有事3法案に関する主な国会答弁
小泉総理大臣
なぜ、有事法制か?
- 私は、予測し得ないこと、そういうものについては備えが必要でないという考えには理解に苦しんでおります。有事に対していかに万全の備えをするか、まさに備えあれば憂いなし、治にいて乱を忘れず、これが政治の要諦であり、今回の法案提出の背景もその考えに沿ったものである。(4月26日、本会議)
- 平素から国の備えとして当然に整備すべきものであり、特定の国からの武力攻撃をあらかじめ想定しているものではありません。(4月26日、本会議)
憲法との関係は?
- 憲法改正の議論は、するのに何らおかしいことはない。解釈を変えるんだったら憲法を改正した方がいいということも私ははっきり言っているんです。今の憲法のまま解釈を変えるのはかえっておかしくなるというのが私の立場です。解釈まで変えるのだったら憲法を改正すべきだと言っているのが前々、私の一つの主張であります。
(5月7日、委員会)
- それはおかしい点がたくさんあります。例えて言えば、憲法九条もそうです。いまだに自衛隊について、解釈の点において、一切の戦力は保持してはならないということを言っていますけれども、果たして自衛隊が戦力でないと国民は思っているでしょうか。しかし、法律上の問題でこれは戦力じゃないと規定しているのであって、一般国民は、多くの国民は自衛隊は戦力だと思っているのは、常識的に考えてそうだと思います。
(5月7日、委員会)
周辺事態との関係は?
- 周辺事態と武力攻撃事態とは、それぞれ別個の法律上の判断に基づくものでありますが、事態の進展によっては両者が併存することはあり得る。状況によっては、我が国に対する武力攻撃事態が周辺事態にも当たる場合もあり得る。(4月26日、本会議)
国民の権利との関係は?
- 今後、事態対処法制の整備において、国民の基本的人権を尊重するとともに、ジュネーブ諸条約等の国際人道法の的確な実施を確保してまいります。(4月26日、本会議)
- 国及び国民の安全を確保することの重要性にかんがみ、国民にも御協力をいただきたい。(4月26日、本会議)
- 武力攻撃による国民の被害にはさまざまな場合があり、個別具体的な判断が必要であります。補償の問題については、武力攻撃事態終了後の復興施策のあり方の一環として、政府全体で検討していかなければならないものと考えます。(4月26日、本会議)
福田官房長官
武力攻撃の発生とは?
- 国または国に準ずるものによる組織的、計画的な武力、国に準ずるものという規定になっております。(5月8日、委員会)
- 具体的に言えば、ミサイルが着弾したからということではなくて、武力攻撃の着手があったときである。(5月9日、委員会)
- ミサイルが十発飛んできたら武力攻撃か、もしくはミサイルが一発飛んできたら武力攻撃でないのか、こういうふうなことになれば、やはり一発でも十発でも同じことである。規模の大小に関係ない(5月16日、委員会)
公海上の自衛艦への攻撃は?
- 我が国の領域内において行われた場合に限らず、例えば、公海上の我が国の船舶等に対する攻撃が、状況によって、我が国に対する組織的、計画的な武力の行使に当たるという場合も、これも排除されない。(5月8日、委員会)
国民の権利との関係は?
- 法制の整備に当たっては、国民の自由と権利を尊重するとともに、国際人道法の的確な実施を確保してまいります。(4月26日、本会議)
- ここでは、「公共の福祉に反しない限り」ということで憲法十三条の規定があるけれども、集会とか、また報道なんかもそうでありますけれども、こういう自由というものは確保されている、権利として確保されている。しかし、それはあくまでも公共の福祉に反しない限り、こういうことであろうかと思います。(5月9日、委員会)
- 国民の権利、一人一人の権利とか財産の権利とかいったようなもの、これは当然あるわけでありますけれども、しかし、その権利を主張し過ぎて、その結果、国が敗れた、自衛隊の活動が十分にいかなくて国が敗れてしまったといったことになれば、これは元も子もないということがありますから、その国民の権利と、それから、その事態における自衛隊の活動の範囲というものは、これはおのずからバランスがとられなければいけないものだ。(5月16日、委員会)
- (十九条の保障する思想及び良心の自由で)外部的な行為というものですが、内心の自由という場面にとどまらない行為を指しておりまして、それらの行為も、それ自体としては原則として自由であるものの、絶対的なものとは言えず、公共の福祉による制約を受けることはあり得るという考え方でございます。外部的な行為に係る具体的な事例というのは、これはもうさまざまなものがございます。したがいまして、一概に申し上げることは困難でございますけれども、あえて具体的な事例を申し上げれば、自衛隊法の第百三条に基づき、保管命令を受けた保管者が、その思想、信仰等のために自衛隊に協力しないという考え方に立って、当該命令の対象となっている物資を毀棄する、そしてまた搬出したりするというような行為が想定されるところでございます。これは思想、信仰等に基づいて外部的な行為がなされた場合に該当し得る場合でございまして、公共の福祉による制約を受けることは、そういう意味であり得るということでございます。(7月24日、委員会)
- (二十条の保障する信教の自由のうち信仰の自由は)要するに、信仰の自由でもって拒否をするという行為ということであります。(7月24日、委員会)
配給、物価統制令も?
