということで、国連のみならず、国際合意がされる場合もありますので、その中で活動をするといったようなことを明確にし、日本国民及び過去において日本の侵略に苦しんだ国々に対して、二度とそのような行動をとる意思が全くないことを保証することが不可欠でありましょう。


氏名  暉峻淑子    埼玉大学名誉教授      2000/05/17   147-08

発言要旨   九条や前文は非常に立派な条文であり、国際貢献はこのままでも立派にできる。血を流さなくても、血を流すよりももっとすばらしい国際貢献ができますし、世界に尊敬され、信頼され、平和をつくっていくということもできる。今の九条は全く人間の自然に合っているのであって、現状を少しでも改善して、私たちは努力して次の子供に渡していきたい。やっぱり九条というのは、私たちのこういうささやかな人道援助を続ける意味でもぜひ守ってほしい。


氏名  佐高信      評論家        2000/11/15   150-01

発言要旨   憲法九条に基づく平和主義というのは、日本の世界に誇るべき財産だ。九条こそ世界に輸出すべきなのではないか。憲法九条の平和主義は、男女同権規定と絡まって、改憲論者の中にはその二つを結びつけた形で改めるというか、そういう人たちが多い。


氏名  西部邁      評論家・秀明大学教授      2000/11/15   150-01

発言要旨   第二項の意味は、どこをどう読んでも普通の日本語の理解からいえば、侵略戦争をしないためにいわば陸海空軍その他の戦力はこれを保持しないという文章としか読めない。日本人には侵略といわば防衛、自衛というものを区別する能力がないか、あるいは日本人というものは自衛を口実にして必ず侵略に持っていくという、極めて好戦的な民族であるということをみずから認めるか、あるいは日本人は侵略と自衛を区別できない極めて愚かしい民族であるということを認めるか、そういうことを憲法のど真ん中に宣言して独立しようというのはとんでもない国民だ。九条を改正する段階には、はっきりと日本国民には国防の義務ありということを明記すべきだ。


氏名  内田健三    評論家        2000/11/27   150-02

発言要旨   もはや九条問題だけが五〇%を超えて独走するというような調査結果は出なくなった。これはやはり国民の意識、政治意識というものが非常に豊かになり多様化しているということを示しているのではないか。大いに議論を闘わすべき段階、まさに論憲のときが来ている。


氏名  加藤周一    元上智大学教授      2000/11/27   150-02

発言要旨   第九条の武装放棄を含むところの平和主義というのは、先取りの考え方、先取りの憲法だと言っていい。憲法にあらわれていることを実現することが日本の将来を開くのであって、憲法を変えて現在の現実に近づけることが将来を開くんじゃない。米国憲法のシビルライツに似ています。差別は非常に強かった。憲法を変えてそれを現実に合わせたんじゃなくて、憲法に現実を合わせようとしたのがシビルライツです。それは日本の軍備の程度及びその活用の範囲について、活用の仕方について一種の歯どめ、枠をかけてきた。日本の犯した過ちは大きくて、そしてそれに対する対応は十分にできていない、だから地盤ができていない。現在の時点でいきなり九条を変えればそれは反応は非常に激しいと思います。それは日本国の利益でない。

 


[衆議院憲法調査会]


氏名  西修 駒澤大学法学部教授 2000/02/24 147-03

発言要旨   我が国の九条解釈は、ケーディスが現実的でないと思って削除したにもかかわらず、今でもまだ非現実的に解釈しよう、こういう空気が非常に強い。芦田修正と言われるものは、「前項の目的を達するため」という辞句を挿入することによつて、一定の条件の下に武力を持たないということになります。日本は無条件に武力を捨てるのではないということは明白です。


氏名  青山武憲    日本大学法学部教授 2000/02/24 147-03

発言要旨   この憲法議会で九条を論議したこと自体は、法的には無意味であった。なぜかというと、ポツダム宣言で軍が解体されている。我が国は軍を持てないのです。ということは、国防の能力を奪われているのです。国防の責任も負わなくなっているわけです。我が国は半主権国家にすぎなかった。軍を持てないと法的になっている国は、戦争もできないわけです。戦争もできない国が、戦争を放棄するとか放棄しないとか、これが法的に何の意味があるのだと思うのです。


氏名  古関彰一    獨協大学法学部教授 2000/03/09 147-04

発言要旨   押しつけ論というものは、憲法九条との関係で憲法改正が大きな問題になる中で、その後に出てきたと考えざるを得ない。日本があれだけの戦争をした後で、国際社会の中でどう生きていかなければならないのかということを、国際社会との関係の中で必ずしも考えていなかった。政府の言い方は、自衛隊は戦力にまでいかない実力。世界は、国境警備隊も沿岸警備隊も騎馬警察もあり、さまざまなタイプの警察力があり、軍事力とは違った形でピースキーピングをしている。そのときに、軍事力と警察力の関係はどうであるのか、警察力の有効な使用が日本国憲法の精神とどういう関係になるのかという議論を再検討してみるとき。


