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用語集
本サイトでは以下の用語を使用する.他のサイト・書籍・論文では,これと異なる用語が使用されている場合がある.なお,ここに掲げた用語は方陣用語の一部のみである.
(最終改訂日: 2008年7月5日)
方陣等の種類
- 方陣(magic hypercube)
- n 次元 m 次方陣とは,mn 個の数を n 次元の(超)立方体状に並べ,辺に平行な m 個のセルの和,および,n 次元対角線に沿った m 個のセル(n-斜)の和がすべて一定の値(定和)となるもののことをいう.
2次元方陣は,平面方陣または魔方陣(magic square)と呼ぶ.また,3次元方陣は立体方陣(magic cube)と呼ぶ.
- 準方陣(semimagic hypercube)
- 方陣の条件から n 次元対角線の条件を除いたもの.対称な準方陣は必ず方陣となる.
- 長方陣(magic rectangle)
- n 次元 (m1, m2, ..., mn) 次長方陣とは,m1m2...mn 個の数を n 次元の(超)直方体状に並べ,全ての辺に平行な方向について,その方向のセルの和がそれぞれ一定の値となるもののことをいう.和の値は方向ごとに異なっていてもよい.なお,対角線の条件は無い.魔方長陣とも呼ぶ.
次数の全ての成分が等しい長方陣は準方陣である.
方陣の作成法の中には,長方陣を利用するものが存在する.
- 図形陣(magic pattern)
- 数をある図形に沿って並べ,図形の同一線上にある数の和が常に一定になるもの.
図形の形状によって円陣(magic circle)・星陣(magic star)・弧星陣・球陣・台形陣などの種類がある.
図形として漢字などの文字(の集合)を用いたものを文字陣という.この場合,文字の集合に意味を持たせることが可能である.
- 特殊陣
- 方陣に類したもので,(準)方陣・長方陣・図形陣のいずれにも該当しないもの.例えば,サイの目魔方陣が該当する.
- 陣(magic object)
- (準)方陣・長方陣・図形陣・特殊陣の総称.
- ラテン方陣(Latin square)
- (2次元)ラテン方陣とは,n 種類の数・文字等の記号を n×n 正方形内に並べ,各行・各列においてこれらの記号が重複なく1度ずつ現れるものをいう.ラテン方格ともいう.対角線についての条件は無い.両対角線についても上記の条件が成り立つものを対角ラテン方陣(diagonal Latin square)という.記号として数を使用したものについては,(非正規な)準方陣とみなすことができる.3次元以上のラテン方陣についても同様に定義される.
ラテン方陣は,方陣の作成に利用されるほか,実験計画法などの分野にも応用されている.
基本用語
- 正規(normal) 陣
- 使われる数が1から始まる連続した整数である陣(伝統的定義).
場合によっては,使われる数を0から始まる連続した整数とすることもある(数学的定義・この定義の方が数学的には扱いやすい).
本サイトでは,特に断らない限り前者の定義(伝統的定義)を採用する.
正規な n 次元 m 次(準)方陣では,使われる数は,伝統的定義においては1から mn までの連続整数,数学的定義においては0から mn-1 までの連続整数である.
なお,特殊陣で,本項の正規性の定義が不適切であるものについては,個別に正規性を定義する.
- 非正規(non-normal) 陣
- 正規でない陣.本サイトでは,特に断らない限り使用される数は整数であるものとする.
- 素数(prime) 陣
- 使用される数が全て素数である陣.非正規陣の一種である.1は素数ではないが,素数陣においては使用を認めることが多い.
- 定数(constant) 方陣
- 使用される数が全て同一数である(自明な)陣.非正規陣の一種である.もちろん,陣としての価値はゼロである.
- 行(row)・列(column)・柱(pillar)・file
- (準)方陣・長方陣において,第1次元・第2次元・第3次元・第4次元の方向をそれぞれ行(row)・列(column)・柱(pillar)・fileと呼ぶ.
- r次元汎対角線(r-汎斜,pan-r-agonal)
- r次元対角線(r-斜)に平行する分断された対角線.破対角線ともいう.下図参照.なお,1-汎斜は 1-斜と同義語で正方向を意味する.