- 例えば現行の国民生活安定緊急措置法に基づく生活関連物資等の生産、輸入等に関する指示、また生活関連物資等の買占め及び売惜しみに対する緊急措置に関する法律に基づく売り渡しに関する指示及び命令、また石油需給適正化法に基づく使用制限、そのようなものを想定しておる。
(5月16日、委員会)
- 国民生活及び国民経済に及ぼす影響を最小となるようにするために、法案の第二条第六号は、対処措置として、「生活関連物資等の価格安定、配分その他の措置」を定めているものでございまして、これは、例えて言うなれば、生活関連物資等の標準価格の決定、割り当てまたは配給などが想定される。(5月20日、委員会)
民間放送事業者の協力は?
- 民間放送事業者につきましては、公益的事業を営む法人として、警報等の緊急情報の伝達のために指定される可能性はございます。(5月7日、委員会)
報道協定の指示も?
- (誘拐報道のような報道協定は)事態の状況に応じまして、人命尊重などの観点から、本当に必要な場合においては、報道協定などについてお願いをする。
(7月3日、委員会)
国家総動員法の復活では?
- 政府という言葉をわざわざ使ったということでありますけれども、これは、内閣だけでなくて国全体が一体となって行うべき武力攻撃事態の対処である、このような観点からこの政府という言葉を使った(土井党首 そうすると、国家総動員法に「政府ハ」と使われてきたことと無関係ではありませんね)。(5月7日、委員会)
国民の協力とは?
- (協力の中に訓練が必要なのではないか、に対し)平時から備えるということはこの武力攻撃事態に対処するための措置としても大事なことでございますので、検討は考えております。
(5月8日、委員会)
- (国民の協力の具体的な内容、範囲は)例えば、地域における被災者の搬送、国民の生命、身体等の保護のために地方公共団体が実施する措置への協力といったような、そういうような内容を想定しておる。(5月9日、委員会)
- 子供の協力とかそれから外国人の協力とか、そういうものを対象とすることは想定いたしておりません。
(7月3日、委員会)
国民保護法制の内容は?
- 国民の保護のための具体的な措置につきましては、まず、避難に関する措置として、警報の発令、避難の指示、避難の誘導、避難地の確保等について定めていくこととなる。また、被害を最小にするための措置として、交通手段や重要通信の確保、生活関連重要施設の安全確保、消火、傷病者の緊急搬送及び医療、衛生状態の保持、生活必需物資の確保、仮設住宅の設置、ライフラインの応急復旧等のさまざまな措置について規定するとともに、死傷者の取り扱い等、国際人道法の的確な実施のための措置について定めていくこととなる。さらに、被害の復旧に関する措置としては、学校、病院等の生活関連施設の復旧、道路、橋梁、港湾、鉄道等の復旧等につきまして必要な措置を定めるとともに、財政上の措置について定めることとなると考えております。(5月20日、委員会)
- 国会終了後速やかに国民の保護のための法制などについて検討体制を整え、その内容を深める作業に着手したい
(7月24日、委員会)
地方公共団体の対処は?
- (原子力発電所があるところ、あるいは基地があるところなど)国が定めます対処基本方針につきましては、個別の地方公共団体が講ずる対処措置まで具体的に記載するものではございません。したがって、各地方公共団体は、国の対処基本方針に基づいて、地域の実情に応じた判断のもとに対処措置を実施することになる。(5月9日、委員会)
防衛庁副長官に自衛隊制服組も?
- (法律的に防衛庁副長官に制服組を任命することができるのか)法律的にはやってはいけないということはありません。副長官は、防衛庁長官の命を受けまして、政策及び企画をつかさどり、そして政務を処理するということになっております。仮にこれに自衛官がなる場合についても、同様に文民統制上の問題を生じるものではない。(7月3日、委員会)
中谷防衛庁長官
テロも武力攻撃事態?
