|
222.月島もんじゃ戦争
2001/9/22(Sa)
昨夜、CSで松田聖子特集など観たおかげて二人が起きたのはお昼過ぎ。
昨夜呑み会だったはるさんの体調が悪いというので、何となく部屋でだらだら過ごす。
わざわざ延泊して部屋でだらだらとは悲しすぎる、とさんざん嘆いたら瀬戸口くんがようやく重い腰を上げてくれる。
といっても夕方だったけど。秋葉原に行って瀬戸口くんが「太陽を盗んだ男」のDVDを買って、近くのスタバで茶をしばいてから、何となく「老人たちの原宿」巣鴨へ行く。夕刻の巣鴨商店街を散策、刺抜き地蔵でお参りした処であたりはもはや夜モード。
本当は田沼意次の墓やお岩稲荷まで足を伸ばしたかったのだけれど、今日になっていきなり寒くなったからか瀬戸口くんの腹具合が悪かったのと、はるさんとなかなか連絡がとれなかったのと、今ひとつ盛り上がらなかったので(笑)適当な処で引き返して、商店街の入り口で瀬戸口くんのリクエストの豚まんを買って食べる。寒い時には豚まんがいちばんだね、てな事を云い合う。
ようやくはるさんと電話が繋がったのは芝公園の瀬戸口邸まで戻ってから。
体調の方は「一応」復活したらしい。はるさんによると月島にいいもんじゃの店があるというので(尤も、月島にいいもんじゃの店がなければ、世界中の何処を探してもいいもんじゃの店は見つかるまい)、急遽大江戸線に取って返し月島ではるさんと合流する(彼の職場は田町なので、この辺りはホームグラウンドなのだ)。あろうことか、ほんの昨日までの通勤コースである。
駅周辺は夜の20時を回った事もあって明かりとて少ない寂れたモードだったのだが、くだんの月島西仲商店街(通称「もんじゃストリート」)まで辿り着くと少し喧騒を取り戻した。尤も、22時を過ぎれば殆どの店が閉まってしまうらしいから、さほど賑やかでもないが、商店街の両サイドを50軒ものもんじゃ屋が軒を連ねるさまは壮観の一言に尽きる。ていうか、呆れた(笑)。
寡聞にして知らなかったが、はるさんの話によると月島にはもんじゃギルドが二派閥ある。
ひとつは地下鉄有楽町線・月島駅7番出口脇のビルに居を構える「月島もんじゃ協会」。
もうひとつがブルドックソースと提携した「月島もんじゃ振興会」。
平たく云えば、前者がもんじゃブームに目をつけて他所から入ってきた新興勢力、後者が「協会」に対向して昔乍らの地元住民が組織した元祖もんじゃ屋と大別出来る。振興会所属の店先には必ず「東京土産月島もんじゃ焼きパック」が飾ってあるそうだから第三者でも二派閥を見分ける事は可能である。「振興会」にしてみれば、「協会」は「月島」というブランドが目当ての「ハイエナ野郎」という事にでもなるか。以前、2ちゃんの掲示板で「協会」について色々な憶測・ウワサが出たが真偽の程は知らないし、無論、どちらを選ぶかは客の好みである。
という訳で、もんじゃストリートの手前に位置する「月島もんじゃ協会」、此処で発信している「オススメのもんじゃ屋情報」は故に協会加盟店というバイアスがかかる。食べ放題の「ムーの子孫」とか異色な店はともかく(初心者には絶対此処を薦めるらしい)昔懐かし系の店はまず紹介してもらえない。で、当然と云えば当然だが、もんじゃストリートの大半のお店は振興会所属なのだ。ちなみに隅田川下りを楽しめるもんじゃ屋形船は「協会」の運営である。
で、はるさんが連れていってくれたのは当然(笑)振興会所属の「もんじゃ近どう」。
創業昭和25年というから老舗中の老舗である。道を隔てて本店と2号店とあるが、21時近かった事もあって開いていたのはキャパの大きな2号店のみ。尤も、メニューは全く一緒だから別段問題は無い。老舗振りを強調してか、店内には創業当時の写真がパネルになって飾ってある。駄菓子屋の写真もあるが、昔は両方兼ねていたという事か…。あとは有名人の色紙が壁中に貼ってあるのが何処ぞのラーメン屋のようである。
恥ずかし乍ら30余年生きてきて、もんじゃ初体験である。
(尤も、生まれて初めて松茸を丸ごと食べたのもこの夏であった)
何しろ50種類ものメニューがあるので、細かい具関係は覚えちゃいないが、3人でそれぞれカレー味、にんにく味、ノーマルの3枚を頼んだら、あろう事かカレー味のが最初に来てテーブル中がカレーの風味になる(最初だから土手づくりも旨く行かなかったし)。こりゃあとで来るもんじゃは皆カレーの洗礼を受けますね、と覚悟していると次に来たにんにく風味がこれまたキョーレツ。一瞬にしてテーブル中がにんにくの匂いが染み込んで、カレーは見る影もない。今度ははるさんが上手に土手をこさえてくれたので、かなりもんじゃらしいもんじゃを堪能する。それにしても極端から極端である。結局3枚めのもんじゃもそれなりに食べたけれど、果たして僕らの舌がカレーやにんにくでバカになっていたかどうか、もはや定かではない。とりあえず旨かったからいいや。
そして、閉店時間も押し迫ってからデザートのあんこ巻。
これこそが、はるさんの会心の一打であった。
「こいつだけは、お店の人に焼いてもらった方がいい」
とはるさん。これはもんじゃというよりもむしろ厚手のクレープといった処か。
鉄板の上で薄く延ばした粉に餡を乗せて、こてを使って布団蒸しの要領でくるくると巻くその小気味良さ。
お好みで、オプションについた黒蜜をかけて食べるというもの。勿論、皆んなしてかけて食う。
先のもんじゃ3枚で、胃袋が大概へばっていた処に、このあっさり和風のデザートが人心地つかせてくれる。
既に、僕らのテーブルの周りに客は居ない。22時もとっくに廻っている。
会員カードを持っているはるさんに支払いをまかせ、僕と瀬戸口くんは先に外へ。
すっかりシャッターを降ろした軒先の中にまじって元気で営業しているのは案の定「ムーの子孫」であった。
オープンカフェ風で全然もんじゃ屋ぽくない処が却って「らしい」というか。
聞けば此処にはデザートもんじゃやライスもんじゃもあるらしいが、デザートもんじゃはちょっと…。
参考までに振興会の月島もんじゃMAPはこちら。
はるさんは終電前に家に帰るつもりだったらしいが(そりゃあ片腹痛い)、ガストで軽食を済ませ(をいをい)、コンビニで食料を買い込んだ後(まだ食うらしい。勿論、僕は食べませんでしたとも)そのまま瀬戸口邸で、日付が変わったというのに、DVD「太陽を盗んだ男」上映会へと雪崩れ込む。だからァ明日の朝11時には羽田へ行かなければならない身には甚だメーワクだって云ってんのに、ふたり共へらへら笑ってちっとも取り合ってくれない。しかも、映画自体がたいへん面白いから性質(タチ)が悪い。
かくして、夜は無情に更けてゆく。
|