- 定和(magic constant, constant, magic sum)
- (準)方陣・図形陣において,一定となるべき和の値.n 次元 m 次正規(準)方陣(伝統的定義)では,定和は m (mn +1)/2 に等しい.
長方陣の定和は方向ごとに定義される(行定和,列定和など).
- 半偶数(singly even number)
- 4の倍数ではない偶数.単偶数ともいう.半偶数次の方陣は簡単には作成できない.
- 全偶数(doubly even number)
- 4の倍数.複偶数ともいう.
対角線条件
- r-斜(r-agonal) 方陣
- n 次元方陣で,全ての r 次元対角線が定和となるもの.
2-斜のことを面斜,3-斜のことを体斜とも呼ぶ.1-斜(正方向)については,通常は記述を省略する.また,2,3-斜(2-斜かつ3-斜)などの表記も用いる.
例えば,面斜方陣とは,全ての2次元対角線が定和となる方陣である.
n 次元配列が方陣となるための必要十分条件は,それが1,n-斜であることである.
- r-汎斜(pan-r-agonal) 方陣
- n 次元方陣で,全ての r 次元汎対角線が定和となるもの.
2-汎斜のことを面汎斜,3-汎斜のことを体汎斜とも呼ぶ.1-汎斜(正方向)については,通常は記述を省略する.また,2,3-汎斜(2-汎斜かつ3-汎斜)などの表記も用いる.
例えば,面汎斜方陣とは,全ての2次元汎対角線が定和となる方陣であり,体汎斜方陣とは,全ての3次元汎対角線が定和となる方陣である.
- 汎斜(panmagic) 方陣
- (1,)n-汎斜な n 次元方陣のこと.例えば,汎斜立体方陣とは体汎斜立体方陣のことである.
2次元の場合は,汎魔方陣とも呼ぶ.
- 全斜(strictly magic) 方陣
- 1,2,...,n-斜な n 次元方陣のこと.即ち,全ての次元の対角線が成立する方陣.
全斜立体方陣は,面斜立体方陣のことである.なお,平面方陣は常に全斜である.
3・4次の全斜立体方陣は存在しない.また,3・4・5次の全斜四次元方陣は存在しない.
- 全汎斜(Nasik, strictly panmagic) 方陣
- 1,2,...,n-汎斜な n 次元方陣のこと.即ち,全ての次元の汎対角線が成立する方陣.ナーシク(Nasik)方陣ともいう.
全汎斜立体方陣は,2,3-汎斜立体方陣,即ち,全ての平面汎対角線および立体汎対角線が定和となる立体方陣である.
また,全汎斜四次元方陣は,2,3,4-汎斜四次元方陣のことである.なお,全汎斜平面方陣は汎斜平面方陣のことである.
方陣が全斜かつ汎斜であっても全汎斜であるとは限らないことに注意.
- 体汎斜面斜(pantriagonal diagonal, PantriagDiag) 方陣
- 同時に体汎斜かつ面斜である方陣.体汎斜面斜立体方陣が全汎斜であるとは限らない.
- 汎斜全斜(pan and strictly magic) 方陣
- 同時に汎斜かつ全斜である n 次元方陣.汎斜全斜立体方陣とは,体汎斜面斜立体方陣のことである.
- 擬r-汎斜(pseudo-pan-r-agonal)方陣
- n 次元方陣において,全ての斜めの(r-1)次元切断面上の r 次元汎対角線が成立する方陣.擬体汎斜(pseudo-pantriagonal) (r = 3) などの表記も用いる.
- 擬汎斜(pseudo-panmagic)方陣
- 擬n-汎斜な n 次元方陣のこと.擬汎斜立体方陣とは擬体汎斜立体方陣のことである.汎斜方陣は常に擬汎斜である.
- 水平面斜(horizontal-diagonal)方陣
- 方陣をある向きに置いたとき,全ての水平な切断面が平面方陣となる方陣.面斜方陣は水平面斜方陣である.
- 水平面汎斜(horizontal-pandiagonal)方陣
- 方陣をある向きに置いたとき,全ての水平な切断面が汎斜平面方陣となる方陣.面汎斜方陣は水平面汎斜方陣である.