- どのような事態が武力攻撃に当たるかというのは、その規模とか形態の面で特に限定はなくて、あらゆる事態を考える必要がございます。テロ、不審船の対応等を行う場合でも、対処し切れない場合がある場合に、武力攻撃事態として、国家として、最悪、極限状態の態勢をとって対処できる。(5月7日、委員会)
- 昨年九月十一日の米国の同時多発テロについては、米国はこれをみずからに対する武力攻撃であると認識をし、国際社会においてもこれが武力攻撃に該当することについては広く認められている。仮に同様のテロ攻撃が日本で発生した場合に、本法案に言う武力攻撃事態に該当するかどうかと言われれば、該当する場合もあり得る。(5月7日、委員会)
- 自衛権の定義がありまして、三要件ですね、急迫不正、必要最小限、または他に手段がないというような原則に基づきまして武力攻撃事態というふうに認定をされる場合には、なり得る。(5月16日、委員会)
「予測される事態」で武力も行使?
- (予測される事態とは)我が国への武力攻撃の意図が推測をされ、我が国への武力攻撃が発生する可能性が高いと客観的に判断される事態。(おそれや予測の場合には武力の行使をしてはならないという規定は)この条文には書かれておりません。(5月7日、委員会)
公海上の船舶への攻撃も武力攻撃事態?
- (公海上で日本の自衛隊の艦船が周辺事態の支援をしているために出ていて、そこに攻撃が加えられた場合)基本的には、その船舶に対しまして組織的また計画的な攻撃が発生する場合におきましては我が国の自衛権の発動という事態になりますが、これは武力攻撃が発生した事態でございます(5月9日、委員会)
自衛隊法88条で法律を無視して反撃できる?
- 外国から我が国を侵略されたときに、自衛権に基づいて武力の行使ができるというのは、これは国際法、国連憲章にもございますけれども、認められている行為でございます。そこで、自衛隊法の七十六条の一項の規定がございますけれども、防衛出動を命ぜられた自衛隊は、我が国を防衛するため、八十八条に基づいて、国際の法規、慣例を遵守し、かつ事態に応じて合理的に必要と判断される限度において必要な武力を行使することができる、いわば国家の正当防衛行為でございます。ところが、外部の侵略者はどうするかというと、こういった国内の法規とか国際法を無視して我が国の国民の生命財産を脅かすものでありまして、自衛隊は国民の生命財産を守るために敵を排除するという戦闘行為を行うことになります。このような戦闘行為に際して、この八十八条の要件を満たしている限りにおいては、行政法規等の法律、法令に従わない場合があるとしても、それはこの八十八条に基づく緊急事態における正当行為として許されるものである(5月7日、委員会)
戦闘地域は88条、非戦闘地域は有事法制で対処?
- 我々がこの法律で想定しておりますのは、第八十八条がございまして、これは、国際法規及び慣例を遵守し、かつ事態に応じて合理的に必要と判断される限度内において必要な武力を行使するという規定があります。これはまさに戦闘が行われている地域でありまして、相手も日本の法令を無視して相当なことをやってくるわけでございますので、それを防ぎ得るために、いわゆる正当行為として、この八十八条の規定によりまして、その外部からの侵略行為を行う者を排除するのに努めるわけでございます。この八十八条の適用以外の地域におきましては、防衛出動の規定に従って、それぞれ、行政がまだ生きている地域もあればもう行政も離脱をしている地域もございますので、その戦闘が行われていない地域におきましては、今回の改正の所要の規定におきまして速やかに自衛隊の行動ができるというふうな考えに基づいて改正を行うものでございます。(5月9日、委員会)
戦場でなくても88条で橋や民家を壊すことができる?
- (戦闘の現場でなくても、今後戦闘の現場になるかもしれないところにある橋、あるいはそこの民家をあらかじめ壊しておくということは)事態に応じ合理的に必要と判断される場合におきましては、八十八条で実施をいたします。
(5月9日、委員会)
外出禁止も検討?
- 武力攻撃事態における外出禁止とか、また交通の統制のような規制につきましては、この必要性、具体的な方法につきましては、今後の課題として検討していかなければならない。(5月20日、委員会)
18歳未満の少年にも業務従事命令?
- 業務従事命令は、防衛出動を命ぜられた自衛隊の行動に係る地域以外の地域において、医療、土木建築工事または輸送を業とする者に対して、適切な実費弁償や損害の補償を前提として、同種の業務に従事することを命ずるもの。(4月26日、本会議)
- 大工、左官等のように、一定の技能を有していれば当該業務に従事し得ることから十八歳未満の者も想定される場合がある。今回の政令の制定に当たりましては、適切に業務に従事する者の範囲を定めるべきものと考えているところであり、十八歳未満ということで当然に業務従事命令の対象とはならないとは考えておりません。
(7月3日、委員会)
武器弾薬の輸送も憲法上できる?