氏名  村田晃嗣    広島大学総合科学部助教授 2000/03/09 147-04

発言要旨   憲法九条の解釈について、九条第二項、いわゆる「前項の目的を達するため、」という芦田修正が入った結果、憲法九条は、侵略戦争は否定はしているけれども、自衛のための戦争まで否定するものではないという見解が広く持たれている。私も、基本的にこれが正しいと考えております。


氏名  高橋正俊    香川大学法学部教授 2000/03/23 147-05

発言要旨   憲法九条という問題も、一種の瑕疵的なものである、傷のようなものである、国際社会の、冷厳な社会の中で生きていくのは難しい。九条の本来の意味を再確認し、それで十分やっていけるかどうかということを論議をする、これはやはり必要な時期に来た。


氏名  長谷川正安  名古屋大学名誉教授 2000/03/23 147-05

発言要旨   安保と憲法が矛盾している、これは憲法の第九条と安保条約を比較すればだれだってわかることです。安保をなくせば九条は非常にすっきりする。そもそも自衛のための軍備まで捨てるというマッカーサー・ノートから始まった第九条ですから、しかも世界的に監視される中で行われている憲法制定で、あの芦田修正のたった一行で意味が逆転するなんということは皆さん考えていない。


氏名  北岡伸一    東京大学法学部教授 2000/04/06 147-06

発言要旨   九条に手を入れたのは芦田さんです。九条問題と言われること自体がちょっと残念、問題は九条二項問題だ。九条二項については、国家が自衛の権利がない、これは解釈によって権利はあることになったのですが、そして自衛のための軍事組織を持たないというのは、やはりこれは国家の本質に外れる、おかしいと思っております。自衛権というのは、明白に禁じられていない限り存在する。自衛の主たる手段というのは軍事力である、自衛隊は合憲であると考えております。歴史の中で平和が維持されてきたのはなぜであるか。私は憲法九条ゆえに維持されたとは思いません。日米安全保障条約ゆえに日本の安全は維持されてきた。


氏名  進藤榮一    筑波大学社会科学系教授 2000/04/06 147-06

発言要旨   憲法第九条は日本が軍事力を持つことを一切許さずというふうに解釈してまいりましたけれども、そうではなくて、ミニマムな自衛力の保持を想定した上でシビリアンコントロールをするという、この原則が既に出ている。芦田均氏は戦後、日本が独立国家となったときに自衛力を持つ事態を想定し、これはもう世界の常識なんだ、軍事力なくして国際関係は成り立たないし主権国家は成り立たないんだ、そのときを想定して、憲法第九条をつくらなければいけないと考えた。憲法第九条二項で、自衛力を持つことは許容されている。憲法第九条をめぐって、それを変えるとか変えないとか――もう憲法第九条はいいじゃないですか。


氏名  五百旗頭真  神戸大学大学院法学研究科教授 2000/04/20 147-07

発言要旨   第九条の前段、つまり、国際紛争解決の手段としての戦争を行わないという侵略戦争の否定部分、これは堅持する、日本国民の間で広く定着している。しかし、後段部分、陸海空その他の戦力を持たない、国の交戦権は認めないという、そこのところは、削除するか、あるいはもう少し明白に、自衛戦争はその限りでないというふうな説明句をつけ加えるか、三つの戦争のカテゴリー、侵略戦争、自衛戦争、そして国際安全保障上の共同行動への参画というこの三つの中で、あとの二つは可能であるということまで言うか、単に前段のみにして侵略戦争は否定しているということにするか、そのいずれかで検討していくべき。


氏名  天川晃 横浜国立大学大学院国際社会科学研究科教授 2000/04/20 147-07

発言要旨   戦争放棄という章を設けたマッカーサー・ノートが意図したことは、戦争放棄そのものもさることながら、やはり天皇制の問題とのかかわりがあった。天皇制と結びついて軍国主義化ということが考えられていたわけで、それとのかかわりで今の九条の問題が出てきておる。


氏名  小田実 作家 2000/09/21 150-01

発言要旨   憲法第九条が平和主義の一番具現です。戦争のない、戦争をしない、軍備を持たない国なんて大体ない。世界史になかったし、右向いても左向いても大体ない。そういう理念を堂々と掲げて、やる。ないものをあるものにしようとする気概があります。我々は丸腰でいく。丸腰でいくから、あなたもやれ。丸腰でいくのが世界で一番正しいんだ。おれは先覚者である。先覚者として一生懸命やる、この努力を見ろ。その中で我々は生きていこうじゃないかということを堂々と宣言している。その中で我々の安全と生命をこれから保持していくのである、そういう立派な国をだれが攻めてくるんだという気概があります。これで第九条の論理と倫理は完結している。全世界の課題を背負っているから、私は、世界平和宣言だと申し上げているわけです。