- 表面斜(s-magic)立体方陣
- 6つの表面が全て平面方陣となる立体方陣.'s-magic' (surface magic) の名称は Walter Trump 氏による.面斜立体方陣は表面斜立体方陣である.
- 単純(simple)方陣
- n 次元方陣で,n-斜を除くいかなる(汎)対角線条件(r-斜・r-汎斜)も満たさないもの.
単純平面方陣とは,汎斜でない平面方陣のことである.同様に,単純立体方陣とは,体汎斜でも面斜でもない立体方陣,単純四次元方陣とは,四次元汎斜・体斜・面斜のいずれでもない四次元方陣のことである.
- クラス(class)(n 次元方陣の)
- n 次元方陣を,各次元 r (2 ≦ r ≦ n) に対する r-斜,r-汎斜 の成否によって分類したもの.
平面方陣のクラスは 単純 (2-斜)・汎斜 (2-汎斜) の2通りである.
また、立体方陣のクラスは 単純 (3-斜)・体汎斜 (3-汎斜)・面斜 (2,3-斜)・体汎斜面斜 (2-斜 + 3-汎斜)・面汎斜(2-汎斜 + 3-斜)・全汎斜 (2,3-汎斜) の6通りである.
また,四次元方陣のクラスは18通りである.
付加条件
- 相補的(complement(ary)) 対
- その和が全セルの平均値の2倍に等しくなるセルの対.n 次元 m 次の正規方陣(伝統的定義)においては,その和は mn +1 となる.
相補的対では,一方の数が他方の数の補数(complement(ary) number)であるという.
- 連結線(complement(ary) pair line)
- 補数セル同士を結んだ線のこと.方陣の連結線のパターンのことを方陣の連結型(complement(ary) pair pattern)と呼ぶ.連結型によって方陣を分類することができる.
- 対称(associated, associative, symmetrical) 方陣・長方陣
- 中心から等距離にある2つのセルが常に相補的である方陣・長方陣.奇数次の場合には,中心セルの2倍も相補的なセルの和に一致する必要がある.定和点対称ともいう.
- 軸対称/面対称(axis/plane symmetrical) 方陣
- ある軸/面から等距離にある2つのセルが常にに相補的である方陣.奇数次の正規な軸対称/面対称方陣は存在しない.
- 完備(complete) 方陣
- n 次元 m (偶数)次方陣で,任意の n 次元汎対角線上にある m/2 セル離れた 任意の2つのセルが常にに相補的である方陣.定和対蹠点型方陣ともいう.奇数次方陣では完備性は定義されない.
全ての完備 n 次元方陣は汎斜方陣である.
- r-相結(そうけつ, r-compact, 2r-uniform) 方陣
- n 次元方陣で,方陣内の全ての r 次元2次超立方体状(2 ≦ r ≦ n)の2r 個のセルの和が常に一定であるもの.r が小さいほど強い条件となる.
2-相結のことを面相結(または,正方連結型),3-相結のことを体相結(または,立方連結型)とも呼ぶ.平面方陣の場合は,2-相結のことを単に相結という.
面相結方陣では,方陣内の全ての2×2正方形状の4個のセルの和が常に一定である.
また,体相結方陣では,方陣内の全ての2×2×2立方体状の8個のセルの和が常に一定である.
全ての面相結 n 次元方陣は汎斜方陣である.一方,r ≧ 3 のとき,r-相結 n 次元方陣が汎斜方陣であるとは限らない.
多重方陣に関する用語
- d 重 r-斜(d-ply-r-agonal)方陣
- 各セルを1乗・2乗・…・d 乗したものが全て r-斜 の条件を満たす方陣.
二重面斜(bidiagonal) (d = 2, r = 2),二重体斜(bitriagonal) (d = 2, r = 2),三重面斜(tridiagonal) (d = 3, r = 2) などの表記も用いる.d の値を重度(degree)と呼ぶ.
