| 劇団 | 遊◎機械/全自動シアター |
| 作 | 高泉淳子 |
| 演出 | 白井晃 |
| 自動人形作 | ムットーニ |
| 出演 | 高泉淳子/白井晃/筒井道隆 ムットーニ/福井貴一 |
| 日程 | 2000年10月13日〜10月25日 |
| 会場 | 青山円形劇場 |
さて先日「メランコリーベイビー」行ってきました。
今回は筒井道隆もさることながら、自動人形師ムットーニを迎えてのお芝居ということでどんな感じになるのか、期待しておりました。
お芝居の内容はこんな感じ(説明があんまし上手じゃないのはカンベンしてね)。
舞台では自動人形師ムットーニの「メランコリーヴィーナス」が演じられている。
ムットーニの口上と「メランコリーベイビー」をBGMに箱の中から現れ、輝き、消えていくメランコリーヴィーナス(すごく幻想的でキレイだった)。それを見ていた作家志望の青年(筒井道隆)。
彼はムットーニに言う「すごく感動しました。ちゃんと始まりがあって終わりがあるところがよかった」と。
そして自分が未だ一つの作品も最後まで書き上げたことのないオレンジ作家(みかん<未完>の作家)だと。
ムットーニは問う「終わりが見つからないのですか?あなた自身が終わりを望んでいないのではないですか?」。
「そうかもしれない・・・」
そう考える中、彼はムットーニの自動人形の世界=彼自身の未完の小説の世界に入り込んでいく。
路地裏の階段を降りた地下にあるジャズバー<メランコリークラブ>。
その昔、少しは人に知られたトランペット吹きだったが、今は流行らないジャズバーを経営するハンパー(白井晃)。
(なぜトランペットをやめたか、聞くも涙語るも涙の話があるらしい)。
ちょっぴり皮肉屋だけど根がやさしくて、売れないミュージシャンの面倒ばかり見ている。
ステージングには超こだわり(但し超クサイ演出)ながら、腕はからきしなコルネット吹きチャット・ベイカー(福井貴一)。
そこに歌手募集の張り紙を持って現れるティーホリック(高泉淳子)。
彼女は対人恐怖症の歌手。気持ちを落ち着けるために紅茶をいつも飲んでいる。
歌はうまいけど人前では緊張して歌えない。
客の前で歌えない歌手はいらないというハンパーに彼女にチャンスをというチャット。
お喋りで強引で演出がクサくてコルネットがド下手なチャットに反発するティーホリック。
だけどお互いに何となく惹かれあうものがあって恋に落ちる二人。
「恋をするってパセリをホントに好きになるようなもの。初めはキライでも
味わってみると美味しくてクセになって、無いと寂しくなってしまう。」
登場人物たちに作者として、傍観者として、また自分自身が登場人物の一人になってかかわる青年。
望遠鏡で星を見るのがスキなティーホリック。
「こうやって望遠鏡で星を覗いてるとあっちからも誰かが覗いてるような気がしない?」
「僕の母も望遠鏡で星を覗くのがすきだったんだ」と語る青年。
このあたりからこのお話が彼の母親の話なのかな?とにおわせ始める。
チャットとティーホリックはお互いに愛し合っていることに気付く。
チャットは「一緒に組もう」「一緒になろう」と2度プロポーズしていた。
ティーホリックは「私と組みたいの?それとも一緒になりたいの?」と聞く。
「どっちも」
「それは出来ない。どちらかにして。私は愛する誰か一人の人のためだけに歌いたいの」
押し問答が続く。
チャットは
「コルネットを吹いてるときの自分が本当の自分。そうでないときの自分はただの抜け殻。
本当の自分じゃないときに君と一緒にいたくない」。
ティーホリックは
「歌っているときは自分を忘れたくて歌ってる。歌ってる自分は本当の自分じゃない。
歌っていないときが本当の自分。本当の自分じゃないときにあなたと一緒にいたくない」。
ここで3人の登場人物たちと作者である青年は解決策をひねり出そうと考える。
この物語の設定をそもそも変えようと、いろいろ考えるがうまくいかない。二人は別れるしかないのか?
スーツケースを持って立ち去るティーホリック。
実はここでこのお話の筆は止まったままなのだった。
青年は言う。
「行かないで。僕にはどうしても二人が別れなくちゃならないとは思えない。
でもこの話の最後は二人が別れるんだ。」
ここでチャットのチャコールグレイのスーツの内ポケットから一枚の写真が取り出される。
「1969・10・20メランコリークラブにて」と裏に書かれた写真には若き日の青年の母親を真中に二人の男が写っている。一人は今の青年に少し似ていて片手にコルネットを持っている。洋品店を営みながら女手ひとつで青年を育てた母。いつもミシンを踏みながら「メランコリーベイビー」を口ずさんでいた母。望遠鏡で星を眺めながらなにかを考えていた母。
青年が大学二年のとき亡くなった母の部屋を整理していて見つけた丁寧に仕立てられたチャコールグレイのスーツと一枚の写真。青年は父親について何も聞かされていなかった。二人はなぜ別れてしまったのだろう?
望遠鏡で覗く星の光のように過去なのに今光り輝き、さまざまに思い巡らされる人や場所。
ティーホリックは言う。
「私が不幸じゃなかったかって思ってるんでしょ? 私は幸せだったわ。
ただ一人の愛する人、あなたのためだけに歌えたんだから。一緒にいることだけが幸せじゃないの。
こうやって星を見ながら、同じように星を眺めているかもしれない遠くの誰かの幸せを願うのも幸せなのよ」
チャットは言う。
「一緒にいることで完全な幸せが得られなくても、少しぐらい不幸でもそれでも一緒にいよう。
そう言いたくてずっとここで待ってたんだ」
青年は言う。
「僕はあなたに会って言いたかった。中学のころからずっとブラスバンド部でコルネットを吹いていたこと」
過ぎ去ってしまった過去に向けて始まっていた物語。
そしてこのお話はムットーニの自動人形のように最後に一番美しい光を放ちながら終わる。
終わりの無い終わり。それぞれの心の中に見つかるかもしれない結末。
ってな具合でしょうか?
台詞は大体こんなニュアンスだったかな?というレベルです。
はっきりしてる筋だけ追うとなんか伝わらない気がして。
せつない、いいお話でした。
ティーホリックが人前で歌えなくなってしまう、愛する人のためだけに歌いたい理由がまたええ話でした。
全体の話は確かにせつないメランコリックなお話なんですが、登場人物がどこかミョーなひとばかりなので笑えました。おもしろかったです。
筒井道隆ってほんとにフツーな雰囲気。少しテンポがずれてる天然ボケ。
演技でああなのってスゴイ気がする(ホントにぼーっとしてんの)。
ナマで見るとけっこうイイ男だった。
福井貴一はまったく知りませんでした。暑苦しいけどイイやつチャット。
実際なかなかハンサムでしたし。
ムットーニは、かなりアヤシイ雰囲気持ってて、これがなかなかよかった。
ただ彼の自動人形って両手で楽に抱えられるくらいの大きさなので客席からはよく見えないんだよね・・・
ぴかぴか光りながら音楽に合わせてゆっくり微妙に動くとこがステキなんだけど。
というわけでメイキングオブメランコリーベイビー展(?)というのがあるようなのでじっくり自動人形見に行ってこようかなと考えております。
セットも照明も凝ってて美しいよい舞台でした。