氏名  田中明彦    東京大学大学院情報学環教授 2000/09/21 150-01

発言要旨   憲法の前文とか、第九条第一項、第二項すべて読んでも、そこから直ちに、国際連合の活動あるいは国際社会の共通の目的、日本の国家個別の国際紛争を解決するための行動でないものが禁止されていると読む必要はない。ただ、憲法九条第二項というのは、やはり相当あいまいな文章である。国際社会の現実を無視した条項であって、できれば変えた方が望ましい。最小限度、第二項を削除する。第二項削除によって明確化されれば、国際連合の活動に積極的に協力するのは当然のことになろう。さらにより明確化した方がいいということであれば、憲法九条第二項削除の上、そこに日本が自衛権を持つということと、国際社会のために可能な限りの協力をするというような趣旨の文言を書き入れるということは当然あり得る。


氏名  近藤大博    日本大学大学院総合社会情報研究科教授 2000/10/12 150-02

発言要旨   憲法九条の精神をより平易に表現していただきたいとお願いしたいんです。


氏名  曽野綾子    作家・日本財団会長 2000/10/12 150-02

発言要旨   世界が平和を希求しているということは全くの幻想。やはりやりたいのは淘汰であり、勝利であり、力を使って相手をどうやって排除できるかということであろう。


氏名  市村真一    財団法人国際東アジア研究センター所長 2000/10/26 150-03

発言要旨   憲法九条につきましては、第一項も非常におかしい。「武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する。」ということは、いざ日本の周辺に本当に戦争が起こりましたならばこれは守れないということは極めて明らかであります。こういうのは空理空論である。ですから、第九条は全面的に改正せられるべきだ。


氏名  小林武 南山大学教授・法学博士 2000/11/09 150-04

発言要旨   第九条に関する政府解釈は正当性を持たないものであり、圧倒的多数の憲法学説が、現在に至るもなお政府解釈と対立している。九条が全面的に戦争放棄、戦力不保持を公権力に命じたものであるところから、自衛隊を違憲と判断するのが通説的学説の今日まで一貫してとっている見地です。そういう規範的命令の中で、政府が外国と条約を結んで軍隊の駐留を認めるというこのあり方は憲法九条から見て許されない、そのような解釈です。十二条、十三条、二十五条に定めている人々の幸せ、生命、安全というもの、これを九条によって守ろう、九条によってこそ守れるのだというのが憲法の考え方なのです。


氏名  佐々木毅    東京大学教授  2000/11/09 150-04

発言要旨   私の世代などに特徴的な第九条一辺倒の憲法改正の時代と大分様子が変わってきているようです。


氏名  石原慎太郎  東京都知事    2000/11/30 150-05

発言要旨   今の憲法九条は、逆さに読んだって、横に読んだって、日本の言語能力、普通の日本人が読んだら自衛隊は違反です。だから、ただし自衛のための戦力はこれを保有すると三項で入れたらいいということをかねがね言ってきたわけです。日本の九条を礼賛しても、では、どの国が日本に倣って自分の自衛力というものを放棄しますか。


氏名  櫻井よしこ  ジャーナリスト 2000/11/30 150-05

発言要旨   過去五十年間もしくは五十五年間の日本の平和は、憲法九条によるものではない。日米安保条約という軍事力を担保する同盟条約がありましたから、中国もロシアもそのほかの国々も日本に手を出さなかったということは否定することができない。憲法九条の理想はすばらしいと思いますけれども、理想は理想だけであってはだめなんじゃないんでしょうか。


氏名  松本健一    麗澤大学教授・評論家 2000/12/07 150-06

発言要旨   憲法第九条が外国から押しつけられたということは明らか。現在の憲法の第九条を見る限りにおいては、どうしても自衛隊は違憲というふうに判断せざるを得ない。こういうまやかし、あるいはごまかしを、国の基本的な形を決める憲法がしてはいけない、国家がしてはいけない。どこにも、自分の国を守る、国民を守る軍隊があるということは、憲法を見ている限りでは絶対わかりません。自分の国を守り、そしてまた国民を守ってくれる憲法だということを明確にする、そういう組織がある、そういう軍隊があるということをも明確にするために、自衛のために自衛軍をつくる、自衛軍を持つというふうな第三項をつけ加えれば、私は一向に平和憲法の理念自体を壊したことにはならない。


氏名  渡部昇一    上智大学教授  2000/12/07 150-06

発言要旨   自衛権というのは、我々が殴られたら守るというのと同じぐらい、国家としてはあるわけで、自明のこと。九条の方が、国家としてはあり得べからざる条項。第九条というのは、アメリカ軍が当時日本から撤退するなんということは予測し得る将来になかった話で、その前提のもとにつくったものであるということを考えれば、その性格はよくわかる。一国で武装して戦争なんて考えている国は、まあ、お隣にはあるかもしれませんが、先進国ではなくなりました。日本もその先進国並みになりやすいようにすればいい。


氏名  村上陽一郎  国際基督教大学教養学部教授 2000/12/21 150-07

発言要旨   戦争に協力するような研究というものに対しては抵抗するという基本的な理念は自分の中に持っているつもりでございます。