- d 重(d-ply-magic)方陣
- d 重 1,n-斜 な n 次元方陣のこと.総称して多重(multimagic)方陣と呼ぶ.また,二重(bimagic)方陣 (d = 2),三重(trimagic)方陣 (d = 3) などの表記も用いる.
d 重方陣では,各セルを 1乗・2乗・・…・d 乗したものは全て方陣の条件を満たす.
- d 重全斜(strictly d-ply-magic)方陣
- d 重 1,2,…,n-斜 な n 次元方陣のこと.総称して多重全斜(strictly multimagic)方陣と呼ぶ.また,二重全斜(strictly bimagic)方陣 (d = 2),三重全斜(strictly trimagic)方陣 (d = 3) などの表記も用いる.
d 重全斜方陣では,各セルを 1乗・2乗・・…・d 乗したものは全て全斜方陣の条件を満たす.
内包方陣に関する用語
- 内包(inlaid) 方陣
- 内部に別の方陣を含む方陣.元の方陣を親方陣,含まれている方陣を子方陣と呼ぶ.
なお,包括方陣とは,内包方陣のうち,m/2 種以上の異なる次数の n 次元方陣(親方陣を含む)を含むものをいう.
また,完全包括方陣とは,6次以上の内包方陣のうち,m-3 種の異なる次数(即ち,1次・2次・(m-1)次を除く全ての次数)の n 次元方陣(親方陣を含む)を含むものをいう.
ここで,n, m はそれぞれ親方陣の次元・次数である.
完全包括方陣については,阿部楽方氏らによる詳しい研究がある.
- 同心(concentric) 方陣
- 内部に (m-2)次,(m-4)次, … の n 次元子方陣を同心状に含む内包方陣.ここで,n, m はそれぞれ親方陣の次元・次数である.子方陣の最小次数は3または4である.
親子方陣・周辺方陣など様々な名称で呼ばれる.
- 連続同心(bordered, consecutively concentric) 方陣
- 同心方陣であり,かつ,全ての子方陣が連続数からなるもの.
連続同心方陣においては,全ての子方陣に対して,各セルから一定数を減じることによって正規方陣にすることができる.
- 連続同心面斜立体方陣(bordered diagonal magic cube)
- 連続同心な立体方陣であり,かつ,親方陣および全ての5次以上の子方陣が面斜立体方陣であるもの.(4次以下の子方陣を面斜にすることは不可能である.)
2004年に筆者によって初めて作成された.
筆者は,連続同心面斜立体方陣が6次以上の任意の偶数次に対して存在することを証明した.
その他
- XmlHypercube format
- Aale de Winkel 氏による方陣記述フォーマット.旧バージョンでは "HyperCube Language" と呼ばれていた.
- 完全(perfect)方陣
- この用語は複数の意味で一般に使われている.本サイトでは混乱防止のため,引用の場合を除き「完全」という用語は使用しない(完全包括方陣を除く).
参考文献
Harvey D. Heinz & John R. Hendricks, Magic Square Lexicon: Illustrated, self-published, 2000, ISBN 0-9687985-0-0.
平山諦・阿部楽方, 『方陣の研究』, 大阪教育図書, 1983.
大森清美, 『新編魔方陣』, 冨山房, 1992, ISBN 4-572-00696-2.
内田伏一, 『魔方陣にみる数のしくみ―汎魔方陣への誘い』, 日本評論社, 2004, ISBN 4-535-78421-3.
内田伏一, 『魔方陣―円陣・星陣・サイの目魔方陣・立体魔方陣…』, 日本評論社, 2007, ISBN 978-4-535-78489-5.
阿部楽方, 「完全へんげ偶方陣の一般的作法」,数理科学 2002年10月号,77-83.
Harvey D. Heinz 氏のサイト(英文) http://members.shaw.ca/hdhcubes/
Aale de Winkel 氏のサイト(英文) http://www.magichypercubes.com/Encyclopedia/index.html
Christian Boyer 氏のサイト(英文・仏文・独文)http://www.multimagie.com/indexengl.htm
Walter Trump 氏のサイト(英文)http://www.trump.de/magic-squares/
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本ページの最終更新日:2008年7月5日
「立体方陣と高次元方陣−三次元以上の魔方陣」 http://homepage2.nifty.com/googol/magcube/jp/
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