- 周辺事態の安全確保法やテロ対策特別措置法で武器弾薬を除くと書いておりますのは、米側からのニーズがなかったからでございまして、憲法上それができないというからではございません。(5月20日、委員会)
自衛隊は軍隊?
- ジュネーブ条約ということにつきましては、武力紛争に際して武力を行使することを任務とする国家の組織を指すものと考えられるところ、自衛隊は、外国からの武力攻撃に際して我が国を防衛することを主たる任務とする組織でございまして、こういう意味におきまして、自衛隊は同条約上の軍隊、自衛官は同条約上の軍隊の構成員として取り扱われるものと考えられるわけでございます。(5月16日、委員会)
敵をせん滅するために国民は協力を?
- やはり、国民の皆様方に御協力をしていただく上におきましては、何のために国を守るのか、この国家の意識も考えていただきたいというふうに思っております。すなわち、国の独立と国家の主権を守ることでございますが、なぜ必要かといいますと、国家をなくした国民ほど悲惨なものはございません。やはり、国際社会の中で、自分たちの人権や、また生活、社会活動を守っていくというのは、国際社会の中におきましては国家がそのことを国民に保障するものでありまして、そのために国を守るということが必要であり、自衛隊も国を守るという目的でつくられているわけであります。そこで、こういう緊急事態、武力攻撃事態におきましては二つのことが必要でございます。一つは、侵略をしてくる勢力をいち早くせん滅をしてその被害をなくすということ、もう一つは、国民の皆様方に安全な地域に避難をしていただくことでございますが、こういう外敵と戦う場所をつくって、極力国民の皆様方の被害がないようにしていかなければなりませんけれども、そういった、自衛隊が敵と対峙をして、また戦うという環境をつくっていただくのは、ひとえに国民の皆様方の協力でございまして、その点におきまして、お互いに、やはりこの国を守るという意識におきまして、それぞれの、武力攻撃事態におきまして、お互いの役割を果たして、目的は、国家を守る、外敵をいち早くせん滅するということでございますので、この点をぜひ御理解いただきまして、国民の皆様方の御協力をいただくようにしなければならないというふうに思っております。(5月16日、委員会)
防衛庁を国防省に?
- 法律的な面から申し上げれば、国民の安全確保、国の危機管理のために自衛隊を運用すること、法律の制定、人事などについて、現在は防衛庁長官名で閣議を求めることができません。また、予算の要求、執行を財務大臣に求めることもできません。このような観点から、現状を改善するためにも、ぜひとも一日も早く、防衛省設置法案の成立をお願いしているところでございます(5月29日、委員会)
川口外務大臣
米軍支援の法制は?
- 米軍支援等に関する法制の概要と方針については、日米安保条約に従って武力攻撃を排除するために必要な行動を実施する米軍に対しまして、物品、役務、施設の提供等を実施するための法制整備などが対象になります。その際、米軍の行動は、我が国に対する武力攻撃を排除し、我が国及び国民の安全を守るためのものであることから、米軍が自衛隊と同様に円滑な行動を行えるような支援を検討してまいります。(4月26日、本会議)
片山総務大臣
地方自治体との関係は?
- 指示する場合はどういうケースかといいますと、例えば、ある地方団体の住民の皆さんを避難させなければならない、避難を受け入れる地方団体が複数ある、ただ、その複数間ではなかなか話がつかない、こういう場合には国が責任を持って指示をして、引き受けてもらうということ、これが指示でございます。
(4月26日、本会議)
- 代執行の方は、例えば、住民の皆さんに避難勧告をやる、あるいは避難勧告をした住民の皆さんを輸送する、こういう場合に、当該地方団体と連絡がうまくつかないとか、あるいは地方団体の方の態度が決まらないというときに、緊急の場合には国が直接やる、こういうケースが考えられる。(4月26日、本会議)
- 国民保護法制につきましては、地方公共団体の意見を十分踏まえて、具体的な適切な対応について盛り込んでまいりたい。(4月26日、本会議)
無防備地域の決定は中央政府だけ?
- 無防備地域といいますか、今委員は無防備都市宣言と言われておりますけれども、この地域を条約や議定書に基づく無防備地域にするかどうか、その決定権は中央政府だ、中央政府ないしは中央政府から委任された者だ、こういう確定した解釈があるようでございますので、地方団体自身が希望を表明することはできますよ、しかし、その地域の決定は、これは中央政府ないしはそれに類する者だ、こういう意味でございます。
(5月20日、委員会)
作成 護憲・大阪の会事務局(衆議院ホームページの会議録より作成)、2002.7.15作成、2002.9.9修正